日野(FD) セレガR

久々の日野車
リムジンバスでは1996年からの日産車集中導入をはじめ、そのためかなり少数派になってしまった日野車だが、セレガ以来5年ぶりの2001年11月ににセレガRが導入された。2001年11月導入車は日産に加え、三菱、日野が揃って導入され、さらに各社の車両ともバンパーがオレンジ一色になったことから周囲を驚かせた。
2001年11月、昭和島にL694,695が導入された後、2003年に再び昭和島にL554,L555が導入された。この増備によりL694,L695は早々と平和島(流通センター)に転属となった。

エアポートライナー仕様セレガR
この頃、空港リムジンバスは空港〜都心以外の各地への直行便が開設され続けてた時期で、「スライド式荷物室」「直結冷房」という東京空港交通・リムジンバス仕様がメーカーでも標準化されセレガRではエアポートライナー仕様として登場した。
高速バスで屋根上に冷房がのった「直結冷房」の高速バスがまだ珍しい時代だったため、リムジンバス仕様が標準化されたことは非常に感慨深い出来事だった。
2003年導入のL554,L555以降がこのエアポートライナー仕様のセレガRとなる。
このため「スイング式荷物室」で「直結冷房」のL694,L695は全国的にも珍しいセレガRとなっている。

2004年には大栄にL204,L205が箱崎にL316,317が導入され、各事業所2台づつとなった。
当時の大栄の新車はYCAT線に入るのが常であった。YCAT線の乗客も多い時期で、成田空港14:00発のセレガRが担当していた便は、成田空港発リムジンバスで唯一2PTBと1PTBに別便が設定されており、いつも多くのお客様を乗せ2PTBからYCATに直行をしていた。
路線車としてはこの8台だけと少数派の車両となった。
このエアポートライナー仕様のセレガRからは最前列には3点式シートベルトが設置されている。リムジンバスでは三菱車の1列目に3点式シートベルトがついたのが2013年なので、日野車は9年も早く設置されたことになる。

貸切車は大栄にL117,L118が2004年に導入されたが、2006年には流通にL08,L09として転属した。

運賃箱の設置されなかったセレガR
重量の問題か、運転席付近の通路幅の問題か、リムジンバスのセレガRはどの車両にも運賃箱は設置されていないため(過去の日野車も)、導入時から本線(成田線)を中心に運行されているが、一部運賃箱なしの羽田線ダイヤにも投入された。
リムジンバスでは羽田発便は旅客係員により乗車前集札をするため運賃箱は必要がないが、羽田空港行で旅客係員のいないバス停から出発する場合は運賃箱が必要になるため、空港からの片送りで帰りは回送というダイヤには入ることができる。
L694,L695は補助席付だったため共同運行路線にも入りやすかったが、残りの車両は補助席なしのため、入っても単独路線中心となるためかなり投入できる路線が限られていた。

珍しいところでは、L694,L695は廃車前に成田〜赤坂戻りで羽田大網などもこなした実績もある。

主な特筆すべき羽田線での運行は下記の通りだが全体を通して貴重なものだった。
L694,L695
2002年〜03年昭和島所属時
成田戻りの羽田多摩18:35〜羽田池袋22:55、羽田多摩19:35〜新宿羽田6:30
2004年〜06年の間
佐野開業までの宇都宮線にも充当
2005年川越開業後
羽田川越17:55

L554,L555
2016年12月頃からのL592-594R5廃車後のAダイヤ:羽田〜赤坂・新宿など羽田線で活躍した。

L316,317
成田線ダイヤ前後のTCAT〜羽田など
2018年後半から午前の椿山荘〜羽田線にも充当され最後に羽田線で活躍した。

L204,205
導入時は、当時の大栄の新車らしくYCAT線中心の運用。その後はホテルの柱の関係でスイング式トランクが扱いづらい池袋線を中心に運用された。

2003年車は車内LED上のシートベルト、トイレ、禁煙、禁携帯電話の絵(ピクトグラム)がライトアップされるようになっていた。
その後リムジンバスでは全車にピクトグラムを導入することになり、その先駆けとなった。
また、ブレーキを踏んでいない状態でも、サイドブレーキがかかっていればブレーキランプが点灯するのもセレガRの特徴。
車内でのアイドリング音は結構うるさい(笑)<良い音をしている>のも特徴。
走行音もコロコロという音がする。

2001年車 L694-695・・・JBUS銘板なし。2016年1月末に廃車。
成田空港から品川プリンスに到着したセレガR。(昭和島所属時代)
セレガRの特徴である、ライト下のオレンジのオーナメントランプも点灯中。
2001年11月導入のエアロ・スペースアローと同様オレンジバンパーで登場した。
上部のマーカーランプはガワだけで点灯しない。


品川200か500
695-11152FD
2002.11
2001年導入のL694-695の特徴はトランクがスイング式である点。
この後エアポートライナー仕様の横スライド式トランクのセレガRが出て他社も導入をし始めたため、直結冷房でスイング式のセレガRは珍しい。
ガラスのスモークも黒より多少薄い仕様である。

品川200か500
695-11152FD
2012.01
新車で導入直後のセレガR。 
当時は昭和島のみ担当していた成田〜臨海方面に充当。
後部バンパーは白となった

2001年車のリアの特徴は、リアスポイラーと行先表示LEDが下部にある点。このセレガRはブレーキを踏まず、サイドブレーキを使った状態でもブレーキランプが点灯する仕様。

品川200か500
695-11152FD
2002.1
当時昭和島車庫のDダイヤ(泊まり)のうち、2本だけが遠方の羽田->多摩センター線に入っていた。
成田線の車両は羽田線では新宿・池袋・九段の都心運用に夜間合いで入り、この後葛西線にも運用が広がったが、セレガRはこの多摩センター線に良く入った。
当時では成田線の車両に羽田線で乗れる貴重な機会。
運賃箱がない車両なので先払いとなる、多摩センター->羽田空港の運用には入れない。
L695@多摩センター

2002.11

長らく昭和島所属で成田本線運用だった694/695FDだが2003年末から流通センターに転属(Cダイヤ)。一旦は昭和島に戻ったようにも思えたが、ついに2004年6月Cダイヤで遠方路線の羽田〜宇都宮に充当!2004.6.12に確認。
羽田12:10〜成田に充当され、まさか!?と思ったが、運用通り羽田〜宇都宮線に充当された。この時期の宇都宮線は運賃箱が必要なかった。
品川200か499
694-11152FD

宇都宮に続きFDが所沢線に充当。はっきりはわからないが2004.7.16〜充当を確認。2002.4.16開業から暫くの間638-639M86、その後2003.3.16 の増便後にRAやR5が運用に入っていた所沢にもついに・・
2004.4頃も充当実績がある模様。

羽田18:35発の所沢行

品川200か500
695-11152FD

外環渋滞に伴い遅れて到着をしたL695が西武の1183R5と所沢で顔合わせ。
L695は回送で羽田へ戻りもう一度所沢への仕業で所沢発のダイヤがついていないため、このダイヤも運賃箱不要。TRC所属時は貸切のクルー輸送に入ることも多かった。

西武も14:35発羽田行の直結車

695-11152FDと
所沢200か358(1183)

セレガRの車内。2001年車はグレーの椅子に補助席の仕様。
後方LEDも下側に設置されているのがわかる。
01年11月は同一仕様で日産スペースアロー・三菱エアロバスが導入された。



品川200か499
694-11152FD
J−BUS設立前のため、日野の銘板。2003年のL554-555も日野自動車と同じ銘板がついている。

品川200か499
694-11152FD
座席の肘掛は旧セレガと同じような形状。
補助席なし側のリクライニングスイッチの形状も独特。
補助席側席のリクライニングはボタンでなく懐かしい引く形。
奥側の座席のシートベルトは凹側を引出し、固定されている凸側に差すタイプ。

品川200か499
694-11152FD 
日野セレガRのラウンドコックピット。
L694だけコクピットのインパネはなぜか速度計を除き青色。(速度計は黒)
セレガRの標準は速度計も青のはずだが・・・(初代セレガの後期車両から)
2001年車のセレガRはFFシフト(フィンガー・シフトレバー)の下にホイールパーキングブレーキがつく珍しい構造。


品川200か499
694-11152FD

L694のコクピットのアップ。速度計が旧日野車で使われていた黒いタイプに変更されている。

品川200か499
694-11152FD
L695のコクピット。こちらはセレガRの純正の青い速度計が配されている。

品川200か500
695-11152FD
L694.695のホイールパーク式駐車ブレーキ。他の会社のセレガRは下のL555の写真にあるようなサイドブレーキみたいな形状だが、この車両はFFシフト(フィンガーシフト)の下の方にあり、乗務員の乗降の際にぶつかりそうな位置にある。
同時期に出たセレガRもL555の写真同様椅子の左側にあり、なぜこの位置にこの形状のホイールパークがあるのかは不明。

品川200か499
694-11152FD
 
セレガRの前方。
上部は日産のデコと同じような感じになっている。
2001年車は導入時にはピクトグラムはなく、後付で設置。

品川200か499
694-11152FD
ニューオータニ
セレガRの乗降口の部分。
乗降扉はガラスの面積が大きい。


品川200か499
694-11152FD

 
2003年車 L554-555・・・JBUS銘板なし
2003年7月に554-555の2台が約2年ぶりに導入され昭和島車庫に配置となった。
ぞろ目の社番555はブルーリボンからセレガR引き継がれた。
TCAT経由池袋行

品川200か916
555-30742FD
L554-555はなんとトランクが観音(横スライド)開き!
これは日野のセレガRに空港仕様車が標準ラインナップとなったため。
エアポートライナー仕様となり、直結冷房+スライド式トランクでラインアップされたセレガR。

2001年式との違いはそのトランクとより黒くなったスモーク。

品川200か916
555-30742FD
リアはリアスポイラーはそのままだが、行先表示のLEDが少し上に移動した。(上から吊り下げるタイプに変更された)

品川200か916
555-30742FD

2012.1 TIAT
シート背面の上部の紫色部分の形が特徴的。三菱・日産車両はシートバックグリップの位置が低いため、グリップ位置が高い日の車両は紫色の部分が広く見える。

L555
スライド式荷物室のアップ。
2番荷物室の扉が1番荷物室に被るため同時に3つの荷物室を開けて出し入れすることができない。
スイング式に比べるとオープン時に出っ張りが少ないため歩道により寄せて停車することができる。
そのため大栄事業所の車両は乗降場所に柱のあるメトロポリタンのある池袋線によく投入されていた。

L555
跳ね上げ式の1番荷物室はスイング式に比べ、手前のスペースが必要になるため、柱やバス停が邪魔になり開けられないこともある。

L555
2004年車(路線) L204/205/316/317・・・JBUS銘板付
大栄にも久々の9年ぶりに2004年日野車が納入された。
4月にL204が1台だけ導入され、その後7月に3台が追加された。
導入後は大栄車らしくYCAT線に暫く充当されていた。その後は池袋線などに良く充当されており(メトロの柱がスイング式のトランクでは邪魔になるため)、比較的新しいうちは泊まりダイヤに、08年頃からは1往復ダイヤ中心に充当されている。
千葉200か1166
204-40442FD
L204/205も554/555同様日野のブルーリボンから番号を引継いだ形になった。
2004年車からリアスポイラーがなくなりバックアイがむき出しになり、印象がかなり異なる。
2003年以前の車両との差はリアスポイラーがない点。

千葉200か1203
205-40742FD
2004.7.17からデビューのL316。初日は大栄での車両交替から運用に入り成田→東京駅をこなした後、TDS/TDL→HNDの増便に充当された。
316はJBUSのステッカーもついた

TDSで待機をする初日。
いきなり羽田線に入った。

千葉200か1201
316-40742FD

FDのピクトグラムとLED。

2003年度以降の車両には、他の車種より早くピクトグラムがLEDの上に装備された。

写真はL204のLED。

当初のピクトグラムの上に標準でリムジンバスに採用されたピクトグラムが取り付けられた。
元々のピクトグラムの方が味があったので残念。

品川200か1112
317-40742FD
ホイールパーク式駐車ブレーキはL554/555以降運転席左側にサイドブレーキのような形に変更になって設置された。
H13(2001)年10月製の他社に導入されたセレガRもこの位置にあり、リムジンバスのL694/695の位置が珍しいのか? 

L205
エアポート仕様のセレガRは最前1列目のシートベルトが3点式となった。
東京空港交通では三菱車の最前が3点式シートベルトになったのは2013年なので日野車はかなり早いことになる。
L694,695は2点式でL554,555から3点式となっている。

L317
セレガRの車内。
L694/695とはシートの配色が異なる。
後部のLEDも2003年以降の車両は写真のように上部に設置されている
セレガRは04年7月導入の最終ロットまで循環式のトイレが採用された。

L205
2004年車(貸切)

89年式の日野の貸切ブルーリボンから引き継ぐ形でセレガRの貸切車が導入。
93年式の初代セレガ以来、日野の貸切車が11年ぶりに2004年7月に2台導入されされた。(L117-118) 

その後2006年夏に平和島へ転属となった。(L08-09)
都庁サイドで待機をするL118。
マーカーランプがあるが、リアに無いところをみると路線車同様、ただの飾りか?

千葉200か1205
118-40750FD

貸切セレガRの公式側。
貸切なので、正面と横に行先表示のLEDがないのが路線車と区別できる点。

品川200か1541
08-40750FD
貸切はリムジンのセレガRで初めてトイレ無しの仕様となった。(リアの屋根上に換気扇がない)
2006年7月頃にL117/118がL08/09となり平和島へ転属した。
貸切ではあるが、リアにマーカーランプはない。

品川200か1543
09-40750FD
羽田空港2ビル開港直前の羽田空港(1ビル)で同僚の111と貸切駐車場でスタンバイをする117。

横開きのトランクが空港連絡仕様の証

千葉200か1204
117-40750FD

左:千葉200か831
111-30545M1

トイレなしの貸切セレガRの車内後方。

クラリオン製のスピーカーが多数装備されている。
後方の換気扇は路線車のセレガRにも装備されている。セレガRならではの装備。

品川200か1541
08-40750FD
ワイド型の液晶テレビ。
前方のテレビは折りたたみ式ではない固定型のPanasonic製。
時計があるのも貸切車のみ。
西工の貸切L28と同様のモニタと思われる。

品川200か1541
08-40750FD
貸切セレガRの車内。
補助席は2〜6列目だけに装備されている。
貸切車なので、テーブル付の座席となっている。

品川200か1541
08-40750FD
貸切車は車内中ほどは折りたたみ式のモニタを装備。

品川200か1541
08-40750FD