「蛍」(1999/06/09号)
それは昨日の夜のこと。
残業して、腰が思いっきり痛くなって、それでも帰らなきゃいけないので
とぼとぼと田圃のド真ん中の道を歩いていた時のこと。
(こういう時は、普段以上に周りのものが見えるものだ。)

何やら田圃で光る物がある。
雨上がりだったから、水滴が光を反射しているのかと思った。
しかし、どうも少し違う感じが下ので近づいてみた。
すると・・・

何とそれは蛍だった。
小さな光であるが間違いない。
雄琴の、こんな田圃のところに蛍がいるなんて。
1匹ではない。少なくとも3匹は確認したし、
乱舞と言うほどいなかったが、1匹は淡い光を灯しながら空を舞っていた。

毎年ここに出るのだろうか。
確かにこの田圃には餌となろう田螺はいるが。
このあたりの田圃は農薬を使っていないということか。

そう言えば、天然の蛍を見るなんて何年ぶりのことであろうか。
記憶を辿ってみると、10年以上前に新潟で1匹見たことを思い出す。
あの時はたった1匹であったが、とても良い感じがしたものだ。

蛍の光には、人の心をなごませるものがある。
このような光が身近にあれば、人ももっと心豊かに暮らせると思うのに。
蛍と身近に出会える環境、それが人にもやさしい環境と言えるのではないだろうか。
昔はきっとどこにでもあった環境。今はそれは贅沢なのかも知れない。

いつまで見られるのか解らないが、残業した時は、
しばしこのささやかな贅沢を楽しむとしよう。
<戻る>