メイヤー・インタビュー

イレーヌ・メイヤーへのインタビュー

 −−幻想的なモチーフの中に、自然や平和への強い思いを込めた絵で知られる画家、イレーヌ・メイヤーさんが、3月日から日まで、東京・有楽町マリオンで大々的な展覧会を開く。絵画作品をただ並べるだけではなく、作品に使われている様々なモチーフを、造形やCG(コンピューター・グラフィックス)などで立体的に見せるという、マルチメディア時代の幕開けを象徴するような展覧会になるという。

 「今までの展覧会は、絵を壁にぶら下げるくらいのことしかしていません。これだけテクノロジーが進んだのだから、いい加減、新しいことに挑戦してみてもいいのでは。私は平面の絵を描いている時でも、いつも三次元を考えながら描いています。テクノロジーを使えば、描いている時に頭の中にある物に近い表現ができます」

 「音楽も、絵を見るために邪魔になるものではありません。音楽が付けられた、展覧会のプロモーション用のビデをを見て、私は嬉しくて、涙が出るくらい感動しました。音楽は、絵をもっともっと感じ取らせてくれるものです。展覧会では、私の描いている時に感じている世界を、見に来ていただいた方にも同じように感じとって欲しい」

 −−砂漠化した森を癒そうとする動物たちの絵や、世界の文化が一つにまとまった素晴らしさを著したメデューサの絵は、経済的な発展のために、多くの物を犠牲にしてきた今の社会への、痛烈な批判ともいえる。

 「自然破壊は、私の絵に強い影響を与えています。ジャングルの中にハイウエーが走っている絵は、街や家を立てるよりも、木や森があるべき場所にあったほうがいいと訴えているものです。テクノロジーと自然が共存するためには、何が必要なのかという問いに対する答えを、私は持っていませんが、絵では、テクノロジーも自然も、両方とも必要だと描いています。テクノロジーと自然が共存できるような方法を、私の絵を見て、頭のいい人が考えて欲しい」

「テクノロジーに強く頼るようになった代わりに、失われていった物も多かった。今はテクノロジーを楽しむ人が多いけれど、あと十年くらいたてば、もっと中身のあるものを求める人達が増えていくでしょう。失われてしまった、童話とか神話とか、昔からあるしきたりとかの中に、大切な物がたくさんある。世界中の文化が一つにまとまった状態を示したメデューサには、そんなメッセージが込められています」

 −−社会的にも経済的にも、決して明るくない状況が続き、人々は未来に対して、強い不安を抱き始めている。

 「私には未来を予測することはできない。暗いにしろ明るいにしろ、どちらかに転ぶことになるでしょう。でも、、私は明るく、満足できるような未来に進んで行って欲しいと思っています。私の絵を見る人には、明るい未来はこういったものだと伝えたい。見ている人が私の絵から刺激を受けて、明るい未来を作るために努力していって欲しい」

 「年齢は関係ありまえん。それこそ五歳から九十五歳まで、あらゆる年齢の人に見て欲しい。職業もそう。庭師でも工員でもコンピューター技師でも高貴な方でも。政治家や企業の人といった、自然を守れる立場にある人にも、是非足を運んで欲しい」


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