縮刷版2022年12月下旬号


【12月31日】 大晦日だけれど書かなきゃいけない原稿があるので家を出て、栄まで行ってVELOCHEでこつこつと原稿を書いていく。それなりの時間が経ったのでさてヨコイでパスタでもと思ったけれどそれは一昨日に東京から帰ってきた時に名古屋駅の店に入って食べたから、別の店にしようとスカイルにあるコモって店に行ってピカタを食べる。麺がちょっと柔らかめだったけれど味はまずまず。随分と昔に入ったことがあるけどそれはもういつのことだったか覚えてないのだった。まだ店があったことの方がちょっと驚き。丸栄スカイルなんてまだあったんだ。

 大津通を歩いて大須へと向かって矢場町で矢場とんのぶーちゃんを見上げていつも大きいなあと感嘆。でもって隣のマクドナルドでやっぱりカタカタと原稿を打って時間を過ごしてから、大須の街を歩くと栄の地下街よりも名古屋駅のコンコースよりも混んでる感じがした。昔はどこまでも古い街で行ってもヤンキーとおたくと爺さん婆さんしかいなかったのに、今は若い人もいれば観光客もいてもしかしたら名古屋市内でも1番くらいに混んでる場所になったような気がする。時代が変わってもスタイルを変えなかったことが逆に流行に左右されずにお客さんを集め続けたのかもしれない。

 そんな街々もよく見ると唐揚げやができたりタピオカ屋ができたりして若い人が来たがる街にもなっている。そんな変わらず変わるハイブリッドな街作りが、あるいはこれからの街作りの参考になるかもしれない。かつては結構な賑わいだったのに今はすっかり閑散としている今池とか、街に中心部がなくどこに行ったらいいのか分からない金山あたりが真似ようったって真似はできないからなあ。あるいはジブリパークへと接続している地下鉄東山線の沿線としてそっち方面で開発していくとか。覚王山にはそれこそ巨神兵の骨を安置するとか。

 戻って少しミスタードーナッツで仕事をしてから帰宅してAmazonPrimeVideoを漁っていたらdアニメストアとの連係で「ジオブリーダーズ」のOVAが見られることに気がついて第2作の方を見て楽しむ温泉シーンで胸の先っぽまでしっかり見えるのがOVAの良さってところ。あとはやっぱり神楽綜合警備の面々の楽しさだけれどそんなメンバーも漫画の終わりの方で大変なことになってしまうのを知っているだけに胸に迫るものがある。そういえば伊藤明弘さん、「ワイルダネス」の新刊を出していよいよ復活の兆しもあるので「ジオブリーダーズ」の方も田波くんだけが残って寂しい境遇に光を与えてくれたらちょっと嬉しい。どうなるかなあ。

 新聞社を辞めるとYouTubeで大々的に喋っていた人がいて、今の新聞はどんな特ダネを書いても客は来ないんだからやっぱり書く人にファンを作らないとダメだとか言っていて、それも一理はあるけれどもスカスカなものをいくら書いたところでその書き手にファンなんてつくはずもない。最初は無名でも書いているものに興味をもたれればだんだんとファンもついてそして名前と書くものの評判が一致してくる訳で、それを言わずに自分のファンになってとばかりの言い様は、ちょっと先行きが心配になってくる。新聞社の名刺と看板の威力がどれくらいだったかをしばらく噛みしめてみよう。

 そして夜になって紅白歌合戦。橋本環奈さんの司会ぶりが鉄壁でまるで10年くらい司会を続けているような貫禄がある。芸歴はずっと長いはずの綾瀬はるかさんのあの不安定でいつ何をしでかすか分からない感じがちょっと懐かしくなった。出演者ではPerfumeが楽しげだったけれど、ライゾマティクスあたりを巻き込んで最先端のライブテクノロジーを見せるような出方はしなかったのは金がないのかアイデアがないのかライゾマがもう嫌がったのか。ADOはまあ唄えばちゃんと唄えるけれどCGのキャラクターの合成はどこか浮ついていたかなあ。審査員の芦田愛菜さんの貫禄もちょっとすごい。Vaundyのボーカルの丸さにちょっと勇気が湧いた。格好良く唄えれば丸くても良いんだ。歌を鍛えようっと。


【12月30日】 ペレが逝く。サッカーの王様。ワールドカップで3度優勝をした選手は他にいないというだけでも偉大さが分かるサッカー選手は背番号の10番をチームでも最も重要な番号へと替えてそれがディエゴ・マラドーナからロベルト・バッジョからリオネル・メッシへと至るサッカーキングの系譜へと続いていった。先のFIFAワールドカップ2022カタール大会でアルゼンチンが優勝してメッシ選手が現代のサッカー界のエースの地位を確固としたものにしたけれど、それでも超えられたとは言えないマラドーナですらやっぱり超えられない唯一の選手って言えそう。

 そのペレの死去はサッカーの歴史においてもスポーツの人類史においてもとてつもない重大事と言えるだろう。そのプレイを目の当たりにしたことはないけれど、ネットで映像を見るととにかく早くてとにかく上手くて、フェイントをちょいっと繰り出して相手を止めてその瞬間にすっと抜け出す技なんて見るほどに惚れ惚れとする。今のスピードにだってついていけるしパワーにだって太刀打ちできる選手。そこは時代が変わって司令塔という役割が廃れバッジョ選手あたりの居場所がなくなっても、きっと大活躍できるだろう。

 ニューヨーク・コスモスへと移籍してベッケンバウワーと同じチームでプレイをしていたペレを、もしかしたら何かの映像で見たかなあ。録画でもいいから見たいなあ。ペレがそんな物心がついた時代から今に至るまで王様で有り続けられたのは、選手としても優れていたことに加えて人物としても長くサッカーのために尽くしてきたことも大きい。薬物とは無縁というかEDの治療薬の宣伝大使として世に広く人気を獲得。インタビューに出てその存在感を保ち続けた。同じだけの歴史をだったらメッシは刻めるか、って考えるとやっぱり凄い選手だったなあ。そのプレイを心に思い出しつつしのぼう、永遠に。

 ヴィヴィアン・ウエストウッド逝く。パンクの女王。ファッションデザイナーとしてロンドンを拠点に世界で大活躍したその業績を振り返ると、そのままロックとパンクと音楽の歴史と重なってくる。爆発した感性でもって世界を席巻した存在が、同じ英国の正真正銘の女王が亡くなった年に逝くのは何かの運命なのかもしれない。アニソンの帝王もそういえば逝った2022年はある意味で歴史の転換点として後世に語り継がれることになるだろう。遊戯王の作者もそういえば事故で亡くなったんだった。最後の最後で野球の王にいかなくて良かった。

 磯崎新さんも死去。建築家だけれど日本では丹下健三さんだとか黒川紀章さんとか安藤忠雄さんのような表だってど派手な活動をしている人と比べるとあんまり知られていない感じがあって勿体ない。作るものだけれなく作る態度にも哲学があっていろいろと刺激になる人だった。東京都庁のコンペ案であのバベルの塔めいた巨大さを誇る丹下健三のデザインに対して横に長く低層の案を出して当然に落選したけれど、それと同じようなアイデアがなぜか丹下健三さんの案としてフジテレビのお台場社屋に使われたのは驚いた。レム・コールハースも見てあれはお前の案だろうと磯崎さんにいったくらい。どういう経緯があったんだろうなあ。聞きたかった。合掌。

 家にいると寝てしまうので矢場町へと出てスターバックスでしばらく原稿を書いてから、パルコで開催中の「ポプテピピック」の展覧会をのぞいたらインディペンデントなアニメーション作家の展示物もいっぱい飾ってあって楽しかった。幸洋子さんは名古屋が出身だからある意味で凱旋かあ。そこを出て大須まで行ってユウゼンであんかけスパを食べて赤池へと戻りTOHOシネマズ赤池で「すずめの戸締まり」を見る。4回目。ちょっと寝たけど見たい場所はちゃんと見られたので良かった。振り向くと劇場に観客がぎっしり。ここまで来てもなお観客を集める魅力があるってことだろう。110億円は行きそうだな。


【12月29日】 お誘いを受けたのでアニメージュとジブリ展の内覧に行く。午前10時に1番で松屋銀座に入って8階の催事場へと上がって中に入って高橋プロデューサーに挨拶。それから中に入って見ると池田憲章さんへの追悼があって編著書「アニメ大好き!ヤマトからガンダムへ」の本体とそして表紙の多分原画が飾ってあるのを見てジンと来る。原画だとしたらよく残っていたもので、そんな驚きが全体に詰まっている感じがして保管する大切さというものを改めて思い知らされた。

 中に入ってざっと回って前の2021年春にのぞいた時と比べて、すっきりとして分かりやすくなったなあという印象を抱く。前はそれこそ「月刊アニメージュ」のお仕事をごっそり詰め込んだ感じになってて記事もあれば付録もあって「ロリコントランプ」があるとかないとかいったことが話題になっていて、それはそれで懐かしかったけれどもちょっと雑多な感じがあった。今回は歴史をリニアにして尾形英夫さんをフィーチャーしてその立ち上げから創刊号の紹介があって、前の鈴木敏夫史観からの脱却が感じられた。

 それから雑誌がだんだんと成長する中でガンダムやカリオストロといったものが人気となり、そして「風の谷のナウシカ」が連載されては映画化されてスタジオジブリにつながって行くまでが、雑誌については原稿を大きく拡大して見せる感じにして記事を読めるようにして当時を知れるようにしてあった。合間におたく部屋めいたものの展示もあったけれどもベータデッキにレーザーディスクのデッキにソニーのコンポに「うる星やつら」やら「未来少年コナン」やらのLDボックスが並んでいた。

 タバコのパッケージがモチーフのゴミ箱あとかがあってフィギュアが並べられてといった具合に、ちょいお金がなければできそうもない部屋の構成になっていて、こういう暮らしができていたらと羨ましくなる。そしてアニメについてはレイアウトを並べ原画を並べセル画や背景画も置いてどのように作られていったかが分かるようにされていた。「ルパン三世界PART2」の「さらば愛しきルパンよ」のレイアウトだとか「風の谷のナウシカ」のレイアウトだとか貴重すぎるんだけれどあんな風においてあって大丈夫なのかとちょっと思った。

 強く印象に残ったのは「月刊アニメージュ」の創刊号を大きく伸ばして見せていたところで中に水木一郎さんの記事があり、そして聖悠紀さんの「黄金の戦士」のカラー広告があってこのタイミングで急ぎ掲載した訳でもないだけに当時からしっかりと今に繋がる人を押さえていたんだと分かった。同人誌紹介ページもあったなあ。とにかくアニメを軸にいろいろと載せていた情報紙としての「月刊アニメージュ」を読んでさえいれば、だいたいのことが分かったんだということを思い出した。

 こうして雑誌を引っ張り出せば、当時の記録に触れることができるところは紙の雑誌の大きなメリット。それを保存してくれている大宅壮一文庫の紹介もされていて、物質として残す意義というものを強く感じさせられたけれども時代はデジタル。どうやって記録を残すのか。インタビューとかいっぱいあってもサイトが消えれば雲散無償となるこの状況を、どうにかする方法はあるのだろうか。悩ましい。

 つじ田でつけ麺を食べてから東京駅へと行って予約してある新幹線に載ろうと構内に入ったら1時間間違えていてコンコースで1時間半くらいを座って凄く。合間に原稿を書けたので良しとしよう。名古屋へと向かう途中で眠ってしまったけれど、駅の手前で目を覚ますことができてちゃんと降りられた。名古屋駅にあるヨコイでミラネーゼというウインナが載ったあんかけスパを食べてそれから実家へ帰宅。持って返った接触不良が時々でる電気ポットでお湯を沸かしてコーヒーを飲んで原稿を原稿を書こうとしたら寝てしまった。やっぱり1日1原稿が限界かなあ。


【12月28日】 アニメーション版「チェンソーマン」が原作とは違うので作り直して欲しいといった意見についてはまるで共感めいたものが起こらない。それはコミックスとしての「チェンソーマン」をリアルタイムでぎっちり読んでは没入していた訳ではないってこともあるけれど、たとえそうだとしてもメディアが変われば表現形式も変わるのが当然で、漫画がそのまま動いたものが見たければ想像の中で漫画を動かせば良いだけのこと、そうではないものが観られて「チェンソーマン」という作品の世界が広がったなら、それはそれで素晴らしいことだと思えば良いのだ。

 しかるにアニメーション版を作り直して欲しいなどと署名まで集めている人のいくら名前なんて集めたところで一銭も寄越さない相手に版元やら権利元が何か動くはずもない。作り直したものが見られる保障もない一方で今の「チェンソーマン」は原作の漫画を読んでいない人にもクールでスタイリッシュでダークでグロテスクなアニメーションとして浸透している。時に静けさを波乱で緊張感を保ちながら進んでいく展開が爆発するようにバトルへと突入する緩急の素晴らしさ。漫画なら数個まで飛ばすところを淡々とじっくり描いてそこに世界があることを意識させる演出の奥深さ。どれをとっても今のアニメとして超特級の工夫がありその結果としての面白さがある。

 マキマさんの可愛いだけではない怖さもそな静けさを持った演出の中にこそ醸し出されるといった感じ。これがただの漫画の移し替えだったらこうも見入らなかっただろう。アニメーションが映像である以上はそこに強制的な時間の流れを作りだして見る人に突きつける。その案配が僕にとっては「チェンソーマン」は抜群で、ゆっくりなのに目を離せないところがあったりするのだ。あとはやっぱりエンディングが毎回変わるところが面白い。どんなアニメーションが飛び出してくるか、その楽しさがあるからなあ。なのにいった何が不満で署名なんかするんだろう。まったく訳が分からないけどそうはいってもすでにここまで創られた作品が、「ルパン三世」の第一作でもないのに大きく変わるはずもない。後はただどんな激しいバトルを見せてくれるかを、そんな展開が待っている終盤に期待して見ていくだけだ。

 やっぱり電気がつかないなかを布団に潜り込んでどうにかやり過ごして迎えた朝、家にいたって暗いだけなんで外に出てとりあえず幕張あたりまで出向いてしばらく原稿をカチャカチャ打って時間を過ごす。それからゴーゴーカレーで食べるとやっぱり金沢のターバンカレーで食べた本場の金沢カレーとは違った濃さを感じる。ターバンカレーもカレーの市民アルバももうちょっとマイルドなんだよなあ。どうしてゴーゴーカレーだけがこうも濃くなったんだろう。それを金沢市民の人たちはどう行け止めているんだろう。ちょっと知りたくなった。

 適当に過ごしてから三井アウトレットモールのビクトリノックスに行ってツースケースを購入。2泊くらいはできそうなヤツで上に前に買ったブリーフケースを載せるとビジネスマンの出張っぽくなる感じ。そりゃあダッフルバッグの方が中にたっぷり詰め込めるけれどそれで来週あたり、電気がないのをしのぎにホテルを回るのはちょっと流浪人っぽいからスーツケースくらいで見た目を整える必要があるのだった。まずは帰省に使って年末年始を過ごした後、戻ってホテルを転戦しよう。連泊だと過去に中国を回った時に9泊だか10泊だかををやっていたのでそれ依頼の長旅になるのかな。

 日刊スポーツ映画大賞が発表になって作品賞に「ハケンアニメ」が輝いた。毎日映画コンクールではまるでひっかかってないのにどうしてって気もするけれど、それだけ観る目をもった人が多かったとここは「ハケンアニメ」好きとして理解したい。助演男優賞には他にも出ていたけれども「ハケンアニメ」での好演も光った柄本佑さんが受賞。決して大ヒットした映画ではないけれど、それだけ映画好きの心に訴える作品であり内容であり演技だったってことだろう。映画では石原裕次郎新人賞に「今夜、世界からこの恋が消えても」に主演した道枝駿佑さんが受賞してて人気だけじゃない実力を示した格好。さっぱりとしてくどくない青年を演じてこれほど似合う人はいない。今後に期待。


【12月27日】 いつか幕張の千葉マリンスタジアムで見たパトレイバーのデッキアップを今一度、国際レイバー展が開催される幕張メッセで行うために修理や車検が必要なので、その費用を募るクラウドファンディングが始まったので電気がつかない家の中でiPadを手にして時間スタートと同時に応募する。狙いは7人分しかない出渕裕さんのトークイベントが最前列で聞ける権利付きファンディング。どうにかこうにか確保に成功してこれで2月21日のワンダーフェスティバルに行くことが決定した。

 もちろんチケットは購入済みだからあとは何時から始まるかを調べて、それに間に合うように入ることだな。さすざに朝一で並ばなければ間に合わない時間にはやらないだろう。出渕さんだってそんなに早起きではないだろうから。国際レイバー展自体がどんな感じで開催されるのか分からないけれど、前に幕張メッセ内でもデッキアップしていたから、あの高さならきっと中でも大丈夫だろう。ということは企業ブースあたりに置いてデッキアップかな。外で立ててそのまま外でトークイベントは流石につらいので勘弁な。

 講談社の漫画雑誌「イブニング」が来年の3月だかで休刊だとか。立ち上がったときから何となく手にはとっていたけど本格的には「もやしもん」が面白くなってから。それで読んでいたらなぜか雑誌が変わってしまって読めなくなったもののその後も「少女ファイタト」の連載が続いていたり「リウーを待ちながら」が連載されて読んでいたけどだんだんと「少女ファイト」が載らなくなって、それでも載る号だけを見つけて買ってはいたもののそれもなくなって今にいたる。なので休刊となっても個人的には痛手はないけれど、完結していない「少女ファイト」だけはどこかで続いて欲しいもの。「モーニング」に移るかマンガDAYSのネット連載になるか。

 新海誠監督の「すずめの戸締まり」がようやくにして興行収入100億円を突破したとの報。「君の名は。」の28日は異例としても続く「天気の子」でも34日で100億円に到達したのと比べると、7週目の43日だっけそのくらいはちょっとペースとしては遅い感じ。とはいえ見れば分かるように大変に重たいテーマを描いていて口コミによって人に勧めづらいところもあったりする内容を、それでも見るべきだと足を伸ばして見ている人がそれだけいるという現れでもあって、十分過ぎる成績と言えるだろう。<BR>
 あの庵野秀明監督が企画に携わっても「シン・ウルトラマン」は44億円止まりなのと比べると、3作品を連続して100億円超えに持っていったのはもはや新海誠監督が国民的なアニメーション映画監督になったという現れに他ならない。5本を立て続けに100億円超えへと持っていった宮崎駿監督が異例とはいえその跡目を名乗れるのも新海誠監督を置いて現時点ではいないだろう。細田守監督が本当だったら100億円超えを連発して欲しいところなんだけれどなぜか延びないのは所々に大人向けといった雰囲気が漂うからかなあ。

 原作つきなら中身的にはオリジナル要素が高くてもキャラクター人気のある「ONE PIECE」が延びるのはまあ当たり前。そして「呪術廻戦0」もやっぱり原作人気があっての100億円突破ってことでそれらとは違って完全オリジナルの作品を100億円超えに持っていくのはやっぱり凄い。それだけに次ぎに作るのがいったい何になるのかが目下の注目だけれど、公開されてまだ7週間しか経ってないうちにそれを言うのも野暮なので、今はまだまだ延びると信じて見守ろう。というか環さんの薄い本(違う)をもらいに行かないと。

 将棋の藤井聡太五冠が棋王戦の挑戦者決定戦で佐藤天彦九段に勝って渡辺明名人・棋王への挑戦を決めた。これで獲得となれば年度内の六冠も夢ではないけれど、その一方で羽生善治九段が挑戦者となって藤井聡太五冠の持つ王将位に挑んでくる。獲得すれば前人未踏のタイトル100期を達成する訳で誰もが注目の一戦をしのぎつつ棋王位を獲得できるのか。やってのけたらそれこそ羽生九段が今なお君臨するトップ・オブ・トップの座が完全に藤井聡太五冠に変わることになるだろう。2023年はそんな時代。続く才能は果たしているのか? 見守りたい。


【12月26日】 朝からネットで検索をして漏電ブレーカを修理してくれそうな工務店をどうにかこうにか見つけて連絡をとる。果たして漏電ブレーカーが間に合うか分からないしそれ以前に玄関まで本が積まれた部屋に入れるか分からないけれどもそれでも修理をしないとずっとカプセルホテル暮らしになりそうなので、どうにかしないといけないのだった。幸いにして年末年始を帰省して過ごすつもりなのでその間は部屋にいなくても大丈夫だけれど、前後に数日は過ごさなくてはいけなさそうなのでその際にどうやって寒さをしのぐかだけは考えないと。着こむかなあ。

 金沢で見かけた北國新聞の朝刊に小説化の西村賢太さんの遺品が石川近代文学館に収蔵されるとのこと。昨日に兼六園の帰りに立ち寄った場所でいろいろな文学者に関連するものがいっぱいあったけれど、その列に西村賢太さんが連なることになる。ご本人は東京生まれだけれど、私淑していたのが藤澤清造という文学者でその偉績を悼む「清造忌」を復活させたとか。その縁もある上に西村賢太さんが恩人と慕った井口哲朗元石川近代文学館館長の紹介で「北國文華」に寄稿しデビューした縁もあって寄贈先に決まったらしい。

 推敲したノートなんかが対象で芥川賞を受賞した「苦役列車」の草稿もあれば未完の長編「雨滴は続く」の生原稿もあったりと西村賢太さんという文学者を知る上で貴重すぎる資料ばかり。現代ではそうした資料も死語に散逸してしまう可能性が大きいけれど、こうして縁がつながると残るというのもその死は惜しまれるもののホッとする。藤澤清造関連の資料も段ボール箱50箱ぶんくらいあるそうで、常設コーナーを持っている石川近代文学館にとっても大きな価値を持つだろう。それを収蔵して残し続けるのも大変だけれど、それこそが文化を尊ぶ金沢の風土ってことで。
 いやあ参った、小林清志さんが亡くなったり水木一郎さんが亡くなったりしていろいろあったアニメーション業界でこの年の瀬に大物も大物のぴえろ創設者、布川ゆうじさんが亡くなったといった報が飛び込んで来て驚いた。少し前に東北の方で展覧会を開いて講演も行ったくらいで経営者を止めても個人的にアニメーション業界のために活動をし、若い人材の育成から作品の保全からいろいろ考えていた人だけにアニメーション業界にとって大きな損失と言えるだろう。何か持病があったとも闘病していたとも聞いてないだけに突発的な何かがあったのかもしれない。

 布川さんには日本工業新聞時代にネット向けに何か新しいサービスをするようなことを聞きにいって記事にしたことがあったっけ。当時訪れたのがどこのスタジオだったかもう記憶にないけれど中央線沿線のどこかで親切にいろいろと教えてくれたような気がする。軽く四半世紀は前のこと。その頃はもしかしたら今の僕より若かったかもしれない。すでに「うる星やつら」やらなにやらいっぱい作った大手だったけれど、その後も「BLEACH」や「NARUTO−ナルト−」といった海外でも人気の作品を作って大きくなっていった。

 「おそ松さん」も手掛けて一大ブームを巻き起こした。尖ってはないけど丁寧にしっかりと作る会社は同じタツノコプロ出身の石川光久さんが社長を務めるプロダクション・アイジーとは違っていたけど、そんな両者がいたからこその今のアニメーションの豊穣もあるんだろう。親しい関係でもないのでお別れの会とかましてや葬儀に出向くなんて事はないけれど、それでも遠くからそのご冥福を祈りたい。思えば布川さんがハブとなって実施にこぎ着けた「ラフ∞絵」をう展覧会を2019年4月に取材したのがリストラを食らってフリーになって最初の仕事だったなあ。そういう意味でも奇縁のある方。合掌。

 ポリゴンルックなんて呼ぶなら「トゥームレイダー」初期のララ・クロフトだとか「バーチャファイター2」のカクカクなキャラクターくらいを言って欲しいなあ。とあるインタビューで「ドラゴンボール」の劇場版最新作がセルルックなのが良いといった話の中で、ピクサーだとかディズーにとかがやっている降る3DCGのアニメーションをセルルックイン対してポリゴンルックと名付けていたけれど、業界の他の誰も知らなさそうな言葉でちょとt話題になっていた。「トイ・ストーリー」的なものはある意味でフィギュアニメ-ションであってそれが進化した今はパペットのストップモーション・アニメーションと見た目変わらないから、ポリゴンルックと言われると昔のポリゴンキャラが浮かんでイメージがズレるのだ。かといって他にどう呼べばいいか分からないのも難しい。知らず定着していっていまうかもしれないなあ。
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【12月25日】 暗闇の中を支度して鞄に荷物を詰めて新幹線で金沢へ。日曜日ってこともあって混んでいるかと思ったけれど、帰省ラッシュにはまだひっかかっていないのか割と空いてて3人がけのシートの他の2人はずっと来なかった。これならもっと広く使えば良かったかな。途中、群馬県あたりを走っている時は遠くに見えるあれは赤城山だろうか、雪がうっすら積もっていたけど街並みは平然としていたのに、長野県に入るとあたり一面雪の原になっていて、火曜日に行った新潟県みたいになっていた。さすがは信濃路、山の中。

 長野市を超えて糸魚川あたりに来ると見える日本海は冬っぽさ炸裂。近寄れば呑み込まれそうな寒さを感じさせたけれどもそんな中を漁に出ている漁師さんたちがいるから美味しい蟹が食べられるのだ。食べられないけど。富山を抜けて金沢へ入るともうそこは雪が歩道に積み上げられた雪国の体。実は小松までは来たことがあっても金沢で降りるのは初めてだった上に冬の北陸も来たことがなかったので、やっぱり雪が降るんだと関心した。こんな場所で4年を過ごして細田守監督も、東村アキコさんも立派に世の中に羽ばたけたなあ。鬱屈が逆に想像力を高めるのか。

 いやいや金沢は元より文化の地。歩いていてみかけた石川四高文化交流館の石川近代文学館に入るとたとえば泉鏡花だとか徳田秋聲だとか室生犀星といった三文豪をはじめとした金沢や加賀能登にゆかりの作家がずらりと紹介されていて、中にあの島田清次郎もいればその島清を題材に作品を書いた杉森久英もいて五木寛之やら山田詠美やら本谷友希子やらと古典から現代から最先端までが並ぶ文豪達の住処だったみたい。

 まあかき集めればどこにだってそれくらいいても不思議はないけれど、文学館が設置してあるナンバースクールの旧制第四高等学校自体がそうした文豪たりを生み出し、文芸誌を出し続けた伝統があるみたいで、決して広くはない街でのそうした取り組みの中から街全体に文化を称揚する空気が漂っていて、それが大勢の文筆家を生み出す土壌になったんだろう。岸田幾多郎とか鈴木大拙とかが同門同期でいたらそりゃあ発憤するよなあ。面白かったのは永井豪さんのお兄さんが最後の旧制第四高校の卒業生だそうで、豪さんが寄せたイラストがあってそれがどう見てもあばしり一家の菊ちゃんのような女顔。いたらきっとみみくちゃにされただろうなあ、四高の姫とか言われて。

 冬の金沢といえばやっぱり兼六園だろうと向かう前に立ち寄った大和で開かれていた「けものフレンズSHOP in KANAZAWA」を見物。初期の等身が愛らしいフレンズたちがずらりと並ぶポスターがあってそしてマーゲイとキンシコウのパネルがサイン入りで飾ってあって1期の頃の熱がむわっと蘇る。あのまま歴史が進んでいたらと振り返っても詮無いけれどもいつかといった思いは未だに持っているのだった。そこを出て兼六園へと向かう途中のターバンカレーで金沢カレー。まあゴーゴーカレーで食べてはいるけどルーが濃いめになってるゴーゴーとは違いここん家はカレーの市民アルバのような味だった。こっちが普通なのかもしれない。

 兼六園は雪景色。歩くのにも苦労したけど池が雪で囲まれているのは早々見られるものではないので来て良かった。あれが雪吊りか。初めて見た。そのまま外に出て金沢21世紀美術館でイヴ・クライン展。なぜか具体の白髪一雄とかが飾ってあってどうやら表現の技法に関係があるみたいだった。脚で描くとか体で描くとか。クリスマスってこともあってカップルでやってくる客の多さにムラムラ感も募ったけれどもそういう年頃でももはやないので横目で眺めてああやっぱりイヴ・クラインは青いなあと思うひとりきりのクリスマス。来る君などずっといない。

 ネクタイを忘れてきたのでどこかで買おうと香林坊から近江町市場の方へと歩いていたら「機動戦士ガンダム THE ORIGIN展」の文字が見えたので会場へと飛び込んでザッと見る。前に所沢で見たのよりは規模は少し小さめかな。それでも安彦良和さんが描いた絵が間近に見られてやっぱり上手いなあと感動するのだった。「Trajectory of works 1979−2022 安彦良和〜創作の軌跡」って本が出ていて、どうやら「ククルス・ドアンの島」の公開時に並んでいたそうだけれど気づかずやり過ごしていたのを改めて購入する。高千穂遥さんと対談しているなあ。あとは厚手の紙に保彦さんの原稿をプリントしたボードが出ていたので1枚購入。金沢土産になりました。どこが?


【12月24日】 電気が止まるいつもみたいに電気の使いすぎでブレーカーが落ちたかと思ったら漏電ブレーカーの方で、そういえば前にも落ちたっけと幾つかコンセントを抜いてブレーカーを上げようとしても上がらない。随分と抜いてもダメでいったいどこがと個々の部屋ごとのブレーカーを全部降ろしてもやっぱり落ちるのでこれは漏電ブレーカーそのものがイカれたのかもしれない。あるいは埃の積もりすぎなのかもと想像したけれど、考えていてもらちが明かないので外に出て、ビックカメラで大きな懐中電灯兼ランタンとエアダスターを買う。

 そのままいつものVELOCHEでカツカツと原稿を打っていたら隣に来たおっさんがひとりでブツブツというタイプの人で、気になるかと思ったけれどもクリニック通いのおかげかそういう人もいるよね程度の気分で乗り切る。合間に「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」の最終回を見たのが良かったのかもしれない。教習所とは名ばかりの交通刑務所でドヤされながらも学んだモルカーたちは路上教習も終えて無事に卒業。ひとりひとりとの別れが待っていたけど鬼教官は怖がられてばかり。

 そんな中でも教習車モルカーは寄り添ってくれて2人で教習コースを猛ダッシュ。良いのか? でもちゃんとしっかりコースを逸れずに走るところは教官ならでは。そんな教官とモルカーとのなれ初めも紹介されてどうやら昔は映画に出て走っていたモルカーだったらしい。「マッドマックス」的な映画。ってことは鬼教官は本当はメル・ギブスン? まあそこは想像の中で。卒業マーティーには1期にも登場したタイムモルカーも現れ教習を受けていたモルカーと仲良さげ。ってことは……。そんな仕掛もあって楽しい最終回でありました。

 第1期はモルカーがストップモーション・アニメーションとして動く仕草の愛らしさと、そして描かれた人間のクズっぷりとの対比がまずは話題となって、そしてモルカーたちが繰り広げる映画のパロディ的な展開が受けて爆発的な人気を呼んだ。そんな状態で見里朝希さんがスーパーバイザーに上がって監督を引き受けることになった小野ハナさんも相当なプレッシャーだったと思うけれども、前々からあったという教習所のアイデアを引き取りつつ教習所あるある的なネタを入れつつモルカーとドライバーである人間との絆とうものにスポットを当ててモルカーをグッと近い存在にしてくれた。

 やや難解なところもあったけれども期間の短い中でよく作り上げたというか、見る人たちがすぐさまモルカーの名前を覚えて誰がどうだといった反応を示せるようなリテラシーを獲得していたこともうまく働いたようで、放送されればトレンドに上がる作品になった。最終回も上々の仕上がりで、これで制作したUchuPeopleの名前もアニメーション業界にしっかりと刻まれたことだろう。「ポプテピピック」第2期での「脊髄ぶっこ抜き音頭」のシュールさも乗って今やドワーフに次ぐくらいの知名度かも。そんな状況で次にいったい何を作ってくれるのか。一方の見里監督がスーパーバイザーに上がりながら別に何を作っているのか。いろいろと楽しみ。

 帰宅してブレーカーの蓋をあけて埃をエアダスターで飛ばしていろいろといじっていると少しだけ漏電ブレーカーが上がるようになったけれど、すぐに落ちてしまう状況が続いてこれはどうにもならんと諦める。それでもがんばっていじっていたら、割と長い間上がってくれるようになったのでその間に電気毛布で暖まった布団に潜り込んで睡眠。途中で落ちたみたいだけれどもそこは気にせず寝続ける。正月だからさすがに電気屋さんも来てくれないだろうし、明日明後日と出張で外に行くので年末は2日くらいこのまま乗り切り実家に帰ってやり凄そう。でも年明け早々に長い原稿を書かなきゃいけないんだよなあ。それをどうするか。いっそ実家で書き上げるか。悩み中。


【12月23日】 午後にオンライン会議があるので遠出をせずに近所のフレッシュネスバーガーで原稿書き。前に比べてちょっとずつ高くなっている感じでインフレの並はここにも及んでいると実感する。300円台のフードメニューが前はいっぱいあったのになあ。まあ仕方がない。コーヒーのおかわりサービスを始めたみたいで長時間いるのになかなか良さそう。あんまりお客さんも来ないんでまた少し利用し始めるか。最近は電源を整備するようになたVELOCHEにばかりこもっているから。

 電源と言えばガストとかすかいらーくの系列から電源が取り外されたというか使えなくされたといった報告が。VELOCHEのような喫茶店とは違ってフードメニューも出してそれで稼いでいる店が電源のためだけにドリンクメニューで長時間利用されるのはかなわないといった考えに陥ったのかもしれないなあ。でも電源がなくたって長時間居座る人は居座る訳でそういう人たちに何も頼まないで居座らないで下さいとは言えない店が、電源利用者でも気をつかって頼む人を排除して果たして良いのかって問題が浮かんできそう。どんな結果がでるのやら。

 ゲームのウィザードリィなんてやったことがないのに、ウィザードリィ小説で熱狂的な支持を集めるベニー松山さんと、「ゴブリンスレイヤー」の作者でこちらもウィザードリィのファンという蝸牛くもさんの対談を取り仕切ることになってよく分からないまま必至に食らいついていった原稿がアップされて評判になっていたのでホットする。まあ分からないところはご当人たちに埋めてもらった感じもあるのでこちらは流れを整えた程度だけれど、そんな記事でも反響が凄いのはそれだけ世の中にウィザードリィというゲームをAIしている人が大勢いるってことなんだろう。それなのに初期のシリーズは権利問題があって遊べないらしいこの不幸。権利は発展を縛る。

 なのでベニー松山さんは、ウイザードリィ小説の金字塔ともいえる「隣り合わせの灰と青春」からウィザードリィ的な用語を外してダンジョン冒険ファンタジーとしてコミカライズを行った模様。リイド社のウエブマガジン、コミックボーダーから配信されると伝わるやいなや世間が震撼し大騒ぎしたってことはそれだけ「隣り合わせの灰と青春」が広く浸透していたってことになるんだろう。ウィザードリィ要素を外したことには、権利問題が知れ渡っていることもあってか仕方がないといった反応があって、それを外して読んでも伝わってくるもんがあるという意見が結構あった感じ。もちろん耳慣れた呪文も人名も変えられていて戸惑う人もるけれど、物語が持つ力によってねじ伏せていくだろう。蝸牛くもさんが願っていたように続編のコミカライズもこれであるかな。

 夜になったのでチケットをリセールで購入した「LUPIN ZERO」の第1話から第3話までの上映会を池袋まで観に行く。第1話と第2話はすでに見ていたけれど第3話は所見。とはいっても酒向大輔監督とシリーズ構成の大河内一郎さんにインタビューする際にシナリオは読んでいたので、ヤツが出ることは知っていた。それが過去に倒叙空いたヤツなのかは想像におまかせといったところらしいけれど、何かが正解というよりどれでも正解のシリーズとしてその時に扱う人がその時ならではの設定を盛り込んでは盛り上げて良いって認識はシリーズの延命にとって良いことなんじゃないかなあ。凝り固まって矮小化していくと先細尻を擦るから。ガンダムだってそれで生き延びた訳だしね。

 上映後のトークには畠中祐さんと竹内駿佑さん、そして行成とあさんが登壇してそれぞれのルパンへの思い入れを語っていたけど中では行成さんが本当に好きそうで、あんまり登場場面がないしのぶという役でもご指名で出られて演じたことを大喜びしていた。そういう人って多いなあ。竹内さんは素でも次元のような格好良さ。それで声優だけやっているなんてもったいないので福山雅治ばりの俳優になっていけば良いのに、それはそれで事務所だとか人脈の問題もあるんだろうなあ。だからいい顔を隠してククルス・ドアンなんておっさんを演じるのだった。畠中さんはやんちゃぶりが愛らしくって人気が出そう。次代の梶裕貴さん? 見守りたい.



【12月22日】 寒いけれども家にいると電気毛布にくるまったままさなぎになてしまうので、がんばって家を出てやっぱり大手町あたりまで行ってSTARBACKSに入ってチャカチャカと原稿を打つ。2022年のライトノベルを振り返るような記事だけれども他でも似たような原稿を書いているので趣向を変えて、新人や新シリーズをメインに取り上げていく。こういうのってよほどじゃないとなかなかランキングにも挙がらないし「このライトノベルがすごい!」にも入って来ないから。ライトノベルでバズるような現象が少なくなっているなあ。

 2時間くらいかけてどうにか仕上げて送ったのでSTARBACKSを出てリトル小岩井をのぞいたらやっぱり行列ができていたので地下鉄半蔵門線で渋谷まで出てガード下にある餃子の王将でチャーハンのセットを食べて中華な気分を満足させる。やっぱりそれなりの味をしっかり出してくるなあ。センター街に渋谷餃子の見せもあるけどそこのチャーハンはやっぱりどこか味が染みてないような気がするのだった。日高屋のチャーハンも悪くはないけどやっぱり王将が大阪も含めて美味しいのだった。

 少し時間をPRONTで潰してからスペイン坂を上がって渋谷パルコの横を抜けた場所にあるギャラリーで開かれているMikaPikazoさんの展覧会をのぞく。もう始まって結構立つけどぎっしりと人が来ていて相当な人気。イラストレーターではあるものの作品をただポスターみたいにするんじゃなく、アクリル板にプリントして透明感を出したり背後に花を添えたりしてアート感を出している。別のカンバスにプリントした作品は別のアーティストのペイントを施したコラボに仕立てて独自性を出している。イラストレーターの版画的な展開は割とあるけどこれはちょっと珍しい。元がアーティストであるMikaPikazoさんならではの表現への探求がそこにあるんだろう。

 ご本人が在郎していたので前にインタビューをしたこともあってとりあえずご挨拶。買った画集を見せたら喜んでくれた。インタビューでもはきはきとして答えてくれた方だったけれど実際にお目にかかっても元気で陽気。あれだけ大きくアクリル板に伸ばしてシャギーとか出ないのって聞いたらそれくらいでも耐えられるよう最初から大きく描いているとか。考えているなあ。でもそういうのを描けるんだ。だとしたらもしかしたらカンバスにだって筆で描けるかも。そういう作品を創作してくれるかは分からないけれど、デジタル時代にデジタルツールを利用して活躍しているアーティストなら、それなりの戦い方もある。そんなひとつの形を見せてくれる展覧会だった。次は何を見せてくれるかな。

 渋谷から有楽町へと出て丸の内ピカデリーで「かがみの孤城」の前夜祭的な上映会をのぞく。原恵一監督がクリスマスならではのセーターを着て登場していた。あとはこころを演じた當真あみさんと北島先生を演じた宮崎あおいさん、そしてオオカミさまを演じた芦田愛菜さんが登場。そして原作の辻村深月さんも登場して並んで作品についていろいろと語ってくれた。當真さんは声優が初挑戦だったけれども役にマッチして不安と苦悩を抱えながらもがんばろうとしてあがく少女の声をしっかり演じてくれていたし、芦田さんはやっぱりな巧さでもって小さいけれども強気なオオカミさまをピッタリの感じに仕立て上げてきてくれた。

 そんなオオカミさまが倒れたこころの脚をつかんで引きずるシーンの力持ち具合に力持ちだろうと自分で突っ込むオオカミさまが面白かったけれど、ストーリー自体は中学生ならではのどこかなじめず虐められてもいたいり別のハラスメントを受けていたりする状況への苦悩が感じられて、同世代なら辛いかもと思わざるを得なかった。でもそれを受け止めて見ていくことで乗り越える気持ちを得られる映画であることも確か。それは同じ原恵一監督の「カラフル」とも通じるテーマだけれど、絵がちょっぴりピーキーだった「カラフル」に比べて児童書の挿絵っぽくして振れやすくしていたところは小中学生に見て欲しいという気持ちがあったからなのかもしれない。その期待に応えて入るのか。原恵一監督は本当に興行成績を気にしていたのでがんばって何度か観に行こう。入場特典のポストカードが示すアフターストーリーも全部見たいし。


【12月21日】 毎日映画コンクールの候補作品が発表になっていて、アニメーション部門もアニメーション賞と大藤信郎賞へのノミネートが発表。長編アニメーション映画だと湯浅政明監督の「犬王」に安彦良和監督の「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」、いしづかあつこ監督「グッバイ、ドン・グリーズ!」、新海誠監督「すずめの戸締まり」、そして今年最大のヒット作となった谷口悟朗監督「ONE PIECE FILM RED」が入ってそれなりのラインナップぶりを見せた感じ。個人的には「地球外少年少女」とか入って欲しかったけれどもあれは映画化といわれると迷うしなあ。あとは「夏へのトンネル、さよならの出口」か。

 短編アニメーションだと見知った感じでは幸洋子さん「ミニミニポッケの大きな庭で」に和田淳さん「半島の鳥」、石舘波子さん「わたしのトーチカ」とそれから若林萌えさん「サカナ島胃袋三腸目」、そして「高野交差点」あたりが映画祭とか上映会で見た作品。「駐車場でアメを食べたね」も見たかなあ。ほかにもいろいろとあってどれが取るかと言われるかと迷うけれど、大藤信郎賞あたりに「わたしのトーチカ」が入るとちょっと面白いかも。監督がスタジオコロリドから東京藝大院を経てNetflixという経歴で注目されているし。どうなるか。

 家にいると寒さで布団から出られなくなるので早くに出て地下鉄で大手町へ。リトル小岩井で食事をするにはちょっと早かったのでSTARBACKSでコーヒーを買って電源付きのシートで原稿書き。ライトノベルの紹介ページに入るネームを埋めるもので、どうにかやったと思って送ったら夜になってもう半分ページがあることが分かって午前様になりつつ仕上げておくって1本完成。今月はほかに2本あったけれどもそれも送ってどうにかこうにか締まった。とはいえ他にも幾つか仕事が残っているので仕事納めとはいかないし、そもそもが年明けの大仕事に備えて下準備もしなくちゃいけないから休まらないのだった。そういうものだよ人生って。

 STARBACKSを出てリトル小岩井を見たら行列で、他の店にも長い行列ができていたのでこれはもう他で昼ご飯にしようと思い池袋に向かって途中で調べたら、到着してすぐくらいにTOHOシネマズ池袋で「かぐや様は告らせたい−ファーストキッスは終わらない−」が見られそうだったので昼ご飯を脇において飛び込んで見る。冒頭から四宮かぐやが子供化してまぬけになっていて可愛らしかったけれど、途中から氷のかぐやになって会長に向けて辛辣でなかなか愉快だった。

 それもこれも言い出したいのに言えない気持ちのすれ違いが起こっているからで、傍目に見ているとお互いに奥手過ぎてそれがとてもお可愛いことで背中がムズムズして心がキュンキュンさせられ脳にグサグサと来る。これを配信とかテレビで見ていると居たたまれなくて席を立ちそうになってしまうから、逃げ出せない劇場で見られて良かった。原作も終わったことだしアニメの方もこれで完結となってそして実写の方もまとまったから「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」はこれでコンテンツとしてはひとつの終着ってことになるのかな。書記にはアニメも実写ももっと暴れて欲しかった。そんなスピンオフを赤坂アカさん原作で誰か書いて展開するなんてこともあるのかな。見守ろう。

 そのまま地下鉄で大手町まで来たらちょうどリトル小岩井が空いていたのでちょっとだけ待って中に入っておすすめとかいうクリームパスタにベーコンとブロッコリーとかぼちゃがのったものを食べる。なかなか美味しい。イタリアンとかだと麺がやや茹で過ぎな感じがあるしジャポネとだと油が濃いけどクリーム系はその辺が緩和されて食べやすいのだった。年内に行くことはもうないだろうけれど年が明けたらまた行こう。大手町の会社に30年くらい通勤していた時は1度しか行かなかったのに今年は5度とか6度はいったなあ。そういうものだよ人生は。


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