北海道での重度四肢麻痺者によるネットワーキング
川原 六十夫 さん

Mr.Mutsuo Kawahara, "WORKING QUADS" guests


北海道頚髄損傷者連絡会
[写真説明:北海道頚髄損傷者連絡会]
[ Photo : Hokkaido Japan Association of the Quadriplegics ]


 北海道での重度四肢麻痺者によるネットワーキング


 北海道では、重度四肢麻痺者によるネットワーキングがあまり活発で
はありません。「頸損連絡会」や「はがき通信」の存在が少しずつ知ら
れるようになったのも、ごく最近の事だと思います。

 そんな状況もあって、お堅い事抜きをモットーとしている「北海道頸
損連絡会」では、交流促進と情報交換のみに活動の的を絞っており、い
わゆる障害者運動にはほとんど関わっていません。したがって活動と言
っても、簡単な会報を発行したり、たまに交流会を催したりしている程
度ですので、他支部のようなアクティブさはありません。でも、とても
楽しい集まりですよ。

 「北海道頸損連絡会」のホームページは、デンマークの国土に匹敵す
るほど広〜い上に、特に冬期間にはそうそう外出できない北海道で、頸
髄損傷者間のコミュニケーションを円滑にするための補助手段になれば
と、開設したものです。



 『Working Quads』の主題である“就労”に関してですが、「北海道
頸損連絡会」の参加者約30名のうち現在就業されておられるのは5名
だけです。これらはみな私傷と呼ばれる人たちであり、10名程おられ
る労災年金受給者の方はみな無職です。

 有職者5名の職種は、地方自治体の臨時職員(C7)、小規模自営(
C4・賃貸アパート経営)、福祉関連印刷会社勤務(C6)、コンピュ
ーター・プログラマー(C5・小規模作業所勤務)、医師(C5・老人
保健施設勤務)で、他に在宅で作業所発注のワープロ入力のアルバイト
をされておられる方が3名(C4・C5・C6)いらっしゃいます。

 ただ、就労あるいはアルバイトをされている方の場合でも、周囲によ
る完全なお膳立てや、自治体、作業所関係者、知人、友人からの極めて
幸運な逆アプローチによってその機会を得たという“たなぼた式”が大
半で、自ら積極的に動いたという方は、あまりいらっしゃらないようで
す。“就労”が話題になる事自体がそう多くないところをみると、北海
道の四肢麻痺者、特に頸髄損傷者に限っては、今はまだ就労に対する執
着心はそれほど高くないのかもしれません。

 頚髄損傷者が地元の自治体などに採用されるケースは意外に多く、も
ちろん大変喜ばしい事ではあるのですが、頸損連絡会で把握できている
例を見る限り、その対象となっているのは、不全麻痺で自力歩行可能、
C7レベルで運転免許を保有といずれの場合も通勤が可能で、全く介助
を必要としないレベルの人だけです。どちらかと言えば、都市部よりも
障害者自体が少ない過疎地域の方が、そのような幸運に恵まれる可能性
が高いようです。ただし、極端な一極集中型である北海道の場合、重度
四肢麻痺者の生活に直接影響するような社会基盤の整備に関しても、札
幌以外の地域ではハード、ソフトともに全く手つかずの状態ですので、
厳しい気象条件とも相まって閉鎖的な生活を余儀なくされている方も多
く、とても暮らし易い環境とは言えません。



 全国の皆さん、いろいろ教えてください。よろしくお願いします。



                       1997年暮れ

-------------------------------------------------------

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/    川原 六十夫 mutsuo kawahara
_/    E-mail : spastics@ca.mbn.or.jp
_/    URL : http://plaza15.mbn.or.jp/~spastics/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



(1997年12月21日、原稿が、『ワーキング・クォーズ』編集部に、電子メールで到達。)



川原 六十夫 さん:『ワーキング・クォーズ』ゲスト:北海道
[写真説明:川原六十夫 さん]
[ Photo : Mr. Mutsuo Kawahara ]


"WORKING QUADS" home pageへ


メールアドレス: Kazuo_Seike@msn.com
Kazuo_Seike@msn.com
seike@jsn.justnet.or.jp
QZE07711@niftyserve.or.jp