冬の湿原を走るー1

2003年1月25日(雪のち晴れ)


うとうととしていた、「お座席を直して下さい」とのお姉さんの声に眠りから覚めた。
私を乗せたエアバスA300−600Rは釧路への最終アプローチに入る所だった。
1年ぶりの釧路の街は一面の銀世界に霞んでいた。吹雪いてるようだ?
「釧路空港の天気は雪、気温ー5度・・・」とお姉さんのアナウンス。
レンタカーに重い機材を載せて、さっそく雪道を慎重に走りながら釧路の街に降りていった。
旭橋に行くが凍っていない、最初の撮影ポイントは東釧路駅の陸橋に決める。
ここからだと、根室本線(左)と釧網本線を分ける懐かしいポイント小屋が写る。

「本当にー5度なの?」北風が恐ろしく冷たい。
釧路駅発車の時刻だが、汽笛が聞こえない。
湿原号に連絡する「おおぞら1号」が雪で遅れているらしい。
ガタガタ震えながら待つこと10分、「ヴォーッ」釧路駅発車の長い汽笛が響いて来た。

 
10分遅れでC11207号機は東釧路駅を爆煙で発車していった。
アイスバーンを慎重に運転しながら次の撮影地、標茶の先の牧場に向かう。


標茶から先は地吹雪が吹き荒れ視界が非常に悪くなっていた。
何度も道端の吹き溜まりに足をとられながら、何とか先回り出来た。
中標津に向かう道は雪で通行止、仕方なく牧場手前の踏み切りから湿原号を400ミリで狙う。

国道に出るも、あいかわらず視界が悪く撮影が困難な天候に変わりはない。
とりあえず石山に向かう事にする。
途中で除雪車に先導されるも??何とか追い抜き石山の踏み切りに到着したのが通過20分前だった。


北風が防風林に阻まれて巻いていた。
お立ち台に向かうには時間が無い。
踏み切りにも先客が10人ほど、三脚を立てるスペースも無い。
400ミリを手持ちで構える。
レンズが冷たくて、重い。

石山をバックにC11207号機が爆煙でやって来た。
一度だけ煙が舞い上がった「よしっ!」


地吹雪の吹き荒れる中、煙を右に左にと振りまきながらC11207号機が力走。


踏み切り手前の右カーブを28ミリで1枚。

川湯温泉駅に向かう。


川湯温泉駅の発車を狙うも、煙が手前に巻いて・・・失敗だ!

気をとり直して、次の撮影予定地である茅沼駅に向かう。
南弟子屈付近から急に天候が回復してきた。
太陽が顔を出して来たのだ。
夕鶴が撮れるかもしれない。


夕日を映した雪原に丹頂が3羽休んでいた。
真ん中にいる首が茶色いのがヒナ鳥だ・・・

三脚に600ミリをセットして静かに待つ。
C11207号機が音も無く茅沼駅に侵入してきた。


発車前に夕鶴は反対方向に飛んでいった。
客車の窓にはお客さんが笑顔で張り付いて、手を振っていた。
夕鶴には逃げられた。


夕日を映した茅沼駅を、湿原号が爆煙を上げながら発車していった。
80〜200ミリのズームでサイドから数枚撮影する。


すぐ三脚の600ミリに持ち替えて、レンズを振りながらギラリの瞬間を待つ。
踏み切りの先で、C11207号機が金色に輝いた!


シラルトロ湖の周辺をロケハンしながら、夕闇の塘路駅でコーヒータイム。
明日の情報交換をして、釧路の宿舎に向かった。


続・冬の湿原を走るー2へ  目次へ  トップページへ