「グランディア2」(2000/08/07、10/16〜10/25号)
{プレ・ゲーム紹介}

        「グランディア2」初回限定版
        GRANDIA2

        セガのドリームキャスト用
        ゲーム・アーツ
        GD−ROM 1枚(←CD−ROMじゃないよ)
        ¥7800(位)

以前紹介したセガサターン用ゲーム「グランディア」の第2作目が出た。
この「グランディア2」はセガのドリームキャスト用である。

これの初回限定版には設定集や音楽の入ったCDが付くというので、
千円高いのではあるがそれを買った(しかも定価で)。
ゲーム機自体を持ってないのに。
ところが。

        お勧め度        5%

だめ、全く駄目。人をなめるにもほどがある。
買う価値なし。
この程度の設定集なら後で出てくるだろう本を買えばいい。

音楽は元はいいのかも知れないけど、アレンジがむちゃくちゃ。
今まで聞いた、いろんなアレンジの中で、間違い無く最低。
ラップなんて大嫌いだ〜〜〜!!!

さらに、録音がまた最低。ラジカセで聞くような音の設定じゃないか?
音域が非常に狭く、まるでAMラジオかもしくは電話機を通して聞いているよう。
少し良いステレオでは聞くに耐えない。
アレンジと言い録音と言い、一体どんな相手をターゲットにしてるんだ?

前作が評価高かっただけに、いい気になってんのとちゃうか?

ゲームそのものの評価は、またゲーム機を買ってから行うが、
これではその出来も非常に危ぶまれる。

少なくとも今言えることは、「グランディア2の初回限定版は全く価値なし」
と言うことだ。買うなら通常版を、割引で買うべし。

        ・・・本編・・・

{ゲーム紹介}

        「グランディア2」
        GRANDIA2

        セガ ドリームキャスト用
        ゲーム・アーツ
        GD−ROM 1枚(←CD−ROMじゃないよ)
        ¥7800(初回限定版;通常版は¥1000安い)

以前紹介したセガサターン用ゲーム「グランディア」の第2作目である。
今度はドリームキャスト(以下DC)用である。

前作が余りに良かったので、今回はゲーム機本体も持ってないのに
先にゲームを、発売日に勝手しまったほど期待していた物である。
先に紹介した通り、初回限定版に付いていた音楽CDは史上最低の
出来の悪さであったが、このゲームそのものははたしてどうであろうか。

        ・・・

今回の物語の主題は「信じる心」である。
「何を信じたら良いのか解らない。みんなそうさ」という副題があるのだが、
話はまさにその「信じるもの」を見つけるために進んでいく。

こう書くと、何か宝物でも捜すような感じに聞こえるが、そんなものではない。
このグランディア2では宝捜し的な要素はほとんど無い。
(必要な物は必ず手に入るし、途中に選択的に手に入れられる物は必須ではない。)
旅していって、いろんな出来事がある内に、最初ははっきりしなかったそれが、
徐々に登場人物の心に形成されてくるのである。

ゲームの具体的な物語に付いてはあえて書かないが、
主題がそこにあるために少し展開的に暗く、はらはらどきどきといった
感じは少ない。考えさせられる話もある。

前作グラディアが主題が「冒険」で主人公はそれを夢見る14才に設定して
活発に動き回るのに対し、今度は17才に設定し、それだけ人の心の動きを
描き出そうとしている。
恋愛と明るい三角関係(?)もある。
他の種類のゲームではあったかも知れないが、
RPGでこのような主題を扱ったのは初めてではなかろうか。
RPGというと冒険にはあっているが、心の描写には向きにくい。
完璧とは言えないが、このグランディア2では良く表せていると思う。

        ・・・

ここで少し話から離れて、見てくれに付いて書いておこう。

映像はひたすら綺麗である。
DCの機能をフルに使っていると言える。
拡大、縮小、回転、視点変更、透明体、水による屈折、炎、霧、光源、影など、
最近のコンピューターグラフィックの勉強にはぴったりである。
特に大理石で出来た床へのうつり込みなど、思わず見入ってしまう。
(大きな画面で良く見ないと気が付かないかも知れないが。)

3D画像による180度映像回転は健在。
今回はとにかく見た目はかなり派手でかつ綺麗になっている。
魔法とか技の時がすごいかも。
でも、決して嫌味ではない。あくまでそれらは表現方法の1つであって、
ゲームの本質ではない。そのあたりが某FFとの違いである。

登場人物も今回は完全な3Dである。
先頭中に視点変更と言うかカメラアングル変更がしょっちゅうあるが、
この時人物を回り込んでもちゃんと後ろの映像も見ることが出来る。
結構すごいことだ。
それよりも、この3Dで出来た人物が動く様は、
人形が動いている感じで、そう、人形劇を見ているようでもあって面白い。

        ・・・

ゲーム音楽を語る時には2つほどの面をみなければならない。
まずは「音楽としての質」。
ゲームから離れても単独として成り立つかどうか。
その点で言えば、グランディア2は全く問題がない。
単独CDとしても十分に聞ける質がある。
前作グランディアではふるオーケストラ演奏があったが、今回はない。
でもだからといって音楽がちゃちになったという感じはない。音楽の種類は減った。
その代わり1曲が長くなった。
ということはより曲としての構成が複雑になりそれが深みを出すこととなった。

「ゲームに合っているか」。
この点も満足いくところである。
実は同じメロディーの変奏が多いが、話そのものが全体でほぼ途切れること
無く続くので、これで良いと思う。グランディア1では曲がよく変わったが、
これはなかなか全体の話が見えずにその時々の話に合わせているからと見るとよい。

効果音の妙技は健在だ。
音を出す物に近づけば大きくなるし、左右の移動もある。
(でも左右逆の所があるような気もするが。)
敵の動きに伴う音まで聞こえるので、それを頼りに逃げることも出来る。
(近くに敵がいればその声が聞こえているなど。)

声。
今回もいろんな場面で喋る。
が、喋る場面がちょっと統一されていない感じもある。
要らんところで喋る癖に、肝心なところで喋らないと言う感じ。
声のある場面と言えば、途中の島での夜の海辺のシーンがあるのだが、
ここがなかなか良い味を出している。
そう言えば、グランディア1でも夜の海辺のシーンが良かった。
わざと同じにしたのか、偶然か。

このゲームの副題的存在に「歌」がある。
歌が人の心の勇気を浮き上がらせるという役目を担うのだが、
このあたりは哲学的要素でもある。
この歌が単なる文字だと全くしらけてしまうが、
さすがにその部分は全てちゃんと音声を出している。
本物の声楽者を使っているだけあって素晴らしい。

        ・・・

ムービー。
いわゆる動画部分であるが、今回ははっきり言って少ない。
前作では(立ち上げ時に毎回見ることになる)オープニングからしてかなり
映画的に力の入った物であったが、
今回はなんだかよく解らない物があるだけ(最後まで解けば分かるのだが)。
しかも、毎回見る分けではなく、本当に最初の一回だけ。
途中もほとんど無し。あっても無意味とも言える物が多い。
その代わりに、人形を動かして劇をさせている。
これはこれで良いのではと思った。むしろ、思い切って全部こうすればよかったのに。

操作性。
全体の操作では前作とほぼ同じなので前作をやっていれば戸惑いは少ないだろう。
ただ、技と魔法の修得及びレベルアップ方が大きく変わったので、
ここだけは少し説明書を読む必要がある。
最初はうざったいが、慣れれば大したこと無い。
普通にいけば、最後にはほとんどが最高レベルになる。
ただし、前作では勝手にレベルアップしたものがユーザーの選択に
依るようになったので、その選択いかんに依っては
話後半での戦闘に影響が出るかも知れない。

        ・・・2005/2/21追記・・・

戦闘のポイント。
戦闘では、相手のIPの動きや、次に誰をどの方法で攻撃してくるかを
よく見ておく必要がある。また、魔法の場合何が効くのか。
敵別に有効な魔法が決まっているのだ。
それらを理解すれば、かなり楽にかつ早く戦闘を終えられるし、戦闘が楽しくなる。
逆に、それを理解せずに適当にやっていると、特にボス戦では勝てなくなってくる
かもしれない。

必殺技では、全員最初の技(リュードなら天せい剣)を取り急ぎ最高レベルにすること。
これは速攻できるしキャンセル効果があるので非常に有効。
相手が大技を仕掛けてくるときはその動きを見ながらこの必殺技で適宜キャンセルしていけば
ダメージを少なくできる。
魔法はヴァンフレイムがMP対効果で一番。ただし、使わせる人間の
魔法関係のスキルを上げることが肝心。

物語後半で、戦闘だけの楽しむおまけステージが出てくるが、
ここのとある敵が瞬殺技(デズン)を使ってくる。
これを使われたら、「魔法を無効にするドレス」を着てない限り
一発で全滅するので(復活のリングを着けておくという手もあるが)←これは使えない、
これを使う奴を出来るだけ早く倒す必要がある。
基本はリュードの天魔龍神剣+他のキャンセル技。
だから、ここではSP消費量を下げるアイテムの携帯とSPの回復アイテムが必須。

ある程度の戦闘は必要だが、GRANDIA2では特に経験値稼ぎは必要ない。
むしろ、余り上げすぎるとボス戦で相手も強くなって苦労する。
アイテムも必須なものは必ず手に入る。
敵を倒したときにしか出ないレアアイテムもあり、
中には効果が高いものもあるのだが。

        ・・・

終了するのに要した時間はゆっくり旅して35〜40時間。
思いっきり飛ばして23時間くらい。
前作が60時間だったから、かなり短くなっている。
(途中で時間を取ってでも経験値を上げておくと後半楽になる。
最終レベル53の時35時間、47で40時間であった。
3回目は経験値稼ぎを目一杯やったので時間がかかったが。
そう、もうすでに3回目も終えたのである。)
最後に30分程度のおまけもある。

        ・・・

登場人物の数、敵の種類数、町・エピソードそれぞれのマップの広さ
全てにおいて少なく狭くなっている。
そのわりに、最後の敵との闘いの部分がやたらと長い気がする。
その部分を切ってでも、もう1つ位エピソードを入れた方がよかったのでは?
と思わないこともない。

前作はCD−ROM2枚組。全部を使い切っているとすれば、
640M*2で1.2Gバイトある。
GD−ROMは1GバイトのCD−ROMみたいな物であるが、
単純計算では0.2G=200M少ない。そこへ前回と同じ量を詰め込むのは
無理と言うもの。
その分削られたと言うところか。映像や音楽も含めて。

しかし、それらの多さ・広さでは前作に負けるが、感動はする。
要するに、つまっている感じだ。話の展開はかなり速い(それでいいのだ)。

        ・・・

意外な事実(裏切りと信頼)や過去と向き合う主人公達。
それらを乗り越えて信じる心を見つけ出す。
終わり方は、少し苦いとも言えるかもしれない。
グランディア1のように「奇跡」はない。
最後は・・・余り語ってはいけないだろうが、どんでん返しといえば
そうも言えるし、予想の範囲と言えばそうでもある。

「人は神に頼らなくても生きていける、生きなくてはならない」
というのも1つの命題かも知れない。
むしろ、「祈ることで全てが成り立つと考えたことが、人間を破滅させる元凶である」
と言っている部分がある。かなり思い切った言い方である。

神と思っていたものが、実は人の祈りをエネルギーとするものであり、
また祈るだけで人の考える意志をなくすものであったのだとか、
悪魔と思っていたものが、実はその「神」による支配から脱却すべく
人が創り出したものであったが、その破壊衝動に人自身が耐えられなかったとか。

個人的には大いに賛同する部分であるが、ひたすら祈りを要求する
キリスト教やイスラム教ではこういうのは受け入れられるかどうか。
半分それらの宗教を否定しているようにも見えたほどだ。
それとも、何処かの神話の最後の審判を題材にしているのか。
海外輸出は無理かも知れない、等とも思う。

従来何も考えずに信じてきたことや奇跡を否定されて人はどうなるのか。
本当に信じるべきものは何なのか。
最後は、LunaシリーズやGRANDIA1と共通する、ある意味ゲームアーツの
RPGに共通する命題である「人を信じる」につながっていくのだが、
その過程の話がGRANDIA2のすべてである。

このゲームに対しては人によって評価がかなり分かれる。
おおむね良かった評価を受けた前作と大きな違いである。
その原因は、このゲームを1の延長でとらえたり、細かいシステムの出来だけで
とらえるか、この主題を理解できるかにある。

途中の話といい、単純に楽しみたいだけならこのゲームはすべきではない。
ゲームを通じての1つの問いかけを感じとれなければならない。
このゲームは大人向けなのである。

        お勧め度        93%

そう言えば、話や設定がなんとなく昔紹介した「LUNA2〜エターナル・ブルー」
に似ている気がする。音楽やムービーも似ている。
同じゲーム会社、おんなじ作曲者だから、意識しているのかも知れない。

美しい映像と音楽にちゃちなストーリーを付けた(暴言)「ファイナルファンタジー」や
ひたすら楽しむだけの「ドラゴンクエスト」とは一線を隔するゲーム
であることは間違い無い。
このゲーム会社のRPGにはいつも一貫したポリシーがあって良い。
(RPG以外では駄作もあるんだけど。)

ぜひ前作共々やっていただきたい作品である。

        ・・・余談・・・

システム的に技として強いのはリュードの天魔竜神剣だけど、
一番楽しい(?)のはミレーニアのヒールクラッシュではなかろうか。
いや、実際結構効く技だけど、それよりこれを入れた人の発想がすばらしい。
「リュードに仕掛けることは出来ないのか!?」と思った人は多いかも(^_^;)
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