縮刷版2022年12月中旬号


【12月20日】 「スレイヤーズ!」の渡部高志監督が、今の原画の人は動物の四本足とかが描けないとつぶやいていたので、昔聞いた「科学忍者隊ガッチャマン」で作画監督なんかを務め、それからディズニーに移ってキャラクターデザインなんかを手掛けていた宮本貞雄さんがデジタルハリウッド大学院での講演を引っ張り出して観察の大切さを振り返る。宮本さんはディズニーで「ライオン・キング」「ポカホンタス」「ターザン」といったアニメ映画に関連したグッズの絵を描く仕事を手掛けていて、その時に動物だけれどデフォルメされたキャラクターをどう描くかを腐心したらしい。

 動物のキャラクターが登場するアニメでは、大量に図鑑をそろえ、動物園にも通って動きを確かめたとか。それでもって外見だけでなく、筋肉や骨格まで想定してスケッチしながら、アニメのようなキャラクターに近づけていったという。「必要なのは審美眼。この動物の1番いいところを発見すること」だと宮本さん。そううやって描かれた絵は、ただうまいだけでなく、躍動感があり、生命力がにじむものになっている。

 アニメーターについても、現場で動物が出てくるような作品が立ち上がると動物園から講師を呼んで話してもらったり、時には動物そのものを連れてきて動くところを見せるとか。そうやって教えつつアニメーターも学んで動物の動き方を習得しているのに対して日本はどうなんだろう、ってこと。キャラクターの表情は得意ですばらしくてもそうした人の動き、ましてや動物の動きなんてものは意識しないと描けないものなあ。それができれば食いっぱぐれがないかというと、そういうアニメーションも少ないだけにやっぱり大変なのかもしれない。難しいなあ。

 仕事で新潟へ。とてつもない積雪で車が300台以上立ち往生していて人も亡くなっていると聞いてどんなものかと思ったら、浦佐駅前はしっかりと雪が積もって田中角栄先生の銅像にも屋根にしっかり積雪があった。ご本人にかぶらないよう屋根を付けるあたりが新潟三区というかそもそも浦佐駅がって話もあるみたいだけれど、越後湯沢と長岡の中間点でもあるからそこに作られて五日町六日町あたりへと行くのにはちょうど良いって説もある。ただしやっぱり駅前は岐阜羽島以上に何もなくて駅前の食堂くらいしか食べる場所もなくって大変だった。

 そこから車で20分くらいのところで仕事をしたんだけれど、途中の道路がセンターラインのあたりから水が出ていて雪がどんどんと溶けるのがさすがや雪国。メイン道路だけでなく脇道路地までしっかりと敷設されていて、これなら車でも出かけるのには困難はなさそう。ただし列車は上越線が長岡方面で動かずストップ。本来だったら越後湯沢から上越線を利用しようと思っていたけどそれもかなわなかったので、浦佐駅待ち合わせにして正解だった。来週の金沢も雪が降ってそうでどうなるか。雪の兼六園は楽しみではあるけれど。

 バンダイスピリッツがサンライズって会社を買収したとニュースにあって、もうとっくに買収しているじゃんとよく読んだらアニメーションのサンライズとはまるで無関係のぬいぐるみの会社だった。そこを買収してバンダイナムコヌイって会社名にするらしい。ってことは次ぎにキャンディトイの会社を買収したらバンダイナムコアメで下着メーカーだとバンダイナムコパンツになるんだろうか。そこまでいろいろ買収するとは思えないけれど、そうしたプラットフォームにキャラクターを乗せてこそのビジネスモデルだからあるかもしれない。サンライズでいうならシネアドの会社があるから買収をするなんてありかな、でも会社は創通に合併が良いだろうなあ。


【1月19日】 そして見始めたFIFAワールドカップ2022カタール大会の決勝「アルゼンチン代表vsフランス代表」はいきなりフランスがペナルティエリアでアルゼンチンの選手を倒してしまってPKを献上し、それをリオネル・メッシ選手が決めて大会得点王にぐっと迫るとともにアルゼンチンが1点をリードした。そしてさらに1点を加えて前半が終わって2対0。これはもう決まったと思ったら甘かった。何しろ相手はフランスといかエムバペ選手、後半になってかかったエンジンが一気にマックスまで吹き上がる。

 ドカンと1発ゴールネットに突き刺しそしてフランスの反則をそのまま返したようなアルゼンチンのファウルで与えられたPKをエムバペ選手が決めてこれで2対2の同点に。そのまま延長戦へと突入してPK戦かと思ったところでするっと抜け出したアルゼンチンの前線でのボールがメッシ選手の前に落ちてこれを決めて1点リード。得点王をふたたび手にすることは確実と思われたその後に、ハンドのファウルでフランス代表にPKを献上してしまって2度目のエムバペ選手によるPKが決まって同点に追いつかれつつ得点王もエムバペ選手に行ってしまった。

 あとはPK戦の緊張感にどちらが潰れるかが勝負の分かれ目。解説の本田圭佑選手は1994年のアメリカ大会でロベルト・バッジョ選手がPKを外してブラジル代表に優勝を献上してしまった過去を例に挙げ、トップ選手は外すんだよねって話していたもののそこはトップオブトップだけあってメッシ選手もエムバペ選手もしっかり決めた。この日3回目のPKでもしっかりと突き刺すエムバペ選手、凄まじい集中力と技術力。これで成長したらいったいどれだけの爆発力を持った選手になるんだろう。次の大会が楽しみだ。

 あとはGKと選手の勝負というところでアルゼンチン代表が次々と決めるのに対してフランス代表選手は外しまくって万事休す。アルゼンチン代表が1986年のアルゼンチン大会に続く36年ぶりのワールドカップを手にしつつ、メッシ選手に初の栄冠をもたらした。これでマラドーナ選手に並んだとも言えそうだけれどその衝撃からすればやっぱりマラドーナ選手が凄すぎて何とも言えないところが難しい。とはいえ21世紀において最高の選手であることは間違いない。誇りをもって良いだろう。あとはだからエムバペ選手がどれだけの選手になっていくかってところかな。

 そんなメッシ選手とエムバペ選手にネイマール選手が同じパリ・サンジェルマンというのも凄いなあ。カタール投資庁からお金が入っている金満チームとはいえ、それだけの実績をクラブの内外でしっかり残している。 1980年代から90年代頭にA.C.ミラインの躍進があってイタリアのセリエAこそが志向とみられその後にオーウェン選手やベッカム選手が出て来てリバプールやマンチェスター・ユナイテッドに注目が集まり、そしてジダン選手にベッカム選手にフィーゴ選手といったきら星のような選手が集まったレアル・マドリードがクラブチームで世界屈指の人気を誇った。その後はやっぱりバルセロナFCって感じだったけれどここに来てパリ・サンジェルマンが目下の世界ナンバーワンクラブチームって感じ。そうやって移り変わっていく流れはけれどもドイツのブンデスリーガにはいかないなあ。質実剛健に見えてしまうのかなあ。
B  起きてクリニックの寄ってから船橋中央図書館で3時間ばかり原稿書き。とりあえず流れを作ってから場所を変えてVELOCHEでだいたいの形を整え、休憩をしてイオンモール越谷レイクタウンでアウトレットを散策してから戻ってフィニッシュへと持っていく。これでいいかは知らないけれどもとりあえず締切は守った。とはいえ残る年内の原稿はまだ両手に余るくらいありそう。着々とこなしていくしかないんだろうなあ。そんな気でネットを見ていたらあの「フォトン」がBlu−ray化されることが分かってヒャッハー。LDで全巻揃えたOVAでとてつもなくアクションとそしてギャグとお色気が満載の傑作アニメーション。これは買うしかないよなあ。エンディングの歌も凄まじいし。


【12月18日】 荷物が届く。「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」の第11話で手描きのアニメーションを担当していた米谷聡美さんとそれから久保雄太郎さんが前にWIT STUDIOで手掛けた長編アニメーション「とつくにの少女」のDVDがセットになった番外編で画集とか入って意外と大きなボックスだった。見るのはたぶん先になりそうだけれど、「モルカー」でも披露されたように2人のアニメーション作家の腕前を知っているだけに、きっと素晴らしいものになっているんだろう。

 それこそ劇場で見たいくらいだけれど商業アニメーション的な作られ方をしてしまうとアート系のアニメーションが上映される場に持って来られにくいんだよなあ。今年3月発売なのでそれこそ東京アニメワードフェスティバルとか新潟国際アニメーション映画祭にエントリーされていれば受賞して見られるんだけれどそういった配慮がWIT STUDIOにあるのかどうか。「SPY×FAMILY」の宣伝には忙しくても「とつくにの少女」には手が回ってなさそうだよなあ。前の第8巻についたアニメーションがどこかで上映されたって話も聞かないし。

 TAAFや新潟国際アニメーション映画祭ならもう1本、先だってフランス映画祭2022横浜で上映されたアラン・ウゲット監督の「イヌとイタリア人、お断り!」もエントリーからの受賞となって上映されて欲しいもの。ようやくインタビューが掲載されたけれどバズるような感じでもないだけに知られず見られないまま取り過ぎてしまいそうな気がしてならない。お隣の韓国では富川国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞したりしたから話題になっているんだろうけれど、日本では見た人が本当に少なすぎるのだ。

 見れば絶対に戦争だとか貧困だとかに起因するような差別への警鐘が浮かぶはず。「歴史に学べ」とアラン・ウゲット監督も話していただけに、このいろいろときな臭い時代、過去の歴史をまるで無視して同じような道を歩み続ける日本にこそ必要な映画って気がする。あとはストップモーション・アニメーション流行りなところもあるからその線でってこともあるけれど、アラン・ウゲット監督自身はそうした物質的なものへのフェティッシュは抱いてないようで、動けばそれはアニメーションだという考えの下で次はCGを使ったアニメーションを作るみたい。それもまた考え方のひとつ。紙に描いた絵が動いているのだってストップモーション・アニメーションからすれば物体じゃない訳で、けれども凄くて主流になっているのだから。

 荷物を受け取ったので家を出て近所のVELOCHEでウィザードリィな対談のテープ起こしからの原稿まとめをしこしこと。とりあえず半分くらい仕上がったのでそこを出て、別のVELOCHEへと移ってどうにかこうにかフィニッシュまで持っていく。早い時期での公開がより高いインパクトを与えるだけにちょっとがんばった。たいした原稿料にはならないけれどもそれで喜ぶ人がいるならがんばるのだった。半ばリタイア気味でとりあえずしばらくは食べられるお金もあるので出来るお仕事でもあるか。別にもう1本、仕上げたインタビューもあるのでそちらもおっつけ公開されるだろう。話題になると良いな。

 Tverなんかで「M−1グランプリ」の今年の優勝者となったウエストランドの漫才を見たら悪口言いたい放題だった。あるいはそのカテゴリーにあるある話。畳みかけてくるのは凄いし特定個人をあげつらっている訳でもないのであるあるといった感じでスルーできるけれど、ちょっとパラメーターを変えるとヤバい領域に行きそうなので案配が必要かも。同じ事務所の先輩にあたる爆笑問題がそうした固有名詞をあげた悪口に進化していってちょっとしたウザさを感じるようになったのに近いか。爆笑問題はそこを社会批評の領域に引っ張り込んだから生き残っていられるけれど、身近な人気者を論って悪口をぶつけるだけだと飽きられるからそのあたり、どう転がっていくか見守ろう。


【12月17日】 家にいると寒いので早くに家を出て茅場町のVELOCHEに入って15日に取材したオンラインでの対談のテープ起こしをして過ごす。1時間の対談でも起こし始めると3時間はかかってしまうのはニュアンスだとかも拾いながら書いていくから。それを自動でやってくれる装置も出てはいるけれど、使ってどれだけのクオリティが出せるか分からないのでまだ試してないのだった。もうちょっと長いテープ起こしだと試してみた方がいいかなあ。

 時間も適当に経ったので場所を移動して池袋へ。「ガールズ&パンツァー」の10周年記念展が始まったってことで当日券を確保してまずは現地に入ってサンシャインの中にあるロメスパのバルボアで焼きカルボナーラを戴く。ホワイトソースがかかったような味でも焼いてあると雰囲気が変わってなかなかに美味しいのだった。ぱすたやさんのカルボナーラも悪くはないんだけれどね。でもってちょっと時間があったので別のVELOCHEに入ってテープ起こしの続きをやって、どうにかこうにか仕上がったので文化会館の会場へと出向くとボコがいた。

 やーってやるやーってやるって感じにイキっていたのでみんなでボコボコにしたかというと、そこはお障り禁止なので遠巻きにして写真を撮るだけだった。指定の時間からだいたい15分くらいで中に入ってあんこうチームだとかのご挨拶を眺めつつ入っていくとそこにはずらりとアニメーションの原画が。名場面を抜きつつそれに作画監督の修正を添え、さらに総作画監督の修正も添えて美麗な原画であってもそれを修正によって少しずつ変えトーンを整え映像になるような絵に仕上げていくことが分かる。

 一方で原画は原画でたとえばみほが戦車の上を飛んで移動するシーンなんかを全部並べてちゃんと絵で描いて動かしているんだと分かるようにしてある。あんこう踊りのシーンなんかもそう。そうしたアニメーションならの連続する上でもって動きを表現しつつ、作画監督や総作画監督の修正を載せていくことでクオリティをアップし保っているというアニメーション制作の工程が、展示から伝わってきてアニメーター志望者は必見といった感じだった。

 なるほど人気キャラクターのアップの原画を並べてほらカッコ良いでしょてやるのも悪いものではないけれど、それなら版権イラストを並べたって同じ事。アニメーションならアニメーションの素材を補完しておいて、どのように描かれているのかを見せることによって伝わる苦労があり成果がある。そのためには大変だけれどカット袋単位で保管しておかなくてはいけない訳で、「ガールズ&パンツァー」くらいに人気が出ればそれもやってみようという気になるけれど、当初の「ガルパン」がどれだけの人気があったかを考えるた時、将来を見越して残しておいたアクタスは偉かったってことになるのかな。

 あひるさんチームとかうさぎさんチームとかいろいろなチームのパネルも間近に見てやっぱりバレー部は大きいなあ(どこがとか聞かない)と思いつつキャプテンの愛らしさにもそれはそれで感じいりつつグッズ売り場では何も買わないで会場を出て池袋から新宿へ。昨日に関連本を読んだ関係で「THE FIRST SLAM DUNK」の井上雄彦さんによる修正の効果を確かめようと思って新宿バルト9のドルビーシネマ上映を見る。今回も湘北が勝ってしまった。10回くらい見ると負けて相手に譲ってやっても良いって思えてくるくらい、白熱のゲームが繰り広げられた。

 その中で例えばゴリと山王の河田雅志がにらみ合うところとか、下目づかいなゴリの虚勢と顔をむけて睨む河田の相手を対等と見た雰囲気がしっかりと感じられた。そうではなかったどうなっていたか。それを知ることはできないけれど、それを思わせないくらいベストな試合とそして物語を作り上げた井上雄彦さんの監督ぶりにあらためて脱帽する。映画もドルビーシネマというプレミアム上映であるにも関わらず大盛況。これは100億円も夢では無いなあ。


【12月16日】 仕事があったので松本へ。午前6時53分に船橋駅から出る特急あずさに乗るとそのまま松本まで連れて行ってくれるのでとても便利。10時半過ぎにはついてしまったのでとりあえずソロ国宝展としゃれ込んで松本城を見物に行く。15分ほどで到着したらどこかの中学生が松本城をバックにアルプホルンを吹いていた。ハイジは踊っていなかった。何か中学生だか高校生だかを総動員して松本の観光をアピールするイベントをあちらこちらで開いていたみたい。ちょっと楽しそう。でも音階はとれていなかったなあ。これから上手くなるのかな。

 松本駅へと戻る途中にあったどんぐりという名前の洋食屋でお昼ご飯。スパカツ定食という70年続くメニューを頼む。スパゲティナポリタンとトンカツが皿の上に乗ってキャベツもどっさりというプレートにライスとスープがついて1350円はまあ高いけれど、ボリュームたっぷりな上にちゃんとしたトンカツにスパゲティなのでたまに食べるには嬉しいご馳走って感じかも知れない。普段はむしろハンバーグとか海老フライとかを頼むのが良いのかも。次ぎに行く機会があったらそっちにしよう。

 前に来た時はあまり見えなかった北アルプスがのぞめたけれどまだ冠雪といった感じじゃ無くて、12月の松本ってのはこんな感じかと理解する。来週は新潟の五日市に行くんだけれどそっちはどうなんだろう。やっぱり豪雪なんだろうか。去年今年といろいろと出かける機会が多いので各地の気温が気になって仕方がない。昔は新聞にスキー場の案内が乗っていてどのスキー場は積雪どれくらいって情報が載っていたから何となく雰囲気が分かったけど、新聞は読まないしそうしたスキー場情報も見なくなった。ネット時代で世界は広がったけどリアルな理解は公開したかもなあ。

 仕事を終えて帰りのあずさの中で聖悠紀さんの訃報を知る。お体を悪くしていたのでいつかはという予感もあったけれどそれこそ40年以上読んで来た「超人ロック」の作者で大好きな漫画家のお一人となると衝撃も大きく残念度も高い。「超人ロック」が50周年を迎えた時に冊子に参加させていただいたこともあって、パーティに出かけて行ったのがお目にかかった唯一の機会かどうだったか。同じ名古屋出身ということもあって親近感もあったけれど直接お話しするなんて事はついぞなかったのが少し心残りかも。インタビューできるような媒体があったらなあ。そういう場に身をおけなかったのが少し悔しい。

 「サイボーグ009」にもエスパーは出てくるし「幻魔大戦」だとか「バビル二世」といった作品にも超能力者は登場するけど「超人ロック」はそうしたエスパーたちによる戦いに加えて銀河を飛び越えるようなスケールの大きさがあって人類史的を読んでいるような深みがあった。加えて美麗な絵柄とカッコ良い主人公。どちらかといえば少年漫画が多かったエスパーの世界を女子にも分かるようなイメージで打ち出し実際に大勢の女性ファンを獲得した。その功績をたたえるならそれこそ日本SF大綬章を贈って悪くは無い。

 もっとも、そういった顕彰の仕組みをこの国は持っていないのが残念至極。日本SF作家クラブ員ならそれでも日本SF大賞で貢献賞でも贈れたのになあ。それを贈り始めると今年は池田憲章さんややぱり亡くなられた御厨さとみさんといった人が挙がるからなあ。何より藤子不二雄Aさんもおられる。本当に大勢の方が無くなった年。それだけ自分も年をとったってことなんだろう。これを機会に読んでない「超人ロック」を読んでみるか。御厨さとみさんの作品とともに。

 新宿駅の本屋に並んでいたので「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」買って読んだら凄かった。どこまでも描き込まれた絵に圧倒された映画の作られ方が紹介されていて、CGで上がった絵の1枚1枚に井上雄彦さんによって表情から陰から視線から顔の向きからキャラの位置からフォームから改変を加えられいたと分かる。作監修正なんてレベルを超えた手の入れ方。つまりはあの映画は隅々まで井上雄彦さんの作品だってことなんだ。CGを使いだいたいのモデリングをさせてその上に自分の絵を載せる立体にすて動く漫画いうか。これを読んだら解釈がどうとか言ってられない。あれこそが井上雄彦さんがやりたかったことだと納得。そんな手を入れた効果がどれくらいなのかを確かめに、また観に行こう。


【12月15日】 そして宗主国であったフランスに挑んだモロッコは残念ながら敗れ去ってFIFAワールドカップ2022カタール大会の決勝は欧州の強豪フランスと南米の雄アルゼンチンという、ある種の理想の形となって大勢の観客を惹きつけそう。かつてどころか今なおトップ中のトップ選手ともいえるアルゼンチン代表のメッシ選手と、フランスから出て来て若手ではトップ級のエムバペ選手が大会得点王とそしてチームの優勝をかけてぶつかりあう試合は壮絶にして堪能させられるものになるだろう。

 その前に行われる3位決定戦のモロッコとクロアチアの試合もこれが代表で最後の試合となりかねないクロアチアのモドリッチ選手がきっととてつもないキャプテンシーという奴をみせてくれるに違いない。日本代表にはいない精神的な支柱にして戦力的な柱というベテランの有り様て奴をこれで見て、次の代表キャプテンに相応しい日本代表選手には学んで欲しいのだけれどそんな選手がなあ、いないんだよなあ、今。久保建英選手はちょっと違うし柴崎岳選手はこれでお役御免だろうし南野拓実選手あたりが長谷部誠選手が担っていたような役割を担ってくれても良いんだけれど。あの苦しい場面でPKを蹴ってくれた精神があれば大丈夫かな。

 いやあ凄い。太りもすれば痩せもするし太っても筋肉質なこともあれば脂肪質だったりすることもあってと自由自在に体型を変えては役に寄り添う鈴木亮平さんがあの「シティーハンター」の冴羽りょうを演じて実写版「シティーハンター」が作られることが発表。かつてジャッキー・チェンを主役に取られたことがあるし、フランスでもファン心理が募ったような映画が作られこれはこれでそっくりだからと評判になっただけに、本家の日本がいったいどれだけのものを作ってくるかは全世界が注目している。そこで実写版「カウボーイ・ビバップ」のようなものが来たら果たしてどうなるか、ってビバップ嫌いじゃ無いけどでもそれは日本語吹き替えがあってのものだからなあ。

 ギャグとシリアスを使い分けつつアクションもしっかりと見せてくれるストーリー。とはいえ今の時代に「もっこり」だとかは下品以上にセクハラであって、それがあっての魅力とも言える冴羽りょうという人物を果たしてどのような感じに作り上げられるのか、ってところが鍵になるだろう。コスプレっぽさが漂うのもちょと。そこはだから実在するような雰囲気へと近づけつつ原作漫画のエッセンスも残す方向でアプローチしていくんだろう。あとはやっぱり脇役のキャスティングかあ。

 海坊主は雰囲気だけならマフィア梶田さんが良いんだけれど身長や顔立ちは同じでも体格が違い過ぎるんだよなあ。あるいはフランス版のようにジェロム・レ・バンナ選手に演じてもらうとか? それはちょっと違うか。日本のプロレスラーからならたとえばオカダカズチカさんとか合いそうだけれど坊主にしてくれるとは思えないし、ゴツさもちょっと違うし。うーん困った。なのでマフィア梶田さんの筋力と演技力がつくことを願うしか無い。あとは香かあ、のんちゃんでも良いけれどもうちょっと活動的の方がってなると土屋太鳳さんか、それとも実写化ならこの人の橋本環奈さんか。いずれにしてもいろいろ楽しみ。鈴木亮平さんは他に「ゴールデンカムイ」の杉本と「TIGER & BUNNY」の虎徹も演じていたらちょっと大変だけれど、それは流石にないよね?


【12月14日】 アルゼンチンの子供について語る術を知らない世代であっても、アルゼンチンのサッカーの強さはディエゴ・マラドーナの登場とともに強く植え付けられて今に至っている。1986年のアルゼンチン大会も1990年のイタリア大会も共にすさまじいばかりの活躍を見せて、今ほどワールドカップがテレビやネットで話題になっていない時代でも強く印象を残してくれたけれどその後に薬物使用でしばらく退場。そして復帰した1994年のアメリカ大会で完璧なまでのパフォーマンスを見せながら、途中で薬物使用を指摘されて退場となって以後、ワールドカップの場からマラドーナは姿を消した。

 そんなアルゼンチン代表の栄光を知っているから今のリオネル・メッシがどれだけ活躍してもやっぱりあのマラドーナの衝撃には及ばないなあと思ってしまう世代もいて不思議はないけれど、今という時代のすべてが高度化し高性能化した時代にあってなお何十年もの間トップコンディションを保ち続け、ワールドカップの場で得点王に輝く可能性を見せてくれるメッシはマラドーナに比肩し得る唯一の存在になったって言えるだろう。間に例えばアイマールがいたりヴェロンがいたりバティストゥータがいたりしても、マラドーナとメッシの両トップは燦然と輝き続けるだろう、永遠に。

 とはいえ過去にワールドカップでの優勝を成し遂げたマラドーナと比べて、メッシには未だ優勝という栄冠がないのも事実。かろうじてオリンピックでの金メダルは確保したけれど、掲げるあの黄金のトロフィーがなければどうしてもマラドーナには追いつけないとあって、今回を最後のチャンスとして挑んでいるFIFAワールドカップ2022カタール大会での準決勝、上がって来たクロアチアを相手に試合をさせずに得点を奪って勝利した。2点目となったゴールでサイドに切り込みすっと戻して送ったパスの速さと正確さ。決めるだけというお膳立てをしたところにメッシのマラドーナにはない凄さであり、同時に違いも見て取れたりするけれど。ともあれ残るはフランスとモロッコの戦いで勝利したチームとの決勝戦。トロフィーはメッシの手に? それとも……。

 チケットがとれたので東京国立博物館の「国宝展」へ。先に15日のもとっていたけど用事が出来たので慌てて取り直したのだった。きっともの凄い行列が延びているかと思ったら、入場時間になってようやく並び始めたくらいで鳥獣戯画展ほどになならず、中もギュウギュウ詰めといった感じじゃないのは貴重な国宝を大勢の人で取り囲んではやっぱり破損の危険性もあると思ったからなのかな。とはいえ実際のところ普段から東京国立博物館に通っていれば展示替えをしながら国宝も展示されていたりするから、とてつもなく貴重な機会という気も実はしない。そんなんだから入ってもざっと遠目に眺めて済ませてしまって、ちょっともったいないって気も後になって浮かんできた。

 書だとかはもっと近くに寄って筆跡の隅々まで味わうべきだし、刀剣類も間近によって波紋だとか切っ先だとかを見入って鋼が持つ鋭さと暖かさを味わうべきだったのかもしれない。とはいえやっぱり人気らしく人がたかっていたので遠目に観察。このあたりも国宝展が終われば展示に戻ってすべてではなくてもそれなりに見ることができるだろうからまた行こう。一方で150年後の国宝展の方はゴジラがいたりガンダムがいたり初音ミクがいたりして楽しかったけど、個人的には中野浩一選手が乗っていたナガサワのトラックレーサーが細身のフレームに最小限のパーツ構成で美しくって目がくらんだ。今のカーボンだとかアルミだとかのフレームの方が性能は良いかもしれないけれど、自転車の美しさではやっぱりクロモリのダイヤモンドフレームには叶わないんだよなあ。いつか買いたいそんな自転車。今も作っているところてtあるのかな。


【12月13日】 朝から部屋を出て喫茶店を渡り歩きながら原稿書き。最初は大手町のリトル小岩でスパゲティを食べて隣のスターバックスで書こうとしたけれど、すでに人が並んでいたので半蔵門線で渋谷に出て、宮益坂にある前はファーストキッチンだった今はオリジナルのハンバーガー屋さんでハンバーガーをかじりながらとりあえず1時間ほどのテープから発言をテキストに起こす。これがなかなかに疲れたので、適当な時間に切り上げて渋谷パルコの横で開催中のMikaPikazoさんの展覧会を見物する。

 前に吉上亮さんと三雲岳斗さんがノベライズを行った「RE:BEL ROBOTICA」の刊行に合わせてご本人にインタビューしたことがあって、絢爛たる絵を描いて若い人に人気なことが分かっていたけど展覧会場にもそんな若い人たちがいっぱい訪れていて作品に見入っていた。アクリルにプリントした絵が何十万円もしながら売れていたりしたのはなかなか。今の時代に絵具で描いたようなオリジナルは存在しなくても、そうやって限定の作品になることでアーティストは作品を売っていけるのだろう。

 せっかくだからと缶バッジを1つ買ってから、宇田川町の方にあるVELOCHEでやっぱり何時間かかけてテープ起こしから流れに沿って発言を切り貼りして全体を整え、どうにかこうにか形に仕上げたら夜になっていたのでユーロスペースに行って「指先から宇宙まで 素晴らしき短編アニメーションの世界」を見る。2度目。今回は「ETERNITY」の水江未来さんと「不安な体」の水尻自子さんのトークがあって、水江さんが水尻さんの作品を讃えたり、水尻さんが水江さんの苦労を讃えるようなエールの交換を聞く。見れば本当に疲れる全体のプログラムでも、水江さんの作品は最後に流れて体力を奪っていくからなあ。

 そういう水尻さんの「不安な体」も集中されて体力を削る作品であって、セロハンテープで指先とかに触れて引っ張りぷにっと盛り上がる様をいったいどのよういしてだか分からないけどアニメーションに描いてしっかりとそのぷにっと感を残しているから凄い。紙に手書きとは思えないからタブレットに重ねて描いていってふくらむ感じを残しているのかな。そんな展開に挟まれる、もヘビのちょろっと延びた舌が切られる直前でいつもながらピキッと来る。

 それは痛みを予感してのことなんだけれど、意外やブチっとじゃなくてスキッと切れるのであんまり痛みを感じず、練り菓子のようなものが千切れるような柔らかさがあってホッとするのだった。それは指先に出来たささくれが引っ張られ千切れるところも同様で、目から言えるビジョンはなるほど肉体の痛みを脳に想起させるのだけれど、重ねられる音楽とそしてすっと千切れる感じが痛みを覚えさせない不思議な感覚を味わえる。映像だけでなく音響も含めて作品なんだなあ、アニメーションは。

 ニュースでは宮崎駿監督の10年ぶりの新作となる「君たちはどう生きるか」が2023年の7月だかに公開予定となっていよいよ来るかと感慨もひとしお。吉野源三郎に同名の作品があるんだけれどその映像化ではないということで、だったら何がいったい描かれるのか、「風立ちぬ」のように堀辰雄を引っ張りつつ別の零戦開発物語になったようなミクスチャー作品になるのか。情報を待とう。

 映画では宮崎駿監督のスタジオジブリが店を閉めたので仕方なく飛び出たスタジオポノックが、A.F.ハロルドの「ぼくが消えないうちに」を原作にした「屋根裏のラジャー」を百瀬義行監督で映画化すると発表。旧来のジブリ作品っぽさを漂わせるテーマで内容で陣容だけれど、それがジブリ作品でも宮崎駿監督作品でもないってことで苦戦することになるんだろうなあ、「メアリと魔女の花」の時のように。そんなポノックで監督をしていた米林宏昌さんは「君たちはどう生きるか」に関わっているとか。ナニガナニヤラ。ともあれ2023年もアニメ映画で楽しめそう。


【12月12日】 ご本人をお見かけしたのはたぶん2000年の6月11日のこと。池袋のパルコでアスペクトから刊行された「アニキ魂―アニメソングの帝王・水木一郎の書」のサイン会があると聞いたので、出かけて行っては40番の整理券をもらって階段に並んだったっけ。「回って来た順番に本を差し出し顔を見ると、さすがに芸能人だけあって顔小さく整っていて感動」したと、日記には書いてあって「サインを押しいただいて握手をしてもらって会場を後」にした。

 当時からすでにアニソンのリバイバルブームが起こって注目は集めていたけれど、テレビなんかに出て「ゼーット!」と叫ぶキャラクターが確立していたかというとその前くらい。影山ヒロノブさんらとJAM Projectを結成したのが同じ2000年の7月17日で、以後は「THE 夜もヒッパレ」に出たりするようになるんだけれど、そんな時代に向けて助走していた感じだったからまだサイン会を開いても当日券がもらえたのかもしれない。とはいえそこは我等がアニキ、長い歴史と実績をベースに大勢の人の記憶をくすぐり感動を呼び起こして人気者になっていった。

 それから20年ちょっと。東京国際アニメフェアのレセプションで唄っている姿を見たり、「スーパーロボット大戦」のイベントに登壇してささきいさおさんと対談している姿を見たりする機会もあっていつまでも若いその姿と、いつまでも張りのあるその声を堪能できると思っていたら、去年に突然の病気を公表して大変なことになっていると分かった。それでも舞台に立って唄っていたのはさすがアニキではあったけれど、だんだんと車いす姿が目立つようになり、そして12月2日の渡辺宙明さんの追悼コンサートに出演する予定が急遽辞退となって4日後の12月6日に亡くなっていたことが公表された。

 残念無念。そして悔しくて寂しい。74歳はお歳はお歳だけれどまだ亡くなるようなお歳ではなく、ささきいさおさんが80歳でなお矍鑠としているのを見るにつけ、やっぱりまだ早いといった思いが浮かぶ。来年の1月にはデビューから50周年を記念する2枚組のアルバムも出る予定で、その記念ツアーなんて開いて欲しかったけれどそれはかなわず、アルバムも追悼盤になってしまった。その歌声、その雄叫びをもはや生で聞く機会はなくなってしまったけれど、残された大量の音盤を聞くことであの歌声を聴いてアニメにのめり込んだ日々を思い出し、共に歩いてきた日々を懐かしめる。それも永遠に。あとはだからそうした偉績を頑張って伝え広めていくことを頑張ろう。アルバム買わなきゃ。

 「ゴブリンスレイヤー」の蝸牛くもさんが、あの「ウィザードリィ」を元にした小説「ブレイド&バスタード―灰は暖かく、迷宮は仄暗い―」を出したので買って読む。実はほとんど「ウィザードリィ」はプレイしたことがないんだけれど、印象としてストレートに「ウィザードリィ」の世界を小説にしているように感じる。「ゴブリンスレイヤー」もダンジョンに繰り出して冒険をする戦士という意味ではRPG的だけど、そこからただひたすらにゴブリンだけを屠り続ける主人公というピーキーな設定はPRG小説の多様化の現れだったと言える。

 そうした先鋭化が進んでいったのが2000年代2010年代のPRG小説なんだけれど、「ブレイド&バスタード―灰は暖かく、迷宮は仄暗い―」で改めて源流に回帰したのはどんな理由からなんだろう。DREノベルズの版元のドリコムが「ウィザードリィ」の新作をリリーするのに合わせて小説でも盛り上げようとしているのかな。それとも亜流の先鋭化で飽きた人たちに改めて奔流が持っていた面白さを感じて欲しいという気持ちの表れかな。ちょっと聞いてみたいかも。物語としても面白くって中でもエルフの尼僧なんだけれど剣をふるうと暗殺者の首がふっとぶキャラクターが凄まじい。いったい何者? ガーベイジという少女の戦士も訳ありっぴので、そうした謎が明らかにされる続きに期待。


【12月11日】 池田憲章さんと会ったことがあるかとうと覚えはなくて、何かのイベントに登壇しているのを見たことがあったかもしれないけれど、話したこともないので遠いところで活動している人といった認識ではあるものの、その活動の内容は1970年代の末期から80年代の初頭において、数々の記事を通して僕にアニメーションとか特撮の面白さを伝えてくれたという意味で、大先輩であり大恩人であり大先生といった認識の中にある。

 とりわけアニメックに連載されてた「SFヒーロー列伝」は、子供の頃に見ていた「快傑ライオン丸」であるとか「ミラーマン」であるとか「アイアンキング」「シルバー仮面」といった作品が持っていた面白さをちょっとだけ大人になった身に改めて感じさせてくれた。その頃になると「ウルトラマン」と「仮面ライダー」くらいしか特撮ヒーローって存在しないかのごとき印象が世間の大半に満ちていたけれど、そうじゃない作品がいっぱいあって子供たちを楽しませてくれていたんだってことを思い出させてくれた。

 決してメジャーとはいえない作品でも作った人がいて出ていた人たちがいてそして何より大勢のファンがいる。だからこそ取り上げる意味があるんだってことを教え込んでくれたとも言えそうな連載を読んできたことが、今の決して覇権ばかりが作品ではない、どんな作品にだって楽しさがあって作り手もいてファンもいたりすることを考えるスタンスの基本になっているのかもしれない。そうした連載を仕掛けてくれた偉大なライター、池田憲章さん死去。日本SF作家クラブの会員でもあったとうことで、そこからの方向が一応は正式のものとして流布され情報として確定した。

 それこそ国葬儀でもって讃えられるべき人が市井のフリーラーターということで新聞記事にもならずに送られる。寂しいけれどそれもまたポップカルチャーの宿命であり面白さ。誰にも阿らず面白さをのみ追求してそれによって惹きつけたからこそ、世界に広がって大勢から楽しまれるものになった。そんなポップカルチャーを言葉で支えた人もまた、国とか権威にすがらずとも世界が認め世界が偲び世界が讃えてくれることだろう。そんな人の後をさて、僕たちはどれくらいカバーできているのだろう。10年遅れの生まれてなおかつライター稼業は40年遅れた人間に出来ることは何かあるのか。考えながら生きていこう。

 池袋へと出かけてまずは新・文芸坐で湯浅政明監督のトークつき上映会、とはいえ後の都合があるのでこれまで多分あんまり見たことがなかった「マインド・ゲーム」を劇場の大きなスクリーンで見て会場はあとにする。どこか「クレヨンしんちゃん」を思わせるぐにゃっとしたルックの絵だけれども描かれている内容はヤクザとの抗争だったりくじらの腹の中でのサバイバルだったりと荒唐無稽。それをとにかく曲がって伸びて広がって縮む自在なフォルムのキャラクターたちのきれいだったり歪んでいたりする表情も見せつつ描いてのけるのだから凄まじい。2006年の公開当時に自分にはピンと来なかったのもよく分かる。

 けれどもその後の数々の作品を経てあのフォルムなりあの文法なりが何となく分かってきた今では何をしようとしてあのフォルムを使っているかが感じられて、人間の躍動感なり心情の激動ぶりなりをそこに感じて全体を堪能することができた。時々写真に変わるキャラクターもユニーク。それらが今はもういない島木譲二さんであったりもはや大御所の今田耕司さんであったり藤井隆さんであったりと芸人なのに誰もが上手くて役にピッタリなところが面白い。大きなスクリーンで見てこそ味わえる動きの自在さであり表情の迫力もあるので次ぎにまた上映の機会があれば観に行こう。

 そしてグランドシネマサンシャインで堺三保監督の「オービタル・クリスマス」の上映イベントを見物。堺三保監督作品『オービタル・クリスマス』の上映イベントにてスピンオフの製作が発表。堺三保総監督にて「仮面ライダー」シリーズのVFXで知られ「オービタル・クリスマス」でもVFXを手掛けたキムラケイサクんが監督・脚本・VFXを手掛けてスピンオフの「レガシー・イン・オービット」を製作することが発表された。その中身とは? 追って情報を待とう。あと「オービタル・クリスマス」に出演しているハリウッド俳優の尾崎英二郎さんが急遽参加。「どこの国の人が見ても理解できる作りになっている映画。グローバルでテロリズムにも触れていて時代に合っていた。米国で上映した時に観客の反応が凄く良かった。暖かい空気に包まれた」と報告してくれた。アメリカで好評ならきっと次の機会はある。その時まで頑張って作り続けて欲しいと願う。例え還暦だってそこから傘寿まで20年もあるのだから。


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