Scoop!!!  ごじ先生の処女原稿発掘!!


 先日、私のもとに一通の通知が届いた。今年もマウントウジ ジャズフェスティバルが盛大に開かれるという。
 もうこの季節か。私は多少の感慨に囚われながら、マウントウジ ジャズフェスティバルの、過去の数多くの名場面を心に浮かべていた。
 オムニブックを抱えて舞台に登場、会場を40年代に染めた岡田、恩田クインテット。裏で繰り広げられる店員との果てしのないもめごとを、華麗な、果てしのないピアノソロで彩った鳥居光。船長以外、誰も知るもののない海図をもとに当てのない航海に出かけ、波乱万丈を経た後に無事に戻った吉田吉郎と一発野郎たち。そして伝説の”スポンジ”等、マウントウジ ジャズフェスティバルの名場面は列挙に暇がない。
 今年はどんな名演奏が繰り広げられるのだろうか。そんなことを思いながら、私は送られてきたプログラムに目を落とした。
 
 最初に登場するのは、アート笹田 & ジャズ・青ジャーズである。ヤッテンジャーズ、青ジャーズとコンセプトの異なるバンドを交互に率い、ともすれば違った方向に行きそうになるこのフェスティバルをしっかりメインストリームに結び付け続けたアート笹田が、今年は久々の純正青ジャーズを率いての登場である。これを聴いて、このジャズフェスはこういうものなのかと思わないよう、特に初心者には注意が必要である。また、久々のコンボである金子光一の参加も聴き所である。
 お次はこれもレギュラーとなっている公家ロックバンド。毎回違った視線からロック野郎の意地を見せつけてくれるこのバンド、今回はThe Yenturesとしての登場だ。修羅場をくぐり抜けていないやわな若者にはどうあがいてもマネの出来ない味を、今回もきっと堪能させてくれることだろう。
 修羅場といえば今回、一番の修羅場となりそうなのが次のマキと日大Jazz研の若者たちである。春の浦和を華麗な音色とチャイナドレスで魅了したまきちゃんが、自分のレギュラーバンドを率いての登場である。このバンドはかつてあの須田毅や鳥居光が在籍し、その個性を華咲かせた名門バンド。特大の一発を持っているからその挙動は目を離せない。この若者をどう受け止めることができるか、が今後の宇治金を占う試金石となると言っても過言ではないであろう。それだけに、気合の入った演奏を是非、見てみたいものである。
 さて、時代はファンキーである。各種の雑誌がこぞって特集を組み、そば屋の出前持ちが、和田だだんだだ勉と歌うこの世の中、そんなにファンキーっていいの?と顔をしかめる世の親父ども。そう、ファンキーはいいのである。それでもまだ首をかしげる寺国likeな者共。これを聴け!とりいひかるFunkyのりのり、満を持しての登場である。この演奏が、世を変える。
 ファンキーのりのり、踊ったあとは、宇治金自慢の歌姫、ご存じ横田郁の登場だ。これはもう説明無用。これのために毎年来ているという常連さんも多いことだろう。だまって聴け!
 そして最後に控えるは、永遠のレギュラーバンド、スペシャル宇治金時ランチタイムスである。毎年レベルアップし続けるその演奏に、今年も圧倒されようではないか。

 以上偉そうに言ってきたが、何を隠そうこの私、マウントウジにはここ2年間、御無沙汰し続けている。しかし、この充実したプログラムを見せつけられると、この2年間の後悔と共に、今年こそは、の念に駆られ、新幹線のチケットを取りに走ってしまいそうである。

 なにはともあれ、マウントウジ94’に期待する。

マウントウジ94によせて 

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