「エヴェンゲリオン」(1998/01/06号)
去年の12/29くらいから新年の1/1にかけて、夜中に
「新世紀エヴァンゲリオン」の集中再放送をやっていた。

気がついたのが12/31で、見ることが出来たのが1/1分(5回分くらい?)だけ
なのが残念であったが、それでも十分にインパクトのあるものであった。

新世紀エヴァンゲリオン(以下エヴァ)とは、テレビ大阪系でやっていたアニメだが、
去年は大ブームになり映画まで作られた。
「宇宙戦艦ヤマト」「ガンダム」に以来の大ヒットらしいが、
はっきりいってどの様なものかは知らなかった。

「宇宙戦艦ヤマト」や「ガンダム」はどちらかというと本放送の時より、後から人気が
出たような感じだったが(ヤマトなんか人気がなくて回数が減らされたくらい)、
エヴァは本放送の時から人気が出ていた。
私も本放送の途中から噂を聞いていたが、見ることが出来たのは最終回だけだった。

が、この最終回、正確にはその前の回との2回は、余りに突拍子もないというか
今までのアニメの常識を打ち破ったというか、非常にわかりにくいものであり、
賛否両論があった回で、実際のところ、それだけ見てもさっぱりわからなかった。
だから、なぜこんなものに人気が出るのだ?と思っていたのだ。
が、そういった疑問点も、この再放送を見て解消できた。
(逆に言えば、前から順番に見ていかないと、最終回の意味が理解できない。)

エヴァは一応ロボット(的)アニメの形をとってはいるが、実際は
自分の存在価値を見いだそうとする少年少女の心の動きを追ったアニメである。
逆にいえば、アニメの形を借りた訴えかけであったともいえる。
(「人類補完計画」という名で説明されている。)

最初はロボットヒーローアニメ的形をとって見る人を拒絶心なしに近づけておき、
後で本題へと徐々に移行していくのである。
論点の置き方といい、見せ方といい、今までのアニメとは一線をかくしている。
1つ間違えれば非常にわかりにくく、かつ暗いアニメにあるところを
そうならず(わかりにくいのはわかりにくいけど)にまとめているのはすごい。

こういうアニメが流行るということは、逆に言えば、あの話に共感できる
人間が多いということで、それはある意味非常に危険な状態であると言える。
今の若い世代には、世の中に自分の存在価値を見いだせない、と思っている
者達が多いということだ(存在価値を自ら放棄しているにもかかわらず
それに気づけない馬鹿どもとは異なる)。

今の日本では若者が死の危険にさらされていることはなく、社会も安定している
ようで、なんとなく生きることが出来るが、逆に張り合いがなく、
自分が何のために生きているのかわからなくなるのかも知れない。
本来は、それは自分で探し出すものだが、何もかも他人から教えてもらえると
思っている今の世代にはそれは無理なのかも知れない。過保護、といえばそれまで
だが。

そこまで言わなくても、共感できる部分はある。
私にもよくわかる部分があったが、それはオタクラの書き続ける意味でもある。

TVシリーズでは時間の関係上、主題の完結のみを求めたために、
物語としての完結がなされていなかったが、映画ではその部分が補完されたらしい。
確かにTVだけでは非常に後味の悪い終わり方なので、一度はちゃんと映画も見て
おきたい。
・・・とはいえあえてビデオで借りようと言う気もないが。

まぁ、一度機会があれば見ておいても損はない。
何かしら考えさせられるアニメである。
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