UPDATED 2001/5/31
映画の感想のぺージです
2001年の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。
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ハンニバル
原題 HANNIBAL (米/ギャガ=ヒューマックス 131分 2001年 SRD)
監督 リドリー・スコット
出演 アンソニー・ホプキンス ジュリアン・ムーア
バッファロー・ビル事件の後、逃亡したレクター博士はイタリアの古都フィレンツェに潜入していた。しかし、博士に恨みを抱く大富豪による執拗な捜索などもあり、博士は再び米国に戻ってくる。
10年前に製作され、大ヒットしたばかりでなく、米国で作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚色賞と5部門でオスカーを獲得した「羊たちの沈黙」の続編。前作のジョナサン・デミ監督と主演女優のジョディー・フォスターは降りたが、リドリー・スコット監督が映像化。主演男優はアンソニー・ホプキンス。
前作はかなり話題になった作品で、その後のサイコ・ホラー映画の趨りになった作品であると言える作品でした。私の友人達もみんな見ていて、いまだに「羊沈(ひつちん)」と言う愛称で呼ばれているほどです。原作の続編が出版された時点から映画化が話題になり、その後も監督やジョディ・フォスターの降板等、色々と騒がれた作品であります。
で、私の感想はと言うと、ちょっとあれあれっと言った感じですね。ホプキンス扮するレクター博士の素性は前作で割れてしまっているため、前作の様な推理ではなく、ストーリーと内容で凝るしかないのですが、これがちょっと中途半端な感じです。結果から見ると博士と捜査官クラリスの秘めたラブ・ストーリーみたいな仕立てになってしまっています。原作を読んでいないので、何とも言えないですが、何か観客が求めている前作の続きとは思いが変わってしまっている様な気がします。まあそれはそれで面白ければ良いのですが、どうしても途中で合点がいかない点もいくつかあります。博士が割とあっさり彼に復讐しようとしている富豪の手下に捕まるところや、その博士を捜査官であるクラリスが助けに行くところとかがそうです。そう言った展開におやおやと思っていたら、そのままラストまで突っ走っていってしまいました。ラスト間際の皆さん悲鳴を上げるシーンもその前にホプキンスが演じていた「タイタス」を観ているとそんなにインパクトないし…。
まぁ、「アンタッチャブル」と「シンドラーのリスト」の脚本家による共同
脚本と言うし、監督のリドリー・スコットもそれなりに頑張っている気がするし、製作のラウレンティスおやじも健在の様な気もするので、私の期待が過剰だったのか、元々の原作が今一つだったのかな?という気もしますね。
忘れて行けないのは、洒落ていたオープニングクレジットでは出てこなかった某俳優でしょう。ずっと誰がやつているのか気になっていたのですが、ラストクレジットを観て思わず拍手しそうになりました。さすがの怪演。これだけでひとまず観る価値があったと言うべきでしょうか。
評価 ☆☆☆ (01/4/22)
ハイ・フィデリティ
原題 HIGH FIDELITY (米タッチストーン/ブエナビスタ 114分 2000年)
監督 スティーブン・フリアーズ
出演 ジョン・キューザック イーベン・ヤイレ
30過ぎた主人公はロックオタクで、シカゴで中古レコード店を経営している。音楽については詳しいのだけど、恋愛に関してはからきしダメで、最近も同居していた恋人に家を出られてしまう。彼女は「過去の別れトップ5」にも入らないと息巻く彼だが、過去のガールフレンドたちに会って、自分のどこが悪くて振られたのか探ろうとする…。
ベストセラーの原作に惚れ込んだジョン・キューザックが製作・脚本・主演を兼ねた作品。監督は「危険な関係」「グリフターズ 詐欺師たち」のスティーブン・フリアーズ。
またもや音楽好きには堪えられない作品。何せ中古レコード店が舞台であるだけに色々な音楽がかかりまくります。シカゴが舞台であるけれど、かかっている曲は英国寄り。でも、スティービー・ワンダーやボスも出てきますので、その辺は米国かな。
主人公がカメラに向かって話しかける体裁になっていて、このシーンがかなり頻繁にでてきます。それがまあこの映画のテーマになっているので、それに馴染めるかどうかがこの作品の評価の分かれ目になるでしょう。結末も何となく読めますがそんな野暮も言いっこなしかな。コンプレックスを持っているダメ男がブツブツ言いながらストーリーが進んでいくのを見るとウッディ・アレンの映画に通じる所もあります。
ちょっと主人公が自己中心的なところもあるし、店のバイト役のジャック・ブラックもちょっとうっとうしいヤツだし性格描写の評価が難しいところもあります。一番笑えたのは、「ザ・リバー」が流れているシーンで主人公がバンダナ捲いていたところかな。時代が窺えますね。他にジョーン・姉・キューザックやキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、リサ・ボネット、ティム・ロビンス、ブルース・スブリングティーン等出演者が豪華です。パンフレットがLPっぽくてナイス(笑)
評価 ☆☆☆☆ (01/4/13)
連弾
(松竹・東京放送他/松竹 104分 2000年)
監督 竹中 直人
出演 竹中 直人 天海 祐希
親から受け継いだ貸家を持っているため、日中は主夫として働いている中年の男は、建設会社のキャリアウーマンとして働く妻が不倫をしているのを知る。彼女をなじると妻は家を出ていってしまった。男は離婚を決意するが、二人の間には彼が主に面倒を見ていた二人の子どもがいた…。バラバラになった家族だが、妻と娘にはピアノの発表会が目前に迫っていた。
「無能の人」「119」「東京日和」に続く竹中直人の監督第四作。
夫婦、家族の危機を描いた作品ですが、さすが竹中作品。それほど悲惨さはなく、かなりユーモア溢れた作品になっています。ストーリー的には悲劇になりうるテーマだと思いますが、悲劇を悲劇に見せないことも一つの表現方法としてあるのかも知れません。
妻の役を演じているのが天海祐希。どうも今までの作品では、どうも…、と言った感じでしたが、この作品では割といいですね。やはり生活感はないですが、キャリアウーマンの役なので、その辺りは中和された感じです。子役の二人もなかなかいいです。両親のゴタゴタをクールな感じで見ています。この作品の中心は竹中直人より天海祐希になっている感じですね。
ピアノ教師役の及川・ミッチー・光博や佐藤康恵もかなりおかしいし、鼻歌がサントラ音楽になっているのもかなり面白いです。ロケで舞台になっている家は「金髪の草原」の家と同じ家みたいです。
脚本は経塚丸雄という人で城戸賞の受賞作とのことです。ちょっと甘いところもある気がしますが着眼点はいいのかも…。
評価 ☆☆☆☆ (01/4/11)
ハード・デイズ・ナイト
原題 A HARD DAY'S NIGHT (英/松竹 88分 2000年)
監督 リチャード・レスター
出演 ジョン・レノン ポール・マッカートニー
ビートルズのメンバーが主演した、64年製作のアイドル映画の再公開。公開当時
の日本公開タイトルは「ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」。監督はリチャード・レスター。
テレビなどではチラッと見たことがあるのですが、ちゃんと映画館で見たのは初めてです。日本でもよくある感じのタレント映画で、この映画にも主たるストーリーはあってないようなものです。地方でのコンサート兼テレビ出演をテーマにしたメンバー達のドタバタ劇ですね。ポールのお祖父さんなる謎の人物が出てきて、彼がメンバーやスタッフをかき回していく感じです。私は作品中のこのお祖父さんの行動がすごくイヤで、この作品への興味を半減させられてしまいました。でも、その点を除けばこの当時の映画としてはよく出来ていて、最近の日本のアイドル映画よりできているのではないかと思われます。
今となっては彼らの演奏シーンはとても貴重ですね。ちゃんとしたライヴではないにしろ演奏シーンが見られただけでもこの作品の価値はありました。映像や音もデジタルリマスターしたというだけあって、非常にクリアです。
評価 ☆☆☆☆ (01/4/1)
スナッチ
原題 SNATCH (英/ソニー 102分 2000年 )
監督 ガイ・リッチー
出演 ブラッド・ピット ジェイソン・ステイサム
ベルギーの宝石店が強盗団に襲われ、86カラットのダイヤが盗まれる。ロンドンダイヤを手に入れようと、次々と悪党たちが集まって来る。賭けボクシングをやっていた連中も何故かこの争いに巻き込まれていく…。
「ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ」というよりも、今やマドンナの結婚相手として有名なガイ・リッチー監督の新作。出演は、監督の才能に惚れ込んだ?ブラッド・ピット、「トラフィック」でアカデミー賞で助演男優賞を取ったベニチオ・デル・トロ。
スピード感溢れるめまぐるしい作品です。でも、「ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ」に似たような話と言えばそれまでですが…。誰が主役というわけでもなく、転がる様に話が進んでいきます。宣伝ではブラツド・ピットが主演ということになっていますが、そこまではないですね。彼を期待して見に行くとちょっとつらいかも…。でも、結構おいしい役で、変な英語を喋るジプシー?の役です。ベニチオ・デル・トロも出ていて、これまたいい役かと思ったらあっけなく…(笑)
この監督、とにかくアイデアがすごく詰まっているみたいで、すごいですね。今はちょっとおとなしくしていますが、タランティーノなんかに通じるところがあります。ギャング映画の体裁を取っているので、人がかなり死にます。そのせいでPG−12の指定を受けていますが、ギャグっぽいところもあり、笑えるのでそんなに陰惨さはありません。でも、そろそろ違う作風の作品も観たいところです。
評価 ☆☆☆1/2 (01/4/1)
あの頃ペニー・レインと
原題 ALMOST FAMOUS (コロンビア・ドリームワークス/ソニー 123分 2000年 )
監督 キャメロン・クロウ
出演 パトリック・フュジット フランシス・マクドーマンド
1973年、サンディエゴに住み、姉の影響でロックに夢中になっていた15歳の少年がローカル雑誌にある評論を書いた。それが、有名なローリングストーン誌の編集者の目に留まり、ブレイク寸前のあるグループの取材記事を依頼される。彼らのコンサート会場の楽屋に何とか潜り込んだ彼は、そこで一人のグルーピーの少女に出会う。
「ザ・エージェント」のキャメロン・クロウ監督の自伝的な話の映画化。26日発表になった第73回アカデミー賞のオリジナル脚本賞を受賞した作品。
またもや私と同世代の話。最近、この手の話が多いですね。中でも70年代からロックを聴いていた人たちには感涙ものの映画です。作品のテーマに合った感じの手書き文字のタイトル、そしてチップマンクスの音楽で映画が始まります。少年が取材することになったバンドは「スティルウォーター」という架空のものになっていますが、実際の話に近いもののようで、モデルはどうやらオールマンブラザーズバンド。彼らの曲はオリジナルですが、ピーター・フランプトンがサポートしていて、出演もしているようです。その他の音楽は実際の曲で、有名な曲も使われていますが、The WhoやLed Zeppelinなどは結構渋い曲が使われています。中でも私が一番気に入ったのはツアーバスの中で、崩壊寸前になったバンドのメンバーがElton JohnのTiny Dancerをみんなで歌い出すシーンです。この曲は、私自身が好きな曲だというのもありますが、ハードロック?のバンドのメンバーであってもステージを離れた時は、叙情的なこの曲を聴いたり歌ったりするというところに音楽の普遍性というものを感じたせいもあります。グルーピーやドラッグの話も出てきますが、メインは少年のちょと背伸びした青春ドラマになっています。
主演は、新人のビリー・クラダップ。70年代っぽい感じ?で好感が持てます。彼の師匠となるライターに最近、売れっ子のフィリップ・シーモア・ホフマン。またまたいい味だしています。そして、アイドルのペニー・レイン役にケイト・ハドソン。私も大好きなコメディエンヌ、ゴールディ・ホーンの娘です。表情がとてもよくて、私もクラクラしました(笑)。少年の母親役、フランシス・「ファーゴ」・マクドーマンドとともにアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされました。ラストなどから言えば、ちょっと大甘の話と批判されるかもしれませんが、こういう雰囲気に浸れる映画もいいものです。「ALMOST FAMOUS」、ほとんど有名という原題はちょっといじりにくいが、「あの頃、ペニーレインと」という邦題もちょっと、誤解されるかも。連想するのは「ペニー・レインでバーボンを」(笑)
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/3/24)
EUREKA
(電通・IMAGICA・サンセントシネマワークス・東京テアトル 217分 2000年 )
監督 青山 真治
出演 役所 広司 宮崎 あおい
九州の片田舎を走る路線バスが、白昼ピストルで武装した乗客の一人に乗っ取られる事件が起きる。犯人は乗客を次々に射殺。やがて犯人も射殺され、事件は解決したが、生存者は3人だった。しかし、やがて生き残ったバスの運転手は妻や家族を家に残したまま姿を消し、乗客だった幼い兄妹は一言も口をきかなくなって家に引きこもるようになる。運転手の妻は家を出てしまい、兄妹の母親も家を出て、父親は事故で亡くなってしまい二人で住むようになる。それから2年経ち、各地を放浪していた運転手が家に戻ってくる…。
上映時間が長い作品です。3時間半以上もあります。でも、そんなに時間が気になったり、退屈したりすることはありませんでした。話もいいのですが、撮り方がとてもうまいです。私はこの監督の作品は初めてみましたが、ちょっと唸りました。モノクロのポジをカラーネガに焼くという手法を取っているのですが、言うなれば白黒映画です。普通この手の映画だと画面が小さいのですが、この映画は珍しく横長のシネマスコープのサイズで撮っています。そしてその画面の大きさを生かすべくカメラの対象である人物や車などがロングショットなどで画面いっぱいに動きます。
静かな情景での繰り返しのシーンも良いですね。実家での運転手の部屋から見える夜景、兄妹の家での玄関の光景等、工務店で働くようになった男を毎朝出迎えに来る同僚。これらの風景がとても効果的です。なにげなく毎日繰り返される日常の中で、心に傷を負ってしまった彼らの表に出ない苦悶。事件から二年後の一夏の出来事を追っているのですが、そんなに大事件が起こるでもなく、極めて時間の経過が遅い感じで映画が進んでいきます。でも、彼らに取っての「長い」時間を表すために上映時間もこんなに長くなったのでしょう。殺人事件が絡んだのが、ちょっとどうかと思うし、旅行に出るシーン終わるのかと思ったらそれからもう一山あるし、見所も盛りだくさんで脚本もよい出来だと思います。
監督は北九州出身なので、意外ではないですが、冒頭のバスジャックのシーンで西鉄バスが使われているのが深いですね。別に塗装も変えていないし、行き先も甘木のままで使われています。この作品の撮影は99年だと思いますが、この後去年、例の西鉄高速バスのバスジャック事件が起こっています。西鉄もさすがにこのシーンのカットは言えなかったのでしょう。あの事件の被害者や家族はなかなかこの作品見られないかも知れません。
そのほかにも博多の東急ホテル、小倉のたこ焼きが出てきたり、工務店の同僚焼くの光石の出身が八幡か若松かというネタのようなローカルネタがかなり入っていて、博多で見たのですが、結構受けていました。役所は押さえ気味ですが、相変わらずのうまい演技で、兄妹役の宮崎兄妹も不思議な存在感がありました。光石研も「博多っ子純情」での素人デビューからよく生き残っていますね。
今年の邦画、一押しの見応えがある作品です。
評価 ☆☆☆☆☆ (01/3/20)
ギャラクシー・クエスト
原題 GALAXY QUEST (ドリームワークス/UIP 102分 99年 SDDS)
監督 ディーン・パリソット
出演 ティム・アレン シガーニー・ウィーバー
1980年頃、テレビ放映された人気テレビシリーズ「ギャラクシー・クエスト」。番組が終了してからだいぶ経つが、以前熱狂的なファンがいて、番組の出演者たちは今やファンを集めたイベントなどで食いつないでいる。そしていつものイベント会場に、いつになくマジな顔をした一団が紛れ込んでいた。彼らは人間に化けたエイリアンで、宇宙の片隅で傍受した「ギャラクシー・クエスト」を歴史的ドキュメンタリーで、その出演者である彼らを英雄と勘違いして、他の異星人に襲われている自分たちを救ってくれると助けを求めにやってきたのだった。
なかなか公開されなかった作品の様ですが、東京のシネ・クイントでの単館ロードショーで話題になり、ようやく福岡でも公開です。「スタートレック」のパロディという売り文句ですが、シチュエーションコメディの体裁を成していて、そういう意味では宇宙版「サボテンブラザース」とも言えます。宇宙もののパロディと言えばメル・ブルックスによる「スターウォーズ」のパロディ、「スペースボール」がありますが、あの映画よりも単純なコメディとしても楽しめます。また、感覚的には「オースティンパワーズ・デラックス」に近い所もなくはないですが、こちらは下ネタはほとんどないし、ちょっと系統が違いますね。いずれにしろ今年、一番のコメディ映画としてお勧めできる傑作と思います。上のパラグラフで書いたストーリーや雑誌の紹介記事は無視してください。「スター・トレック」や「スターゲイト」「宇宙大作戦」(笑)、SF映画あるいはコメディ映画に興味がない人でも十分楽しめる作品です。
ただ、笑えるばかりでなく、ホロリとくる所もあるし、宇宙でのシーンもちゃちなものではなく、ILMやスタン・ウィンストンなどが本気になって手がけているところも良いです。向こうでの配給もドリームワークスなんですね。日本での公開が遅れたのは宣伝が難しくて、UIPが弱気になったせいかなぁ。
キャストもなかなか豪華で面白いです。メインがティム・アレンとシガニー・ウィーバー、アラン・リックマンです。ティム・アレンは向こうで有名なテレビ俳優ですが、日本では「トイ・ストーリー」のバズの声の方が有名でしようか。アラン・リックマンは「ダイ・ハード」での悪役が有名ですが、実は正統派舞台俳優で、自ら「ウィンター・ゲスト」という作品を監督していたりします。「ドグマ」にも出ていましたね。シガニー・ウィーバーの役がおかしいですね。まるでファラ・フォーセット・メジャーズみたいなヘアスタイルや格好で、巨乳ならぬ虚乳?でブイブイ言わせています。
劇中劇?のキャストも活躍しますが、ドラマのファンも活躍するところも良いですね。脚本、演出も良く出来ていると思います。端役に到るまでセリフも結構丹念に考えられています。ちょっとデビッド・ニューマンの音楽がこの手の映画にしては地味なのが残念かな。
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/3/18)
愛のコリーダ 2000
原題 L'EMPIRE DES SENS (仏・日/ギャガ 109分 76年)
監督 大島 渚
出演 藤 竜也 松田 英子
昭和11年、東京・荒川の待合いで宿泊中の小料理屋の店主が絞殺され、性器を切り取られた状態で発見された。犯人は彼の店で働く女中で、数日後逮捕された。この有名な阿部定事件を昭和51年に大島渚が映画化した作品。カンヌ映画祭などでは大絶賛されたが、全編の大半が性描写のシーンであったため、日本では大幅なぼかしと一部シーンのカットを経て公開された。今回公開されるのは、現在の映画事情にあわせてボカシ修正を最小限にし、なおかつ以前カットされた場面を完全に残して監督も公開に同意したバージョン。
この作品はさすがに公開時には見ておらず、初見です。しかし、なかなかスゴイ内容ですね。今回のバージョンでもボカシが結構入っているので、76年の時はずたずたで訳の分からない状態で公開されたのではないでしょうか。
男女の愛を究極な形で描いた作品として、欧米では評価されているようですが、どんなものでしょうか。阿部定の方はともかくとして、主人側の感情が私にはよく分からなかったのです。序盤の主人と阿部定が出会い、関係を持つ様になった経緯が割とあっさり描かれていて、時代背景や二人の立場から言っても、女性側の一方的な入れ込みで、店主側はほんのお遊びではなかったのかなと私には受け取れます。まあ、そりの辺を突っ込む映画ではないのかも知れませんが…
物語の大半が料理屋か待合いかの室内で演じられているのですが、特に後半の描写は特筆すべきものがあります。室内の様子や背景の色、彼らの部屋を訪れる女中達の描写等々。ワンシーン、店主が外を歩いているシーンで軍隊の出征?に出会うシーンがあるのですが、これが結構印象的です。松田英子はどんなものでしょうね。そんなに美人でないところが、いいのかも知れませんが、演技がうまいとかいうほどでもないですね。殿山泰司が例によって情けない役で出ていたところで涙…。
評価 ☆☆☆☆ (01/3/11)
グリーン・デスティニー
原題 臥虎蔵龍 CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON (米・中/ソニー 120分 2000年)
監督 アン・リー
出演 チョウ・ユンファ ミシェル・ヨー
19世紀初頭、名剣「碧名剣」(グリーン・デスティニー)の使い手であったある剣士は、師匠を殺した宿敵と闘うことを諦め、剣を置くことを決意した。彼とともに弟子であったある女性が、その剣を献上するべく北京に向かう。彼女はその家で名門に嫁ぐことが決まっている貴族の娘に出会う。そしてその夜、碧名剣は賊によって盗まれてしまう。
アン・リー映画をはしごしました。何故か、活劇映画。やはり一度は撮ってみたいものなのでしょうか。彼は台湾出身で「推手」「ウェデイング・バンケット」という作品が以前福岡映画祭で公開されていて、私もそれらの作品を見て注目していました。そのあと、「いつか晴れた日に」を撮ったのですが、こんなにメジャーになるとは、驚きです。この映画もちょっと派手なワイヤーアクション映画に過ぎない気がしますがねえぇ。物語の味付けがあるとは言え、所詮わがまま娘が引き起こしたドタバタ劇だし…。あまり重要視する必要がないのかも知れませんが、脚本がちょっとちゃちな気がします。アカデミー賞というには無理がある様な…。でも、原作がある作品の用ですし、彼の作品だということで厳しい要求をしなければ、娯楽作としては十分に楽しめるものです。荒唐無稽なアクション。あまりの派手さに女性の笑い声が起きたのはどうかと思いますが、竹藪のシーンなんかは結構見応えがあるものがあります。チョウ・ユンファ、ミシエル・ヨーの表に出ない渋い恋愛劇。そして新人、チャン・ツィイーの魅力。彼女は「初恋のきた道」にも出ていたのですが、硬軟どちらでも大丈夫そうですね。「初恋のきた道」で彼女がドタドタ走っていたのが、うその様な身のこなしです。
しかし、この作品、アカデミー賞10部門ノミネートとは、いささか過大評価なきがします。この様な映画、今までいくつもあった気がしますが…。
理由がいくつかあると思いますが、まず「マトリックス」でワイヤーアクションが受けたせいがあるんでしよう。この作品も「マトリックス」と同じユエン・ウーピンが担当しています。チョウ・ユンファやミシェル・ヨーが米国等でも顔が売れてきたせいがあるでしようね。「アンナと王様」や「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」に出ています。アン・リー自身も注目されているのでしょう。あと、ストーリーや景色的にも西部劇っぽいところがあるのも受けたのでしょうか。いずれにしろこの作品、いまだに全米興行トップ5に入っていて、外国語映画としては記録的な1億ドルの興行収入に届きそうということです。外国語と言えば、この作品、北京語なのですが、チョン・ユンファの北京語というのもちょっと違和感がある気がします。ついでに書くと北京のティエ氏は「推手」「ウェデイング・バンケット」にも出ていたラン・シャンですね。いい味出しているし、懐かしい。チャン・ツィイーの相手役のチャン・チェンもカッコいいので、人気出そうです。
評価 ☆☆☆☆ (01/3/4)
楽園をください
原題 RIDE WITH THE DEVIL (米/アスミック・エース=日本ビクター 138分 99年)
監督 アン・リー
出演 トビー・マグワイア スキート・ウーリッチ
今から140年ほど前の米国で、60万人を越す戦死者を出した南北戦争。正規軍による戦いのほかにも農民達が南軍と北軍に別れて闘った。主戦地から離れたミズーリ州でドイツからの移民の息子である主人公は、他の移民達が北軍に加わったのに対し、一緒に育った仲間達と共に南軍に加わって闘うことになる…。「グリーン・デスティニー」のアン・リーが監督した作品。
製作時期から行くと「グリーン・デスティニー」より前なのですが、「グリーン・デスティニー」のヒットのおかげで公開されたのでしようか? それともトビー・マグワイアの人気上昇のせいかな? 予告編だと結構過激な戦闘シーンばかりの作品かなと思っていたのですが、さすがアン・リー、それなりの青春物の映画としても見られる様になっています。南北戦争にこう言った裏の面があったのはあまり知りませんでしたが、そう言った面の興味や若手俳優たちの好演もあって、結構見応えがある作品になっています。しかし、一世紀以上前とはいえ、家付こう前近代的な争いをしていたものですね。よその国のこともあまり言えない気がします…。
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/3/4)
キャスト・アウェイ
原題 CAST AWAY (米/UIP 144分 2000年)
監督 ロバート・ゼメキス
出演 トム・ハンクス ヘレン・ハント
宅急便会社の幹部社員として世界中を飛び回っていた主人公が、乗っていた自社の飛行機が太平洋上で遭難し、一人で絶海の孤島に漂着してしまう。外部との連絡手段はなく、周囲を通る船も飛行機もない完全な孤立状態。生きて恋人に会うために水を確保し、食料を探し、火をおこし、チャックは壮絶なサバイバルを始める。監督、主演は「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキスとトム・ハンクス。
トム・ハンクス版のロビンソン・クルーソー。どういった話になるかは観客の予想はついているので、それにどうやって答えていくかが見所です。そう言った意味ではトム・ハンクスの演技で押し切った作品と言えましょう。遭難シーンなどがなかなか迫力あります。その後が無人島シーンですから一人芝居になるわけですからセリフとかどうするのかと思ったら、うまい具合に相手役を見つけているし…。普通、捜索する所とかとか恋人の動向などのシーンを織り交ぜるのでしょうが、敢えてそうしていないところにも監督のトム・ハンクスに対する全幅の信頼がみて取れます。体重の減らし方なども半端じやないし…。ただ、無人島のシーンの緊迫感に比べ、帰還後のシーンがちょっと薄っぺらい感じがしました。絶賛するほどでもないかな? それはそうとFedexにとっては相当な宣伝になりますねぇ。 また、UIP配給映画は久々な気がします。
評価 ☆☆☆☆ (01/3/3)
キャラバン
原題 HYMALAYA - L'ENFANCE D'UN CHEF (中国、伊/K2エンターテイメント 89分 2000年)
監督 エリック・ヴァリ
出演 ティレン・ロンドゥップ カルマ・ワンギャル
ネパールの山岳地帯に暮らすある村人たちは、岩塩を積んだヤクを使ったキャラバンを率いて、遠く離れた農村地帯まで旅に出て主食である麦と交換することで、生活を営んできていた。ある日塩を仕入れて戻ってきたキャラバンが、隊のリーダー格の男の事故死体を運んできた。その男の父で長老は、隊のナンバー2だった若者が息子を殺したに違いないと強く非難した。仕入れた塩を農村に運ぶ隊を誰が率いるのかで意見が紛糾し、しきたりを重視する長老を支持する者と経験と若さで行動しようとする若手のグループとで村は二分されてしまう…。
ストーリーとしては割とありがちな話で頑固な老人を主とするグループと若者達のグループの対立、別れてキャラバンを行うことになったそれぞれのグループの道中を描いた作品です。チベットの人を主人公にした映画というのは初めて見た気がしますが、登場人物はそれぞれ雄弁にそれぞれの考えを述べています。しかし、それ以上に雄弁なのは、圧倒的な自然の存在ですね。監督・脚本はエリック・ヴァリといい、セブン・イヤーズ・イン・チベット」のヒマラヤ撮影のスタッフをしていた人ですが、どうやって撮ったのかなと感心させられるようなアングルやシーン等、見応えがあるものになっています。
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/2/27)
ただいま
原題 過年回家 Seventeen Years (中国、伊/K2エンターテイメント 89分 2000年)
監督 チャン・ユアン
出演 リウ・リン リー・ピンピン
北京の下町。再婚者同士の中年夫婦とそれぞれの連れ子の高校生の娘二人が住んでいた。二人の中は悪くなかったのだが、ちょっとした口論からかっとなった妹は、誤って姉を殺してしまう。それから17年。模範囚として獄中生活を送っていた妹は旧正月の一時帰省を許される。だが他の囚人と違って彼女を迎える家族の姿はないかった。たまたま休暇で実家に帰ろうとした刑務官の女性主任が彼女の姿を見つけ、実家まで送り届けようとする…。監督は「クレイジー・イングリッシュ」のチャン・ユアン。99年ベネチア国際映画祭の銀獅子賞受賞作。
「クレイジー・イングリッシュ」は見たかった作品ですが、まだ観ていません。普通、この手の映画では回想シーンを入れたりして、時間を上下させることが多いのですが、この作品は出来事を順序通りに追いかける構成になっています。また結末も予想通りできわめてオーソドックスです。上映時間も短いのでちょっと物足りなさも感じますが、昨今のギミックの多い作品の中では、これがまた何かいい感じになっています。中心に描かれているのはやはり家族愛だと思われます。この作品で気づいたことがいくつかあります。まず姉を殺した妹が死刑にならなかったことですね。現在でも汚職等ですぐ、死刑になるのにちょっと意外な感じがします。中で母親もおまえ死刑だよ…などと言っていますね。刑務所の中が映されているのも意外ですね。セットかと思っていたら実物のようです。中国もだいぶ開放されてきたということかな。主人公達が住んでいた下町が壊されていくのもどこか寂しいですね。これはどこもそうらしくて、上海あたりでは保存地区を決めたりしているようです。主人公のいなかっぽい感じと美形の主任の取り合わせもなかなかいい感じですね。主任の制服姿はかなりかつこよく、フェチは必見かな?(笑)
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/2/25)
ヤンヤン 夏の想い出
原題 A ONE AND A TWO (台、日/オメガ・エンターテイメント、KUZUIエンタープライズ 173分 2000年)
監督 エドワード・ヤン
出演 ウー・ニエンジェン エレン・ジン
高校生の姉を持つ8歳の小学生ヤンヤン少年と、彼の家族の物語。母の弟の結婚式。新婦のお腹は大きいが、その準備中の所に前の恋人がやってきて大騒ぎになってしまう。気分が悪くなって家で休んでいた祖母は、披露宴の最中に脳卒中で倒れてしまう…。監督は「カップルズ」のエドワード・ヤン。カンヌ国際映画祭の監督賞受賞作。
邦題は小学生のヤンヤンの名前をかぶっていますが、彼を取り巻く家族、親族や近所の人を描いた群像劇と言った感じです。連続したエピソードの積み重ねと言った感じで、全部で3時間近くの尺ではありますが、飽きずに見ることが出来ます。家族間に亀裂がある家族ではないのですが、相互の関係を描いているシーンは少ない気がします。父とヤンヤンの関係がやや太い位かな、と言った程度でしょうか。そのため病気のため意識がなくなり、寝たきりになってしまった祖母を中心とした衛星状態に家族が繋がっている感じにも受け取れます。叔父とヤンヤンが道化的な役割を持っていますが、このヤンヤンが可愛くてとてもいいです。普段、学校でいじめられている女の子をふとしたきっかけから逆に関心を持ってしまう辺りの話の持って行き方はうまいですね。また、学生時代の恋人と日本で再会した父親の光景と、その父親の留守中に初デートすることになった娘の光景を交互にカットバックでつなげていく辺りも印象的です。日本人プログラマー役で出演のイッセー尾形も好演。隣家に絡む殺人事件はヤン監督の「クーリンチェ殺人事件」を彷彿させるが、そこまでする必要があったのかな。結婚式に始まり葬式に終わる構成ですが、ヤンヤンの弔辞と共に新たな家族関係が生まれていくものだと感じます。
評価 ☆☆☆☆☆ (01/2/25)
アンブレイカブル
原題 UNBREAKABLE (米/ブエナ・ビスタ 107分 2000年 SDDS)
監督 M・ナイト・シャマラン
出演 ブルース・ウィリス サミュエル・L・ジャクソン
フィラデルフィアに向かう列車が原因不明の脱線転覆事故を起こし、乗客のほとんどが死亡する大惨事となる。だがこの列車に乗り合わせていた中年のガードマンが、かすり傷ひとつ負うことなく奇跡的に生き延びた。間もなく彼のもとに、1通の奇妙な手紙が届いた…。脚本・監督は「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン。
ブルース・ウィルスのお願いはありませんが、ネタばれで書いています。読んでしまうとつまらないかも知れませんので、未見の方は注意してください。
M・ナイト・シャマランの「シックス・センス」に続く作品と言うことで、期待して見に行ったのですが、ちょっとはずれてしまいました。サスペンスか推理物かと思ったけれど、超能力物?で、言うなればシリアスな「X−Men」か「デッドゾーン」と言ったところでしょうか? アメコミの話が出てきたところで違和感を感じてしまい、そのままズルズルと終わってしまいました。ヒーロー物とも取れなくないのですが、これだけ理屈を並べてしまうと素直に楽しめず、かと言ってシリアスな話として見るには現実感がなく、どうも中途半端でねぇ…と言った感じになってしまいました。
映像的にはすごくうまいと思います。冒頭のデパートの一室の中の光景を鏡を通しての撮り方、列車内でのブルース・ウィルスを前の席の間を通してワンショット撮っていく緊張感、事故の後、病院で意識を取り戻し、妻と会った時の手の動きを追いかける様等々。ディテールの描写が細かくてそれがそれぞれ伏線になって観ている私たちをミスリードしていて、最後にどんでん返し…。「シックス・センス」で魅せた技術は相変わらずです。しかし、どうも話に乗れませんでした。大体、鉄っちゃんの意見としては、列車の脱線事故で全員死亡というのは、海か川にでも落ちない限りないと思います。まあ、飛行機事故だとさすがのブルース・ウィルスでも生存が難しそうという選択か? 後、サミュエル・L・ジャクソンの髪型も要注意。監督自身も出演していたと思います。
チケット売り場で観た後、読むようにというチラシをくれます。私は当然…?!
評価 ☆☆☆ (01/2/24)
リトル・ダンサー
原題 BILLY ELLIOT (英/ヘラルド 111分 2000年)
監督 スティーブン・ダルトリー
出演 ジェイミー・ベル ジュリ・ウォルーターズ
80年代、炭坑ストで労働者と警官隊がにらみ合う中、炭坑夫の息子である小学生ビリーは仲間とボクシング教室に通っていたが、どうもボクシングが性に合わない。ある日、同じ体育館で行われているバレエ教室を見ていた彼は次第にバレエに引き込まれていく…。
失業こそしていないもののまたしても、イギリス地方不況映画です。保守党のサッチャー政権下の話ですが、よほどこの政権、庶民に恨まれていたのでしょうね。庶民を描いた日本映画でこういった政府や社会批判がバックボーンにある映画はそんなに作られていないと思いますが、それだけ日本が平和なのかノンポリなのでしょうか?
しかし、父親や兄がそう言った紛争に巻き込まれていても、この主人公のような少年は子どもなりの世界を作って将来を考えています。そう言ったところが最終的には父や兄の賛同も得たのでしようね。主人公の表情もなかなか良いのですが、父親役が好演ですね。いかにもな頑固オヤジですが、その分ふと見せるやさしさが良いです。ストーリー展開は読めてしまっていますが、エピソードが効いています。母親のピアノを壊して暖炉の薪にするシーン、スト破りのシーン、父親とのロンドン行きのシーン等々。でも、この映画予告編でちょっと見せすぎていますね。
音楽も私好みで気に入りました。冒頭から兄貴が「電気の武者」をかけます。TREXのLPです。時代的には10年以上違いますが、兄さんの好みなのでしょう。その後も、T−REXオンパレードで、当然その時代のジャムやクラッシュも出てきます。バレエとの繋がりは薄いですが、音楽だけでもいいですね。ラストはちょっと必要ないかなとも思えますが、まあダメ押しということかも知りません。米アカデミー賞候補の下馬評はあがっていましたが、実際は脚本賞、監督賞、助演女優賞の3部門にノミネート。
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/2/18)
恋の骨折り損
原題 LOVE'S LABOUR'S LOST (英・米/アスミック・エース 93分 99年)
監督 ケネス・ブラナー
出演 ケネス・ブラナー アリシア・シルヴァーストン
第二次世界大戦の機運が高まる中、ナヴァール国の若き王は仲間3人と断食や女性禁制という誓いを立てて学業に専念すると宣言する。しかし、ちょうどフランスの王女が美しい待女3人を連れて屋敷を訪れて来たため、会わずには行かなくなる…。
何本もシェイクスピア作品を手がけているシェイクスピアオタク?ケネス・ブラナーの新作。予告編が面白そうだったので見に行ったのですが…。
陽気なコメデイに既存のミュージカルの楽曲を散りばめて工夫をこらしているが、どうも裏目に出ている気がします。まず、第二次世界大戦前夜に時代設定を変えているけれど、脳天気なオバカ王族の話みたいで裏目。例によってブラナー自身もでているのだが、王の学友と言うのは年齢的に無理が目に付く。フランス王女役がアリシア・シルヴァーストンと言うのがこれまたどうも…。コスプレファンには良いのでしょうが…。ミュージカルシーンはそれなりに楽しいのですが、ちょっと企画倒れの作品になってしまった気がします。 「恋の骨折り損」と言うよりは「恋のから騒ぎ」?
評価 ☆☆☆ (01/2/17)
BROTHER
(オフィス北野・英/オフィス北野・松竹 114分 2000年)
監督 北野 武
出演 ビートたけし オマー・エプス
命からがら日本を脱出した落ちこぼれのヤクザが弟に会いにロスアンジェルスにやってくる。弟は黒人やヒスパニックなどの若者たちとケチな麻薬の売人をやっていた。ふとしたことで、麻薬売買の元締めに反発したことから地域の利権を奪い、有力グループにのし上がっていくが…。北野武がイギリスのプロデューサー、ジェレミー・トーマスと組んで米国ロケし世界進出を目指した作品。
実際に渡哲也も出演しているし、北野流解釈のヤクザ映画と言った感じもあるが、ある意味で北野監督の集大成とも言える作品である。彼の作品の特徴であるクールな暴力性。生を求めるよりも死に場所を求める男達。舞台がロスでも相変わらずと言えば、相変わらずですが、彼独特の世界がこの作品でも描かれています。せっかく米国に逃れたのにそんなにしなくても…、と主人公達を思ってしまいますが、そんなことはお構いないのでしょう。これまた独特の醒めたユーモアも交えながらある意味淡々と言った感じでストーリーは続いていきます。彼自身の事故以後、死生観も独特のものになった気がしますね。次の作品はラブストーリーにしたいと語っているようですが、そろそろこの世界も飽きてきたかなぁという感じもします。エンディングについては、救われたとみるべきか、いらないと観るべきか賛否が分かれるところでしょう。しかし、まあ観ずして語れない作品ではあるでしょう。
評価 ☆☆☆☆ (01/2/4)
スリ
(アートポート・衛星劇場/アートポート・シネカノン 112分 2000年)
監督 黒木 和雄
出演 原田 芳雄 風吹 ジュン
初老のスリが主人公。実子の様にかわいがっている若い女と電車の中を稼ぎ場としているが、酒のせいで指先の動きが鈍くなってしまい、ライバルの刑事にも心配されている様な状態。そんなある日彼の元にある青年が入門を求めてやってくる。青年に技術を教えつつ、彼は自らも酒を断って現役に戻ろうとするが…。監督は「祭りの準備」「TOMORROW/明日」の黒木和雄。
ストーリーとしてはそんなに奇異な話でもありません。でもいい役者、スタッフが揃っていると言った感じの作品で、映画としてきちんと観られるという気がしました。主役がスリというのが普通ではないと言えばそうですが、彼と周りの関係は普遍的な描き方でもあり、特に刑事役の石橋蓮司との関係はルパン三世と銭形警部その後…と言った感じてす。娘役は真野きりなですが、変な存在感があって面白い子ですね。「トヨタ・デュエット」のCMで市原・家政婦・悦子と共演している人です。ピーター・グリーナウェイの作品にも参加したと言うから世界的になっていますね。青年役の柏原収史は以前から感じていますが、やはり兄貴の崇にそっくりですねぇ。風吹ジュンは相変わらずいいし、香川照之あたりの演技もいいです。シーンの合間に入ってくる隅田川近辺やブイなどの情景、彼らが住んでいる荒れ放題のビルも効果的。撮影は川上皓市、美術は木村威夫、さすがだなぁと再認識しました。あいにく福岡公開が遅れて去年のベスト10には間に合いませんでしたが、2位クラスに相当し、観た後の充実感があった作品でした。でも、すみません、公開終了してしまいました。
評価 ☆☆☆☆☆ (01/2/3)
NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM
原題 THE FILTH AND THE FURY! (英/クロックワークス 105分 99年)
監督 ジュリアン・テンプル
出演 ジョン・ライドン シド・ヴィシャス
伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズの実像を、バンドメンバー本人たちの現在のインタビューと貴重な映像で描き出したドキュメンタリー。
タイトルではピンと来なくてあやうく見逃す所でした。ピストルズのドキュメンタリーフィルムです。ピストルズと言えばゲイリー・オールドマンの出世作「シド・アンド・ナンシー」が有名ですね。私は子どもの頃から洋楽を聴いていたのですが、ピストルズが台頭し、パンクムーブメントが起こったこの頃だけ、唯一レコードを買っていなかった頃です。ピストルズを知ったのはもう解散する頃だったので後追いに近いです。従って、この映画はなかなか勉強になりました。こいつ等本当にパンクですね。考えが飛んでいます。メンバーが照明が当たった形ではなく、シルエットの形で出ていますが、当時の心境を語るところなどはなかなかです。マネジャーであったマルコム・マクラーレンはマスクを被っていたし、クレジットされていなかったので、本人じゃなかったのでしょう。ジョン・ライドンあたりはボロクソ言っていますね。シドとナンシーに対する他のメンバーの感じ方もなるほどと思いました。 監督はビデオ・クリップ監督出身でこの手の映画はお手の物のジュリアン・テンプル。この作品では半ばちょっとダレルところもあり、映画的にはどうかと思うけれど、洋楽ファンは必見の映画でした。
評価 ☆☆☆1/2 音楽的には☆☆☆☆1/2 (01/1/30)
サン・ピエールの生命(いのち)
原題 LA VEUVE DE SAINT-PIERRE (仏/シネカノン=アミューズ 112分 99年)
監督 パトリス・ルコント
出演 ジュリエット・ビノシュ ダニエル・オートゥイユ,
19世紀半ば、フランス領カナダのサン・ピエール島で、1件の殺人事件が起きた。ある漁師が、港に上陸して仲間と酒を飲み、その勢いでその村の船長を殺してしまった。小さな村での裁判はその男に死刑の判決を下す。死刑の為のギロチンもないその島でギロチンが到着するまで、彼は駐留する駐屯部隊の管理下におかれる。その隊長とその妻は、やがて来る処刑の日まで、彼に何かと便宜を図る。パトリス・ルコント監督新作で、ジュリエット・ビノシュとダニエル・オートゥイユが主演。
予告編などを観ると三角関係の作品かなと思って観ていたのですが、どうもそうではないようです。死刑囚の面倒を見る隊長の妻もそれが純粋な恋愛感情からくるものではなく、それを知ってか知らずか隊長の方も妻の対応に嫉妬することなく、同じ死刑囚の面倒を見ます。でも、村人や観ている私たちに取ってはその対応はどうも不自然なものに見えますね。死刑囚の心根を知り、次第に死刑執行に反発するようになっていく村人達の心情に同化できるかがポイントになるでしょう。ある程度予想された悲劇的結末ですが、今一つすっきり感動できないところもありました。でも、さすがルコント監督、そこそこの出来にはなっています。「黒猫・白猫」のE・クストリッツァ監督が死刑囚役を演じているのですが、なかなかうまいです。
評価 ☆☆☆☆ (01/1/28)
アヴァロン
(ヘラルド 106分 2001年 DTS)
監督 押井 守
出演 マウ・ゴジャータ・フォレムニャック バデイスワフ・コバルスキ
仮想戦闘ゲームが大流行する近未来。凄腕の女戦士である主人公は、パーティを組
まず一人で戦うソロ戦士であった。彼女は昔の仲間に出会ったことからゲーム内の未知の領域である一つ上のレベルであるアヴァロンへと足を踏み入れていく…。監督は押井 守
監督は「攻殻機動隊」や「機動警察パトレイパー」のアニメ監督です。私はそれ以前の作品である彼の「うる星やつら2 ビューテイフルドリーマー」を観た時の印象が強烈に残っています。実写ではできないアニメの可能性を感じました。今やアニメ映画の大家として、海外の監督からも崇められている彼の今回の作品は、逆に実写がベースになった作品です。ポーランドで撮った実写フィルムをアニメ加工した作品ということで、実験的とも言えるでしょう。実際に軍隊の協力を得たとのことでそれなりの迫力もあります。しかし、何となくストーリーがもろ「マトリックス」と言った感じで今一つな感じがします。そこまで手が回らなかったのかな?
評価 ☆☆☆1/2 (01/1/27)
独立少年合唱団
(サンセント 129分 2000年 SRD)
監督 緒方 明
出演 伊藤 敦史 藤間 宇宙
70年代、父親を亡くした主人公は全寮制の学校に入れられることになる。吃音者でもある彼はいじめにあうこともあるが、彼を助けてくれる歌のうまい美少年と知り合い、合唱部に入ることになる。今年のベルリン国際映画祭アルフレート・バウアー賞を受賞。監督は新人、緒方明。
主演がどこかで聞いたことある名前だなぁと思っていたら、チビノリダー君じゃないですか。ガンバレ、若造。
全寮制の学校で相手が美少年ということがあって「アナザーカントリー」的な雰囲気がありますが、どんなものでしょう。主人公たちの感情の移ろいはうまく表現できていて新人の監督にしてはそつがなくうまくできた作品だと思います。学生服や体操服の対比の仕方も効果的だと思われます。しかし、ストーリーの方は今一つの感じがあります。なるほど70年代という設定なので、学生運動の名残や中学生にとつての革命意識も理解できないこともありません。でもなんとなく、ぎくしゃくとしていて
消化不良になっている気がします。冒頭、父親役の國村隼の病床姿を見て、「萌の朱雀」の続編かと思ってしまいました。光石「博多っ子」研なども出ているし、仙頭プロデューサーのキャスティングはちょっと固定的?
評価 ☆☆☆☆ (01/1/21)
シベリア超特急2
(アルゴ他 89分 2000年 SRD)
監督 水野 晴郎
出演 水野 晴郎 淡島 千景
2.26事件の後のこと、爆破事故のためシベリア鉄道が不通になり、とある満州のホテルに一等車の乗客が泊まることになった。その夜、乗客の一人が殺害された。折からの嵐で警察に連絡が取れず、同じく乗客であった山下大将やその側近が事件を捜査することになった。監督は映画評論家の水野晴郎。
映画評論家の水野晴郎が、自ら監督・主演・製作・原作・脚色を手がけたワンマン映画第2弾です。前作は公開即打ちきりになった評判にもならない作品だったのですが、みうらじゅん等がその徹底ぶりを絶賛し、ビデオなどでカルト人気になった映画です。残念ながら前作を私は見ていません。ホイッスルにも見あたらないのですがあるのかな。友人達が必見だと東京で舞台挨拶や公開早々見に行ったところ、大盛り上がりになつているようです。水野晴郎が画面に出てくるだけで拍手の嵐だとか…。「ロッキーホラーショー」みたいになっているようてす。
勢いを信じて?今回は拡大ロードショー。AMCなかまでもやっている所がスゴイです。しかし、私が見に行った回は観客は10人弱で、みんなマジで見ているのかあまり笑いもなく、何しに来たのか高いびきで寝ているおじさんもいるくらいで、どうもノリが悪かったですね。前作を見ていないので何とも言えないのですが、感想は思ったより普通の作品だなと思いました。よくもないけれど退屈で寝る映画でもないですから…。
ポワロよろしく名推理?をする映画ですが、元を立たせば「オリエント急行殺人事件」かな?。そうそうこの「かな?」というのがこの映画のキーワードです。出演者は何故か超豪華、淡島千景、草笛光子、加茂さくらと言った宝塚、松竹歌劇出身女優に対する中村福助、尾上松也と言った歌舞伎陣や長門裕之、安井昌二等が出ています。でも、一番目立っていたのは竹田高利ですね、なぜか。描写ではさすが映画評論家、名作映画のいただきが数多いです。パンフ曰く、「日本映画初、11分の長回し。スタッフの反対を監督が説得。ブライアン・バルマの虚栄のかがり火」とか「戦艦ポチョムキン」に挑む階段落ち。(この二つはかなり笑えました)「羅生門」のお白州を意識した、一人一人の告白シーン」等々。どうです。見たくなったでしょう。映画ファンはこの作品を見ないと今年の映画は語れないかも知れません(爆)
評価 ☆☆☆ 話題性☆☆☆☆☆ (01/1/21)
初恋のきた道
原題 我的父親母親/THE ROAD HOME (米国・中国/ソニー 89分 2000年 SRD)
監督 チャン・イーモウ(張芸謀)
出演 チャン・ツィイー(章子怡) スン・ホンレイ
父親の葬儀のため故郷の村に戻ってきた青年。彼の父親は村の小学校の教師だったのだが、彼の父親と母親の恋は、自由恋愛がまだ珍しかった当時の小さな村ではとても大きな出来事であった‥ 監督は「紅いコーリャン」「秋菊の物語」「あの子を探して」等のチャン・イーモウ。ベルリン国際映画祭、銀熊賞受賞作品。
去年、私が見損ねた映画に「グリーン・デスティニー」というのがあります。割と長く上映していたのですが、行けませんでした。この映画、日本のキネ旬のベスト10にも入っていますが、台湾や米国でも賞レースで評価されています。その映画に出ていたのがこの映画の主演チャン・ツィイーです。
「初恋のきた道」、タイトル通りの映画で亡くなった父と母との恋?の様子を息子が綴っていくという形態です。現代のシーンがモノクロで過去のシーンがカラーと言った作りになっていますが、その過去のカラーのシーンの色の具合がとてもいいです。冬は雪深い中国北部の寒村といった感じなのですが、四季の情景がとても豊かです。それとこの作品の特徴はなんと言っても主役のチャン・ツィイーですね。ちょっと顔つきが現代っぽいのが気になりますが、体型(失礼)とか走り方とかが純朴な田舎の娘と言った感じでかわいいです。恋と言っても当初は彼女の一方的な一目惚れで、下手すると今で言うとストーカーっぽいところもありますが、みんなどことなく似た経験があるのではないでしょうか。セリフで告白することはそんなにないのですが、彼女が取る行動がどれも微笑ましく、そしていじらしく思えるし、それらを伝える表情の変化もいいですね。彼女の母親は目が見えないと言う設定なので、その分観客に向かっての彼女の表情は直接的に伝わるものになっている気がします。素朴で気をてらった話ではないですが、とてもいい気持ちにさせてくれて泣けます。
両親の馴れ初めの話が中心で、あと父親の葬儀の話以外は極力省かれていて比較的上映時間が短い作品ですが、それはそれでよかったのかも知れませんねぇ。二人の子供が男一人だと言うのも世代的には少ない気がしますが‥。あと、気になったのは冒頭の両親の家に張られているサッカーのロナウド?のポスターと映画「タイタニック」の中国語版ポスター2枚。中国の田舎の老夫婦の家にああいうの貼っているのかなぁ。えらく気になりました。
今年一番のお勧め映画です。小倉でこの手の映画をこんなに早く見られるのは珍しいです。昭和館でやっているうちに是非、見てください。福岡でも「パヴェリア」でやっています。
評価 ☆☆☆☆☆ (01/1/14)
エクソシスト ディレクターズ・カット版
原題 THE EXORCIST (ワーナー 132分 2000年 SRD)
監督 ウィリアム・フリードキン
出演 エレン・バースティン マックス・フォン・シドー
ワシントン郊外の町で女優のクリスは映画撮影のため、娘二人で暮らしていた。母と娘の楽しい日々を送っていたが、ある日を境に娘の様子が一変し、奇行するようになる。医者の診断を受けるが原因は分からず、症状は次第に悪化していく。
10月に公開予定だったのが、公開直前に監督の要請で年明けに延期になり、そのあと急遽年末に公開された作品です。結構客が入っているようで場違いな正月も続映されています。オリジナルも確か劇場で見た気がしますが、ちょっと自信がありません。オカルト映画として一世を風靡した作品です。テレビなどでもやっていましたが、久々に見ました。私はこの作品とか、「オーメン」は面白いと思って見ていましたが、その後の続編などのホラー映画は面白くなくなってあまり見なくなりました。
オリジナルを見たときは、結構怖かった割に、意外とあっけなく終わってしまったという記憶があるのですが、その点に関しては今回も同じでした。ただ、詳細にわたる記憶が定かでなかったので、その辺は再認識できました。今回初めて見た人はそんなに怖くないと思うでしょうが、当時としてはエポックメイキングな作品でしたね。特撮やCGの技がそんなになかった時代にこれほどの作品を作っているのですから‥。ただ、2時間以上あるので、前半の平和な描写がちょっと冗長に思えないこともないですね。
今回のディレクターカット、どうなのでしょう。話題の?スパイダーウォークも壁に映る顔もそんなに効果的とは思えない気がします。首が回るシーンもオリジナルはもっと怖かった気がしますが、その手の描写に慣れてしまったのかな? チューブラ・ベルズが使われているシーンもそんなになかったんですね。
評価 ☆☆☆☆ (01/1/7)
PARTY7
(東北新社 104分 2000年)
監督 石井 克人
出演 永瀬 正敏 浅野 忠信
組の金を奪って人里離れたホテルに隠れたチンピラ。しかし、そのホテルに元の彼女とその婚約者、お金を取り戻しに来た兄貴分などが集まってくる‥。監督は「鮫肌男と桃尻娘」の石井 克人。
年末にテレビの深夜映画で「鮫肌男と桃尻娘」をやっていてその面白さを再認識してのこの作品です。この監督はCMなどで人気の監督で一本やっとく?の「アスパラエース」などが彼の作品です。このCMに出ていた岡田義徳と小林明美がのままのような設定でこの映画にも出てきています。感想の方は‥、うーん、またもやおバカな映画です。おバカ度は前作より上がっていますね。特に原田芳雄と浅野忠信のやりとりとかは相当おかしいです。永瀬正敏なども含めてどういう気持ちでやっているのか‥。オープニングのアニメやセリフ回しなどがとても面白く、笑いっぱなしで終わってしまいました。登場人物も個性的だし‥。しかし、前作とどう違うのかと言われると困ってしまうところもありますね。ホテルが舞台なのも同じだし、組から追いかけられるのも同じだし‥。この作品だけ見れば十分面白いかも知れませんが、次の作品ではもうちょっとプロットを変えた作品が見たいと思う作品でした。
評価 ☆☆☆1/2 (01/1/4)
バトル・ロワイアル
(東映 113分 2000年 SRD)
監督 深作 欣二
出演 藤原 竜也 ビートたけし
修学旅行名目で絶海の無人島に送り込まれた中学生たちが、最後のひとりに
なるまでお互いを殺し合うという法律に従って、殺し合いをする三日間を描いた作品。監督は「仁義なき闘い」の深作 欣二。
いゃあ、この作品客が入っていますね。国会議員などに取り上げられたためか堂々の興行収入トップを何週間か続けています。当初は確か11月の公開予定だったのですが、敢えて正月映画にした東映の英断でしようか。しかし、この作品と言い、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」といい、今年の正月映画はどこか変な作品が並んでいます。東映も普通、正月はマンガやっていましたよね。寅さんは今いずこ、と言った感じの世紀末です。
作品の方ですが、冒頭が乗れませんでした。説明はあるのですが、BR法の意図が全然理解できないのです。この法律を施行してどういうメリットがあるのか、子供の数を減らすためなら全員殺せばいいのだし、一人生き残った者の方がまともであるとはあまり考えられないと思います。また、公布されて何年かたった法律の様なのに、無糖の中学生達が全然知らないというのも変ですね。ラストも優勝者を連れて帰らないのはおかしいし‥。まあ、そういう不自然さはどうでもよくてSFと思えばいいのかも知れませんが‥。
殺人ゲームとしては言われているイメージほど凄惨ではない気がします。たくさん殺されはしますが、そんなの仁義なき闘いでも、ランボーでもホットショットでも殺されていますよね。所詮映画ですよ。要するに殺し合っているのが中学生だと言うのが、問題視されているのでしょうが、この作品を見て影響を受けて事件を起こす様な中学生はこれを見なくても事件を起こすでしょう。
私の率直な感想としてはこの作品は意外と立派な「青春映画」の体をなしているということです。各生徒の設定がうまくて、一匹オオカミ的なもの、人殺しはせず、体制破壊を企てるもの、仲良しグループでまとまって乗り越えようとしているもの、中学生時代などは遠くになりつつありますが、なるほどいたいたああいう子と言った感じで‥。そういった連中が死を目前にしたせっぱ詰まった局面でどういう対応をしていくかというのが割ときちんと描写されています。自分を守る者あり、相手に対抗する者あり、戦わずして自殺する者あり、話をしたことがない子に合いに行く者、身を投げ出して他人を守ろうとする者様々なパターンが描かれています。一クラス全員を対象にしているので、どう整理するのかなと思っていますが、結構うまい脚本で、重点となる生徒はある程度引っ張り、そうでなと生徒はバッサリと切って、わかりやすくしています。脚本は監督の息子の深作健太なのですが、うまいです。
この映画を見て問題だと騒いでいる議員達は普段映画を見ている人でしょうか。どうも理解できないですね。まして映倫でもR−15指定を受けているのにそれ以上法律で規制しようとするなんてバカげた大人だと思います。
出演者の中では山本太郎がいいですね。前田亜希も大きくなりました。藤原竜也はもう一つ。ビートたけしは相変わらず。マニュアルビデオの宮村優子は変でおかしい。男生徒を丸裸にしたりして殺しまくっていた子を始め、女生徒が元気で男生徒は元気がないきがします。この作品も評価は分かれるでしようが、私はかなり気に入りました。
評価 ☆☆☆☆1/2 (01/1/3)
ダイナソー
原題 DINOSAUR (ディズニー/ブエナ・ビスタ 82分 2000年 ドルビー)
監督 ラルフ・ゾンダッグ エリック・レイトン
声の出演 袴田 吉彦 江角 マキコ
恐竜達が地球を支配していた時代。キツネザルの群が住む島に、大きな卵が落ちてきた。まもなく生まれたのは島にはいるはずがない恐竜の赤ちゃん。サルの母親はその子を自分の子供として育てようとする。そして、その子が大きく成長したある日、地上に異変が起こる‥。
予想に違わずすごいCG画像ですね。ピクサーが絡んだ「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」の様なフルCGではなく、ディズニーの自前作品で、背景は実写で合成した映像とのことですが、とても正確でキツネザルなんかは3D映像を見ている錯覚すらさせられます。でも、まあ感想といえばそれだけに尽きる気がします。ストーリーはターザンとライオンキングを足して2で割ったようなお決まりな感じですね。肉食恐竜が悪で菜食恐竜が善という設定も子供向けとはいえ、安易だし‥が。しかし、これだけ映像がリアルになると演技で失敗などがある俳優がいらなくなるかも‥。画像に集中できるかなと思って吹き替え版を見に行ったのですが、折角のTHX対応スクリーンなのに、デジタルでもない普通のドルビープリントでした。うーん。
評価 ☆☆☆ (01/1/2)
ダンサー・イン・ザ・ダーク
原題 DANCER IN THE DARK (デンマーク/松竹=アスミック・エース 140分 2000年 SRD)
監督 ラース・フォン・トリアー
出演 ビョーク カトリーヌ・ドヌーブ
60年代の合衆国。チェコから移住し、息子と二人で暮らすセルマは、昼は工場でパートとして働き、空いた時間は内職をして、少しずつ貯金をしていた。そんな彼女の唯一の楽しみはミュージカルで、映画を見たり町の劇団にも参加したりしていた。しかし、彼女の目は徐々に光を失いつつあった‥。監督は「奇跡の海」の舞台版を演出したラース・フォン・トリアー。カンヌ映画祭パルムドールを受賞した作品。
うーん。暗いですねぇ。こういう映画を正月映画として拡大で公開した松竹は偉いです。不幸な女性がどんどん不幸になっていくと映画で、あまり救いがある映画ではありません。しかし、この映画の見所はなんと言っても主演のビョークと音楽です。彼女は演じているというより主人公セルマになりきっているという感じです。また、音楽についても然りで、この作品の中でもっとも雄弁なセリフはこの音楽の中の歌詞に込められてしまっています。ビョークはアイスランド出身の歌手で、私は前のシュガーキューブスの頃から知ってはいますが、ちょっとエキセントリックでそんなに興味がある歌手ではありませんでした。しかし、こうやって見てみるとすごいですね。ポイントとなる画面でミュージカルになるのですが、見応えがあります。特に貨物列車のシーンがすこいです。デジタルカメラで撮ったということですが、どうやって撮ったのかという面も含めて見応えがありました。そう言った意味では監督ラース・フォン・トリアーの映画というより、ビヨークの映画として残る作品でしょう。彼女自身、確かシングルマザーです。
私が参加しているパソ通のフォーラムではラストの解釈とかお金の行方について見解が分かれたり、私自身も警官は実際に借金していたのかどうかとか、警官の捜査のいい加減さとかストーリーが疑問でした。また、全般のカメラが手持ちカメラで映像がグラグラしているのに、主人公の空想であるミュージカルシーンのみカメラが固定になるのが意図としては分かりますが、ブレア・ウィッチ‥」みたいに気分が悪くなってイヤでした。ストーリーなどのせいで見る人によって好き嫌いが分かれる作品でしょうが、ビョークと音楽だけでも価値がある作品かも知れません。工場で色々と面倒見てくれるがカトリーヌ・ドヌーブと言うのが、演技かうまいけれどちょっと不自然。他には隣の警官役に「グリーンマイル」のいい看守役のデビッド・モース。
評価 ☆☆☆☆ (01/1/1)
オーロラの彼方へ
原題 FREQUENCY (ニューライン/ギャガ=ヒューマックス 117分 2000年 SRD)
監督 グレゴリー・ホブリット
出演 デニス・クエイド ジム・カヴィーゼル
太陽の活動が活発化して30年ぶりにニューヨークの空にオーロラが現れたその日、警官である主人公は、消防士であり事故でちょうど30年前に死んだ父親が大事にしていたアマチュア無線機を見つけ、電源を入れてみた。すると、スピーカーの向うから声が聞こえてきた‥
評判がいいみたいなので、見に行ってきました。なるほどこれはいい作品です。脚本が出色ですね。単なるSFファンタジーかと思ったら、サスペンスあり、殺人事件の推理あり、家族愛ありと様々な要素が入っています。ストーリー展開も絶妙で次々とテーマが変わって行って結構凝っています。どういう脚本家かなと調べてみたら、この映画を製作しているニューシネマラインの重役のトビー・エメリッヒという人なんですね。しかも、これが初めての脚本というので恐れ入ります。やはり向こうではそれだけ映画に情熱を持っている人が多いということですね。
原題の「FREQUENCY」と言うのは周波数のことです。アマチュア無線を知っている人はわかると思いますが、太陽の活動が活発になると上空の電離層の条件が変わったりして、実際に思わぬ遠方まで電波が届いたりすることがあります。確かスポラティックE層とか言っていました。メインストーリーはこの無線で死んだはずの実父と交信できるようになってという話です。どこか「キッズ」の逆バージョンと言った感じもなくはありません。昨シーズンもワールドシリーズに出ていましたが、メジャーリーグのメッツの強さなども設定がニューヨークなのでポイントを稼いでいます。デニス・クエイドの父親がいかにも60年代っぽくていいですね。実生活ではメグ・ライアンに逃げられているけれど‥。息子役のジム・カヴィーゼルは「シン・レッド・ライン」に出ていましたが、どこかトム・クルーズっぽいところがあります。あと、「ヤフー」のネタもニヤリとさせられました。
いかにも「アメリカ的」意識がてんこ盛りの作品ですが、最近この手の家族愛を描くには現在では描けなくなって、時代や場所の設定を変えざるを得なくなっている気もします。邦題や宣伝が今ひとつ地味で損している気がしますが、なかなかの佳品で今年の鑑賞第一作としては満足の作品でした。
評価 ☆☆☆☆ (01/1/1)
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