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  神々の山嶺(いただき) 夢枕獏



 反則だよ獏さん。って、前にもここに書いたのだけれども。
 これも、いや、これの方が、反則だよ。
 
 獏さんの物語は、基本的にみんな「おやま」の物語なんだよ、ってきっとどっかでいったことあったけど、これは、そのもの、ど真ん中の「おやま」の話です。
 やまに、エヴェレストにとりつかれた男たち。
 いや、とりつかれた、っていうんじゃないな。
 それしかなかったんだよ。それしかなかった、ただひとつのもののために、どれだけのものを捨てられるか。神に愛されるために、どれだけのものを捨てなければならないか。
 
 ああ。
 じれったいよ。
 こんなこと書いたって、きっと、なんにも伝わんないよ。おれが、この本から受け取った気持ち。
 
 よんでよ。
 おねがいだから。
 このページを読んでくれたあなたに、おれがたったひとつできること。それは、あなたが、いままで知らなかったこの本をおれが教えてあげる、っていうことだけだから。
 
 
 ほんとうは、ほんの数行だけここに引用したいんだけど、やめときます。
 目が、潤んでよく見えなくなりそうだから。
 
 おれが、涙がとまらなかったあの「二文字」。
 あなたにも、読んでほしいなあ。
 

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