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    WORKING QUADS News Letter on October 22, 1998
    1998年10月、『ともに生きる未来』出版
    on October 22, 1998
    (The intellectual productive activities by Quads)








    Kazuo Seike
    president, "WORKING QUADS"
    "Working Quads" Editoriak Office
    "WORKING QUADS" HomePage produce
    Fukuoka-shi, 810 Japan
    Tel +81-92-735-
    Fax +81-92-735-
    kazuo_seike@msn.com
    seike@ma4.justnet.ne.jp
    http://www4.justnet.ne.jp/~seike/

    33 清家一雄さん(福岡県)
       ◎頸髄損傷


    「重度四肢まひ者の就労問題研究会」代表。
    佐賀医科大学医学部講師。
    1957年生まれ。
    高校2年のとき、ラグビーの試合中に受傷。
    大学卒業後、85年から一年間米国に留学し、
    在宅介助システムと自立生活運動の調査研究を実施。
    89年、「重度四肢まひ者の就労問題研究会」を発足させる。


    四肢マヒという障害を持っても、仕事をし、街で暮らしたい


     ●アメリカで出会ったタフな人びと

     アメリカでできた友達の一人、頸髄損傷者のデイビッド・ガラハーは普通の障害者ですが、タフで、偉くもなく、卑屈にもならない。特別な資産や収入はなく、生活費と介助費用を公的基金からの援助を受けて、バークレーのアパートで一人暮らしをしていました。デイビッドとはいろいろな話をしましたが、「アパートを借りて、家族、両親と離れて一人で住め。親と一緒ではどうしようもない。人間の尊厳のために」と言っていました。

     アメリカで最初に自立生活センターを設立した運動家のエドワード・V・ロバーツを訪ねたときは、「我々は半人前の人間ではない。もしあなたが自分を好きになれないのなら、他の人々はあなたを好きにならない。障害と一緒にうまく生活する方法を学ばなければならない」と言われました。エドも四肢まひの重度身体障害者ですが、快活で力強く、自信にあふれていて、頼りになりそうなタフな障害者、という鮮烈な印象を受けました。

     アメリカで出逢った人たちから受けた影響は大きかった。才能や力がなくても自立できる仕組みを実際に見たこと、その上、アメリカで一年間生活できたこと自体が自信につながって、「とにかく自分で生きていかなければならない」と思いました。


    ●生産的自立生活という新しい選択肢

     日本の社会保障制度では、就労能力のある者は、自分自身の就労収入によって生活することが原則ですが、重度四肢まひ者が介助者費用までも自分で負担し続けることは困難です。

     アメリカでも、日本でも、四肢まひ者は、介助者を確保することができないと、街中での生活は不可能になり、病院に入院するか、施設で生活するしかの選択肢しかなくなります。しかし、ぼくは、施設や病院では生活したくなかった。

     二人の弟たちが就職するまで面倒を見てくれました。母親の体が弱いので、下の弟が学校を出て就職するのは何年後か逆算して、それまでに介助の問題を解決しないと施設生活者になってしまう、という危機感が非常にありました。一日二回から四回くらい介助に来てもらう体制を作らないと生活できない。自分の生活費プラス、ヘルパーさんの給料を稼ぐか、あるいは施設で生活するしかない。

     留学から帰って約三年後、なんとか弟たちに頼らなくても生活できるようになりました。福岡通訳協会に入って英語の翻訳を始めたので、その収入と障害年金が月に七、八万円です。それでも、家賃を継続的に払う自信がなくて、しばらくは実家にいました。三十歳を越えて毎日親の顔を見る生活も不自然だなあという気持ちもあって、五、六年前から公団で有料介助者サービスを利用して 暮らしています。


    ●四肢まひという障害を持っても仕事をしたい

     日本では、日常生活において他者の介助を必要とし、車の運転ができない、四肢まひ者は、社会生活はもとより自宅で家族と生活することさえ困難で、病院に長期滞留する人や施設生活者が少なくありません。就労に関しては、公務員の障害者職員採用特別枠でさえ、自力通勤可能で介助不要の者との条件があり、重度四肢まひ者の就労問題は未解決のままです。

     身体障害者の場合は、重度で手も足もマヒしていても、首から上が残っていて、考える力があるし、目も耳も残っている。それを使わずに施設で暮らすのはもったいないと思います。軽度の人たちには就労の仕組みやサポートも結構あるのですが、重度の人たちの就労問題は、職安、ケースワーカー、養護学校の就職担当の専門家などもやっていない。自分でやるしかありません。



     施設で生活したい人は施設で、街でアパートを借りて生活したい人は街で、という選択肢をつくりたい。街で暮らす場合、首から上の残った部分を利用して仕事をするという選択肢があってもいい。いろんな選択が可能になる仕組みを世の中に織りまぜていきたいと思っています。

     時代は変わってきました。補装具交付券による電動車いすの支給制度、国民年金障害基礎年金・特別障害者手当の創設。インターネットに接続可能なパソコンの登場と低価格化、ゴールドプラン・障害者プラン・公的介護保険による公的ホームヘルパー制度の整備、電動車いすのまま運転ができる乗用車の輸入自由化、テレワークの社会への浸透。四肢まひを持つ人々の知的生産活動の環境が少しずつ整えられてきています。

     「現在の社会保障制度、職業リハビリテーションが、四肢まひという障害を持つ人々のニーズを満たすものですか、時代の流れとあっていますか」という問いかけを四肢まひ者の中で広げていって、それを障害者の家族、施設、病院、そしてより決定権のある人たちへ伝えていきたいと考えています。「街で生活したい」「きつくてもお金をもらう仕事をしたい」という四肢まひの人もいるということを、広げいきたい。

     89年、「重度四肢まひ者の就労問題研究会」の活動を始め、会報「WORKING QUADS (ワーキング・クォーズ)」第1号を出しました。最初は近所の3、4人の重度障害者で始めましたが、最新号の「WORKING QUADS No.10」では編集者6人、執筆者は6十6人です。 96年11月にはインターネット上で「WORKING QUADS」のホームページを開設しまし た。ハイテクを活用した知的生産活動を支援するために、環境制御装置、電動車いす、リフター、車いす用自動車、ホームヘルパー制度などの紹介もしています。 1998年9月4日現在のアクセス数は、25798回です。


    ●四肢まひ者でも工夫して仕事をしている人がいる

     今はデータの蓄積の時期です。重度の障害を持ち、不便な生活の中で、「こんなに工夫して仕事をしている人がいたんだ」、ということを発見して、社会に知らせるいく作業です。

     先日、大阪の人に会いに行きましたが、寝たきりで呼吸器をつけていて、しゃべることもできない。でも、左の頬にセンサーを付けて、顔面の笑うときに使う筋肉でパソコンの操作ができます。それで、自分の意思表示ができるようになっています。

     二文字打って一円のワープロ入力をやっている人。自分の部屋で英語を教えはじめた人。テレビのモニターに応募して一年間契約で月15万円稼いでいる人。経済的に恵まれていて、ビル、マンションを経営している人。何も言わないけど、出来る範囲でちゃんと仕事をして生きている人がいるということを、世の中に知ってもらいたいと思っています。


    「重度四肢まひ者の就労問題研究会」の連絡先

               (TEL 092-735-1133 / FAX 092-735-1134)

    「WORKING QUADS」のホームページアドレス

               http://www4.justnet.ne.jp/~seike/

    電子メールアドレス

    Kazuo_Seike@msn.com

    seike@ma4.justnet.ne.jp



    October 22, 1999

    (by Seike)


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    Kazuo Seike, president, Research Association on Work
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