頸髄を損傷すると、首から下のほぼ全身が麻痺してしまいます。麻痺の他にも、自立神経系の過反射による血圧の極端な上昇や異常な発汗などの症状を伴います。また、頸損者とって夏の猛暑や冬の厳しい寒さは、体温調節機能が失われるために気温の変動に対応できず、著しい発熱や低体温を起こしやすくなります。
特に就寝時には、掛け物を自由に剥ぐことが出来ないために熱がこもりやすく、うつ熱となって私たちを苦しめます。普通の身体であれば自分で掛け物を剥いだり、自然に寝返りなどするのでしょうが、私たちはそれさえ出来ません。気温にも左右され、布団を掛けると暑いし、取ればすぐ冷えて寒くなってしまいます。そして、夜中に何度も起こして、掛け物を剥いだり掛けたりの繰り返しとなるのです。
人間にとって眠りを妨げられることほど嫌なことはありません。たとえそれが仕事であっても・・・。いずれにせよ365日毎日のことです。せめて夜ぐらいは解放してあけたいという切なる思いで、この方法にたどり着きました。
〇1年目:パネルヒーターによる暖房により、室内温度を調整する。
外気温の変化によって室内温度が左右される。また、他の人(付添人)にとっては室内温度が暑すぎる。
そのため、夜中に何度も起こして、剥いだり掛けたりの繰り返しでした。
〇2年目:掛け物にて調整。
就寝時は暖房を消し、掛け物を2種類の羽毛布団により調整。
結局熱がこもりやすい為、何度か起こして剥いだり掛けたりの繰り返しでした。
〇3年目:掛け物の調整を自分で出来るようにする。←現在
ベット本体の上下幅が大きいことに着目し、タオルケット、毛布、羽毛布団等を天井から4本の紐でつるす。
(最初は6本でしたが、足側はあまり関係ないので吊らない。)
寝てしかも左右に傾いている状態でのSWのON&OFF繰作が非常に難しいため、上下だけのための押しやすい大きなSWを取り付ける。
(このSWは、よく早押しクイズで使われている市販のSW)
SWの固定をよくするために、スポンジをくり抜き埋め込む。
SWを置く位置は、ベッドに寝て右サイド(お腹の横)に斜めにしてちょうど手を伸ばして届く位置に置きます。
SWのON&OFFは、痙性をうまく利用し、腕を伸ばして押します。手の感覚はありませんが、SWが大きいことと手を乗せ軽く押すだけで作動するので、なんとか繰作出来ます。
欠点としては、普通の掛け布団では重すぎて使えないかもしれません。私の場合は、真冬でもタオルケット1枚と薄手の羽毛布団で大丈夫でした。
紐を吊す位置により掛け物の剥ぎ具合が違うので、紐の取り付け位置と長さの調整が非常に難しい。
たまにSWがずれてしまい押せない時や、痙性が起きなくてSWを押せない時もあります。そんな時はまた、隣の部屋で寝ている家族を起こすことになるので、将来的にはボイスによるSWも検討中です。(ちょっと値段が高いのといびき等による誤作動が問題。)
また、ECS(環境制御装置)を利用することにより、声による操作も可能と思いますので、今まで就寝時の体温調整または掛け物の調整を自分で出来ないためにお悩みの方々是非参考にして下さい。