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    障害者福祉の領域での行政の「措置」制度
    −高齢者介護サービスの領域での公的介護保険の施行に伴なって−




    『ワーキング・クォーズ』関係者各位

      1999年02月22日

       清家 一雄 
      重度四肢まひ者の就労問題研究会・代表
       『ワーキング・クォーズ』編集部
       "WORKING QUADS" homepage 制作提供
      佐賀医科大学医学部講師
      〒810 福岡市中央区大手門
      +81-92-735- TEL
      +81-092-735- FAX
      kazuo_seike@msn.com
      seike@ma4.justnet.ne.jp
       http://www4.justnet.ne.jp/~seike/

    障害者福祉の領域での行政の「措置」制度
    −高齢者介護サービスの領域での公的介護保険の施行に伴なって−


    福祉構造改革に関する、朝日新聞の社説と記事が出たので、
    障害者と高齢者の自己決定権、
    障害者福祉の領域での行政の「措置」制度
    高齢者介護サービスの領域での公的介護保険
    に関して紹介する。

    1999年01月26日の朝日新聞に、
    「サービス・施設「利用者選択に」 障害者3審議会の意見」
    という記事が掲載された。

    1998年07月03日の朝日新聞に、
    「権利擁護が先ではないか−福祉構造改革」
    という社説が掲載された。
    1997年12月、公的介護保険法が成立した。
    介護保険制度の導入で、高齢者介護が大きく変わる。
    それまで、福祉が行政の「措置」だったのに対し、住民が保険料を払うかわりに、
    「権利」として介護を求め、サービスを選べる。
    行政措置という「お上の施し」を受けるほかなかった高齢者が、サービス提供者と契約し、
    サービスを選べるようになる。
    要介護の認定を受けた高齢者は、居住している自治体から離れて、日本国内で旅行しても、
    旅行先で介護サービスを受けることができる。
    しかし、対象者は65歳以上の高齢者。
    障害者は対象とならない。
    公的介護保険が施行される1998年04月以降も、障害者に対する介助サービスは、
    福祉の領域での行政の「措置」のままだ。

    以下、福祉構造改革に関する、朝日新聞の社説と記事を、
    参考までに以下に引用する。


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    1999年01月26日 朝日新聞
    サービス・施設「利用者選択に」 障害者3審議会の意見

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     厚生省の障害者関係の三つの審議会は二十五日、身体障害者と知的障害者の在宅・施設サービスの利用方式を、
    行政が一方的に決めていたこれまでの「措置」制度から、利用者が施設やサービスの内容を選択する「契約」制
    度に変えるべきだとする意見をまとめ、宮下創平厚相に提出した。厚生省は社会福祉事業の枠組みをほぼ半世紀
    ぶりに変える制度改革に取り組んでいるが、障害者に対する福祉サービスについても利用者が選ぶという考え方
    で進められることが決まった。新しい制度への移行にあたっては、現行の公費負担の水準を維持するなどの条件
    整備が必要とされた。
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    1998年07月03日、朝日新聞
    権利擁護が先ではないか
     福祉構造改革
    (社説)

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     福祉の世界では、寝たきり状態の高齢者のうち、だれに、どんなサービスを提供すべきかの判断は、基本的に
    市役所や町村役場に任されている。
     本人や家族の希望を聞くことはあっても決定権限はあくまでも行政にある。「措置制度」といわれる仕組みだ。
     措置とは、「とりはからって始末をつけること」(広辞苑)。福祉の費用は原則として、国と都道府県、市町
    村からの公費でまかなわれている。税金をつかう以上、行政が「とりはからいと始末」をしなければならない、
    という理屈である。
     「こんな時代遅れの仕組みは廃止すべきだ」と、中央社会福祉審議会の社会福祉構造改革分科会が報告を出し
    た。
     国民は自らの責任で生活し、社会福祉はその自立を支援する。利用者が福祉サービスを選択し、提供者と契約
    する。競争が促されることで市場原理が働き、サービスの質の向上と効率化が推進される。報告はそんな新しい
    福祉の姿を描く。
     そのためには、社会福祉法人の経営のあり方を改める必要がある。新たに、民間企業や非営利組織(NPO)
    など多様な運営主体の参入を促進することも欠かせない。このような提言も含まれている。
     厚生省は、報告に盛られた考え方について関係団体の意見を聞き、来年の通常国会に関係法の改正案を提出す
    る予定だ。
     いまの社会福祉の基本構造は、国民生活がまだ貧しく、国や自治体の財源も乏しかった敗戦直後につくられた。
     根底には「国民生活の安定がなければ、国の安泰もない」という発想があった。福祉とは国が保護し、与える
    もの、という理念の具体化が措置制度である。
     それから約五十年。国民生活が豊かになる一方で、高齢化や核家族化が進み、だれもが人生のいずれかの段階
    で福祉サービスを必要とする時代になった。
     福祉は、国民生活全体の安定を支えるものに変わったといえる。
     そればかりか、社会福祉法人の経営が措置制度によって支給される補助金頼みとなっていることが、岡光序治
    前厚生事務次官の汚職事件などを生む土壌ともなった。
     措置制度についての報告の考え方は支持したい。けれども、その廃止には大切な前提条件がいくつかある。
     「利用者の選択」とはいいながら、入りたい施設や利用したい在宅サービスの種類と数は限られている。「雑
    居部屋」と批判されている施設の個室化を進めるなど、提供されるサービスの質と量を思いきって改善しなけれ
    ばならない。
     行政とサービスの提供者双方に、真剣な努力を求めたい。
     さらに、知的障害者や寝たきり状態の高齢者には判断力の面で弱点のある人が少なくない。十分な情報も入り
    にくい。
     サービスの提供者側が市場競争のなかで選択と契約を迫り、こうした利用者が不利益をこうむっても、「自己
    責任」ですまされかねない。残念ながら、利用者の権利を尊重しようという意識を関係者全員がもっているとは
    いえないのが現状である。
     気軽に相談できるシステムを整えるとともに、成年後見制度など権利擁護の仕組みを社会のあらゆる分野です
    みやかに構築することが、措置制度の廃止より先だ。
     こうしたことは行政任せにはできない。NPOなど民間団体が積極的に乗り出せるよう法制面の整備を急ぐ必
    要もある。
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