風のささやき

老いし手をふと照らしてや夏の月

いつもの電車に乗って
家に向っていました

夜も遅い時間
その日も色々と忙しく
ぐったりとして
つり革につかまっていたのですが

つり革を握る自分の手を眺めると
皺深く節々が骨ばり
とても年老いて見えました

その手を照らす
窓の外には明るい夏の月

胸の内の戸惑いさえて
照らし出されるようでした

 #2005 夏に