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"WORKING QUADS" News Letter 2001-044
「せき髄損傷」の話しが、
朝日新聞の社説に取り上げられました。
by Seike


大熊由紀子さん、佐藤きみよさん、さ安岡菊之進さん。
朝日新聞社主催の、、プレスセンターホールでの、
「由紀子さんの旅立ちをお祝いし、新たな縁を結ぶ会」で。
2001年05月12日。


「せき髄損傷患者は、日本では毎年約5000人も新たに生まれる。」
と、社説の本文にあります。
毎年発生する、5000人のせき髄損傷患者さんたちの人生、
とくに、その中でも、2000人ぐらいと思われる、
けい髄損傷患者さんたちの人生について、
思いをめぐらせてしまいます。
受傷後、彼らは、何を考えて、どこで、生活しているのか。



WQNL2001-044 「せき髄損傷」の話しが、
朝日新聞の社説に取り上げられました。 by Seike



"WORKING QUADS" News Letter
on June 12, 2001



清家一雄@WORKING QUADSです。

朝日新聞の社説に
「せき髄損傷」の話しが
取り上げられました。

「せき髄損傷」、
「首の骨を折る大けが」、
「人工呼吸器」
このようなキーワードで構成された文章が、
日本の三大紙の社説に載るなんて、
画期的なことです。

社説の本文によると、
「せき髄損傷患者は、日本では毎年約5000人も新た
に生まれる。その半数は交通事故が原因だ。……」
とあります。

5000人のせき髄損傷患者のうち、
胸髄損傷者や、腰髄損傷者などの対まひ者をのぞいて、
四肢まひ者である頸髄損傷者は、
2000人ぐらいなのでしょうか。

上肢の機能、
つまり腕の機能と指の機能が残存している
対まひ者たちは、
日常生活動作(ADL)を自力で行なうことができます。

四肢まひ者である頸髄損傷たちは、
日常生活動作(ADL)が完全には自力で行えず、
日常生活に介助が必要になります。

最近では、日本でも、頸髄損傷者の生活も変わってきました。
健康で献身的な家族からの支援を受けて、
大学に行ったり、
就職したりしている人も増えてきました。

しかし、 他人の介助がなければ生きていけない、
という
頸髄損傷者の厳しい生活条件は
変わらない、と思います。

毎年発生する、5000人のせき髄損傷患者さんたちの人生、
とくに、その中でも、2000人ぐらいと思われる
けい髄損傷患者さんたちの人生について、
思いをめぐらせてしまいます。

受傷後、彼らは、何を考えて、どこで、生活しているのか。


読んでいただければ幸いです。


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▼01/06/07 東京朝刊 2 頁 2総面 T010607M02--09

日本では二重の不幸
 せき髄損傷(社説)

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 交通事故やスポーツ事故で、首の骨を折る大けがをし
たとする。

 その後の運命は国によって驚くほど違うことが、日本
せきずい基金が開いたシンポジウムで明らかにされた。

 背骨の中を通る神経の束、せき髄が傷つくと、さまざ
まな後遺症が出る。中でも首がやられると、手足を動か
せなくなり、場合によっては呼吸も自力でできなくなる。

 日本では、人工呼吸器が必要なこうした最重度の患者
に、医療と福祉のひずみが集中する。

 救急の現場は救命に精いっぱいで、機能回復をめざす
リハビリテーション医療に関心を持たない。欧米では当
たり前の早期からのリハビリは、まず考慮されない。

 日本でリハビリが始まるのは2週間ほどしてからだ。
日米双方を体験した人によると、米国は失われた機能を
回復させ、自力でできることを増やすように訓練する。

 日本は「無理をしない」を基本に、残った機能を強く
することに力をそそぐだけだから、回復可能な期間をい
たずらに過ごしてしまう。その結果、寝たきりを余儀な
くされることが多い。

 入院が長引き、病院から追い出されれば、家族に大変
な負担がかかる。呼吸器が故障して死に至る事故も後を
絶たない。

 のどを切開して呼吸器をつけたら、もう声は出せなく
なると思い込んでいる人が多い。実際は、その後のやり
方で声は出せるようになる。日本の医療現場では、呼吸
器を長期に使う利用者にも、救急時と同じ対応をしたま
まで疑問に思わない。

 シンポジウムにカナダから参加したウォルト・ローレ
ンスさんは30年余り前、17歳のとき水泳の飛び込み
で首を骨折、首から下がまひした。最初は自力で呼吸で
きなかったが、呼吸器離脱訓練を受け、昼間は呼吸器に
頼らなくてよくなった。

 施設から車いすで大学に通った。今は、自分で選んだ
介助者の支援を受けながら、郊外の家に妻と4歳の養女
と住む。10年前からせき髄損傷患者の悩みを聞くカウ
ンセラーとして病院で働いている。

 ローレンスさんが先駆者となり、いまカナダでは何人
もの重度の患者が大学へ通ったり、働いたりしていると
いう。

 せき髄損傷患者は、日本では毎年約5000人も新た
に生まれる。その半数は交通事故が原因だ。シンポジウ
ムでは、骨折のおそれがあれば首を固定しなければなら
ないという鉄則が守られず、病院に着くまでに障害をひ
どくする例も紹介された。

 昨日までぴんぴんしていた人が、一瞬の事故で動けな
い体になる。その危険性はだれにでもある。

 リハビリのやり方、在宅支援のあり方次第で、患者の
回復や生活が大きく変わることは、せき髄損傷に限らな い。

 彼我の違いを知り、学ぶべきことは学ぶ。医療環境の
改善はそこから始まる。

[朝日新聞社]


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ご意見、ご批判も多いと思います。
ご感想、ご助言をお聞かせいただければ幸いです。

2001年06月12日、福岡にて

清家 一雄
重度四肢まひ者の就労問題研究会; 代表
『ワーキング・クォーズ』編集部
"WORKING QUADS" HomePage 制作提供
http://www4.justnet.ne.jp/~seike/
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Kazuo Seike ( seike@ma4.justnet.ne.jp )
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