その後、療護施設でのショートステイも経験してみる事にした。療護施設は、各 部屋を4棟に分けてあり、春夏秋冬の名で区別している。ショートステイの部屋は、 個室部屋だった。部屋の広さは、縦長の7〜8畳位の大きさ。担当の職員から施 設内での1日のスケジュールを教えてもらおうとしたら、「ここでは、自宅と同じよう な生活をして下さい。」と言う。そこで、自分でスケジュールを組んだ。朝食は食べ ず、午前10時頃に電動車イスに乗せてもらい、12時に昼食、17:30に夕食、19 時頃にベットへ。10:30と15時には、お茶の時間もあるが、参加は自由。それ以 外は、自由時間。入浴は、月・水・金曜日の周3回。施設の入所者は、60名、ワー カーは38名位(男女半々位)、看護婦さん4名。ショートステイ者は、4名まで確保さ れていた。ショートステイは、自分のスケジュールで、生活できるので、大変助かる。 ミドルステイだと3カ月間まで、利用できる。 施設は、横浜市にあるのだが、交通の便が悪く、買い物などは、近くにある1軒の 売店でする。その他の買い物は、電動車イスで片道20分もかかる小田急線の駅ま で、行かなければならない。昼食後、皆は自由に外出する。周りは、田畑や果樹園 で、横浜にこんな所があるのかと驚いてしまった。近くに、サイクリングコース約2km もあり、環境的には良い所である。交通が不便だからこそ、自然が多く残っていると もいえる。散歩するには最高。 施設には、頚損の方も数名いて、多くの友人のいろんな話が聞けた。その中で、 十数年間の施設生活の様子まで、いろいろと話してくれた人もいた。私は、しんみり と聞き入った。施設を利用するまでは、「どうして私だけが、こんな目に会わなければ ならないとか、どうしてこんな苦しい目に会わなければいけないと思う事も多かったが、 いろんな障害を持った多くの方と接するとやはり、自分だけが苦しいのではないという 事を改めて知ることになった。」ショートステイで、再び、生きる勇気を持つことになった。 それからは、年に2〜3度、ショートステイを利用している。老人施設や療護施設の職員 方達とも知り合いになり、遊びに行ったり、旅行まで一緒に行くようになった。家族にも 一時休暇がさせられ、大満足の私であるが、利用するのにいろいろな制限が、もう少し なくなると、もっと、利用しやすくなって、家族はもっと助かるはずだ。 また、6年前から周3回、訪問看護婦さんに来てもらっている。横浜市も早く、24時間 体制の訪問看護システムが確立して欲しいものである。家族が2〜3日でも、安心して 外出できるようになると、本当に充実した福祉政策が確立した事になると思う。そうすれ ば、施設や老人ホームに入所しなければならない人達も少なくなるはずである。施設だ と、どうしても個人の自由になる部分も少なくなり、入所者のストレスもかなりのものであ る。施設利用と家庭で、面倒をみる部分と、併用できるのが最もよい方法といえる。家族 と共に生活するのに、負担をかけなければ、家族でも安心して生活できる。ひとりで自立 したい人は、それも可能になるのだ。 考えてみると怪我をしてから、12年位は家族で、すべてをやってもらっていた。当時の ことを思うと、今の福祉もだいぶ充実してきている。良くなっている事を忘れては成らない。 感謝しながら、もっとより良い生活をする為に、訴えていきたいものである。 ☆☆golira☆☆ golira@super.win.ne.jp 伊藤道和 〒24 神奈川県横浜市 1999年11月4日 18:52
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