WORKING QUADS 編集者
中島虎彦さん
Mr. Torahiko Nakashima,
「梅雨のあとさき−人工授精」(1998年)

中島虎彦、嬉野温泉

中島虎彦:『ワーキング・クォーズ』編集者:佐賀県嬉野町在住


 いやあ、最近これほどたまげたことはありません。慶応大医学部(吉村泰典教授)研究班の発表によると、「この30年間に男性の精子数が一割減っている」といいます。おそらく環境ホルモンのせいだろうと言われていますよね。いやいや、私がたまげたのはそのことじゃなくて、彼らはどうやってそれを調べたかという解説記事です。つまり「AID」(非配偶者間人工授精)の25000例のうち6000人の統計によるものと。AIDとは夫の生殖能力に問題がある場合、夫以外の男性の精液を妻の子宮に注入する方法で、慶応大では1949年に初めて実施して以来、すでに11000人が産まれているというのです。「夫以外の男性」とはどういう人たちかというと、主に18ー25歳の同大医学部学生だと。私はここのところに心底たまげたのです。

 そういう人工授精があることは知っていましたし、アメリカの代理妻などと比べればよほどおとなしい方法で、抵抗感や違和感も少なかったのですが、それもやむにやまれぬ場合だけせいぜい数百例くらいのものだろうと思っていたのです。それが一万人以上も産まれていたとは! 慶応大だけでこの数字ですから他の大学や病院を合わせるとどれくらいになるか見当もつきません。一万人以上産まれているということは精液を提供した学生も(のべ)一万人以上いるということで、私はここのところがどうしても釈然としません。彼らには道徳的な抵抗感というものはないのでしょうか。自分たちのように優秀な人間の子孫が増えるのは言祝ぐべきことだとでも思っているのでしょうか。その子どもたちが成長して(大きな子はもう50才!)自分の出自を知らされた時いったいどういう気持ちがするか、それを考えたなら、もう少し辞退者が出て10000人以上という数字にはなりにくいと思うのですがねえ・・・・・・・。

(1998/8/8)


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