縮刷版2011年8月上旬号


【8月10日】 上がすごいのは分かっていたけど下もしっかり凄かった日々乃さん。もっこりとして谷間も深いそれらを前面へとせり出させ、寄る男たちを感動の渦に叩き込んでいたのは記憶に新しいけれど、桐生たちとの戦闘で壊れてしまった神様を直してもらいに詩緒たちが戻った空守村へといっしょに出むいた先で、直った神様に乗せられ飛んでいる最中、落ちそうになった時に上から匡平にシャツを引っ張られたその時、めくれあがったすそからしっかりばっちりそのとてつもなく高い頂と、間の谷が見えて世の男性を狂喜乱舞させた。

 その一方で、詩緒にジーンズの端を持たれ下へと引っ張られたその端が、限界まで近づいてもムダ毛の1本すら見えなかったところに、日頃のお手入れの丹念さも見えてさすがに美少女、抜かりはないと感嘆した次第、って下手に見えたらそれこそ放送事故だもんなあ、その点、描かなければ存在せず見えもしないアニメーションは便利だってことで。それともちゃんと描く腰囲はあって、あとちょっと下がれば見えたのかなあ。普通の町を歩いている女性が例えば日々乃さんぐらいにズリ下げた時に果たして見えるのか、それとも見えないのか。実験したいけどやったら後ろに手が回るし。眼力を駆使して妄想するのが精いっぱい。頑張って見通すぞその下腹部の充実ぶりを。

 ぐっすりとも眠れない中を起きて、早朝から銀座に待機し松屋で始まった「アニメ放送40周年記念ルパン三世展」のオープニングを見物。それこそ最初のシリーズから何度も見てスタイリッシュさに子どもながら惹かれた作品で、超人気となった第2期はリアルタイムでほとんど見て、ギャグだけれどもまあ面白いと眺め、第3期はスタイリッシュさが戻ったけれど、顔がちょっと違うなあと悩みそしてその後に続いたテレビスペシャルもだいたい見てきた身には、懐かしくも嬉しいアニメ関係の資料が展示してあって、長い歴史を持ったアニメ「ルパン三世」の奥深さって奴を、強く痛感させられた。

 毎シリーズ毎作品ごとに顔が違うルパンがパネルになって展示されて、誰が描いたかが書かれたコーナーはなかなかに圧巻。こんなに違うんだけれどどれもルパン三世にしか見えないってところが凄いというか一種のアイコンというか。単にビジュアルではなくその存在感、その言動を含めてキャラクターと認識させることが、エンターテインメントとして必須なんだってことを教えられる。これを見たらキャラ表とかから外れたらすぐに作画崩壊を言い立てる人たちもその言説が、決して万能ではないって気づくかも。いやまあしっかりキャラが立ってるルパンだからどうなったって平気ってこともあるんだけれど。顔が違おうが揺るがない存在感を持った、太い根っこを持ったキャラって訳だから。

 そんな根っこがわずか10分の逡巡から生まれたってことを、漫画を描いたモンキー・パンチさんが話していたのが面白かった。それこそすぐに返事をしないと次に仕事が来なくなるかもしれない状況で、007みたいなスパイアクションなんかを構想しつついろいろ考え、ルパンって存在を思い抱いて作ったとかどうとか。それはそれだけれども相棒の次元大介がいたからこそのあの人気。その次元がいったい何によるかはやっぱり聞いておきたかったかなあ。峰不二子はヒロインだし銭形警部はライバルだから配置的には分かりやすいんだけれども凄腕のガンマンで相棒な次元ってのはちょっと浮かばない配置。五右衛門はもともと敵だからそれが加わっただけのこと。やっぱり次元は不思議だし、偉大だなあ。

 アニメも凄かったけれどもやっぱりモンキー・パンチさんが描く漫画の原稿も格好いいというか、日本の漫画に似合わないスタイリッシュさというか。これほどまでにモダンで美しい絵を描く人はほかに誰もいないんじゃなかろーか。その割には漫画家としては「ルパン三世」の人、ってくらいにしか認知されていないところがちょっと残念。それこそ「アンパンマン」のやなせたかしさんのように、すべての原点であり頂点として尊敬し奉る必要性があるんじゃないかと今さらながらに思い知らされた。宮崎駿監督がルパンの代表格みたいに言われているけどとんでもない、悪漢で猥雑でそれでいてクールでスタイリッシュなヒーロー像を創造し、描いてみせたモンキー・パンチさんこそが原点にして頂点。飾られた多数の絵と、そして水墨画風のキャラクターたちから思い知ろう。

 グッズの売り場には祖父江慎さんがデザインしたスタイリッシュなTシャツとかもあって、着たら格好良くなれそうな気がしたけれども中身が追いつかないと思うとちょっと逡巡。でも買う。それがルパンファンの生き様って奴だ。あとは峰不二子がライダースーツでもって佇むフィギュアも。普段は売ってない白いスーツが肌と相まってイヤらしさを倍増ししてくれる。こんな美女が実在してたらそりゃあルパンだって靡くよね。ただ悪女ってだけじゃなく、行動的で戦闘的な悪女こそが峰不二子。それがファーストシリーズには良く出てた。セカンドシリーズも悪くはないけどでもどこか普通。峰不二子とは何だったのか。その本質を今一度、追求したいとも思わせる展覧会だった。追求したところで現実に知り合う機会なんて絶対的に皆無なんだけど。悲哀。

 外に出ると背中から当たる太陽の光に、首筋に当たったストラップの金属が熱せられ、火傷しそうな熱さを感じさせるくらいの暑さの中を京橋まで出むいて、アニメーション作家の水江未来さんの展覧会の最終日を見物。東京新聞にも大きく記事が出て、いわふるアニメとは違った、そしてアニメーションの中でも異色な水江さんの立ち位置って奴を分からせてくれる記事だった。ヴェネチア国際映画祭へと出品された「MODERN NO.2」は相当な工夫と作業でもって作られた作品とかで、それがいったいどんな驚きを審査員たちに与えるのか、そしてどんな結果をもたらすのか。受賞ともなれば東京新聞と並んで紹介した我が身もちょい先見を誇りたくなるけれど、それで凄いと行ってくれる媒体でもないからなあ、知ってる人が知ってることになってこそ凄いと言う通俗性に満ちた世界で、知らないものが驚きを与えても知らないふりで通り過ぎるのが日常だから。まあ良いそれでも自分には誇ろう。そして次を探して街を歩こう。


【8月9日】 ほんの1カ月前にあの「週刊朝日」の巻末に長く長く連載されている「山藤章二のブラックアングル」に女子サッカー選手の誰かが描かれるなんてことがあるわけないって誰もが思ってただろうし、山藤さん自身だって描くことになるとはきっと思ってもいなかったんだろうけれども、それから1カ月が経ってワールドカップで女子の日本代表ことなでしこジャパンが優勝して、世間で大きく話題になってそして国民栄誉賞までもらって日本の誰もがその存在を知っているって状況が到来。スポーツには造詣が深くって相撲も野球もしょっちゅう取り上げている山藤さんでも流石に関知してなかった女子サッカーの選手の存在が、伝わるようになったと見えて今週発売の「週刊朝日」には堂々、澤穂希選手の顔が山藤調の似顔絵になって掲載されている。いやあ凄い。素晴らしい。

 澤選手のみならず一応のメンバーとなっていた全員も上に小さく描かれていて本気だして突き合わせていけば誰が誰かくらいは判別できそうな気もしたけれども面倒だからそれは後で時間があったら。ともあれやっぱりこれが世間的に話題になるってことの意味なのかと、改めてワールドカップ優勝というものの重さを噛みしめた次第。どうせロンドン五輪の前哨戦だから優勝したってそんなに知られず優勝しなくたって五輪予選の準備体操くらいに考えていたわが身の不明もちょっと恥じる。いやあしかしこれでロンドン五輪にも出場を決めた日にはなでしこジャパン、あと1年は軽くいろいろと世間の話題に上ってきそう。その間に選手にもいろいろありそうなのが怖いけれども誰が誰って訳ではなく、誰がどうなっても代わりが出てきてしっかり埋めてくれるだけの選手層は持っているわれらがなでしこジャパン。だから今はとにかくひたすらにあの地獄の日程をクリアして、ロンドン五輪出場を決めてくれると信じて信じ抜こう。これで決まればまた山藤さん、取り上げてくれるかな。鮫島選手の内股走りを描いてくれるかな。

 そんな鮫島彩選手が移籍したばかりのボストンからフランスはモンペリエって昔、広山望選手が所属していたチームの女子に移籍するみたいでちょっと話題になっている。女子サッカーの世界ではやっぱりアメリカのリーグが集まる選手の多さや観客の多さ、そしてもらえるお金なんかから1番ってことに多分今も代わりはないけれど、ムーブメントが起こっているドイツは観客数を増やしてこれからが期待できそうだし、それ以上にフランスはワールドカップの好成績からロンドン五輪の出場を決めてこれからの1年を大いに賑わいの中で送りそう。美少女な選手もいたりしてメディア受けもしそうな中で日本代表として活躍し、その走りっぷりで話題になった鮫島選手にもスポットが当たればフランスでも大いに人気者になりそう。そしてセレブな御曹司に見初められて社交界にデビュー、なんてあったらみんなフランスを目指すよなあ。さてどうなる。

 イケメンっぷりもウザいくらいに決まっている名取周一に比べるとどこかザンバラな感じがしてしまう的場静司だけれどもその力量は多分的場をしのぎ夏目だったら小指の先であしらいそう。レイコだったらあるいは拮抗できたかもしれないけれども違いすぎる世代からそういう接触はなかったんだろうから勝敗は不明。ともあれ今の夏目にはまるでかないそうもない敵の到来にいったいどうなるんだって不安いっぱいの中で次回に続くとなた「夏目友人帳・参」は顔にやっぱり覆いをつけた翼のある妖怪が何か可愛らしい。その胸にがっしりを顔を埋めた夏目の実に羨ましいことか。やっぱり妖怪でも女性タイプのものにはしっかりついてて柔らかいんだろうか。それともぱっくり割れて牙とかむき出しにして人とか食べちゃうんだろうか。謎。柊見せてくれないかな。

 蛍かわいいよ蛍。「イブニング」に連載の「もやしもん」は先週をとばして復活して結城蛍が大活躍。武藤葵の挑戦状に煽られミスコンに名乗りをあげる畜産娘とはまた別に、寮生たちの期待を一身に受けて引っ張り出されたのが中身はともかく見た目は誰にも上回る美貌っぷりを誇る我らが結城蛍。最愛の沢木直保からその名が書かれた推薦用紙を見せられたのが心にキュンと来たのか、背後に金の匂いをプンプンさせて美里が鎮座しているのを知っているにも関わらず、名乗りをあげてみせたところにやっぱりこいつ沢木が……って可能性のマックスぶりを見る。でなきゃアメリカであんなに焦らなかったよなあ。

 でもって寮生の前に天照大神の如く降臨した蛍様。「聞くがいいド変態ども」と男の自分を持ち上げようとする寮生に向かって宣言するけれどそこに「イヤこいつらは全員お前を女と思とる変態はお前だけや」と突っ込む美里がなかなかいナイス。そうだよなあ、寮生の誰だって思うよなあ。「こんなに可愛い子が女の子のはずがない」って。いや違う、それなら正解でみんなド変態だ。その意味ではあれで純情な奴らが揃っているってことになるのが農大寮。

 さて問題は「この役目受けるにあたり私から皆さんに一つ引きかえ条件があります」と出したその条件。酒の仕込みを手伝えってことなのかそれとも同じ趣味に引っ張り込もうとするのか。やっぱり沢木直保との中を完璧に認めて貰いたいってあたりかなあ。それなどうぞどうぞだ。さてはて。アニメ版「もやしもん」のブルーレイボックスも発売が決まったとか。DVDボックスも出ているけれどもそっちにするか、クリアな画質で蛍見たいし。第2期始まらないかなあ。初めて欲しい作品ナンバーワンだよなあ。

 そして発売となる前日のフライングな発売となった山下達郎さんのニューアルバム「Ray Of Hope」を買ってさっそく聞いてなるほど「俺の空」とかどこの本宮ひろしかと思ったら日照権を奪われた怒りがマンションとゼネコンと政治に向かう往年の「HHey Reporter!」みたいな楽曲であった。どちらかといばメロウでそしてささやくような曲が多い今回のアルバムではちょっぴり異色だけれど昔っぽさが出ていて割と好き。あと何だっけ、「ポケットミュージック」の頃みたいにバンドバンドしてないサウンドの上に載ったキラキラと輝くような歌声の曲とかあってこれもそうだよなあ達郎さんだよなあと考える。

 そりゃあ個人的には「For You」を挟んで「RIDE ON TIME」と「メロディーズ」があるような時代の暑くて激しい感じが好きなんだけれどもそれはその時代の音楽。聞きたいならそれを聞けば良い訳で今は今の音楽としてのこれらを聞いてどこが良いのかを感じ、どこかピンと来ないのかを突き詰めることによって自分自身の寄る年波の乗り越え方って奴を学ぶことにしよう。でもライブを収録した「Sjoy1.5」の1985年あたりの歌声を聴くとやっぱりこっちが……って思えてしまうんだよなあ、贅沢、でもそれをそのときに生で聞いてた自分の嬉しさはしっかりあるからまあいいか。いよいよ始まるツアー、何本行けるかなあ。


【8月8日】 お台場テレビの日らしいけどこの日をお台場テレビの日にずっとし続けるために、地上デジタルのチャンネル変更で数字的に最大となって数字順に並ぶテレビ欄では右端へと追いやられる屈辱を甘んじて享受したとしたら、なかなかのタフガイというか底抜けのど阿呆というか。まあそれでいろいろと印刷物を刷り直したりチャンネルが変わるぜって告知したりする費用を抑えられるんなら悪い話ではないんだけれどもテレビ欄的に永遠の番外地に甘んじてきたテレビ東京が、その実に日本的というか日本グルメに日本旅行に日本古仏に日本アニメの殿堂としてしっかり存在感を示しているから明日は分からない。

 こないだやってた島根から鹿児島まで路線バスで移動していく番組なんてハラハラしなあらついつい終わりまで見てしまったからなあ。仕込みがあったかどうかはどうでもいい。その景色、その振る舞いが見ていてスリリングなんだ。そんな一方で、あれだこれだと騒がれお通夜の席でトホホな顔を見せてさらに騒がれTシャツがどうだと騒がれ本社にある球体が丸すぎると騒がれまくってネガティブな印象を醸し出し始めているお台場テレビが、あるいはその番外地的な地位を受け継ぐことになったらいったい世界はどうなるか。どうもならないか。でもその下でいろいろ面倒みてもらっているところは大変になってしまうんだろうなあ。まあ他人事。そうでもない? うーん。次いこ次。

 ふと気が付くとロンドン五輪の予選に臨むなでしこジャパンことサッカー女子日本代表のメンバーが決まってて、ワールドカップでは3人いたゴールキーパーからケガもあってか山郷のぞみ選手が落ちてあと、やっぱりケガらしい岩渕真奈選手も落ちていて、その存在感をメディア的にスクラムして盛り上げたかったテレビ雑誌あたりには残念至極な状況かもしれないけれど、体の接触も激しくなるアジアの予選であのフィジカルではやっぱりまだまだってところもあるから、例えケガでなくてもどうなっていたか。ともあれお大事に。

 それでもって代わりにはいったのが永里優希選手の妹の亜紗乃選手でこれはこれで姉妹で代表ってすげえじゃん的話題を振りまきそうではあるけれど、一方では孤立しがちな姉を妹が支えつないでいく効果なんてのも期待できたりするのかな。気にするタイプではないとはいえ姉、沈んで活躍してくれなくなるとなでしこ的には困ったことになってしまうから。いっそだったらヴァンフォーレ甲府でもって選手やってる永里源気選手も読んで3人でファミリーにすれば一家団欒もできて永里選手のマインドにも良い効果が。大丈夫だって女装されればバレやしない……わけないか。178センチもあるから身長。

 個人的に楽しみなのはそんななでしこジャパンと走行試合をすることになったなでしこリーグ選抜の方で我らがジェフレディースから快足で鳴る元陸上選手の清水由香選手が選ばれていて、その走りっぷりを見せつけてくれるだろうと膨らむ期待も満々。でもなんでディフェンス登録なんだろう? サイドバックで駆け上がらせるか。そして宮本ともみ選手。2003年のワールドカップに2004年のアテネ五輪と代表に選ばれ活躍し、アテネではそのケガが勝敗に大きく影響したってことで多くを残念がらせた逸材。あの展開力をまた見せてくれるのか。さらには小林弥生選手。アテネで見せたあのロングフィードを忘れない。ケガがちだったけれども最近調子上げているんでここで下克上見せて再びのなでしこジャパン入りを狙って欲しいなあ。

 サターンV型ロケットにもスペースシャトルにも5万円なら出せると思っても、新幹線に7万8万となると躊躇してしまう僕には鉄成分があんまりないのかどうなのか。バンダイが「大人の超合金」シリーズとして小惑星探査機の「はやぶさ」に続いて出してきたのは宇宙シリーズから一転して陸を走る夢の超特急、0系新幹線。その精密さその大きさからするなら8万円近い値段は全然ありって鉄の人は言ってるけれど、分割できるサターンやらオービターを開いて中をのぞけるスペースシャトルやらが持つギミック性、何より宇宙へと向かったドリームを新幹線にはなかなか見出しづらい。それでも持てばずっしりの重量感と、日本の未来を一身に体現したようなフォルムを眺めていれば、あの時代に上をひたすら向いていた頃の気持ちになれて今を生きる力が沸いてくるのかも。うーん。でもギミック的には寝台車の方が嬉しいかなあ。どんな売れ行きを見せますことやら。


【8月7日】 万豚記で豚バラ青菜チャーハンをかき込んだ後で秋葉原のヨドバシカメラの中にある有隣堂を通りかかったら、文庫のベスト5に三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」とそれから水沢あきとさん「不思議系上司の攻略法」というメディアワークス文庫の2冊が入ってた。もともとが電撃文庫に応募されてきた作品からあんまり電撃っぽくはないけど出すに値する作品も拾い上げ、世に出すことによってラノベ的感性を一般小説に浸透させようとした戦略でもって生まれたメディアワークス文庫。その狙いが創刊からわずか1年半くらいででこうも成果を出すとは。毎月のように冊数を積み上げ場所を確保しつつ内容も選んで出していける、これがレーベルの勢いというものか。

 不思議なのは三上さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」が発売からもう結構経っているのに売れている点で、ライトノベル方面で紹介されているってことはないけど店頭でふと見て面白そうだと手に取る普通の人が増えていたりするのかそれともテレビか何かで紹介されたか。1度触れればそこにあるのはメガネで巨乳で古書好きという読子・リードマン的キャラクター。もはや無敵といっても言い過ぎではないくらいに素晴らしいビジュアルの持ち主に1発でヤられてファンになるんだけれど、本ってのはそこまでが大事。だからライトノベルは表紙に凝るんだけれどメディアワークス文庫ではそれは限定されているからなあ。ちょっと不思議。

 同様な感じに行く可能性があるかどうか、ってのは分からないけれども線は外していないメディアワークス文庫の作品が「太陽のあくび」でメディアワークス文庫賞を授賞してデビューした有間カオルさんの最新作で、結婚式場が舞台になった「サムシング・フォー 〜4人の花嫁、4つの謎〜」。結婚式場のブライダルコンサルタントに復帰した女性とバンケット長の青年の2人が来る客の不審な言動から悩みをさぐり起こる事件を解決に導いていくってミステリー性があり、あと女性が抱える悩みって奴を世に問う社会性ってのもある1冊。ドラマ化とかすると受けそうなんだけれど。個人的には浅葉なつさん「空をサカナが泳ぐ頃」も面白いんだけれど、こっちはまだあんまり知られてないなあ。今月出る新刊が面白ければ一気にブレイクといくか?

 凄いのはそんな面白い話がほとんど文庫書き下ろしで出ている点で、その時点でわゆる直木だの山周だのといった賞レースからは外されてしまうんだけれど、作家の人もそういうのでメィア的知名度がブーストされるって恩恵よりも、むしろより広まり売れる文庫書き下ろしの方がフトコロ的には嬉しいのかも。日本SF大賞はその意味では文庫も含めて賞を選んでいる公平さがあるんだけれど、それもハヤカワ文庫JAって日本人のSFが書き下ろしで出るレーベルを持っているからで、出るのもそこが中心というか他はあんまり見られていないのが悩ましいところ。北野勇作さんの「かめ探偵K」が入ってきたらちょっとは世間の目も向くか。次回が楽しみ。

 僕が好きなメディアワークス文庫ではあとは宇野朴人さんの「スメラギガタリ」か。安倍晴明と芦屋道満という希代の陰陽師の子孫たちで、なおかつ美少女たちが対決するというライトノベル的設定バリバリな本なんだけれどもなぜかメディアワークス文庫から発売中。2冊目では鬱屈した少年が大化けしてそしてこれからとてつもないことが始まりそうな予感がしていていったんは協力体制に入った晴明と道満の子孫たちが、再び対決姿勢を強めそう。続きはいつ頃出るんだろう。

 あとは範乃秋晴さんって人の「マリシャスクレーム」も凄かった。クレーマーに対する専門部署の徹底した抗戦ぶりを描いた近未来サスペンスなんだけれど、それでデビューした範乃さん本家の電撃文庫で本気のSF「特異領域の特異点 真理へ迫る7秒間」を今度出すんでSFの人は要注目。多くはまだ語れないけれどもとにかく凄い。心理についての真理って奴を考察させられた果てに見える世界の、宇宙の構図が凄まじい。それこそ日本SF大賞とかに入ってきたって良いんじゃないか。でもSFは気にしないんだろうなあ、ハヤカワじゃないし、でもって電撃の人は風見周さんの「嫁にしろと迫る幼馴染みのために××してみた」にタイトルで惹かれ表紙で惹かれてしまうんだ。まあそれはそれで。実にこれで。

 いよいよフラワー・トラヴェリン・バンド復活って時に渋谷でインタビューをして今でもあの甲高くって素晴らしい声が出るんだろうかとたずねたところ、間髪入れずに「出るよ」と答えてくれたジョー山中さん。その時の歌はその時のキーで歌うのがポリシーだっていってずっと今までも休まずバンドが休みに入ってからも歌いづいて喉を鍛えて来たからこそ、原宿クロコダイルでの復活ライブで聞かせてくれた「SATORI PART2」ほか旧い曲の数々はどれも往時の突き抜ける声をしっかりと今に聞かせ、そして昨今の鼓動のようなビートから叩き出される音楽も野太く届いて心に響いた。

 そんな偉大なシンガーも病には勝てず、8月7日死去。もったいない、という言葉もあるしそれが運命、という言葉もあるけれども最期まで守り続けたポリシーを、あとほんのちょっとだけ延ばしてもう1度、聞かせて欲しかったという気持ちは残る。日比谷の野音。スタイリッシュなジョイー・ルイス&チャーの後のアクトに若いファンはふーんって感じだったけれどもそこにあった歴史、そしてパワーは僕たちにはしっかり伝わった。頑張って行こうと思った。それから3年。世界がこんなになってしまった今こそその雄叫びで世界を貫き、サウンドで世界を振るわせ踊らせて欲しかった。でももう無理。それならばせめて残された音楽を聴き、残っている音楽を探して歩いて聞き込みながらあの時代のパワーを、世界に突っ込んでいく無謀さを得てそして負けない勇気を心に灯そう。合掌。


【8月6日】 暑すぎて何もできないんで何もしない週末、とりあえず読みかけの原稿をかかえて電車に乗って、秋葉原まで出むいてそこで今日から発売となった「とある魔術の禁書目録×とある科学の超電磁砲」の1番くじを3枚ばかり引いたらいきなりA賞のインデックスのフィギュアが当たった。ラッキー。そりゃ見ばえは御坂美琴の砲が良いけれどもしょせんは御坂であってミサカの妹たちではないから履いているのは白い短パン、そこに色も何もあったもんじゃ御座いません。あるいはラストオーダーであっても、さらにはミサカワーストであっても短パンとは違った光景が広がっているんだろうけれどもそうもいかないみたいで残念。これで限定の白井黒子があたれば中は黒子らしい黒の細くて薄い奴、なんだけれど当たるもんでもないしなあ。だから黒子はキュンキャラで我慢。こっちでもしっかり黒いんだ。

 あとはタオルとそれからクリアファイルをもらってしばらく歩いてから、コトブキヤでも1枚引いてそこでさっきいった黒子のキュンキャラを確保してとりあえず打ち止め。2階に上がると長万部のキャラクターのまんべくんがいっぱいおいてあってそのぼうようとした顔を向けていた。でも顔だけより体が蟹になったぬいぐるみの方がまんべくんらしくはあるよなあ。あとはTシャツか。でも買わない。可愛くないし。むしろ北海道だったら夕張で生まれたメロン熊の方がハードでワイルドにキュートなんだけれどもこっちは主にタイトーがプライズで展開していて市販のぬいぐるみってあんまり見ない。ちょっと残念。まんべくんはさても流行るかなあ。夕張といったら夕張夫妻ってのもあったけれども最近どーなってんだろ、あれ。

 ソフマップの街頭テレビに流れている「カーニバルファンタズム」の映像の軽快さにそろそろ発売日に向かって準備をしておかないといけいないかもと心にメモ。予約を入れるか当日朝に買いに走るか。MARS16のTシャツなんかも置いてある店には「魔法少女まどか☆マギカ」のマミさんイラストの奴に加えて全員勢ぞろいのも入っていたけど何か放送が終わってしばらく間があいてだんだんと気持ちの濃度が薄れてきているって感じ。強い印象を残した割には強烈に後味として引っ張られないのはそれだけ完成度が高くって、しっかり落ちてて考える余韻を持たせなかったから、なのか。ヘンなものほど後にいろいろ考えるんだよなあ、「lain」なんて13年経っても尾を引いてるし。とりあえずfigmaのまどかとか買ったらそれで終わり? あるいは続編、さらには映画と来れば気分も盛りあがるんだけれど、果たして。

 東京は京橋のASK?Pってところで開かれている「水江未来の細胞アニメーション!」で作品を披露している水江未来さんは月末のベネチア国際映画祭でオリジナリティのある作品の部門にノミネートされているけれど、アニメーションでは大先輩になる山村浩二さんの方もすぐ近くに始まるカナダはモントリオール国際映画祭の短編映画の部門に正式にノミネートされていて、共に受賞となれば日本の短編アニメーションへの認知度も一気にさらに高まりそうな空気だけれど果たして受賞はあるのかどうか。そんな2人のうちの水江さんは10日まで作品が上映されているんで京橋にゴー。そして山村さんはもしかしたら“凱旋”となるかもしれない上映会が9月に恵比寿の東京都写真美術館で開催。そこだけってのは寂しいけれども写真家のエドワード・マイブリッジの生涯に絡めた作品って意味では相応しい会場かも。ともあれ注目のお二方。さて結果は。

 ジェフユナイテッド市原・千葉の試合がない週末、あればあったでフクダ電子アリーナに行く成り遠征先での試合が気になるものなんだけれど、ないから胸も踊らない代わりに他のチームの動静が気になるとことで、とりあえず昇格圏内の3位くらいにいるかだ大丈夫だろうと思っていたら知らないうちに徳島ヴォルテスが首位に立ち、そして栃木FCが首位に立ち返してその下にFC東京が入って4位に順位を下げていて、すぐ下に三浦泰年監督が率いるギラヴァンツ北九州が追い上げてきていると言う状況に今何とか立て直して、毎試合を勝つ覚悟でやならいと今年も昇格はかなわないってな心配が浮かんで漂って濃さを増す。オーロイ選手のケガも心配だし。けどフロントが動く気配はまるでなし巻誠一郎選手は北九州の下で上を伺う東京ヴェルディの練習に参加しているっていうのに……。相変わらずの後手後手っぷり。今年上がらないともうさすがに。困ったなあ。

 届いた本なんかいろいろと読む。新約は無能と1位とスキルアウトが車座になっての現状認識会議。その前に影の薄い美少女やら背丈の小さい教師やら巨大な乳の同級生やら清掃ロボの上で廻るメイドやら何やらかにやらが現れついでに見かけないのも混じって袖を引っ張ったりして愉快痛快なモテモテぶりを見せていたけど、その先ではさらなる敵が浮かび上がってそしてその敵を相手に聖人が跳躍して抜刀して対峙。切り抜けた先に始まる新たなる戦いに参戦を決めた第3位。その未来は? 話がこのまま宇宙規模とかに行ってしまうとちょっと困るかなあ。まだそこまではいかないか。でもって山猫姫は南方でもごちゃごちゃがあって弱る帝国の状況に北方でも生まれる戸惑い。そこにつけ込む帝国の罠。起こる陰謀。止める英知。そして拡大した勢力が向かうは建て直しかそれとも革命か。ますます楽しみ。


【8月5日】 銀座の「ggg」でもって4日に始まった「GROOVISIONS」の展覧会を初日にのぞいたら床が板敷きでもっていったい何が行われているかよく分からないまま地下に降りたらチャッピーがいてGROOVISIONSっぽかった。このキャラクターをアイコンとして活躍している人たちって印象も強かったけれど、むしろそれは特殊な系列で淡いパステルながらも切れ味のしっかりしたカラーリングでいろいろとパッケージなんかをデザインする人たちって感じが見えた展示物。エディトリアルデザインとかもシンプルな中に簡単に色を置き文字を置いて全体をすっきりと、それでいてしっかりと主張して見せる技ってのがかいま見えた。

 村上隆さんが東京都現代美術館でやった個展でもカタログのエディトリアルデザインをやっていたのか。置いてあって中を開けばきっと僕がどっかに記事を書いたその情報が一覧の1つとして掲載されているんだろうけど展示物なので触らず。そうかSMPK2のパッケージデザインもGROOVISIONSだったのか。愉快だったのが東京マラソンかなにかのPR時に絡めてか何かで作った映像で走ってるというより滑っているような動きの人たちがぬいぬいっと前にそろって出ていく、どこかスペースチャンネル5っぽさを持った映像があってそのぬいぬいっとした感じが目に刺さった。DVDに入っているのかな。結構な大所帯っぽいけど誰が何を作ってこうした統一感が出せるんだろう。それがスタジオのカラーってことなのか。面白いなあ。

 タイトルだけで興味を惹かれたユカリアート・コンテンポラリーで13日から始まる「川本 史織 個展 『男装と女装』(仮)」は想像するに女性なんだけれどもイケメンな格好をした人たちの写真とか、逆に男の子なのに男の娘した二んたちの写真なんかが展示されててそこにある美とは何か、性別とはなにか、装うとはどういうことかってテーマをひとちの形にして見せてくれそう。どういう経歴なのか分からないけれども秋葉原界隈でアイドルなんか撮っていたりしそうな人。かといってオタク写真家って訳でもなく、そこに現代を見て客観的に切り取ることに長けていそう。行って見よう。今度は駅に定期を落とさないように。幾たびに落とすんだよあの駅で。

 もしも2006年のドイツワールドカップの大会に松田直樹選手が出場していたらあるいはあのチームがガチャガチャになってしまって機能しないまま惨敗を喫するなんてことが起こったのか、ってのは専門家の間でもよく言われることで、せめて出場はしてなくってもアジアカップのようにチームに支柱として帯同して、孤立しがちな中田英寿選手をサポートし他の選手たちのつなぎとなっていたらもっとチームは機能的になって、強さを発揮出来たんじゃないかって想像も浮かぶ。あとは加地亮選手がケガをしていなかったとか高原直泰選手のコンディションがピークだったらとか、いろいろ浮かぶけれどもそれはなくともチームワーク。なでしこジャパンが見せたようなチーム一丸があったらあの才能に溢れた面々が、協力し合ったところに生まれる足し算ではないかけ算がチームをグループリーグ突破から上へと導いたかもしれない。結果は散々だったけど。

 そんな松田選手とジーコ監督との関係について何かのネット番組で、ジーコの通訳だった鈴木さんがコメントを寄せていたのを聞いたけれどもそこで鈴木さんは松田選手がディフェンスのレギュラーだったって言っている模様。そんな時期ってあったっけ? 合っても最初の方だけだったんだろうなあ。まさに鈴木さんの言うように「チームは生き物。環境で変化する。起用法の問題はどのチームにも存在する」。とはいえ鈴木さんはアジアカップで松田選手がレギュラーには入らず1試合くらいしか出場しなくても「中心となってチームを盛り上げた」って言っていて、そして「レギュラーも控えも同じテンションという“代表チームには見られない環境”を作り上げた」と言っている模様で、ちょっと驚いた。

 代表チームってそうなのか。それはジーコあるいはブラジルの代表チームのことだけじゃないのか。なでしこジャパンの誰がいつ出てもしっかりと仕事をするオールマイティ性、トルシェ配下でも皆が一致団結して良い空気を作りだした。ジーコだけがそれを特別を考え、そしてドイツでは明確な差別から崩壊を読んでいく。代表チームってものには常になくてはいけない一体化ってものを、なし得なかったことを鈴木さんも、そしてジーコも今だに悔いてないのだとしたらなるほどあの4年はやっぱり日本代表にとにとって、日本のサッカーにとって不必要な時間だったってことになってしまうかなあ。松田選手もあの4年が違う監督だったら人生が変わっていたかもなあ。その意味では選んだキャプテンの罪は深いけれどもそのキャプテンが賢明に強化した女子は国民栄誉賞だから一概には切り捨てられないところが悩ましい。人って1人でもそれぞれあるってことで。

 あの母親からいったいどうやってあのサイズのしらほし姫が生まれて来たんだ驚いた。そんな赤ん坊時代の姫の姿も拝める「ONE PIECE」最新刊で海底の王国についてからこっちの状況を把握、連載でも眺めているけれどもこまわりが小さくって情報がいっぱいで流して読んでいるだけじゃあ忘れてしまうこと、気づかないことが多すぎる。それを単行本で改めて潰しながらよんでいかないとどこがどうだか繋がらない。展開もダイナミックで魚人島が攻められた一方でフィッシャー・キングの過去の話も混じってそしてしらほし姫の母親の頑張りとそして暗殺なんかも描かれてと山場山場の連続。なおかつ伏線もたっぷりあるからこの先どこへと繋がっていくのかを探る意味でも見逃せない。連載の方ではルフィが参戦して決着に向けて動き出したけれどもあとしばらくはこの戦いが続いてその先、いよいよ新世界へと向かうのかさらに山があるのか。10年は終わらないなあ。それまで生きてられるかな。


【8月4日】 AEDが置いてあったらたすかったどうかは分からないけれども、JFLっていう日本のカテゴリーでは上から3番目のリーグ、プロフェッショナルな人もいたり企業所属の人もいたり、大学生だっていたりしたっけかな混成めいたところはっても、上から数えた方がぜったいに早いリーグの練習場にさえAEDが置かれていないことがある、っていった現実の方がなんか響いてしまった今回の事態。それは油断もあったかもしれないけれど、レンタル料がいくらかかかって保守費用だってそれなりにかかるAEDを置くことすら叶わないくらいに、3番目であってもサッカークラブの経営は厳しいものがあるんだってことを印象づけてしまった。

 プロがいる集団だってそうなんだからその下のカテゴリー、クラブチームのユースあたりはともかくとしてジュニアユースとかあるいは高校生、中学生といったまだ未来がいくらだってあるサッカー選手たちの試合の現場にAEDがないことだってある、というかその方が大きいような気がするし、競技ではないけれども趣味でサッカーを楽しんでいる年輩の人たちがいっぱいいるような試合の場にも、やっぱりAEDは置かれていない可能性が高かったりする。いや案外に、そうした人たちの方が身辺を気にし体調も考え、AEDの設置を前提に試合場や練習場を選んでいたりするのかもしれないけれど、今回の悲しい一件が、より広い範囲に健康を気にする動きがひろまるきっかけになれば、哀しみの中にひとつの光を見いだせるような気がする。

 というかいつかのコンフェデレーションズカップでフォエ選手が倒れた事件、そしてサッカーを愛して止まなかった高円宮殿下がテニスを楽しんでいた時に倒れ、亡くなられた事態を経た時にもっともっと、気にしておけば良かったという思いもないでもない。日常、フクダ電子アリーナっていうAEDが11台も設置されたスタジアムでジェフユナイテッド市原・千葉の試合を見ている身には、そうした環境がサッカーには一般的になっていたかもしれないという錯覚もあった。ジェフ千葉の練習場には1台が常設されて、そして2台が移動用に備えられているともいう。そんなジェフ千葉の意識がもっともっと広い範囲に共有されていたら……。今さら言っても詮無いことだけにこれからの動きを願って止まない。

 なるほどこれがプロで固めた声優たちばかりだと誰がどんな声を出しているんだって気になるものだけれど、俳優ばかりでその縁起がフラットだとどんな演技を誰がしているかってことより前に、どんな物語がどんな心理を含みながら展開されているのか、それはどんな絵でもって描かれているのかって方が前に出てくるんだなあと「コクリコ坂」を見ながら改めて思ってみたり。メルとこ海の声が長澤まさみさんだということは知っていても、普段どんな声で長澤さんを印象づけているかってことがないからそれは長澤さんが演じるキャラではなくって普通に海ってキャラになるし、岡田準一さんが演じる少年も同様。彼そのものに興味が向かう。

 最たる例が生徒会長の水沼で、イケメンで優しくそして頭もいい彼の声が誰なんだってことを調べる気すら起こらなかった。それはもう水沼って存在そのものに圧倒されてしまったからで、後で見てジャニーズジュニアの誰かでそして「遊戯王」でもずっと主役をやってた人だって分かったけれどもそんなことはどうでもいい、あの声を持ったあの顔をしたあの性格であのたたずまいの水沼という人物、その実在すら映画を見ていると感じてしまうくらいに普通に混ぜ合わさってしまっている。仮にこの声が神谷浩史さんだったら、小野大輔さんだったら、宮野真守さんだったら……って考えるとその合わさり具合は分かるけれどもやっぱり声に気が向かう。巧い声優特徴のある声優のこれは利点でもあるけれど、ひっかかる部分でもあるんだろう。悩ましくも難しいところかも。

 展開はもう知っていてあんまり不幸にはならずすっきり終わってくれるエンディングを知って見た「コクリコ坂」は何で海がどういう気持ちで旗を揚げ続けているのかを知って見ているだけに健気さと芯の強さがにじむ。海の家に来た瞬が写真を見て表情を変え何かを感じそしてどう接しようと戸惑うかも感じられる。切なさと痛さの混じった空気。それがラストで開放へと向かう感動は、初見でも分かったかれども2度目でも安心のカタルシスをもたらしてくれる。絵では海が学校に行くときにえらくちゃきちゃきっと歩くなあと分かった。歩幅長っ! それはきっと日々を気負った彼女の性格の現れなのかもしれない。あとはカルチェラタンのしっくい塗りの鮮やかさか。下まで来たこてをさっと返して上へと上げる鮮やかさ。哲学研の部長でなくとも惚れるよね。また行こう。

 普通だったらもうじゅうぶん、ルカ子が本当に女の子のルカ子で自分を好いてくれていると分かった時点でこの世界に止まり自分はルカ子と永遠の愛を誓うって決めてかかりたくなるところを鳳凰院狂真は根は普通の岡部倫太郎、望みに忠実ではなく他人に優しい人間として皆を大勢を救おうとする道を選んでしまう。それもまた我が儘勝手なことなのかもしれないけれど、目の前の果実に飛びつかない冷静さは持つ常識人だったてことで。自分ならどっちを選んだだろうなあ。ルカ子。可愛かったなあ。といった感じに進むアニメーション版「STEINS:GATE」は世界線をなかなか越えられないでいる今からこの先、激しい戦いとそしてどんでん返しの果てに何か見える開放感を期待して見続けていきたい。やっぱり小説版と似た展開になるのかな。読み返したいけど分厚いんだよあれ。だからアニメの方を見てそれから見直そう。ルカ子とのデートなんてあったっけ。


【8月3日】 もんわりとした蒸し暑さの中で寝ようにも寝られないまま音声を出さずに見ていた「神様ドォルズ」のアニメーションでは日比野が胸に子供の顔を埋めて窒息させようとしていた。あれはそれだけで犯罪的だということがよく分かった。飛ばしたりしてたんでもうひとりのデコメガネのでかいのが出ていたかは不明。あとあの案山子の手ってやっぱり蟹の爪みたく中の紐を引っ張ると爪が出たり引っ込んだりするんだなあ。単純。問題はその大元がどうやって稼働しているかなんだけど。そもそも消えたりするしなあ。謎。そして舞台はど田舎へ。新しい美少女キャラも出るみたいだけれどこっちはあんまり期待できないなあ、おっ○い。

 土屋アンナ様と呼ばせていただきたい。元よりいろいろとひょうきんな所を見せてくれる女優でシンガーな方だとは思っていたけど、ほとんど全身パジャマにちかい衣装でもって、アニメ「おねがいマイメロディ」に出て一躍その名を世間に知らしめサンリオでは珍しいワイルドなキャラとして人気となっているクロミの格好を、テレビカメラの前で堂々としてみせるそのプロフェッショナルな意識に心から敬服する。靴なんて自前の1000円とかのサンダルだし、暑いからって時々すそをまくってスネを出したりするぞんざいさも見せていたけど、それも含めてやんちゃなクロミ様っぽさを感じさせる立ち居振る舞い。何が求められているかを感じてその上を行く意識の高さを「別に」な女優の方とかに、見習って頂ければ会見も楽しくなるだろう。

 そんな土屋アンナさんが何でクロミの格好をしていたかと言えば、ジーンズのエドウインと組んでクロミがデザインされた子ども向けのファッションを作ったから。ライダージャケットみたいな背中にクロミがデザインされていたり、Tシャツの前にでっかくクロミがキラキラな感じでプリントされていたりとどれもクールでスタイリッシュ。マイメロディとかハローキティとはまた違った性格を持ったキャラの本質をしっかり踏まえそれを形に落とし混んでみせる才能とか見るにやっぱり土屋アンナさんは半端じゃない。もっとこの個性を世間は生かした方がいいけどでもいったいどこに収めれば。「下妻物語」とか「さくらん」みたいな特殊で絢爛とした映画にもっともっと出て欲しいなあ。

 大崎から信濃町へと向かう間で時間があったんで紀伊国屋書店の地下のカレー屋さんでモンスナックではない方の地下鉄口に近い普通のカレーを食べさせてくれていた店をのぞいたら普通じゃないカレーの店に変わってた。いきなりひよこ豆のキーマカレーとかタマネギまるまる1個使ったスパイシーなカレーとか、普通の町のカレー専門店くらいでしか出そうにないものがスタンドで出ているって訳で入るとなるほど中で注文を聞いてから、より分けてことことと似て出していた。さっときいてさっと出してさっと食べてさっと変えるスタンドとはやや違う感じ。とはいえモンスナックがデンと構えるあの地下で普通ではもはや無理かもしれないからこうした変化が悪くないのかも。次はタマネギ丸ごと1個カレーに挑戦したいところ。辛いかな。美味いかな。

 「Number」が女子サッカーを大特集していてJリーグだって滅多に取り上げない雑誌がこれとはいよいよ女子サッカーもチャンピオンズリーグとか日本代表とかに匹敵するコンテンツになったのかもと思ったけれどもこれもワールドカップで優勝したから。優勝してなかったらこれほどのデカさにもならずその凄さも伝わらず苦境も広まらないまま行き過ぎていったかもしれない。そう考えるとやっぱり優勝して良かった。カズさんはその場に立てることを喜ぼうって話していたけど男子ではそういう文化ああっても女子ではやっぱりまだなんだ。そしてこれからなんだ。

 だから「日テレ・ベレーザが経営難から澤を始めとする主力選手の放出を余儀なくされてから、わずか半年」って書いてそれから「なでしこたちは、かくも少ないサポートと期待しか受けられずにいたことを、日本人は覚えておかなくては」と書いている金子達仁さんの、今だから書く的スタンスはとてもとても有り難いことではある。あるんだけれどもこれが普段はサッカーなんか見ていない一般の人ならまだしも、恒にサッカーの同好を見ていてしかるべき評論家の人の発言だと思うとちょっと遅いんじゃないかって気がしないでもない。半年前のその日テレ・ベレーザの苦境について金子さんは何か書いたんだろうか。それが女子サッカーの発展に大きな影響を及ぼしかねない事態だと憂慮したんだろうか。

 「そろそろ、気づかなければ。花を咲かせ続けるためには何が必要か。土と水である。国民栄誉賞ではない。なでしこを、徒花にしてはならない」という言葉はなるほど正論。それを言われてそのとおりってうなずく人の多さからも良い言葉なんだということは想像できる。でもやっぱり金子さんに今、こういう言葉を書いて欲しくはなかった。もっと前から気づいてて、ずっとずっと書き続けていて欲しかった。例えば2004年のアテネ五輪の後でYKK東北フラッパーズが消えたりスペランツァ高槻が移管したりといった苦境があった時に、アテネのあの喧騒はいったいどうしたんだと叱咤して欲しかった。2008年の北京五輪で4位に輝いた後、名門中の名門だったTASAKIペルーレが消えてしまった時にあの喧騒は徒花だったのかと憤って欲しかった。

 それなりに知られた人が喧伝する影響力の少なからずあることが、女子サッカーのより早い段階での回復を実現していたかもしれない。現実は3年かかってそして苦境をバネにする形でのワールドカップ制覇。ここで「徒花にしてはならない」と書いたところで当たり前過ぎるっていった感想がまず浮かんでしまう。まあそれでもこの言葉を受け止め動く人もいるはずだから、これから後、この言葉を徒花にしないで金子さんには女子サッカーへの賛辞を紡ぎ続けてもらい、またなでしこリーグへと来て炎天下の中を見物してその過酷さを肌身に感じ、そのひたむきさをまぶたに焼き付けて頂けたら幸い。

 2003年にどんなアニメが放送されていたかをすぐ言えと言われて思い出せない記憶力の弱さがなさけないけれど、調べてみるとこの年にあの「住めば都のコスモス荘 スットコ大戦ドッコイダー」が放送されてユーフォーテーブルなる会社の持つ能力の凄まじさって奴を世の中に知らしめた年だったと判明。記憶には確かにすごいアニメでよく動いて楽しかったってことが残っててそれを見返すためにDVD−BOXも買ったけれども、見返す暇もなく高円寺にあるユーフォーテーブルカフェでトークイベントが開かれて、のぞいて繰り出される思い出話についていこうと昔の日記を読み返したら、やっぱりどの話数でも褒めあげていてそして2003年の上半期では「LAST EXILE」に並んで第1位のアニメだったって結んでた。

 なるほど分かる。それは分かる。「LAST EXILE」はやや最終回でキャラが不思議な展開になったりもしたけど、それでも雰囲気とクオリティだけはラストまで維持していってくれた。一方の「スットコ大戦ドッコイダー」は毎話が超クオリティ。実験的えでもあれば映画的でもあってそして楽しく面白かった。どうしてこれのDVDを当時そろえなかったのかなあ。売ってなかったのかなあ。まあ良い今はDVDボックスを買い次はブルーレイボックスの発売へと向かって突き進むだけ。そのたけの決起集会に集まった今晩の面々が、1人で1000も買えば1万セットは……ってうーんやっぱり今はまだ知名度的にはこれくらいか。でもあの「フタコイオルタナティブ」を作り「空の境界」を作ったユーフォーテーブルのトップが出てきて喋るイベントにアニメ好きならわんさと詰めかけるのが普通じゃなイカ? ロフトプラスワンだったら立ち見も出そうな面子なのにこのくらいなのはやっぱり今は作品で、あるいはキャラで、キャストで見られてしまう時代ってことなのかなあ。土曜日にもまだあるんで興味が出てきた人はそっちへとゴー。原画集も売ってます。3500円でハイクオリティ。お得です。


【8月2日】 なんか熊本に「くまBAR」なんてものが出来たそうで、名前からするにクマがバーテンダーをやっててお客からの注文にボーっとしながらも起用にその前足でカクテルを作って出したりするんだけれど、つまみの注文が入るとついつい冷蔵庫から出したサーモンなんかを自分で食べちゃったりしてお客さんから呆れられるという、そんなバーを予想したら全然違ってた。熊本の球磨焼酎とかを飲ませてくれるバーだった。そんなもんだよなあ。世界って案外に意外性にあふれてないよなあ。

 そして上野動物園にパンダポストなんてものが出来たから、てっきり長崎かどこかの養護施設に出来た育てられなくなった赤ちゃんをそこに置いていくポストのパンダ版が出来て、生まれたけれども育てられなくなったパンダをそこに置いておけば上野動物園が引き取って育ててくれるんだなって思っていたらまるっきり違ってただのパンダ模様に塗られた郵便ポストだった。当たり前か。いくら何でもこの日本でパンダが勝手に子供を生んでは育てられなくなって捨てていくなんてことはないからなあ。レッサーパンダか山田パンダの子供だったらるのかな。どっちにしたって夢はやっぱり夢ということか。

 石岡琉衣さんといっしょにボイルドエッグズ新人賞を受賞した徳永圭さんって人の「をとめ模様、スパイ日和」(産業編集センター)を読んだら舞台が三河あたりだった。どのあたりなんだろう、西三河と東三河じゃやっぱりちょっと違ってるしなあ。ちょっと気になる。それはそれとして内容はといえば宅配便のコールセンターで働きながらも漫画家を目指して原稿を描いて月例のコンテストに応募してはBクラスまでは行くもののAクラスになって担当がついてデビューとはいかない寸止め気分に、懊悩しつつそれでも描き続ける25歳くらいの女性が主人公。その日も漫画を描いてコンビニへと送り出しに持っていったらそこで中年男性にぶつかり袋から漫画の原稿をぶちまけてしまった。

 見られてちょっぴり恥ずかしい、って気分があってもしょせんは一期一会かと思ったら、その中年男性が何とコールセンターのセンター長が病気で入院した代わりに派遣されてきた代理のセンター長だったから驚いた。きっとバレた、恥ずかしい少女漫画描きの趣味がバレてしまったと怯えた主人公だったけれども、それを材料にして脅すようなこともなく、むしろ気付いてすらいないような雰囲気を持って代理のセンター長はお気楽そうに席につき、忙しい日には電話を取って応対するような前のセンター長が見せなかった仕事ぶりも見せてはコールセンターの面々から存在を認められていく。わけてもお局様っぽい女性は主人公たちに命じて後を付けさせ住所とかを割り出そうとしたものの、途中で目を離した隙にいなくなってしまったから驚いた。

 それは単なる見間違いか。悩みつつ納得しつつ主人公の女性が仕事をしている最中、その代理センター長が彼女に向かって漫画を描いていることを知っているようなセリフをはいた。なんだそりゃ。おまけに自分はスパイだとも打ち明ける。なんなんだそりゃ。訳のわからないまま不思議な気分を味わいながらも女性は漫画を描き持ち込みに行っては散々と厳しいことを言われつつそれでも描く意味を見出し最後にはどうにか手がかりを得る。ハッピーエンド、かと思ったのもつかの間、その代理センター長のさらに不思議な存在が浮かび上がるという、展開はとりたてて謎を解き明かすようには向かわないけれども、平凡な日常にちょろっとまぶされたスパイスが、惰性に陥りかけていた女性の人生をぴりっとさせ、日常をぐるりと変えていく展開に、平凡に沈むよりも好奇心に向かって突き進む気持ち良さを感じさせられる。巻末には女性が描いた漫画の原案めいた短編も収録。愛知県在住だそうだけれどもやっぱり住処は三河かな。

 なんかテレビ局が外国の文化ばかりを偏重して流してけしからんといった声が起こっているけれども、それを言うなら映画の宣伝ばかりを自分のところの番組を通して流すってのもやっぱり筋はよくない訳で、それにたいしてどうして誰も立ち上がらないのかと迷う昨今。とりわけ「ロック〜わんこの島」なんて犬の健気さを喧伝するような映画をのべつまくなし宣伝していることに、虐げられ無視されているにゃんこたちがどうして立ち上がらないのかが分からない。かつてせっかく命をいくつもかけて素晴らしい映画を作り上げ、そして全国にムーブメントを起こした局がこの状況とは、滝壺の底でチャトランたちもきっと泣いているんじゃなかろーか。

 大勢の人間が立ち上がって何かしでかすような空気もあるけれど、そうした狭い了見からの反意に流され惰性的な雰囲気が巻き起こっては気持ちをガサガサさせられるより、むしろこんな光景を期待したいもの。「お台場放送局はわんこ偏重を是正せよー」「にゃー」「犬だけでなく猫も公平に取り上げろー」「にゃー」。これなら応援する人だっていっぱい良そう。でも「ロックくっちゃえ」って命令されたわんこが「わん」といった果て、「にゃぎゃー」「わんわん」「にゃぅ………」「もぐもぐ」なんて光景が繰り広げられないとも限らないし。阿鼻叫喚。やっぱりにゃんこは化猫になるまで我慢我慢。

 見えなくたって興味を示して一所懸命になっていれば妖怪だって興味を示し好意も抱いてその人間を慕うもの、なのか。「夏目友人帳・参」はふとしたきっかけて立ち寄ることになった多軌透の家で夏目がかつてそこに暮らしていた多軌の祖父を慕って集まってきていた妖怪たちに出会い、謝って封印をといてしまって動き始めた妖怪を退治するはめにもなった時、多軌の祖父を見守っていた妖怪たちが手を貸し力を貸すという展開に、あれでなかなか律儀で優しい存在なのかもと思ってしまって心が優しくなった。多軌が頼んでも姿を見せようとはしなかったけれど、それもまた家ではなく血筋ではなく存在その物を認める妖怪のシビアさ。認められ囲まれ慈しまれた多軌の祖父の域まで多軌は達することができるのか。祖父と同様に見えなくなってこの一件で、多軌も慈しむ気持ちを高めて生きてそして最後に何か、良い経験をするのかも。その横に夏目はいるのかな。いないかな。


【8月1日】 もう8月なら来月は9月でそれが終わると年末まで3カ月とは時の過ぎるのは早すぎるなあとか思いながらもこの1年で何も成していない自分に呆然。残る人生のたいしたことのなさを考えるならそろそろ踏ん切りを付けてい一意専心すべきか否か。阿呆な文章が全面に溢れて間抜けっぷりをさらした挙げ句に自滅へと向かう可能性も決してゼロではない中で、生き残り食べ続けるための道って奴をつかんでおきたいんだけれどなあ。この不景気ではやっぱりそれも難しいかなあ。漫画描くか声優になるか手品師を目指すか政治家になるか。どれが1番可能性があるかなあ。

 テレビ局が自分ところの番組で自分ところが作った映画の宣伝を延々とやり続ける鬱陶しさについても是非に彼には率先して突っ込んでいただきたかったものであることよ。それがないのに急に言い出すから今さら感が漂ってしまうのだ。とはいえしかしそうでもしないと入らないのか「ロック〜わんこの島」とかいう映画。だって予告編を見たらもうだいたいストーリーは分かって映画館に行かなくてもいいって気になったよ。三宅島で別れた犬が元気だったって話か何か? まあ「南極物語」の変奏みたいなもので犬の可愛さ子役の健気さに良かったんじゃねって思える程度。それを今の時代に企画して作って来るんだから日本映画も廃れる訳だ。いや全部じゃないけど。中にはテレビ局主導でもしっかりしたものがるけれど。そうじゃないのを作る局があるのさ海上に。

 どうせだったらもっと過激でアナーキーな内容にすれば僕だって見たいって思ったのになあ。例えば天地開闢以来生き続けては、戦乱の中心に位置して人類を助け導くも及ばず、嘆きながらさらに顔を変え、性別も変えて生き続けては人類を助け続ける超能力者が、とある島に迷い込んで犬と心通わしひとときの癒しを得るってストーリー。タイトルはもちろん「超人ロック〜わんこの島」だ。ラストシーンは犬を抱えたロックが背中越しに見えて上に「何を見ている?」って問いかけられて「未来を……」って答えるセリフが重なるんだ。

 あるいは海兵隊の伝説的軍用犬がアフガニスタンで政府に見殺しにされかけた怨みを晴らそうと、ニューヨークだかにあるアルカトラズ島に仲間の軍用犬や警察犬や番犬狩猟犬と立てこもって翻した反旗に、ニコラス・ケイジとショーン・コネリーが挑む「ザ・ロック〜わんこの島」。きっと壮絶な撃ち合い噛み合いが見られただろうなあ。アイデアさえあればいろいろ作れる中で最も無難を選ぶから誰からも見向きもされないんだ。何とかして欲しいけど、どうしようもないよなあ。

 なでしこジャパンブームに絡めて超強引に「蹴球少女」の第4巻を紹介した次に、紹介する漫画を何にしようかととり・みきさんの「とりったー」(徳間書店)を買って読んで痛い話にアイタタタと思いつつ311に関連した漫画がシリアスで深かったなあと思いつつ目はすっかりとフーターズへ。しっかりと谷間が描かれていたのが良かったけれども、一緒に買ってきた「こいもく」(キルタイムコミュニケーションズ)って漫画が谷間谷間谷間と凄まじくってそっちを紹介したいなって傾いてしまっている今日このごろ。

 漫画家志望の少年が主人公なんだけれども自分の作品は書けない上に、出むいたアシスタント先でも失敗し続け、将来を儚んでいたところに出会った女性がとある漫画誌の編集長。今は有名になた漫画家を発掘して育てのは彼女だという業界の伝説を持った編集長だった彼女は、少年のネームを読んで何かを思ってデビューさせようとし、それを聞いて少年はやったと思う。ところが、どこか自意識過剰で自分に自信がなかったりもする少年は、編集長を単に若者食いの女だと疑い逃げ出したところに、面倒をみてもらっていた編集者の上司の編集長でやっぱり女性が少年のネームを読んで、何かに気付いて漫画を描かないかと誘いかける。

 漫画の漫画ってジャンルの1冊で、美人だったり美少女だったりする編集長の間に挟まれ、漫画家志望の少年がムフフになるかと思いきや、こと漫画を描くスタンスにかけては編集長たちも他の漫画家たちも鬼のよう。その厳しさに少年は甘さをつかれ悩み果てながらも自分を見つけるストーリーが描かれる。漫画の漫画としては超ヒット作になっている「バクマン。」ほどに業界のシステムが詳細に描かれている訳ではないけれど、こと漫画と向き合う態度、あるいはプロフェッショナルとして何かを作る立場にある人間に必要なスタンスを教えてくれるところがあって目を離せない。原作が林達永、作画が李海源、ってことは韓国系? 漫画の面白さにもはや国境も海峡もないのだ。

 その希有な存在は見知っていたけれどもプレスリリースを置くって頂けるような接触はあったっけ、って振り返りながら出むいた京橋はASK?Pってギャラリーで始まった「水江未来の細胞アニメーション!」で、飾ってあったオブセッションの聞いた細胞分裂イラストを見てそうだあれは2007年に開かれた東京コンテンツマーケットで見たんだったと思い出す。当時はそんなにアニメーション作家って印象はなくって「りはめより恐ろしい」だったっけ、そんな小説の表紙のイラストも描いている人って印象があったけれども、今は日本動画協会だかの偉い人になっていたりベネチア映画祭に作品が出品されていたりと、押しも押されぬ若手アニメーション作家になっていた。人って進歩するんだなあ。見習いたいけどその種がない……。

 細密なイラストも凄いけれども細胞が生まれ育ち増えてから消えてそして生まれる流れを描いていったアニメーションも素晴らしい。なるほどぱっと見はグロテスクかもしれないけれども同じような動きの連続から生まれるリズム感とか成長していく感じなんかが現れていて、見ているうちにぐいぐいっと引きずり込まれていってしまう。人間のキャラクターが動くアニメーションではんくオブジェクトが音楽に合わせて動いてはねるあたりはノーマン・マクラレン的っていうか実験アニメっぽいけれど、ただ動きその物をすげえって言わせるんじゃなく、動きによって表現されたものの面白さって奴を忘れていないところが水江さんの作品の特徴か。だから見飽きないしかしこまらない。楽しい気分にすらさせられる。会期は10日までとまだあるんで時間を見つけてまた行こう。マネキンへのペインティングの成長具合も気になるし。


日刊リウイチへ戻る
リウイチのホームページへ戻る