1章
ヘルパー制度は毎日使える介護制度
◇1999年にはホームヘルパー20万人体制に
厚生省は95年度から、高齢者対策として、ヘルパーの17万人体制を含む「新
ゴールドプラン」をスタートさせ、さらに96年度から「障害者プラン」として7年
間で、ヘルパー4万5千人の上乗せを決めました。
高齢者に対する「新ゴールドプラン」と「障害者プラン」が計画どおりに進んだ場
合には、99年度でヘルパーは、約20万人になります。10年前の89年にヘル
パーは約3万人だったわけですが、表のように毎年急速に増員が図られています。
ヘルパー制度といえば、1回2時間、週2回、女性のヘルパーが掃除、洗濯、食事
づくりなどの家事をやってくれる程度のものというイメージが日本では定着してきま
した。事実3年ほど前の新聞社の調査ではヘルパー派遣回数の全国平均は週2回に満
たないという結果がでています。
しかし、厚生省がヘルパーを急速に増員することに伴って、ヘルパー制度の現状は
大きく変化しています。もともと、ヘルパー制度の要綱では、業務内容を、介護・家
事としているため、あとは、自治体がその気になれば、障害者や高齢者に対して、介
護を行うヘルパーを毎日派遣することも可能な状況になっています。
◇自治体によっては毎日、12時間のヘルパー派遣が行われている
東京都の東久留米市や田無市では93年度から重度の障害者に対して1日12時
間、365日介護のできるヘルパーの派遣を行っています。ヘルパーはもちろんトイ
レや入浴の介護も行うため、男性の障害者には男性のヘルパーというように同性のヘ
ルパーが派遣されています。(94年、95年と、このようなヘルパー派遣をする市
区はどんどんふえて10ヶ所ほどになっています)
97年からは、九州の熊本市でも毎日14時間のヘルパー派遣を受けられる様に
なっています。
このように、ヘルパー制度は現在でも「介護制度」として活用することが可能で
あり、現在活用しきれていない自治体でも、今後ヘルパーが急速に増えるなかで制度
のあり方を大きく変えていくことが求められています。
◇ヘルパーが行う介護内容
厚生省はホームヘルパーの行う仕事を次のように規定しています。
(1)入浴、排せつ、食事等の介護
ア 入浴の介護
イ 排せつの介護
ウ 食事の介護
エ 衣類着脱の介護
オ 身体の清拭、洗髪
カ 通院等の介助
(2)調理、洗濯、掃除等の家事
ア 調理
イ 衣類の洗濯、補修
ウ 住居等の掃除、整理整頓
エ 生活必需品の買い物
(3)生活等に関する相談、助言
生活、身上、介護に関する相談、助言
(4)外出時における移動の介護
外出時の移動の介護等外出時の付き添いに関すること。((1)の業務の一環とし
て行われる外出時の付き添いを除く。)
(5)前各号に掲げる便宜に附帯する便宜(1)から(4)に附帯するその他の必要
な介護、家事、相談、助言
(「身体障害者ホームヘルプサービス運営要綱」より。なお「老人ホームヘルプサー
ビス運営要綱」では上記の仕事内容のうち、(4)外出時における移動の介護という
項目が書かれていない以外は同じ内容となっています。)
この規定を読めば、ヘルパー制度が「家事援助制度」ではなく「介護制度」である
ことわかると思います。現在週2回の家事援助しか受けられていない人が福祉事務所
に行って、少なくとも毎日3時間は介護のできるヘルパーが派遣されるようにするた
めにヘルパー制度に関する詳しい説明を以下のページで行っていきます。
*ホームヘルプ事業の国の要綱は別冊資料集に載せています。
(95年10月号より)
(1998/4/16、電子メール)
(1998/4/25)