「雪の金沢大作戦」(1999/09/08〜10/11号)
ということで、1999/2/11〜12はオラクラを休刊して
旅行に行ってきたわけである。
(書いてから発表までにえらく時間がたってしまった。)
行ったのは金沢。そのちょっと山手にある「湯涌温泉」という、
読んで字のごとく湯の涌く温泉である。
決して「誘惑温泉」ではない(ちょっとえっちな名称だな)。
短い旅行だったので、旅行記も短いのである。

        ・・・

2/11はあいにくの雨であった。
私は晴男なので、出かけるときに雨に降られることは滅多にない。
雨が降ったとしても移動中の列車の中とか、そういうのがほとんどで、
外歩きの時に降られることはほとんどないのだ。
それなのに、今回は出だしから雨。
こりゃ先が思いやられるね。

金沢までの列車は特急雷鳥号。
JR西日本在来線の一番の人気列車だ。
本当は同じ路線のサンダーバードに乗りたかったのだが
(サンダーバードについては「いろは'98」で書いた通り)、
席がとれなかったので雷鳥にした。

しかしこの雷鳥も満席であった。
見渡すと、おばちゃんの一群か、老人を含めた家族という感じが多い。
芦原温泉や加賀温泉で降りた人が多かったところを見ても、
飛び石連休で金曜日を休んで温泉にでも、という考えらしい。
短い休みだから近場ですごそうというわけだ。
自分もまったくそうなのだから、人間考えることは似ている。

        ・・・

雨は滋賀県には入ったあたりから雪混じりになってきた。
そして、比良山を越えるあたりから先では完全に雪になった。
景色にも雪が多いので、以前に降った雪が融けずにまだ残っていたか、
その後も雪が降ったかであろう。
今日のこの雪だけでこんなに積もったとは思えない。
琵琶湖畔を越えてさらに北にいったマキノや永原あたりでは駅のホームにも
雪があるし、回りの雪も50センチ以上ありそうだ。
近畿地方といっても、このあたりは雪に関しては別世界だ。

ところが不思議なことに、これより先、敦賀や福井になると雪は減り、
ほとんどなくなってしまう。
金沢でも回りの山には雪が見えるが、市内はほとんど雪がない(全くではない)。
このあたりはちょっと以外というか期待はずれであったがまあよかろう。
寒気の通り道というのがあるのだろう。
北だから雪が多いというわけではないのだ。

        ・・・

金沢での1日目の予定は親戚のうちにおじゃますること。
ということで、内容は省略。
1つおもしろかったのは、金沢では長靴が必須であること、
車にも必ず雪かきセットが積んであることである。
それがないと雪に埋もれた車を取り出せなくなるらしい。

        ・・・

湯湧温泉は、金沢駅前から車で山側=内陸に向かって20〜30分くらいの
ところである(バスは遠回りするので50分ほどかかる。)
親戚が送ってくれると言うので、お言葉に甘えて送ってもらった。

ここでわかったことは、やはり金沢は北陸である、ということだ。
山に近づくにつれて回りの景色は一面の雪となった。
道路は除雪されているので問題ないが、回りの山や川岸は本当に真っ白である。
今日の気温はさほど低くないし、ここ数年金沢でも雪が少ないらしいが、
その「少ない」が大阪などとはレベルが違う、ということを感じる。

で、ホテルの前まで送ってもらってさようならである。
        「ありがとうございました」

        ・・・

今日のホテルは「かなや」という。
その親戚も泊まったことがあると言うことで、結構古くて由緒あるホテルらしい。
もっとも今の建物は去年改築されたばかりのきれいなものであるが。

そもそもここ湯湧の温泉は、1350年ほど前に発見され、江戸時代には
加賀藩の隠し温泉だったらしい。前田家の御用達の温泉である。いわゆる湯治場だ。
歴史ある温泉場である。
だからであろうか、巷の温泉場にありがちな歓楽街
(陥落街と書いた方が当たってるか)というものがない。そのため品が良い。
我ながら、なかなか良いところを発見したものだ。

ホテルについたのは4時過ぎであったが、とりあえず体が疲れているので
浴衣に着替えてゆっくりした後温泉に入り、その後夕食にしてもらう。

ここで1つ問題発生。
今回の旅行には、勿論娘も連れてきている。
娘にとっては新潟以外の初めての旅行であるが、
列車の中、親戚の家ではそんなに人見知りしなかったのが、
どうにもここの仲居さんに対しては人見知りするのだ。
最近は人見知りしなくなったので大丈夫と思っていたのだが、環境が変わると
だめなのだろうか。

仲居さんに対しての人見知りだけならまだしも、浴衣を着た両親を見ても泣くし、
それが治まったと思ったら、今度は2人とも居ないと泣くようになってしまった。
どちらかが部屋を出てしまうと泣くのだ。
日頃と違う環境では心細くなるのだろうか。
布団を引いてもらった後に布団の上ではいはいさせようと思って
寝かせたらすぐ寝てしまった。
うちではこんなにすぐ寝ることはないのに。
彼女なりに緊張して疲れていたのであろう。

        ・・・

ここの温泉は38度くらいの、ということはたぶん冷泉の部類に入るもの
である。冷泉を暖めているのであろう、温度的には余り体に染み渡るような
感じではないので湯冷めも比較的早いが、それなりに体はあったまる。
10分も入っていると逆上せてしまうので注意が必要である。

このホテルのお風呂は男女とも内風呂と露天風呂の2つがある。
(部屋風呂はない。)
館内案内によれば、どちらも内風呂は広く、露天は狭い。
男性用は露天は2人入ればいっぱいになってしまう。
女性用はもっと広いようだったが。

ちなみに、このホテルには青らん荘という別館があって、そちらには貸し切りの
露天風呂もある。それを貸し切れば混浴も可能である。
お値段は正確にはわからなかったが、5人くらいで行けば良い値段
になるようであった。

別館の露天はともかく、こちらの露天風呂は残念ながら回り景色は
人造のものであるが、なかなかにしっとりとして良い。
もっとも、この日は露天に入れたのは夕食後日も暮れた後だったので、
暗くてよく見えなかったが。

この露天の良さは景色よりも、温度にある。
湯温は同じだが、気温が低いので頭が冷えて逆上せにくく、
長く入っていられるのだ。
この日は結局、食前食後の2回は入った。今日は泊まりの人も少ないらしく、
お風呂も余り人が居ずにゆっくり出来た。

        ・・・

どうでもいいことだけど、金沢というのは実は関西圏である。それは経済的にと言うよりも文化的にである。
言葉も関西弁に似ているし、少なくとも違和感はない。
元々前田家は豊臣方だから大阪というか京都に近い文化を持っていても
不思議ではない。金沢のことを小京都と呼ぶことがあるが、
全国のそう呼ばれるところが町の造りや建物が似ているだけであるのに対し、
ここは文化的にも近いのである。
これは親戚もそう思うとのことであった。

そういえばテレビも局名こそ違えどもやっている内容は大阪と同じである。

        ・・・

夕食。
「季節料理を御用意してます」ということで期待していたのだが、
「一本!」というものはなかった。技ありの連続。
ある意味ではありふれているものが多かったが、
でも、1つ1つの味は洗練されていると思った。
まあ、それの方が良いのだが。

料理の中で印象に残ったものをいくつか紹介。

テンプラがあったのだが、その中に、一見海老天のようなものがあった。
食べてみると海老ではなくイカのような味だが、それにしては歯ごたえがない。
何かと思ってみたら、カニのテンプラであった。
そうか、カニってテンプラにしたらこういう味になるのか、と
妙に感心した。「飛びきりの味」ではないけど。
こういうカニ(タラバのようなカニ)はテンプラにしない方がよいと思う。
タラバはゆで、ワタリは炭焼き、そして小さいカニはテンプラだな。

じぶ煮。
これは金沢名物である。
一言で言えばとろみを付けた味噌汁であるが、具は鳥肉とか
いろいろ入っている。そうそう、わさびが入っていてかき混ぜて
食べるのが変わっている。おいしいけどちょっと辛いかな?

きのこ汁。
舞茸やらそのほか、いろいろな茸が入ったお吸物(?)である。
その中に一見松茸らしきものもあったのだが、
私は松茸などほとんど食べたことがないのでわからない。
で、ここで浮かんだのがこの歌。

        「松茸を知らない大人達」
                (戦争を知らない子供達)

        松茸を知らずに私は生まれた
        松茸を食わずに私は育った
        大人になって はじめて知った
        椎茸と松茸は
        全然違うことを・・・
        私の名前を覚えてほしい
        松茸を知らないオタクたちさ(T^T)/

悲しい(^_^;)真実である。

ご飯は小さな釜でその場で炊くものであった。
単なるグリーンピース釜飯だが、やはり炊きたてはおいしい。
それと、おこげがあるのがうれしい。
やっぱりお米は釜で炊くのが一番だよなぁ。

ってなわけで、見かけの量は少なかったけど、
食べ終わると動けなくなるほどおなかいっぱいになったのであった。

で、しばらくしておなかが小慣れてきたところでもう1回温泉に入って、
その後寝たのでありました。
あぁ、幸せ。

        ・・・

翌日の朝。目が覚めてまず一番に驚いたのは外の景色。

        「いつの間に雪になったんだ!?」

昨日の夜までの雨はどこへやら、なぁんと、朝から大雪である。
昨日まで雪がなかった隣の家の屋根にもすでに雪が積もっている。
10センチ以上は積もっているだろう。
さすがは雪国である。
が、この雪では、今日予定の出歩きは可能だろうか?

とりあえず、まずは朝から温泉に入ることにする。
今朝は人はいない。
ゆっくりと露天風呂に入ろう。

昨日は良く見えなかったが、この露天風呂、隙間から外が見える。
ということは、外からも中が見えるということで、
女性の露天ならまだしも、男性の露天が見えたら
それはそれで困ったちゃんではないか?などと思いながらも
出たり入ったりしていた。

昨日は良く見えなかったが、庭の造りもそこそこ凝っている。
松などがうわっており、そこに降ったばかりの新雪が積もっている。
なんとも言えない良い景色だ。
実に趣深い。
思わず長風呂してしまった。

部屋に帰ったら、すでに朝食の用意が出来ていた。
そういえば、チェックアウトは10時である。
以外と時間がないかもしれない。

朝食は取り立てて言うべきものはなし。
おいしかったけど。

結局、朝食を終えて準備をしたらもう10時であった。
今日は雪がすごいので対策をして出かけなければならない。

        ・・・

結局、大人2人と布団だけ子供用に引いてもらって
37000円位であった。まぁ値段なりの価値はあったといえよう。
ここは大阪からも比較的近場なので、また来ることもあろう。

        ・・・

金沢市内へのバスは1時間に1本。
また、今日の金沢市内での観光目的は兼六園のみ。
だからそれほど急ぎはしない。

旅館で荷物を預かってもらい出かける。
それにしてもすごい雪だ。
新雪だからべちゃべちゃではないが、滑る。

昨日旅館の中の冊子で調べた湯湧温泉地域内の観光ポイントを歩くことにする。
まずは宿のすぐ隣にある薬師堂内にある竹久夢二の歌碑である。
ところが、現場に行ってもそれらしいきものが見えない。
それどころか薬師堂そのものが見えない。

これは帰り道にわかったことだが、旅館のとなりのところでは工事をしているのだが、
ここに竹久夢二の記念館を建てているらしい。
この工事のため薬師堂への階段が仮設の足場になっていて見えにくくなっていたのと、
その上に雪がつもっていておよそちゃんとした装備をしていないものには
上がれないようになっていたのだ。
まして、子供を抱いては無理だ。
次回にチャレンジとしておこう。
・・・ところで、竹久夢二って知ってるよね?
(大正年間に、彼がここに愛人を連れて滞在したそうな。)

ということで、向かうはこの地域一番奥にある玉泉湖。
なかなかきれいそうな湖というか池である。
そこへの道は途中から登りになるのだが、これがまた雪のせいで非常に登りづらい。
それでも足跡があるということは、私たちより前に誰か来たということだから、
行けないことはないだろう。

        ・・・

さぞかし寒いだろう、と思われそうだが、
実はそれほど寒くない。
雪が降っているせいなのか、風がないせいなのか、
体感的にはそれほど寒くない。

で、湖に到着。
・・・が、ここも一面の雪で、逆に言えばそれしか見えないような状況である。
地元の人にとっては何も珍しくないのであろうが、大阪人にとっては
これだけで十分来たかいがあると行っていい。
それだけ美しくすばらしい景色だ。
竹にも雪がつもり、折れんばかりに頭を垂れているのもおもしろい。

積雪は50センチはあるだろう。勿論地面は見えない。
とりあえず池の前で写真を撮ってから、行けるところまで
歩いてみる(勿論一人で)。

雪のない季節なら、1周30分ほどの適度は散歩道になるそうだが、
勿論今はそうはいかない。左手の道はもうまったく進めそうにないので、
右手の道を進む。
雪山を越えて何とか氷室(ひむろ)というものがあるところまで行く。

氷室とは、雪を積めて保存しておくところで、今でも1月末には
雪積めが、7月には氷室開きが行われるらしい。
2月の今日は中にも入れない。
外から見ると、茅ぶきの屋根だけがあるといった感じの建物である。

これ以上進むには装備が必要そうなので、あきらめてここまでで引き返す。
途中雪をなめてみた。
新雪だけあって、実にふわふわとした良い感じで、味にも混じりっ気がない。

        ・・・

ここに30分程いただろうか。この間、他の人は誰も来なかった。
そういえば、朝の風呂も一人だった。
足跡はあるから誰か来たのだとは思うが、
一応平日だし、やはり人は少ないのだろう。
まあ、混雑しているよりいいけど。

帰りは下りである。勿論登りよりずっと緊張する。

そういえば、湖のあたりのホテルは軒並みきれいなものである。
みんな最近建て替えられたような感じがある。
やはりどこかがやったら他もやらずにはいられないのだろうか。
今度来るときは、別の旅館にしてみるか?
(ただ、今回他の旅館も電話したが、かなやの対応が良かったのでそこにした。)

湯湧温泉での観光は結局湖だけ。
以前には江戸村というものがあったらしいが、今は閉鎖されている。
元々民営だったのが潰れて金沢市が買い取ったらしいが、
まだ再オープンしてないそうだ。
旅館のパンフレットには紹介されてるけど。

旅館で少し待ってからバス停に向かう。
それにしてもすごい雪だ。バス停までのわずか5分の間に傘に2、3センチの
雪が積もる。大阪では絶対にないことだ。

で、バスに乗って金沢市内へ。
向かうはもちろん兼六園。
まさに雪の兼六園だ。

雪の中をバスは進む。
雪で狭くなった道でも平気な顔して進んで行く。
さすがは地元の運転手である。

        ・・・

兼六園は、バス停では兼六園下というところで降りるのだが、
これがまた、そこから兼六園の入り口がわかりにくい。
実は本当はすぐ近くなのだが、バス停からは直接見えないところにあり、
さらに悪いことに、看板も何もないので(あっても見当違いの方向を指している。
いいのか?あれで)迷って遠回りしてしまった。
(兼六園;大人300円)

兼六園に着いたときには雪は小降りになっていた。
この兼六園の中にいる間に、何回か降ったりやんだりした。
雪はすぐには融けないが、こんな日でもここは観光客が多いので、
道がべちゃべちゃになってしまうのが残念である。

それでも雪の兼六園は満喫できた。
兼六園と言えばやはり雪である。
私がここに来るのは二度目だが、前回は11月で雪はなかった。
なぜ兼六園に雪が似合うのかといわれると、説明には苦労するが、
元々雪が降ることを想定して対策をしているのが有名な雪吊りであり、
ということは、やはり雪があった方が似合うのである。
まあそれは、見れば一目瞭然というところである。
でも、一応桜もあるそうなので、春に来るのも良いであろう。
こういう日本庭園は、季節それぞれにいいのであろう。

兼六園内部の細かい説明は省略。
日本最古の噴水、滋賀県は唐崎というところから運んだ松の種を育てた
という唐崎の松など有名らしい。
この唐崎というところ、私の会社への通勤の途中にある場所である。
まさかこんなところで関係するとは。
今でも唐崎に松はあるのだろうか。
駅からみる限り、何もなさそうだが。

ちなみに、兼六園と言うのは「宏大、幽すい、人力、蒼古、水泉、眺望」の
六勝つを兼備するところからこういう名前を付けられたそうだ。
確かにそんな感じがする。

        ・・・

兼六園の敷地の一角に成巽閣(せいそんかく)という建物がある。
兼六園と同様、前田家縁の建物だが、
今日は特別展示として雛飾りの展示もしている。
(大学生以上600円)

そもそも何でここに入ったかといえば、寒かったので暖を取りたかったのと、
ちょっと休憩したかったからである(体感的には、湯湧よりここの方が寒い)。

ところがどっこい、重要文化財だからなのか建物が痛むからなのか、
この建物の中はまったく暖房が入っていないのである。
それどころか、足元の畳と板張りの床は積めたく冷えきっているので
足が冷たくなっていけない(そうでなくても雪で足が濡れているので一層冷たい)。
落ちついて見物できない。

建物の中は結構広く、それぞれに部屋に趣向が凝らしてあっておもしろい。
部屋の隅ずみまで見ると絵が施してあったり、壁や天井の色やつくりが
特異であったりする。
展示もなかなかけっこうである。
ちょうどこの建物の中にいるときに雪が激しくなって、
景色としては非常にきれいなものになった。
館内は写真撮影厳禁だが、回りの景色はいいだろう、ということで撮影した。
(この建物の中にいる間はずっと雪が降っていた。)
・・・ゆっくり見たいんだけど、何しろ寒い。困ったもんだ。

成巽閣を出てさらに兼六園中を回る。
(この時は雪は降っていない。)
途中茶店でうどんとぜんざいを食べる。
冷えきった体にはよい。
しかし、今日はどうにも頭が回らない。
地図(というか入り口でもらった冊子)を持って歩いているのだが、
その絵から自分のいる位置がわからない。
どこをどう歩いたら見ていない場所に行けるのかわからない。
いつもならすぐに理解できると思うのだが、どうにも今日は
頭が回っていない。

結局、唐崎の松の前で写真を撮って兼六園を出ることにした。
雪の兼六園、良い見物をしたが、今度また来ることがあったら、
そのときは防寒をちゃんとしよう。

        ・・・

さて、兼六園を見終わったが、列車の時間までにはまだまだある。
ということで、今度はすぐとなりの金沢城跡へ行く。
金沢城跡へは道路を跨いだ陸橋を越えればすぐである。
(以前来たとき=10年ほど前はこんなきれいな陸橋ではなかったが?
と思ったら、やはりごく最近掛け替えられたようだ。)

ここには石川門という門がある。
これが石川県の名前の由来・・・ではないようだが(そもそも石川という川があり、
それが石川県の由来)、この門は金沢城の中でも数少ない遺構である。
屋根が元々少し白っぽいが、鉛瓦というものを使っているためらしい。
しかし、鉛の瓦って、鉛が融け出して影響したりしないのだろうか。

門の中に入ると、今はそこにはほとんど何もない。
最近までは金沢大学があったのだが、それも移転したので、
今は何も残っていない。
来年にここで何か博覧会があるそうで、そのための整備をしている。
そのため、公園内で見て廻れるところは少ししかない。

決められた周回ルートに沿って見て回る。
雪が多いので足元には気をつけなければならない。
あちこちに何とかの跡、というのが書いてあるが、多くは何も残ってない。

むむ、あれは・・・!

        「手元の寒暖計では、気温はマイナス1度になっております」

なぜか木の根元に寒暖計があったので覗いてみたら、何と気温はマイナス1度
であった。こりゃ寒いはずだ。
大阪ではなかなかこんな真冬日(日中の温度が0度以下)にはならないからなぁ。
やはり北陸は違うぜ。

金沢城のもう1つの遺構の三十間長屋がある。
要するに、長さの長い倉庫である。
中に入ることは出来ないので、外から見るだけである。
で、外から見る限り、大きさ以外には何の特徴もないものである。

金沢城跡見物はこれで終わり。
後は観光物産館でおみやげを選ぶことにしよう。

        ・・・

この観光物産館は、石川県の有名なみやげも屋を一同に会したところである。
(ちなみにこの建物の横手にコインロッカー200円があるので、
荷物を持って観光の人は、ここに入れると良い。)

何やら「手作り和菓子」というものが出来るそうだが、
土日祝日しかやっていないということで、自分が休んでいるから
勘違いしていたが、今日は平日なのでやってない。
残念、時間つぶしが出来ない。

ということで、時間もあるのでゆっくり回る。
ここいいところは、試食がちゃんとあることだ。
やっぱり食べ物のみやげ物屋はこうでなくちゃいけない。

散々食べて回る。
おいしいものは何回も(^_^;)。
この日は新酒の即販もやっていたのでこれもいろいろといただく。
で、結局お酒1本といくつかの食べ物を買う。
お酒は「1999」という銘柄のもの。ちゃんとした純米大吟醸だ。
「手取川」という大阪でもそこそこ有名なお酒もあったが、
ちょっと癖があるし醸造用アルコールが添加されているのでやめ。
やっぱり純米の方がよい(アルコールを添加してある方が口当たりは軽いので
飲みやすいとは思うが、そういうお酒は居酒屋で飲めば良い。自分の為に買う
お酒は妥協してはいけない。)
食べ物は揚げ餅おかきと佃煮である。佃煮は3種類買ったが、
家に帰ってから気がついたのだが、「ごり」という魚の稚魚を
使ったのものは、結構癖が強い。
試食では感じなかったのだが。う〜ん。

ゆっくり回ってもまだ時間はあるが、これ以上ここにいてもしかたないので
バスで駅に向かうことにする。
列車まではおよそ1時間ある。
駅にもみやげ物屋があるそうだから、そこで見て回るのも良かろう。
・・・で、結局この早めの判断が後で生きてくることになろうとは、
このときには予想だにしなかった。

        ・・・

駅までのバスに乗る。
普通なら金沢駅まで10分もかからないだろう。
歩いても15分ほどの距離のはずだ。
まあこの雪の中だから歩くことは避けたいのでバスに乗るが。

乗ったバスは快速バスというものだった。
いくつかの停留所を飛ばすのだ。
こりゃ、一層早く着いてしまいそうだなあ。

でも、あるところからバスは動かなくなってしまった。
たぶん雪の影響だと思うが、道路が渋滞しているのだ。
それでもある交差点をすぎたら動くにようになった。
そう思ったところあたりから急に眠くなって寝てしまったのだが・・・。

しばらくして目が覚めてもバスはまだ駅に着いてなかった。
少ししたら駅に着いたが、もう4時を回っていた。
バスが兼六園前を出たのが3時半位のはずだから、30分以上かかったことになる。
列車は4時22分。みやげ物を見る時間を考えれば結構ぎりぎりだ。
危ない危ない。
駅まで15分だからと思って3時50分くらいのバスに乗ってたら
遅れるところであった。

急いで駅下(金沢駅は高架駅である)のみやげ物屋街へ行く。
ここにもたくさん店がある。
ここでは加賀あんころというものと蒲鉾を買う。
あんころはその名の通りのものだが、蒲鉾は少し変わっていて、
蒲鉾の上に酒や穴子の身が付いているのだ。
さしずめ、ますのすしの米の代わりが蒲鉾、といえばわかるだろうか。
先の観光物産館にもあって、あちらではやめたがここで買ってしまった。
結構おいしい。

帰りの列車の中用に「ますのすし」と「ぶりのすし」を買って行く。
勿論「源」の本物である。

        ・・・

で、後は列車に乗って帰ればおしまいである。帰りの特急はサンダーバード。
今日は平日だからか、比較的乗客は少ないが、それでもほぼ満席の状態だ。
(へんな表現か?)
サンダーバードは速いので人気があるようだ。
金沢からだと、京都までの途中停車駅は福井だけだ。
金沢−京都間がたった2時間なのだから、すごい。

サンダーバード一部の列車は金沢で能登方面から来た車両と富山方面から来た車両を
連結する。それはいいのだが、その作業中扉を開けない。
作業には5分くらいかかるにも関わらずだ。
どういうことかというと、列車がホームに入ったにも関わらず、
社内の人は降りられない、駅で待つ人は乗れない状態なのだ。
連結に5分もかかるなら、この待ち時間、何とかしてほしいものだ。
そうでなくても寒いホームでの待ちだ。
先に入った車両の方を連結時に移動するようにすればもっとスムースに行く
はずなのに。このあたり、もう少し考えてほしい。

        ・・・

この日は雪の影響で15分遅れで京都に着いた。
途中では1号車の電気が切れるというアクシデントもあったようだ。
速いサンダーバードといえども雪には勝てない。

ということで、雪景色を満喫した旅行であったが、
やはり冬場に北陸に行くときはちゃんとした装備でいかなくてはならない、
さらに、雪の降ったときには時間に余裕を持って行動しなければならない、
ということが身にしみてわかったのであった。

やっぱり、北陸地方はええなぁ。

        ・・・終わり・・・
<戻る>