縮刷版2022年8月上旬号


【8月10日】 鈴木雅久さん死去。といってもそれほどメジャーではないけれど、イラストレーターとして笹本祐一さんお「AREAL」とかいろいろな作品の表紙絵を描き「機動戦艦ナデシコ」でもイメージボードを描いたりしてSF周りでは結構メジャーなイラストレーターだった。ツイッター上にも普通にいて所在は確認していたつもりだったけれど、ここしばらく更新がなかったと思ったら6月20日に亡くなって四十九日も終わってからの公表となったみたい。笹本さんら親しい方が告知されてて親しい方も最近知ったみたい。静かに送りたかったのか送られたかったのか。分からないけど残念。人が逝く夏。すぐにお盆だから帰ってくるかな。

 茅場町まで出てVELOCHEで原稿をぱちぱち。書くことになった映像についての指向も合わせて寝るけれど、そっちをまとめるのは明日にしよう。とりあえず泥棒猫の物語ではあった。2時間くらいたって煮詰まってきたので新宿に出ようと大手町まで行き、地下鉄丸ノ内線に乗り換える途中で席があいていたリトル小岩井に入っておすすめパスタを書き込む。トマトソースに魚介類が合わさったペスカトーレみたいだったけど、ゆるゆるに茹でられた太い麺で食べるとぱすたやのペスカトーレとはまた違った食べ物になっていた。やっぱりここん家は油が麺に染みたイタリアンが美味しいなあ。しかし30年近く大手町に通って1度しかいかなかったリトル小岩に今年になってもう3回も入ったぞ。何があった。

 新宿ではピカデリーで「劇場版 Gのレコンギスタ V 死線を越えて」のスタッフトーク付上映会を観る。演出回ということで聞きに行ったら4についての話がメインでラ・グーがベルリやアイーダを美術館めいた場所から地下のオペレーションルームめいたところへと案内するシーンでずいぶんとコンテ上から切られたか所があると説明。途中まで作画も進みモニターグラフィックの作成も行われていたのに富野由悠季監督がばっさりいったとか。

 もっぱらエネルギー資源だの歴史だのについて喋り語るシーンでそれで何かベルリが得心を得るような流れだったけれどあれば説明にはなってもそれは説明であって映像だとテンポが悪くなって観る人が飽きると思ったのかもしれない。テレビシリーズにはなく映画で新しく付け足したからには必要だから付け足したにもかかわらず、観てテンポが悪ければ不要と削ってしまう富野由悠季監督の凄さを観たと演出の吉沢俊一さんが話してた。

 コンテやレイアウトや3D素材を貼り合わせたビデオを流して再現してそして実際の映像を流して差を見せてくれたけれどなるほどなくてもテンポ良く何かが伝わるようになっていた。だから削ったとも言えるけど敢えて付け加えて作画まで進めたのに削ってしまえる富野由悠季監督の凄みも感じられたトークだった。あとVでエンディングのスタッフロールに被って映し出されたゴッホの絵みたいなのも説明があって黒バックじゃ飽きるだろうということで工夫して油絵めいたものを描かせバックにおいたみたいだけれど、こちらとしちゃあ男たち女達のラインダンスに目がいってまるで気付いていないのだった。女性陣はご丁寧に2度も出るし。

 富野さんのスタッフロールへのこだわりも話があってビデオ編集の際に大抵は入れるんだけれどその現場でタイミングだとか文字の大きさだとかに机をバンバン叩いて怒って直させるとか。普通はよろしくで済ませるところをそうしないのも作った人たちの名前をしっかり見せたいという心遣いなんだろうなあ。制作にいわれて作って流したオペレーターも怒られて大変ではあるもののそれもやっぱり富野由悠季監督の心遣いという奴なんだろうなあ。


【8月9日】 小林清志さん死去。しばらく前に「ルパン三世」の次元大介役を大塚明夫さんに譲ったものの、その時に出したコメントではまだまだ現役でも行けそうな感じだったけれど、次元大介を演じていてもやっぱりお歳がといった感じではあったから仕方が無い。とはいえ、そこをうまく演出して決めるところだけ決めるとか、馴らしを経て発声させるとかすれば聞ける声になっていたから、まだまだ活躍はして欲しかった。

 とはいえ、89歳というお歳もお歳だったということで、そこは仕方が無い。お目にかかったことはなく、「次元大介の墓標」とかの舞台挨拶でお見かけしたこともなかったので遂にその生声を聞かずに終わった方だった聞けば確実に耳に残って他の方では真似すらできない雰囲気を持った声はやっぱり唯一無二。だからこそ半世紀を超えて次元大介を演じ、そして「妖怪人間ベム」のベムや「クラッシャー・ジョウ」のタロス、「スペースコブラ」のクリスタルボーイといった役がその姿とともにしっかりと脳裏に残っている。本当にありがとうございました。

 大竹宏さん死去。「もーれつア太郎」のニャロメとか「マジンガーZ」のボスとか「Dr.スランプ アラレちゃん」のニコチャン大王といった声が今も大勢の耳に残っている声優さんだった。2011年に赤塚不二夫さんの作品を集めたDVDが出るということで、アッコちゃんの太田淑子さん、ブタ松でバカボンのパパの富田耕生さん、イヤミの肝付兼太さん、そして大竹さんのレジェンド声優4人にそろってインタビューする機会を得て、そこでニャロメの奔放さが権力に対するカウンターとして取り上げられていったんじゃないかなって話してくれていた。当時も混乱していた世相に「ニャロメっていってやりたいと」とも。

 肝付さんが亡くなられ富田さんが逝かれ、去年は太田さんも軌跡にはいられながら大竹さんはまだまだご存命だったからいつまでもお元気でいて欲しいと思っていたけど、そこはやっぱり90歳というご高齢、直前まで本当にいろいろなところで活躍していたのは小林さんとはまた違った意味で唯一無二の声をお持ちだったからだろう。決して声色を作るなんてことはせず、内面でもって感じたままに出したその声が役にハマる。富田さんも肝付さんも太田さんもそうだった。声で役柄をねじ伏せる。そんな声優さんの声優さんらしさを感じさせてくれる人、今はどれだけいるだろう。その言葉をもっと聞いておきたかった。合掌。

 オリビア・ニュートン=ジョンさん死去。「そよ風の誘惑」が有名だけれどMTVな世代になってくると「ザナドゥ」とか「フィジカル」といったポップでライトでテクノでキッチュな楽曲を歌うお姉さまといった雰囲気でシティポップからちょっと離れたアメリカンポップスの代表格みたいなポジションだった。その後でシーナ・イーストンとか出てきてゴーゴーズみたいなガールズロックも出てきて賑わっていく中でオリビアさんの名前は聞くことがなくなっていたけれど、環境運動とかで活躍していたようで実業家でもあったらしい。1948年は都はるみさんと同じ歳なんだよなあ。そう考えると都さん凄いかも。

 三宅一生さん死去。いわゆる黒の衝撃として山本耀司さんと川久保玲さんがパリコレクションで大いに話題になる中で、日本からいったデザイナーでも三宅さんはちょっと違ったモダンで先鋭的なイメージがあってDCブランド全盛の時でもY’sやコムデギャルソンよりもさらに違ったポジションにあったような印象。Y’Sやコムデギャルソンは買えてもイッセイミヤケはちょっと買えなかったから。Y’sが経営に行き詰まり高田健三さんもブランドを譲り亡くなる中で川久保玲さんと三宅一生さんはブランドをしっかり維持してた。そこが服と向き合い服とだけ対話し続けたデザイナーの強さなのかもしれない。合掌。


【8月8日】 何しろ1時間はかかる大分空港まで行くバスが1時間に1本では、乗り逃すと飛行機に乗り遅れてしまうので早い時間に移動しようと午前7時には起きてバス停に行き、空港行きのバスに乗って午前9時には空港にちてチェックイン。2時間くらい時間はあったけど何があるでもない大分空港で買い物も遊びもできないので、カフェで居眠りをしてから始まった搭乗に従ってジェットスター航空の成田行きに乗る。

 来るときは羽田からJALだったけど帰りをジェットスターで成田にしたのは料金が安いから。それこそ半額くらいでちょっぴり遠い成田に行ってくれるならこれはお得な上に機材もA320でJALとアメリカン航空の共同運用なら心配することもない。乗ってる時間も1時間ならサービスがあってもなくても変わらないならこっちを最初から利用しておけば良かったかもと思ったけれど、成田に到着して第3ターミナルで降ろされて、そこから電車に乗ろうとしたらそれこそ1キロくらい歩かされることが判明。帰りがこうなら行きも似たようなものだとすると、大荷物を抱えての利用はちょっと大変かもしれない。

 幸いにしてろくに荷物もなかったので、1キロくらい歩いて第2ターミナルへと行ってそのすみっこにつくられたアニメ関連のショップを見物。なかなかものはそろっていたけれど、こんな隅っこではインバウンドで来日した外国人に利用してもらうとしたってちょっと無理だろう。パイロット服をきたキャラクターのグッズが抱負だからむしろ国内のファンがチェックしに行っているんじゃないだろうか。ガンプラもあったけど今人気のがあるかどうかは不明。個人的には「鉄血のオルフェンズ」のバルバドスがあったのでちょっと欲しかった。カッコ良いんだこれ、ゴティックメードみたいで。

 「ONE PIECE FILM RED」が週末の興行で22億5000万円を稼いだとのこと。土曜日からのスタートで2日間だけでこれはなかなかの数字。上にあるのは「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」だからそれに追いつくか迫るくらいの興行収入を得るかもしれない。100億円は硬いかな。そうなったらちょっと凄いかも、過去にもいっぱい作られた「ONE PIECE」の映画だけれどそこまで行った作品は確かなかったから。谷口悟朗監督の名前も広まれば、現在手掛けている劇場版「エスタブライフ」にも弾みがつくかも。でもって繰り出されるのがノーパンだったら笑うけど。それは橋本裕之監督のテイストだから劇場版にはそうはならないかな。

 そんな「ONE PIECE FILM RED」がトップに来たことで下は順繰りに下がって「今夜、世界からこの恋が消えても」は5位から6位に。その意味では勢いは維持したってことで口コミが聞き始めて夏休みということで若い人たちが続々と劇場にかけつけては、ハンカチを涙で濡らしているのだろう。不思議なのは「モエカレはオレンジ色」が圏外から9位に浮上したこと。何かあったんだろうか。青春系が2作並ぶランキングはそれはそれで日本的。逆に「ソー ラブ&サンダー」が圏外に消えてしまうところは、マーベルが強いアメリカと大きな違いがあるって言えそう。「Gのレコンギスタ5 死線を超えて」は映画には入らないのかな。

 夕方からVELOCHEにこもって暑さを凌ぎつつネットで夏の甲子園野球大会を観戦。沖縄の強豪・興南高等学校と地元・船橋から15年ぶりに出場となった船橋市立船橋高等学校の試合はしょっぱなの市船の攻撃となった1回裏からあの「市船soul」が演奏されて何が何でもまずは「市船soul」を甲子園で響かせるんだという吹奏楽部とそして市船の意気込みを感じる。その回に3塁までランナーが進んで期待したものの無得点に終わり、そして3回に沖縄興南に5点を奪われ万事休すかと思ったら、2点を奪いそれから本塁打で1点を返してさらに8回、「市船soul」をバックに奮起した市船の選手が2点を入れて同点に。

 そして迎えた9回裏も「市船soul」が鳴りひびく中、満塁となって代打に出た選手に相手投手がボールをぶつけて押し出しからのサヨナラ勝ちして2回戦に駒を進めて「市船soul」が甲子園に流れる機会を先につなげた。ニュースなんかでもさっそく報じられていたりしてちょっとしたブームになりそう。このビッグウェーブに乗ろうと「20歳のソウル」を紹介する原稿を書いてぶっこんだけれど次の試合までに掲載されるかな。そこで負けても記憶に残れば良いのでとりあえず頑張ってとエールを贈ろう。


【8月7日】 大分へ。たぶん初上陸。宮崎には行ったことがあるし鹿児島にも鉄道で行ったことがあるけど大分は通過したことすらなかったんじゃないかなあ。佐賀は通過だけはしているだろうからこれで九州全県制覇。でもまだ四国には入ったことがないのだった。還暦の厄払いにお遍路でもするかなあ。ってことで朝の8時過ぎくらいの飛行機に乗って1時間くらいで大分空港にはついたものの、そこから大分駅前まで1時間くらいかかるというこの戦闘力の差に飛行機という文明の利器の偉大さを強く覚える。リリエンタールとライト兄弟は偉かった。

 夕方までやることがないのでとりあえず昼食でもとネットで調べて大分名物と分かった「琉球丼」を食べに二代目与一へ。海の男のまかない飯だったとかでご飯の上に皮をはがれて千切りめいて細く切られた関アジをタレ漬けしてびっしりと乗せてゴマとか大葉とかを散りばめた海鮮丼のシンプルな奴といったところだけれど、食べるとこれがアジだけなのに甘みがあって深みもあって美味しくてついつい箸が進んでしまった。こんなの食べていれば海の上だってずっといたいと思えるよなあ。店はカウンターだけで「琉球丼」も1日にそれほど数が出る訳ではなかったみたいで食べられてラッキー。次来ることはないけれど、東京でも丼選手権みたいなのがあれば食べてみたいかも。

 その後、近くにある大分県立美術館に行って現代美術の展覧会を見物。ウォーホルがいたりカンディンスキーがいたりジャコメッティがいたりとモダンアートもあればフルクサスとか中西夏之とか荒川修作とか河原温とか今となっては懐かしさが漂う現代美術もあってそっち系が好きな人には楽しい内容。あと森村泰昌とか奈良美智とか。でも村上隆を始めとしたカイカイキキギャラリー系はいなかったのはどこかやっぱり美術の筋から外れたところで活躍しているって認識なんだろうか。

 ホテルにチェックインするまでまだ時間があったので、ホテルそばにあるモスバーガーでアイスコーヒーを飲みながら時間を潰していたらものすごい雨と雷でリアル「スプリンクラー」といった感じ。これを聞いていたら達郎さんも話題にするかと思ったけれど、リハーサルでホールにこもっていたんだろうか、雨については喋らなかった。地方をまわって名物を食べて温泉につかって音楽を奏でてなんて無頼な暮らしは出来ないし、飽きるんだろう。講演だけして旅行をしていてそれが楽しいと言ったら永久に東京に帰れなくなったってSFが筒井康隆さんにあって、憧れつつも怖かった記憶。時々来るから良いんだよ。

 さても今のところ山下達郎さんのライブ「PERFORMANCE 2022」で唯一当たった大分県大分市にあるiichikoグランシアタでの公演を観る。新アルバム「SOFTRY」から「LOVE’S ON FIRE」を達郎さんがバックダンサーを従え踊りながら唄う姿が最高だった。そんな藤井風な訳がない。ほぼほぼいつものライブといった感じ。メンバーも同じなんで安定感抜群。とりわけ今回は僕が大好きな「MUSIC BOOK」を聴かせてくれて良かった。

 iichikoグランシアタは車いす席の16席を含んでも1966席とこじんまりとしていながら幅広でゆったりとした空間を味わえるホール。それだけ前後は長くなくて達郎さんを間近に手に取るように見えた。ちょっと幅広な感じだった。よたよたと歩いていたのはいつものこと。ストラトキャスターを手に取れば抜群のカッティングを聴かせてくれるし「RIDE ON TIME」ではいつもの生声を限界に挑戦するかのようにステージ奥から響かせてくれた。

 この声が良かった。新型コロナウイルス感染症に感染して4公演ばかり延期にした関係で喉に影響が出ていないか心配だったけれど、軽症だったらしく喉に影響はまるでなくむしろ休んでそして熊本で久々に声を張りだして整った感じにヌケの良い声だった感じ。とても69歳とは思えないんだけれど「MUSIC BOOK」をかも含めてアルバムを出していた30代の頃を思わせる声を聴かせてくれた。凄かった。

 詳細はこれからの人もいるから置くとして、バンドメンバーのつばぜり合いが演じられる場面があったり宮里陽太さんが昔の僧形めいた雰囲気からちょっとモダンになっていたりと人的にも見どころはいろいろ。そして難波弘之さんは達郎さんと同じ年なのにいつまでもSF少年でキーボード少年な感じがこれまた凄かった。しばらくまえに病気もされた気がしたけれどそんなことは感じさせない演奏ぶり。ツアー最後までこれなら全員で突っ走っていけるだろう。もう1回くらいどこか当たらないかなあ。


【8月6日】 「月刊潮」を刊行している潮出版社が創価学会系というのは知られた話で、そして創価学会は公明党と関係があっていわゆる政治と宗教の問題に触れていることも承知しているだけに、統一協会を信じてお金を注ぎ込んで一家を不幸のどん底に叩き込んだ母親を怨んだ挙げ句に、統一教会系の団体に総理大臣でありながらメッセージを送ったりしていた安倍晋三元総理を射殺した事件が、政治と宗教の関係をあぶり出している状況で、その問題に触れずに安倍晋三元総理について語ることは不可能と考えたからかもしれなあいと、事件について特集も組んでいなければ記事も載せていない月刊潮の2022年9月号の「月刊潮」の割り切りぶりについて思った。

 どこかのライティなオピニオン誌がそろって安倍晋三元総理の功績ばかりを挙げて持ち上げているのと比べると、潔いというか正直というか毀誉褒貶の誉褒ばかりを取り上げるみっともなさを自覚していたのかもしれないけれど、そうした中にあって国際政治学者の人だけが、コラムで安倍晋三元総理の暗殺事件について触れていたものの、内容が相変わらずというか安倍晋三元総理と統一協会との間に深い関係があるといった認識から、犯人が銃撃を行ったことを指摘すること、が犯人のテロを肯定することになるといった謎理論を繰り出して、安倍晋三元総理と統一協会の関係から目をそらさせようとしていた感じ。その死を悼みつつテロを憎みつつ原因について語ることをそれぞれに独立して行えばいいだけなのに、そうせず原因のとりわけ関係面だけをオミットするその言説はいったい何によるものなのだろう。ずっと気になっている。

 初日から売り切れ続出の「ONE PIECE FILM RED」を見にイオンシネマ幕張新都心へ。最寄りのJR幕張本郷駅に着いたら改札内にある自販機で売っているヤクルト1000が売り切れではなくなっていたので、1本買って飲んでみたけど味は普通にヤクルトだった。何が違うんだろう。夜になるとぐっすりと眠れるんだろうか。っていうか今も普通に眠れているからなあ。夜に期待だ。でもってイオンシネマ幕張新都心へとバスでたどり着いて「ONE PIECE FILM RED」。いやあ、谷口悟朗監督は凄いというか、あの予告編から想像できる展開をそうもひねってくるというか、驚きの連続でラストまで引っ張り回された。

 何を語ってもネタバレになるだけに何も言えないけれどもとりあえず見終わってからもう1度見ると、それぞれの描写に違う意味が感じられる作品であることは確か。それは「今夜、世界からこの恋が消えても」と同じで個々の場面の心理状態を知って改めて見直してそこではそうだったのかと感じたいのでまた行こう。というか来週の舞台挨拶のチケットが当たっているので行く予定ではあるんだけれど、その前に今度はIMAXで見たいかも。いやイオンシネマ幕張新都心のULTIRA&ドルビーATMOSも最強だったんだけれど、IMAXはIMAXで画面のクリアさがどれくらい映像を引き締めているかを知りたいのだった。

 あと言えることはメインキャラクターとなっているUTAもいろいろと考えていたんだなあということ。それは特典としてもらえた第40億巻を読んでも感じ取れることで、単にすべてをキャッチアップしようとしただけでなく、それをしっかりと支えてくれる人を想定して信じていたということ。それでもやっぱりいろいろとしでかしてしまったことにたいする決着を、整えてきたところに谷口悟朗監督ならではの筋の通し方を見てしまった感じ。そこはだから「コードギアス 反逆のルルーシュ」でルルーシュに安易な幸せを与えなかったことからも感じ取れる。そういえばUTAの普通の喋りはナナリーだったなあ。あんな奥ゆかしかった子がこんなに自己主張の激しい娘に育ったんだなあ、ってそれは違うけど。歌で進める映画という意味では「マクロスΔ」の2本の方が好みだけれど、見込めばまた違ってくるかも。その意味でまた行かないと。


【8月5日】 無事に熊本が開催されるようなので、大分も開かれるだろうとここは腹をくくって大分のホテルを予約。ついでに帰りの飛行機も予約しようとスタージェットの便を見つけて予約をしたら、1日間違えていたのが判明して慌てて日程を切り替えたらそれだけでちょっと割増になってしまった。そこが安価なLLCだけれどもそれでもJALなんかに比べれば安いから仕方が無いのだった。ちなみに往きはJALで羽田から。帰りはスタージェットで成田まで。考えて観れば成田の方が家からだと近いんだけれどちょっとそこまで頭が回らなかった。両方試せて良いって思うことにしよう。あとは天候だな。

 そして気がつくと松本直也さんの漫画「怪獣8号」がアニメ化されるって発表されていた。それはそれで目出度いんだけれどすでに結構動いているあの絵がアニメになって感じられる驚きがどれだけかって考えた時、やっぱり実写映画化して欲しかったという思いが強く浮かんで仕方が無い。なるほど日本の漫画の実写化がいろいろと言われているのは知っている。最近も「鋼の錬金術師」にいろいろと異論もあったけれどもそれは役者のセレクトとシナリオのさばきかたの問題であってVFXは結構力が入っていた。そして「シン・ウルトラマン」のように特撮でありながらもリアリティを持った映像が作られると分かってきた。

 だったらという思いもあるし、これが海外だったらマーベルのコミックスが普通に実写映画になってとてつもない世界をさらに凄いものにして見せてくれるのを目にしていると、同じような技術でもって「怪獣8号」も実写映画にして欲しいという気がしてしまうのだった。まあ予算が文字通りにケタ違いだから迫るのは無理でも頑張れる範囲で頑張っていかなければ未来はない。だからいつか実写映画化にも挑んで欲しい。無理なら海外での実写映画化なんてこともあって良いんじゃないかなあ。ところでアニメはいったいどこが制作するんだろう。MAPPAがあれもこれも手掛ける中で挑んで同じクオリティをたたき出せるアニメスタジオが出てきて欲しいのだけれど。WIT STUDIOが「SPY×FAMILY」に続いて取ってくるかな。

 三鷹でちょっとばかり仕事をしてからバスで調布へと向かいシアタス調布で「GのレコンギスタV 死線を超えて」を見ることにしてついでに富野由悠季監督に迫る映像が収録されたブルーレイを確保。丸の内ピカデリーだとすでに品切れになっていたりするそうで、誰もが気になる監督として未だトップにあり続けているのは宮崎駿監督ではなく富野由悠季監督なんだってことを改めて満天下に示した格好。上映まで時間があったので劇場を出て調布駅の北口にある「かれんど」という店でキーマカレーオムライスを食べる。前に来たときはちょっと行列で入れなかったのでリベンジ。ご飯の上に丸く卵焼きが被せられ、その上からキーマカレーがかけられてもう美味しくないはずが内というビジュアルだったけど、味もそのとおりにキーマの辛味と卵焼きの甘み、そしてライスのうま味が混じり合ってとても美味しかった。また行こう。

 さて「GのレコンギスタV 死線を超えて」は誰がどうだかさっぱり分からないけれどもとりあえず、戦いに血道をあげる人たちの動機に多分に彼氏彼女の恋情があったりすることも見えてきた。少し前まで宇宙の果てまでベルリと一緒に旅したのにマニィが地球のそばまで戻ってマスクことルイン・リーと合流すると、マスクのベルリへの嫉妬と逆恨みが爆発したような感情をそのまま受け取って、本気でぶち殺しに行くんだから恋の力は凄まじい。
 ベルリも戦いはダメだとかいって飛び込んでいっては相手を平気でぶち殺すから言行不一致も甚だしいけれど、殺したくないと言っても殺さざるを得ない状況に入ってそして殺さなくちゃいけないという思いにとらわれるのが戦争だってことを言いたいのかもしれない。最後はそれでもノーサイドから憎しみをすっと消してみせるあたり、人はわかり合えるんだっていうかつての思想を明るく描いたものとも言えそう。難しくして悩ませるよりあっけらかんと見せてすっと落としてのけた2020年代のガンダムであり富野由悠季監督ならではの作品。やっぱり遡って1と2と3も見なくっちゃ。マニィは髪をまた伸ばせば良いのに。


【8月4日】 1997年といえばケ小平こそ死去したものの江沢民国家主席の下でケ小平が夢見た香港返還が行われた年。それを3か月後に控えてアメリカから下院議長のニュート・ギングリッチが台湾を電撃訪問して李登輝総統と会談したのは、香港返還からの台湾侵攻があり得るかもしれないと言われ始めた時期にアメリカの姿勢を改めて示すことで、中国を牽制するという意味があったと言われている。中国を一応は立てながらも決して甘やかさない態度を示したとも言えるけれど、そうした忖度のない態度を見せるのが世界の警察官、アメリカ合衆国だけのことはある。ここで日本は台湾訪問なんて誰もできなかった訳だから。

 それもまた中国への経済依存度が高い日本にとっての処世術でもあるんだけれど、口だけの人は態度で示せと今回のペロシ下院議長の台湾訪問に関連していろいろと言い出すんだろうなあ。とはいえ25年ぶりとなる訪台が前回のような意味を持っているとしたら、香港の民主化を完全に押さえ込んで中国化を一気に進める動きの中でまたぞろ台湾侵攻なり台湾有事が言われ始めているのをちょっと、牽制しておく必要があるんじゃないかといったものなんだろう。

 とはいえ国力を高め軍事力も教戒している中国もやれやれと良いながらとりあえずおとなしくするかというと、江沢民政権下で中国サイコーな教育を受けてきた人たちが四半世紀経って要職についている今、かつての周恩来だとかケ小平のような思慮深さよりも内政の歪みを外交で解消しようとして暴れ出さないとも限らない。それは中曽根康弘元総理だとか野中広務元自民党幹事長だとかいった戦争を経験した世代が引退なりして政界から去った自民党で、内政の不満を外にぶつけてそらそうとする動きが妙な宗教とも結託して濃縮されているのと同様で、そうした夜郎自大の輩がいつ激突しないとも限らないのがちょっと怖い。哲学を持って歴史に学び聡明さにあふれた為政者ってなかなか出ないものだなあ。

 食べたくなったので有楽町まで行ってスパゲティのジャポネでインディアンスパを頂戴する。茹で置きしてある太めのスパゲティをフライパンでいためて具を混ぜて出すロメスパの老舗で、ジャポネだとかいろいろなメニューがある中でカレーがかかったインディアンはシンプルで食べやすかった。ジャンボでもあんまり量が変わらないのはあるいは昨今の諸物価高騰で容量が抑え気味なのかそれともさらに上の横綱に全振りしているからあまり盛ってないのか。まあ食べきれないほど出ても困るのでお昼にはちょうど良かった。

 食べ終えて隣のマクドナルドでしばらく原稿打ち。適当に時間もたったので丸の内TOEIで「ハケンアニメ!」でも見ようかと思ったものの、渋谷TOEIではまだしばらくやっていそうだったので今日は休もうと有楽町からJRに乗って亀戸まで出てそこでキッチンDAIVEのベーコンエッグ弁当を購入。卵が5つは使われたゴージャスな弁当で黄色いフライがいっぱい盛られたものと比べると量はありながら食べやすいのだった。次もあったら食べたいな。ちょっとだけ横になったら夢に角川歴彦会長が出てきて記者会見をするというので300円はらって参加。なんで会見にお金を払うんだってそれは夢だからそういうことも起こりえる。なんで歴彦さんかといえばそれは話題になっているから。北野武監督のせいって奴で。どこに落ち着くかなあ。


【8月3日】 東劇ビルの1階にあった本屋さんが消えてしまったことから浮かぶ寂しさは、あの界隈の街全体がどこか沈み込んでいるように思えることからも強く感じる。同じ通りを皇居まで戻った日比谷がミッドタウンで一気に再開発されたのと比べると、有楽町から銀座を越えたあたりはシネパトスが消え歌舞伎座は屹立するも興業はコロナで襲名披露とかタイミングじゃなく、電通は移転しアサツー・ディケイもとうに虎ノ門へと逃げ華僑ビルはなくなり築地市場が移転して勝鬨橋あたりまで何もない感じになってしまった。

 かちどき橋を渡ればそこは月島で江戸の雰囲気が未だに味わえる伝統ある街なのに、築地市場もなくなった今は訪れる人も流れでは減ってしまってどこか静かだなあという気がして鳴らない。それもまた風情、下町風情が維持されると言えばいいのだけれど、再開発が入って建つのはタワマンばかりとなるのも勿体無いので、ここは毎日1回、勝鬨橋を上げればいいかなと思ったり。あるいはARゴジラを立たせてスマホ越しに見られるようにしたら良いかと考えたり。日本橋が三井不動産の手で再生したように、そして丸の内が三菱地所の手でモダンになったように月島築地東銀座にもどこかの手は入らないのかなあ。住友不動産では灰色のオフィスビルが建つばかりだもんなあ。

 撮られた映画のフィルムの権利はハリウッドだったらプロデューサーにあるってことが明々白々で、監督が自分でやるなり指示してやらせるなりして編集をして期限までに納品をしなかったとしたらプロデューサー権限で取り上げて新たに編集を指名して仕上げて公開へと持って行くことになるだろう。日本でだって前に松竹の奥山和由プロデューサーがNHKのディレクターかだれかが撮った映画の編集を疑問視し、そちらとは別に自分の編集したバージョンを公開して真っ向勝負をしたことがあった。プロデューサーはそれだけ偉い。だってお金を出すんだから。

 北野武監督による映画「首」が途中で止まっているというのもだからプロデュースしているKADOKAWAがそれこそ素材を全部引き上げて自分たちで編集をして公開することだって契約的にはできるような気がするけれど、その契約がまだ締結されていないらしいというところがなあなあの口約束で動く日本のエンターテインメント業界らしい。ハリウッドだったら契約がなければ撮らないし撮らせないだろうから。それがない以上はだったら商習慣なりから判断するならやっぱりお金を出したKADOKAWAなりが1番偉いってことで、どうにだってできる気がするんだけどなあ。

 それが北野武監督映画と呼べるかが難しいならアラン・スミシーとして公開しちゃうのも手かもしれない。話題になれば奥山プロデュイーサーだったら何でもやったけれどKADOKAWAではそれはちょっと難しいかな。角川春樹さんならやったかも。週刊新潮だと北野武監督の求めに応じようとした角川歴彦会長を周囲が止めたようだけれど、映画なんて文化事業なんだからゲームで儲かっている分をいくらか注いでそちらで損をしたって栄誉が得られるなら良いって判断をして、言うなりにしてしまえば良いんじゃないかと思うのだった。昔の歴彦さんならそれをやったし、逆に言うなら昔の北野武監督ならゴネたりなんかしなかっただろう。時代は流れ人は年齢を重ねそして世界は窮屈になる。見習おう反面教師として。

 池袋へと回ってTOHOシネマズ池袋で2回目となる「今夜、世界からこの恋が消えても」を見る。夏休み中だからか午後1時40分からの回で8割埋まってそのうちの99%が女子で男子がいてもほぼカップルの映画に男子がひとりで入るのはなかなかはばかられるけれど、後半から周囲がハンカチモードに入るのを感じつつ自分も落涙モードに入る楽しみを味わいたいから仕方が無い。同じ空間で同じ思いを味わう映画館ならではの楽しみを体験できる映画ってそうはない。これは貴重な1作。同じ気分を味わいたいと大勢が詰めかけているようで、原作から好きだった身にはなかなかうれしい。頑張れメディアワークス文庫。


  【8月2日】 朝から暑いので家を出て茅場町まで行ってVELOCHEでしばらく原稿書き。適当な時間になったので歩いて八丁堀から築地を抜けて東銀座まで行く。これくらの暑さの中をこれくらいの距離歩けるなら気分はわりとポジティブといったところ。しばらく前はそういった“無駄足”を踏む以前に出かけることすら困難だったから割と回復しているといえばいえるけれど、それは今がまあ稼げているからでこれで稼げなくなってくるとやっぱり引きこもってしまう可能性もあるので今のうちにガンガン仕事をしておこう。達郎にも行かなきゃいけないし。

 とは言いつつ札幌のライブに続いて東北でのライブも中止となった山下達郎さん。週末に熊本があってそれから大分でのライブとなってそれに乗り込む予定で飛行機まで確保してあるんだけれど、帰りの飛行機を予約しようとしてちょっと迷ってる。今のところ回復したともライブを再開するとも発表がないことを考えるとちょっとやっぱり新型コロナウイルス感染症の影響で喉が痛んで声が出ないのかもしれない。あるいは周囲に似た症状の感染者が出てライブが回らないとか。それで予約をするとキャンセルもきかないんで今はちょっと様子見。確報が出たら改めて動こう。大分なんて滅多に行けるところじゃないんで行きたかったなあ。再公演になるとは思えないから今回のツアーで見えることは断念かなあ。

 歩く途中で築地にある天やに入って天丼を戴く。築地だったら美味しい天ぷら屋さんだっていっぱいありそうだけれど探して食べていると高いんでこれは仕方が無い。あるいは築地だから食材もちょっと違うなんてことはきっとないけどそこは気分ってことで。でもって東銀座にある松竹の本社が入った東劇ビルに入ったら1階にずっとあった本屋さんがなくなっていた。近所に電通の本社があった関係で広告関係の本とそれからやっぱり松竹ってことで映画と演劇関係の本が妙に充実していて、小さいけれども使い勝手の良い本屋さんだっただけに残念。電通も移転して関係会社もいなくなって本なんて読む人が近所にいなくなったのかなあ。築地市場もそういえば遠くへいってしまった。そうやって街は死んでいくんだ。変わっただけかもしれないけれど、どこか息をしていないようにも思えるのだった。残念。

 そして試写で八目迷のライトノベル「夏へのトンネル、さよならの出口」が原作の映画「夏へのトンネル、さよならの出口」を見たらちゃんと「夏へのトンネル、さよならの出口」だった。原作が未読で映画をいきなり見る人もいるから詳細には触れないけれども過去に縋りつつ縛られるだけではなくてちゃんと進もうとする人をちゃんと見守っていこうと思えてくる物語だった。小林星蘭が出演していることもあって「若おかみは小学生」のおっこが経験してそして進み始めた姿が少し重なって見えた。11月に化け物級の作画を持ったアニメがやって来るからそれに比べるとってなるけれど、これはこれでシンプルで見やすさを覚えるアニメだった。

 ガガガ文庫だと前に「とある飛空士の追憶」が映画になってそれから「AURA〜魔竜院光牙最後の戦い〜」が映画になってと単発で良い映画を出していて、その系譜に連なるものには仕上がっていた。ポニーキャニオンがメインってことで音楽を売りたいのかもしれないってことで、eillってアーティストが挿入歌とかエンディングを唄っていてこれがとても良かった。主役を演じた鈴鹿央士は淡々として淡泊な声だけれど棒ではないニュアンスを込めた声を聞かせてくれた。ヒロインを演じた飯豊まりえもツンとしつつほろりとさせてくれた。演じた花城あんずが足をジタバタさせてる姿が可愛かった。見終わって外に出たら83分経っていた。普通の時間が過ぎていく嬉しさと寂しさを覚えた。そういう映画だった。次は2作目の「きのうの春で、君を待つ」を映画化しないかなあ。時空SFでサスペンスできっと面白くなると思うんだ。


【8月1日】 研究室で生み出されたバッタの遺伝子を持った怪人と、研究室で生み出されたトカゲの遺伝子を持った怪人がバトルするという意味で「仮面ライダーVS仮面ライダーアマゾン」だったと言えるかというと、それほど単純でもなかったジュラシック・ワールド 新たなる支配者」。前の「ジュラシック・ワールド 炎の王国」を見た記憶がないのでメイジーちゃんの存在が飛んでいるけど色々あって恐竜使いのアルバイトもしているスター・ロードが恐竜大好きお姉さんのクレアといっしょに山奥に引き取って育てていてもそこは気になるお年頃。橋を越えて集落に出たところをキャッチされその内に眠る秘密を狙う悪い組織にさらわれてしまう。

 これはダメだとそこはアベンジャーズだけあって助けに向かうスター・ロードじゃなかったオーウェンと、そしてクレアのカップルとは別にアメリカ初で世界中で猛威を奮って穀物を位始めた仮面ライダーならぬバッタのお化けを退治するべく悪い組織に乗り込んでいくといったストーリー。山有り谷有りの起伏に富んだストーリーをこなしながらもしっかり着地させるアメリカはハリウッドの大作映画ならではの楽しさで2時間ちょっとを引っ張っていってくれる。

 その身にハエの遺伝子を持っているようにすら見えるジェフ・ゴールドブラム演じるマルコム博士もやっぱり登場して火で恐竜を引きつけたりするいつもどおりの活躍ぶりを見せてくれたりして「ジュラシック・パーク」の頃から見ていた人には楽しいところもいっぱい。こだわる人には例のスプレー缶の秘密も解けるらしいけど「ジュラシック・パーク」を見ていながらそれにはまるで気付かなかったあたりに作品への話が愛の足り無さが感じられる。やっぱりバッタの怪人とトカゲの怪人のバトルが見たかったなあ。

 白眉はディワンダ・ワイズ演じる飛行機乗りのケイラ。金さえもらえばどこにだって連れて行くぜ的な運び屋家業は良いキャラクターなので作品を超えて他の映画にも出て欲しいけどそれはないなら同じような雰囲気で何かの映画に出て欲しい。それか「ジュラシック・ワールド」シリーズ完結を受けてたぶんぜったい作られる新ジュラシックシリーズに中心的な役割で登場しては悪の女幹部のソヨナ・サントスとガチバトルとか繰り広げて欲しいもの。期待してます。世界に恐竜があふれかえった描写をCGIで見事に表現してみせるところは2022年の技術か。ダイクストラ亡き今であっても恐竜たちのモーションにはきっとその感性は息づいていると思うのでその意味では特撮映画だとも思いたい。「シン・ウルトラマン」がCGIの塊であっても特撮映画であるように。

 さて「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」は興行通信社の週末映画ランキングで堂々の1位。そして2位には前週と変わらず「ミニオンズ・フィーバー」が入って前週1位だった「キングダム2 遙かなる大地へ」は3位に下がってしまった。それでもベスト3を維持するなら結構なもの。それを言うなら「トップガン マーヴェリック」なんて公開から10週目なのにまだ4位に入っている。それ以上にいったん圏外に落ちた「映画 五等分の花嫁」が8位に復活しているから凄い凄い。4週目なのに9位に下がってしまった「ソー ラブ&サンダー」はまあプログラムピクチャーズ的な漫遊記だからワッと盛り上がってすっと落ちるのもありか。

 そうした中で初登場5位に入った「今夜、世界からこの恋が消えても」が来週どうなるかが気になるところ。口コミは割と聞いてはいる気がするんだけれどドライブがかかるほどじゃないからなあ。ジャニーズの人が主演だと褒めてもそのファンが多いと思われがちなところがちょっと寂しい。いやいやこれは古川琴音さんの映画であって古川さんがきりっとしていてうるっとさせられるところもあって見ていて飽きない良い役だってことを強く訴えたい。ちゃきちゃきとして福本莉子さんも道枝駿佑さんもぐいぐいと引っ張っていくその活躍を、見るだけでも十分なので言って欲しいな劇場へ。お願いします。


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