WORKING QUADS
沢良二さん・"Working Quads"執筆者
Mr. Ryoji Sawa
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ショートステイの体験 1998
沢良二さん、1998年、延岡の城山での花見

 昭和60年11月交通事故に遭ひ2年間の病院生活を経て昭和62年11月に
退院して自宅での生活も平成10年11月で11年、頚髄(C5、6)を損傷す
る障害者となってから13年となります。父母の介護なければ自宅で過ごすこと
ができず、その労をねぎらひ夫婦水入らず旅行にでも行ってきたらと、旅行をす
すめたところ、父が退職してから此処数年の間に3度旅行に行ってきました。
新婚旅行もなかった両親にとって夫婦二人で旅行するのは、この年齢になって初
めてのこと、いい旅の思ひ出が出来たやうです。その間私はショートステイで施
設にお世話になってきました。ショートステイで心配なのは排尿、排便です。
排尿のため下腹部を押してもらはなければならないのは度々ですからショートス
テイとはいへ施設に行くのは少々気が重いのです。腎臓のことを考へて一日にお
茶を2000CCから3000CCは飲んでゐますが、膀胱の容量が小さい故に1日
に十数回はひとの手を借りて下腹部を拳骨で力を込めて押してもらわなくては、
尿が出なくその度毎に寮母さんの手を煩はすのは気が重いものです。
尿意を催すと顔が汗ばんで不快になり、その度ごと父母に代って施設では寮母さ
んに下腹部を押して排尿する障害者は施設にとっても手のかかる障害者の一人で
ありませう。寮母さんをブザーで呼んで「またしっこ?」と言はれるのは辛いも
のです。11年ほど前に膀胱に尿が溜まると発汗がひどく、下腹部を押してもら
ってもなかなか尿が出なくなり、カツヤク筋を切る手術をしました。
手術後以前のやうな発汗はなくなりましたが、やはり人の手を借りなければ排尿
できないことに違ひはありませんでした。膀胱に穴を明けそこから尿を出す方法
もあるさうですが、将来はそのやうな選択も考へなければならないのでは思って
ゐます。
次に排便です、4日に1度の間隔で排便してゐますが、排便日の前日に下剤を飲
んで翌日座薬を入れて便出すやうにしてゐます。毎回2時間ほどかけて排便行っ
てをり、肛門近くに下りて来て居る便は出易いのですが、まだ下りて居なかった
便が後になって出たりと便失禁よくあることです。午前中に出せば、午後再び出
たり、翌日に出たりといふこと少なくなく、同部屋のひとに度々便の臭ひで不快
な思ひをさせやしないか、翌日が風呂の日など、風呂で便が出やしないかと締ま
りのない尻が気になります。同じ脊髄損傷者でも毎回かん腸で排便してゐるひと
がをられ一方で、かん腸はなるべく使用しない方がいいとも聞きます。
ショートステイで施設でお世話になる時に限ったことではないのですが、排便、
排尿がもっとも気に病むこと、脊髄損傷者共通の悩みではないかと思ひます。

(入力は福田孝一さん)
(1998/12/08)


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