FENDER BASSBREAKERというチューブアンプのシリーズがあります。伝統のクリーンからモダンなハイゲインまでカバーする多用途なアンプです。
BASSBREAKER15には、ラインアウト端子が付いていてキャビネットシミュレータが入っているらしい。
YouTubeで探してみました。
↓デジマートより。ラインアウトの紹介の箇所から再生します。
おー、いい音出てる出てる!
いや待て、村田善行さんのレビューに飲まれてる感もあるので、別も探す。
↓こちらはラインアウトの音でひたすら弾いてくれている動画。こちらがリアルかと。
うむ、ラインアウトではこのアンプの実力は出切っていないかもしれませんが、わりとイケてます。
天下のフェンダーが自社のアンプに実装するキャビシミュの回路ってどんなものなのでしょう。気になります。
回路図見てみたいですね。デジタル化されてコンボのキャビをIRで再現しているのか、
それとも秘密の真空管回路を内蔵しているのか。
しかし、アンプまるごとトレースして回路図公開している人なんでいなさそうです。
回路図なんてないだろうなあ、と思いながら検索してみると。
ですよねー。Fenderアンプの回路図が無いと、リペアマンが修理出来ません。もはや公器です。
pdfの公式のサービスマニュアルに全てが記載されています。
回路バレると困るようなメーカーではありません。
どこどこ、キャビシミュどこ?
あったー!CAB EMULATIONと書いてあります。
右側のパッシブ部分はXLRライン出力部。ここでは音は作っていない。
左側は反転増幅回路による固定のミキサーですかね。FX RETURNの生音とREVERB回路を経由した音をMIXしているようです。
て事は、残りの真ん中あたりが、大本命、天下のFender謹製キャビシミュという事ですね!。
むーん...
単なるSallenKey型のHPFとLPFだけですね...。
しかも、HPF,LPFが同居してオペアンプ1段で済ませてしまっています。
アクティブフィルターであるSallenKeyで、HPFとLPFがオペアンプ1段で済むという点は刮目ですが、
それにしてもたった1段の単純なキャビシミュ...
同居する事で、何か干渉ないのかな?。どんな伝達関数式になるのかわかりませんが、
仮にSallenKeyのHPF,LPFが独立して動作するなら、こんな特性になります。
100KHzと3.5KHzあたりにちょっとピークがあるだけの、
非常にカンタンなキャビシミュ特性ですね。。
EL84管によるパワー段、こだわりの出力トランス、Celestionスピーカーユニット、キャビネット特性、
マイキングによる反射・回折による干渉、マイク特性etc...
全部全部ひっくるめてTL072の半分で再現ってわけですね。。。
ちょっと回路試作してみる気力が沸いて来ませんが、
100KHzと3.5KHzのポイントと僅かなQ特性が黄金律なのでしょうか。
逆にヘッドアンプの段階で、かなり音がまとまっているのでしょうね。
おみそれしました。
追記
同じ回路を作って測定してみました。サインスイープ測定。オペアンプはUTC TL072。
だいたいシミュレーション通りになりました。
しかし、SallenKeyでLPF,HPFが同居していると、やはり干渉があるようで、
LPF,HPFの両方のQ(ピーク)を強くする形で調整するのは難しいようです。