2.8. ICMPの特徴

ICMP メッセージは、ホストどうしあるいはホスト-ゲートウェイ間でのごく基本的なエラー通知に利用される。ゲートウェイどうしのエラー通知では、ゲートウェイtoゲートウェイプロトコル (GGP) を使用すべきという考え方が一般的だ。既に見てきたように、 IP プロトコルの備えるエラー処理は完全ではないが、 ICMP メッセージはそうした問題の一部を解決してくれる。或る意味 ICMP の手強い点は、ヘッダがかなり複雑で、メッセージの種類毎にも微妙に異なるという点だ。しかし、フィルタリングの観点では、これが大きな問題となることはほとんどない。

ICMP メッセージの基本的なフォーマットは、通常通りの IP ヘッダと、タイプ (type)、コード (code)、チェックサム (checksum) を備える。これらはどの ICMP メッセージでも必ず持っている。タイプ は、そのパケットがどういった種類のエラーメッセージあるいは返答であるかという情報を表す。例えば destination unreachable や、 echo, echo reply, redirect といったメッセージだ。コード フィールドは、もし必要があれば、追加的な情報を指定する。仮にパケットのタイプが destination unreachable だとすれば、このコードフィールドは network unreachable, host unreachable をはじめとした何種類かの値を採り得る。チェックサム は単純にパケット全体のチェックサムだ。

お気づきの方もいると思うが、上で僕ははっきりと「ICMP パケットが "IPヘッダ" を持つ」と言った。なぜなら、実は ICMP パケットは IPヘッダ そのものを構成要素のひとつにしていて、或る意味、 IP プロトコルと同じ層で働いているとも言えるからだ。 ICMPIP プロトコルを高次の別階層として利用しているとも言えるし、同時に、 IP プロトコルと同じ階層のプロトコルだとも言えるのだ。 ICMPIP と渾然一体の関係にあり、故に、 IP を実装する際には必ず ICMP も実装する決まりになっている。