WORKING QUADS
金子寿さん・"Working Quads"執筆者
Mr. Hisashi Kaneko
"WORKING QUADS" homepage
「音声でインターネットにアクセス!」
F.L.C.(Friendly Life Community)
金子 寿
金子寿さん
「F.L.C.会報:飛璃夢57号からの転載」
「音声でインターネットにアクセス!」
金子 寿
私がはじめてパソコンやワープロの音声入力に関心を持ったのは、今から2年
前にイギリスへ行ったときに「ナショナル・スター・センター」という障害者の
ための高等教育機関を訪問しました。
パソコンのコースではインターネットへのアクセスやホームページ作成の授業
なども行われていて、イギリスでも障害者にとって今後、情報通信が重要である
こと認識していることを強く感じさせられました。
そして、言語療法室を訪ねたときに、手や足などがまったく使えなくても音声
で文章が入力できるワープロの操作を見せてもらいました。ゆっくりと英語で喋
っていくと、画面に文章が打ち出されていきました。確かに英語は日本語のよう
に漢字変換などをする必要がないので、技術的には実用化がそれほど難しくはな
いのかも知れませんが、誤字無く画面に文字が表示されてくるのには驚きました。
最近、巷ではWindows95やインターネットという言葉がよく耳にする
ようになり、操作も簡単になり多くの人達が気軽にパソコンを使えるようになっ
てきました。
しかし、私にとってはすごく困ったことになりました。今までは口にスティク
をくわえてキーボードをたたいて、アルファベット(コマンド)を入力すれば、
パソコンの画面やパソコン通信など操作できました。
でも、Windows95やインターネットが主流になった現在、それらの操
作には「マウス」という装置を使わなければならなくなってしまいました。多く
の人にとっては、このマウスが登場したことにより、すごく便利になったパソコ
ンですが、私のように手や指が動かなく、口にくわえたスティク一本で操作する
者にとっては、逆にとても使い難くなってしまいました。
神奈川リハ・リハ工の伊藤英一氏から彼の開発した「こねこの手」(→/↑/
←/↓/クリック/ドラックなどのボタンが一列に並んだマウス)という特殊な
マウスを取り付けてもらい、インターネットなどへのアクセスが可能となりまし
た。しかし、普通のマウスを手で操作するのと違いどうしても時間がかかってし
まって、時々イライラすることもありました。
丁度その様なときに、IBMの「ViaVoice(ビアボイス)」という日本語
音声認識ソフトのモニターをすることになりました。
この音声認識ソフトは、パソコンの電源さえ入れてもらえば、プロバイダーに
接続、ホームページ、メールの送受信、文章の作成などマウスを使わなくても殆
どの操作が音声でできるというものです。
「ナビゲーション」という機能では、例えば、インターネットのホームページ
をみたい場合、[プロバイダーに接続][ネットスケープコミュニュケーターを
実行]でOK。また、インターネット・メールの送受信の場合は、[メールボッ
クス][メールの取り込み]と言えば、自分宛にきているメールを受信すること
ができるし、[メールの送信]と言えば予め作成しておいたメールを送ることが
できます。
また、「ディクテーション」という機能で、メールなどの文章作成をすること
もできますが、変換ミスもありストレスを感じることもあますが、予め用意され
た300の例文やよく使用する文章や単語などを学習させておけば、かなりの良
い精度で文章入力も可能になるのではないかと感じました。
(このViaVoiceについては文章での説明のため、あまりイメージがつか
めない方も多いと思いますが、次に日本IBMの飯塚氏が詳しく書いてくれてい
ます。)
当初、モニターの話しを頂いたときに「音声認識システム」については、内心
ではあまり期待していなかったのですが、実際に使ってみると今まで口にくわえ
たスティクとこねこの手を使って操作するよりも、多くの場面で快適だったのも
事実です。
このソフトについては、まだ改善しなければならない点もありましたが、近い
将来、私のような障害を持った人達にとって有意義なシステムになることを強く
感じました。今回のモニターでレポート報告した問題点などが早く改善されるこ
とを願わずにはいれません。
今後、21世紀に向けてパソコン通信をはじめとした情報通信ネットワークは、
障害者にとって単に趣味の範囲だけでなく、有意義な地域生活を送る上で欠かす
ことのできないものとなると共に、障害者自身が保有している貴重な情報やノウ
ハウを発信者として、社会的役割が発揮できる「情報化実社会」が重要となるの
ではないかと思います。
そのためにも、重度な障害者でも気軽に利用できるようなパソコンをはじめと
した情報通信機器などのソフトやハードが開発提供されることを願っています。
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「日本語音声認識ソフト −ViaVoice−」
People福祉工作クラブ
飯塚 慎司(日本IBM)
1.はじめに
1997年3月に音声でパソコンを操作したり文章を入力することができる日
本語音声認識ソフト「VoiceType日本語版」がWindows95用に
発売されました。昨年には「ViaVoice日本語版」が発売され、連続で読
み上げた文章でも認識できるようになり、ますます、実用性の高いソフトになっ
てきています。
発売された当初から、喋ることは全然問題ないがキーボード操作が困難な方な
どからの問い合わせが沢山ありました。すべてが完璧に動けば救世主的な入力手
段となる可能性がありますが、所詮は機械、間違いも起こします。そのような場
合、キーボードやマウスで対処することを求められることが多いため、コツを掴
まないと結局は使用が困難な状況に陥ってしまいます。
このソフトと付き合うには、出来ることと出来ないことを明確にし、少しでも
多くのコツをつかむことが大事です。以下では、そのような観点から製品の紹介
をしたいと思います。
2.できること
大きくわけてナビゲーションとディクテーションの二つの機能があります。
2−1.ナビゲーション機能
Windows95/NTはマウスやキーボードで操作しますが、ナビゲーショ
ン機能を使うと、音声命令で操作できるようになります。例えば、コントロール
パネルを開いてシステムの設定をしたり、電卓を立ち上げて計算をしたり、特定
のプログラムを立ち上げて最大化したり閉じたりすることができるようになりま
す。インターネットを使用する場合であれば、「ネットスケープコミュニケータ
ーを実行」などと言えば、音声だけでインターネットの世界に入ることができる
ようになります。
この機能は大変有効であり、電源を落とすまでのほとんどの作業を音声で行うこ
とができます。
2−2.ディクテーション機能
ディクテーション機能により、音声で文章を入力することができるようになりま
す。どんなアプリケーションでも直接に入力が可能なようになっていますが、よ
り容易に入力するためにワードパッドに似た専用のワープロが用意されていま
す。
音声入力のこつは、新聞を読むように、止まらず、はっきりと読み上げることで
す。また、読み上げの途中でいちいち画面を確認してはいけません。音声認識ソ
フトは入力される文章を自動的に漢字変換しますが、そのために、前後の複数の
単語を判断の材料にしながら漢字変換しているのです。例えば「はし」と入力し
た場合、音声入力ソフトは誤った文字を表示しているかもしれませんが、その後
に「持つ」といえば「箸を持つ」と変換されますし「渡る」といえば「橋を渡
る」と変換されます。
3.より精度高く入力するためには
ViaVoiceは不特定話者を対象にした音声入力ソフトですので、特に難し
い設定をしなくとも誰が話しても認識するように出来ています。しかし、エンロ
ールメントという訓練を行うと認識率はぐっと高くなります。具体的には、画面
に例文が表示されますので、それを指示に従って読み上げます。正しく認識する
と次の文章が表示されますし、うまく認識できないともう一度読み上げるように
メッセージが表示されます。この時、キーボードかマウスで操作する必要があり
ますので要注意です。マウススティックでの操作は、その音を拾ってしまうこと
があるので、やはり注意が必要です。これを、最大300文章おこないます。
また、誤認識された単語はなるべくその場で修正してください。次回からは間違
える可能性がぐっと低くなります。
4.不得意なこと
(1) 入力した文章の修正
修正も、一応は音声命令だけで出来るようになっていますが大変困難です。自助
具を使用するか、根気よく操作する必要があります。
(2) 半角英数字を入力できません
E−mailアドレスの入力が必要なときなど、半角文字で入力が必要になりま
すが、これができません。全角文字しかいれられません。マクロ機能使って「私
のID」といえば半角で文字を入力するように事前に設定しておくことも可能で
すが、それにはやはりキーボードが必要です。
(3)ひらがなやカタカナだけで入力したりすることはできません
自動的に漢字変換しますので、ひらがらだけで入力するといったことは困難で
す。いろはモードというのがあり、これを使えばひらがなを一文字ずつ入力する
ことはできますが、決して使い勝手はよくありません。
(4)マウスポインターを動かすことはできません
「マウスを右上に移動」などと命令できると便利と考えますが、それはできませ
ん。また、クリック、ダブルクリックも音声ではできません。
(5)もともとキーボード操作が出来ないアプリケーションではうまく操作できま
せん。
5.必要なハード
音声認識ソフトは非常に大量のデータを高速に計算する必要があります。Via
Voiceの場合ですと、CPUにペンティアムMMX166MHz以上が推奨
されていますが、今後の音声入力ソフトの機能向上を考えると、最低でもMMX
200MHz以上、できれば最新のものをお薦めします。
6.最後に
何よりも、皆さんの意見を伝えることが一番大事だと思います。
何か質問などありましたら、Eメール[iizuka@sf.airnet.ne.jp]までお気軽に
どうぞ。
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「F.L.C.会報:飛璃夢57号からの転載」
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F.L.C.(Friendly Life Community)
金子 寿
[E-mail] KN612934@copernicus.or.jp
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(1998/6/25、メール)
(1998/7/7)
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