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    幸せって何ですか
    羅世玲さん

    Ms..Lo Shih-Lin, "Working Quads" Editor
    『ワーキング・クォーズ』編集者
    羅　世玲　さん

    羅世玲さん：『WORKING QUADS』編集者：福岡市
    ［写真説明：羅世玲さん］
    [ Photo : Ms. Lo Shih-Lin ]
    幸せって何ですか

    　幸福って何ですかという質問に対する答えは、多分十人十色と思います。ある人にとっては良い学校に行き、一流の会社に入ることでしょう。ある人にとっては思うように自由自在に生きることでしょう。しかし、障害を持ちいろんな制限下で生きている人に対しては、誰も幸せに生きているとは思わず、その本人も含め不幸だと思いがちでしょう。

    　高校時代の私もそう考えていました。重度の身体障害を持ち、日常生活の一切が他人の手を借りなければならない私は、生きていて何の意味があり、どんな価値があるのだ、こんな何も出来ず役に立たない者は、この世の中から消えた方がましだと思っていました。

    　しかし、大学に入り哲学を学び物事を違った角度から見ることが出来るようになり、先生や友人の支えと助けで、私は人間の暖かさを強く感じ大きく変わりました。障害がありほとんどのことが出来なくても、やはり何か私に出来ることがあるはずだと思い、自分の存在を肯定的に見れるようになりました。幸せについての見方も変わりました。幸せは主観的なもので周りの人から幸福だと思われても、その本人が幸せと思わなかったら幸せとは言えない、逆に周りから不幸だと思われても、自分自身が幸せと思ったらそれが本当の幸せではないかと思いました。

    　大学卒業後、私は日本に渡り留学生活を始めました。言葉と身体障害の両方のハンディを背負い、学業と現実生活に追われ全身の力を絞り出さなければならない毎日でした。その無理がたたったのか、強度近視で出血し易いと言われていた眼が最近とうとう眼底出血してしまいました。病気してはじめて立ち止まってここ数年の日本での生活を振りかえり、自分の精神と身体の状態をゆっくりと省みることが出来ました。

    　今度のことで私は病院の先生を始め、周りの友人と知人に助けられました。車椅子から全く離れられない私を検査する時に、先生自身が抱えたりして手助けしてくださいました。その上、私の不安でたまらない気持ちを受け止め、私が留学生活を続けることが出来るように支えてくださいました。友人達も心配して目に良いものを買ってきてつくったり、皆で時間を合わせて私の日常生活を助けて、休息をとれるようにして下さいました。そんな良い人ばかりに巡り会えて私は恵まれているなとしみじみと感じ、暖かさで胸がいっぱいになりました。私が今日までこれたのは、台湾の恩師や友達、そして日本で出会った数え切れないほど多くの人のお蔭だと思いました。

    　全ての人に心から感謝し、多くの良い人に巡り会わせてくださった神様にも感謝しました。心は暖かさで溢れ穏やかになり幸せを感じました。身の回りのことさえ自力で出来ない重度の障害を持ち、その上体調を崩し現実はより厳しくなっていますが、大勢の暖かい人々に囲まれ、私は幸福だと思います。この気持ちをずっと大切にしたいと思っています。

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    清家一雄、代表者、重度四肢まひ者の就労問題研究会

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