水産資源保護法
第1章 総 則 (第1条〜第3条)
第2章 水産資源の保護培養 (第4条〜第28条)
第3章 水産資源の調査 (第29条〜第30条)
第4章 補 助 (第31条)
第5章 雑 則 (第32条〜第35条の3)
第6章 罰 則 (第36条〜第41条)
  
昭和26・12・17・法律313号  
改正平成8・6・14・法律 78号  
改正平成11・7・16・法律 87号−−
改正平成11・7・16・法律102号−−
改正平成11・12・22・法律160号−−
改正平成11・12・22・法律190号−−
改正平成13・6・29・法律 89号−
 
最初

第1章 総 則

(この法律の目的)
第1条 この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とする。
(適用範囲)
第2条 公共の用に供しない水面には、別段の規定がある場合を除き、この法律の規定を適用しない。
 
第3条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには、この法律を適用する。
最初

第2章 水産資源の保護培養

第1節 水産動植物の採捕制限等 (第4条〜第13条)
第1節の2 水産動物の種苗の輸入防疫 (第13条の2)
第2節 保護水面 (第14条〜第19条)
第3節 さく河魚類の保護培養 (第20条〜第26条)
第4節 水産動植物の種苗の確保 (第27条〜第28条)
最初第2章

第1節 水産動植物の採捕制限等

(水産動植物の採捕制限等に関する命令)
第4条 農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、左に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。
1.水産動植物の採捕に関する制限又は禁止
2.水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止
3.漁具又は漁船に関する制限又は禁止
4.水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止
5.水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止
6.水産動植物の移植に関する制限又は禁止
 
 前項の規定による農林水産省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
 
 前項の罰則に規定することができる罰は、農林水産省令にあつては2年以下の懲役、50万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科、規則にあつては6月以下の懲役、10万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科とする。
 
 第1項の規定による農林水産省令又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船、漁具その他水産動植物の採捕の用に供される物及び同項第6号の水産動植物の没収並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。
 
 農林水産大臣は、第1項の農林水産省令を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 
 都道府県知事は、第1項の規則を定めようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
 都道府県知事は、第1項の規則を定めようとするときは、漁業法(昭和24年法律第267号)第84条第1項(海区漁業調整委員会の設置)に規定する海面に係るものにあつては、関係海区漁業調整委員会の意見を、同法第8条第3項(内水面の定義)に規定する内水面に係るものにあつては、内水面漁場管理委員会の意見をきかなければならない。
 農林水産大臣は、第1項第4号又は第5号に掲げる事項に関する農林水産省令又は規則であつて、河川法(昭和39年法律第167号)が適用され、若しくは準用される河川(以下「河川」という。)又は砂防法(明治30年法律第29号)第2条(指定土地)の規定により国土交通大臣が指定した土地(以下「指定土地」という。)に係るものを定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に協議しなければならない。
 
 農林水産大臣は、第1項第4号に掲げる事項に関する農林水産省令又は規則を定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣に協議しなければならない。
 
(漁法の制限)
第5条 爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない。但し、海獣捕獲のためにする場合は、この限りでない。
 
第6条 水産動植物をまひさせ、又は死なせる有毒物を使用して、水産動植物を採捕してはならない。但し、農林水産大臣の許可を受けて、調査研究のため、漁業法第127条に規定する内水面において採捕する場合は、この限りでない。
 
第7条 前2条の規定に違反して採捕した水産動植物は、所持し、又は販売してはならない。
(公共の用に供しない水面)
第8条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面又は第3条の水面に通ずるものには、政令で、第4条から前条までの規定及びこれらに係る罰則を適用することができる。
(許可漁船の定数)
第9条 農林水産大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第65条第1項(漁業調整に関する命令)及びこの法律の第4条の規定に基く農林水産省令の規定により農林水産大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類及び水域別に、農林水産省令で、当該漁業に従事することができる漁船の隻数の最高限度(以下「定数」という。)を定めることができる。
 
 農林水産大臣は、前項の定数を定める場合には、水産資源の現状及び現に当該漁業を営む者の数その他自然的及び社会的条件を総合的に勘案しなければならない。
 農林水産大臣は、定数を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 
(定数超過による許可の取消及び変更)
第10条 前条の規定により定数が定められた時に当該漁業の種類及び水域につき現に漁業の許可(漁業に関する農業の認可を含む。以下同じ。)を受けている漁船の隻数が定数をこえているときは、農林水産大臣は、左に掲げる事項を勘案して農林水産省令で定める基準に従い、そのこえる数の漁船につき、当該漁業に係る許可の取消の期日又は変更すべき当該漁業の操業区域及び変更の期日を指定しなければならない。
1.各漁業者が当該漁業の種類及び水域につき許可を受けている漁船の隻数
2.当該漁業に従事する漁船の航海度数、主たる操業の場所、操業日数、網入数、漁獲教皇その他の操業状況
3.賃金その他の給与等の労働条件
4.各漁業者の経済が当該漁業に依存する程度
 
 農林水産大臣は、前項の基準を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 
 第1項の規定による指定をする場合において必要があると認めるときは、農林水産大臣は、当該漁業の種類及び水域につき漁業の許可を受けている漁船であつて同項の指定を受けなかつたものにつき、変更すべき当該漁船の操業区域及び変更の期日を指定することができる。
 第1項又は前項の規定による指定は、告示をもつてする。
 前項の告示をしたときは、当該漁業に係る許可は、その有効期間にかかわらず、その指定された期日に取り消され、又は操業区域の変更があつたものとする。
 第1項又は第3項の規定による指定は、これによつて必要となる次条の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。
(損失補償)
第11条 政府は、前条第5項の規定による許可の取消又は操業区域の変更によつて生じた損失を当該処分を受けた者に対し補償しなければならない。
 前項の規定により補償すべき頒失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。
 前項の補償金額は、農林水産大臣が水産政策審議会の意見を聴いて定め、これを告示する。
 補償金交付の方法は、政令で定める。
 第3項の規定により告示された補償金額に不服がある者は、告示の日から90日以内に、訴をもつて、その増額を請求することができる。
 前項の訴においては、国を被告とする。
(漁業従事者に対する措置)
第12条 第10条第5項の規定により許可の取消を受けた者は、同条第4項の告示の日現在において、許可を受けた漁船に乗り組んでいる者及び当該漁船のために陸上作業をしている者に対し、交付を受けた補償金のうち農林水産省令で定める金額を支給しなければならない。
 
(漁獲限度)
第13条 農林水産大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第65条第1項及びこの法律の第4条の規定に基く農林水産省令の規定により農林水産大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類又は漁獲物の種類及び水域別に、当該漁業により漁獲すべき年間の数量の最高限度(以下「漁獲限度」という。)を定め、関係業者又はその団体に対し、この限度をこえて漁獲しないよう措置すべきことを勧告することができる。
 
 農林水産大臣は、前項の漁獲限度を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
最初第2章

第1節の2 水産動物の種苗の輸入防疫

(輸入の許可)
第13条の2 増殖又は養殖の用に供する水産動物(以下この条において「水産動物の種苗」という。)であつて農林水産省令で定めるもの及びその容器包装(当該容器包装に入れられ、又は当該容器包装で包まれた物であつて当該水産動物の種苗でないものを含む。第3項において同じ。)を輸入しようとする者は、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
 
 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、当該水産動物の種苗の種類及び数圭、原産地、輸入の時期及び場所その他農林水産省令で定める事項を記載した申請書に、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果当該水産動物の種苗が水産動物の種苗の伝染性疾病(農林水産省令で定めるものに限る。)にかかつているおそれがないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書又はその写しを添えて、これを農林水産大臣に提出しなければならない。
 
 農林水産大臣は、第1項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る水産動物の種苗及びその容器包装が前項の検査証明書又はその写しにより水産動物の種苗の伝染性疾病の病原体を広げるおそれがないと認めるときは、第1項の許可をしなければならない。
 農林水産大臣は、第1項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、許可を受ける者に対し輸入許可証を交付する。
 
最初第2章

第2節 保護水面

(保護水面の定義)
第14条 この法律において「保護水面」とは、水産動物が産卵し、稚魚が生育し、又は水産動植物の種苗が発生するのに適している水面であつて、その保護培養のために必要な措置を講ずずべき水面として都道府県知事又は農林水産大臣が指定する区域をいう。
 
(保護水面の指定)
第15条 都道府県知事は、水産動植物の保護培養のため必要があると認めるときは、水産政策審議会の意見を聴いて農林水産大臣が定める基準に従つて、保護水面を指定することができる。
 
 都道府県知事は、前項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣に協議し、その同意を得なければならない。
 
 都道府県知事は、第1項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、指定をしようとする保護水面が漁業法第84条第1項に規定する海面に属する場合にあつては、当該保護水面につき定められた海区に設置した海区漁業調整委員会の意見を、指定をしようとする保護水面が同法第8条第3項に規定する内水面に属する場合にあつては、内水面漁場管理委員会の意見を聴かなければならない。
 
 農林水産大臣は、水産動植物の保護培養のため特に必要があると認めるときは、第1項の規定にかかわらず、同項に規定する基準に従つて、保護水面を指定することができる。
 
 農林水産大臣は、前項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、指定をしようとする保護水面の属する水面を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
 
 第3項の規定は、都道府県知事が前項の規定により農林水産大臣に意見を述べようとする場合に準用する。
 
 第1項又は第4項の規定による保護水面の指定は、保護水面の区域の告示をもつてする。
 
(保護水面の区域の変更等)
第15条の2 都道府県知事又は農林水産大臣は、保護水面が前条第1項に規定する基準に適合しなくなつたときその他情勢の推移により必要が生じたときは、遅滞なく、その指定した保護水面の区域を変更し、又はその指定を解除するものとする。
 
 前条第2項、第3項及び第5項から第7項までの規定は、前項の規定による変更又は解除について準用する。
 
(保護水面の管理者)
第16条 保護水面の管理は、当該保護水面を指定した都道府県知事又は農林水産大臣が行う。
 
(保護水面の管理計画)
第17条 都道府県知事又は農林水産大臣は、第15条第1項又は第4項の規定により保護水面の指定をするときは、当該保護水面の管理計画を定めなければならない。
 
 前項の保護水面の管理計画においては、少なくとも次に掲げる事項を定めなければならない。
1.増殖すべき水産動植物の種類並びにその増殖の方法及び増殖施設の概要
2.採捕を制限し、又は禁止する水産動植物の種類及びその制限又は禁止の内容
3.制限し、又は禁止する漁具又は漁船及びその制限又は禁止の内容
 
 都道府県知事は、その管理する保護水面の管理計画を定め、又は変更しようとするときは、前項各号に掲げる事項について、あらかじめ、農林水産大臣に協議し、その同意を得なければならない。
 
 第15条第3項、第5項及び第6項の規定は、第1項の保護水面の管理計画を定め、又は変更しようとする場合に準用する。
 
 農林水産大臣は、水産動植物の保護培養のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、その管理する保護水面の管理計画を変更すべきことを指示することができる。この場合には、第15条第5項及び第6項の規定を準用する。
 
(工事の制限等)
第18条 保護水面の区域(河川、指定土地又は港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第3項(港湾区域の定義)に規定する港湾区域若しくは同法第56条第1項(港湾区域の定のない港湾)に規定する水域(以下第4項において「港湾区域」と総称する。)に係る部分を除く。)内において、埋立若しくはしゆんせつの工事又は水路、河川の流量若しくは水位の変更をきたす工事をしようとする者は、政令の定めるところにより、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣の許可を受けなければならない。
 都道府県知事又は農林水産大臣は、前項の許可を受けないでされた工事が当該保護水面の管理に著しく障害を及ぼすと認めるときは、当該工事の施行者に対し、当該工事を変更し、又は当該水面を原状に回復すべきことを命ずることができる。
 国土交通大臣、都道府県知事又は市町村長は、河川若しくは指定土地に関する第1項に掲げる工事をし、若しくはさせようとする場合又はこれらの工事について河川法第23条から第27条まで若しくは第29条(河川使用の許可等)の規定による許可若しくは砂防法第4条(指定土地における一定行為の禁止、制限)の規定による制限に係る許可をしようとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣に協議しなければならない。
 
 砂利採取法(昭和43年法律第74号)第16条(採取計画の認可)に規定する河川管理者は、同条の採取計画又は変更後の採取計画に基づいて行なう工事が第1項に掲げる工事に該当し、かつ、保護水面の区域内においてされるものである場合において、当該採取計画又は採取計画の変更について同条又は同法第20条第1項(変更の認可)の規定による認可をしようとするときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣に協議しなければならない。
 国土交通大臣又は港湾管理者(港湾法第2条第1項(港湾管理者の定義)に規定する港湾管理者をいう。以下同じ。)が港湾区域内における第1項に掲げる工事をしようとする場合又はこれらの工事について港湾管理者が同法第37条第1項(港湾区域内の工事の許可)の規定による許可をし、同条第3項(港湾区域内の国等の工事についての特例)の規定による協議に応じ、都道府県知事が同法第56条第1項の規定による許可をし、同条第3項(港湾区域の定のない港湾への準用)の規定による協議に応じ、若しくは港湾管理者が同法第58条第2項(公有水面埋立法との関係)の規定により公有水面埋立法(大正10年法律第57号)の規定による都道府県知事の職権を行おうとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、国土交通大臣、港湾管理者又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣に協議しなければならない。
 
 保護水面の区域内において水産動植物の保護培養のため特に必要があるときは、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣は、政令の定めるところにより、国土交通大臣、都道府県知事又は港湾管理者に対し、当該区域内における第1項に掲げる工事又はその工事により施設された工作物に関し必要な勧告をすることができる。
 
 
第19条 削除
最初第2章

第3節 さく河魚類の保護培養

(センターが実施すべき人工ふ化放流)
第20条 農林水産大臣は、毎年度、溯河魚類のうちさけ及びますの増殖を図るために独立行政法人さけ・ます資源管理センター(以下「センター」という。)が実施すべき人工ふ化放流に関する計画を定めなければならない。
 
 前項の計画においては、当該年度において人工ふ化放流を実施すべき河川及び放流数を定めなければならない。
 
 農林水産大臣は、第1項の計画を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
 
 農林水産大臣は、第1項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、センターに通知しなければならない。
 
 センターは、前項の規定による通知を受けたときは、当該計画に従つて人工ふ化放流を実施しなければならない。
 
(受益者の費用負担)
第21条 センターは、溯河魚類のうちさけ又はますを目的とする漁業を営む者が、前条第1項の人工ふ化放流により著しく利益を受けるときは農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣の承認を受けて、その者にその実施に要する費用の一部を負担させることができる。
 
(さく河魚類の通路の保護)
第22条 さく河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者又は占有者は、さく河魚類のさく上を妨げないように、その工作物を管理しなければならない。
 農林水産大臣又は都道府県知事は、前項の工作物の所有者又は占有者が同項の規定による管理を怠つていると認めるときは、その者に対し、同項の規定に従つて管理すべきことを命ずることができる。
 都道府県知事は、前項の規定による命令をしたときは、遅滞なく、その旨を農林水産大臣に報告しなければならない。
 
 
第23条 農林水産大臣は、さく河魚類の通路を害する虞があると認めるときは、水面の一定区域内における工作物の設置を制限し、又は禁止することができる。
 農林水産大臣は、前項の規定による制限をしようとするときは、当該工作物を設置しようとする者に対し、さく河魚類の通路又は当該通路に代るべき施設を設置すべきこと、もし、さく河魚類の通路又は当該通路に代るべき施設を設置することが著しく困難であると認める場合においては、当該水面におけるさく河魚類又はその他の魚類の繁殖に必要な施設を設置し、又は方法を講ずべきことを命ずることによつても、これをすることができる。
 前項の規定による命令を受けた者は、農林水産省令の定めるところにより、当該命ぜられた事項についての計画を作成し、これについて農林水産大臣の承認を受けなければならない。
 
 
第24条 農林水産大臣は、工作物がさく河魚類の通路を害すると認めるときは、その所有者又は占有者に対し、除害工事を命ずることができる。
 前項の規定により除害工事を命ずるときは、次項の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。
 農林水産大臣は、第1項の規定により除害工事を命じたときは、その工作物について権利を有する者に対し、相当の補償をしなければならない。但し、第22条第2項の規定による命令に違反した者に対し、第1項の規定により除害工事を命じた場合においては、その者に対しては、補償しない。
 第1項の規定による除害工事の命令が利害関係人の申請によつてされたときは、農林水産大臣の定めるところにより、当該申請者が、前項本文の規定による補償をしなければならない。
 前2項の補償金額に不服がある者は、補償金額決定の通知を受けた日から90日以内に、訴をもつて、その増減を請求することができる。
 前項の訴においては、国を被告とする。但し、第4項の場合においては、申請書又は工作物について権利を有する者を被告とする。
 第1項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、当該先取特権者、質権者又は抵当権者から供託しなくてもよい旨の申出がある場合を除き、農林水産大臣又は第4項の当該申請書は、第3項又は第4項の補償金を供託しなければならない。
 前項の先取特権者、質権者又は抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
(内水面におけるさけの採捕禁止)
第25条 漁業法第8条第3項に規定する内水面においては、さく河魚類のうちさけを採挿してはならない。但し、漁業の免許を受けた者又は漁業法第65条第1項及びこの法律の第4条の規定に基く農林水産省令若しくは規則の規定により農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けた者が、当該免許又は許可に基いて採捕する場合は、この限りでない。
 
(公共の用に供しない水面)
第26条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面又は第3条の水面に通ずるものには、政令で、第22条から前条までの規定及びこれらに係る罰則を適用することができる。
最初第2章

第4節 水産動植物の種苗の確保

(届出の義務)
第27条 農林水産省令で定める水産動植物の種苗を、業として、販売の目的をもつて採捕し、又は生産しようとする者は、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣にその旨の届出をしなければならない。その業を廃止したときも、同様とする。
 
(生産及び配付の指示)
第28条 農林水産大臣は、前条に規定する水産動植物の種苗を確保するために必要があると認めるときは、農林水産省令の定めるところにより、同条に規定する者に対し、当該水産動植物の種苗の生産又は配付につき必要な指示をすることができる。
最初

第3章 水産資源の調査

(水産資源の調査)
第29条 農林水産大臣は、この法律の目的を達成するために、水産資源の保護培養に必要であると認められる種類の漁業について、漁獲数量、操業の状況及び海況等に関し、科学的調査を実施しなければならない。
(報告の徴収等)
第30条 農林水産大臣又は都道府県知事は、前条の調査を行うために必要があると認めるときは、漁業を営み、又はこれに従事する者に、漁獲の数量、時期、方法その他必要な事項を報告させることができる。
 都道府県知事は、前項の規定により得た報告の結果を農林水産大臣に報告しなければならない。
最初

第4章 補 助

(補助)
第31条 国は、この法律の目的を達成するために、予算の範囲内において、次に掲げる費用の一部を補助することができる。
1.都道府県知事が管理計画に基づいて行う保護水面の管理に要する費用
2.溯河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者又は占有者(第24条第1項の規定による除害工事の命令を受けた者を除く。)が、当該水面において、第23条第2項に規定する施設を設置し、又は改修するのに要する費用
3.センター以外の者が溯河魚類のうちさけ又はますの人工ふ化放流事業を行うのに要する費用
最初

第5章 雑 則

(水産資源保護指導官及び水産資源保護指導吏員)
第32条 農林水産大臣は、水産資源の保護培養に関する事項の指導及び普及その他この法律及びこの法律に基づく命令の励行に関する事務をつかさどらせるため、所部の職員のうちから水産資源保護指導官を命ずるものとする。
 都道府県知事は、水産資源の保護培養に関する事項の指導及び普及その他この法律及びこの法律に基づく命令の励行に関する事務をつかさどらせるため、所部の職員のうちから水産資源保護指導吏員を命ずることができる。
(都道府県が処理する事務)
第32条の2 この法律に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
 
(水産資源の保護培養に関する協力)
第33条 都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、漁業協同組合その他の者に対し、水産資源の保護培棄に関し協力を求めることができる。
(水産政策審議会による報告徴収等)
第34条 水産政策審議会は、第2章第1節の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、漁業を営み、若しくはこれに従事する者その他関係者に対し出頭を求め、若しくは必要な報告を求め、又はその委員若しくはその事務に従事する者に漁場、船舶、事業場若しくは事務所について所要の調査をさせることができる。
 
(不服申立てと訴訟との関係)
第35条 農林水産大臣又は都道府県知事が第4条第1項の規定に基づく農林水産省令又は規則の規定によつてした処分の取消しの訴えは、その処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。
 
 前項に規定する処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第27条第2項の規定は、適用しない。
(事務の区分)
第35条の2 第4条第1項、第6項及び第7項並びに第30条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
 
(経過措置)
第35条の3 この法律の規定に基づき命令制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
最初

第6章 罰 則

 
第36条 第5条から第7条までの規定に違反した者は、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
 
第36条の2 第13条の2第1項の許可を受けないで、同項の輸入をした者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
 
第37条 次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役、50万円以下の罰金、拘留又は科料に処する。
1.第18条第1項の許可を受けないで、同項の工事をした者
2.第23条第1項又は第2項の規定による制限又は禁止に違反した者
3.第24条第1項の規定による命令に違反した者
4.第25条の規定に違反した者
 
第38条 第36条又は前条第4号の場合において、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船又は漁具その他水産動植物の採捕の用に供される物は、没収することができる。ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
 
第39条 第36条から第37条までの罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
 
第40条 次の各号の一に該当する者は、6月以下の懲役、10万円以下の罰金、拘留又は科料に処する。
1.第23条第3項の規定に違反した者
2.第27条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
3.第30条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 
第41条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第36条から第37条まで又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
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