おかえりなさい、オオウエエイジ。
さて。コンサートシーズンの夏休みも終わって。僕の復帰第一弾は、オオウエエイジの復帰第一弾。
そう、バイロイトから、帰ってきたんだよ。
青少年のためのコンサートだからね。ロートルは隅っこの方でひっそりと。って言うわけではないんだけどね。座席はホントに隅っこで。発売の週にとったのに、三階席のホントの端っこ。なんでだろう、って思ってたんだけどね。会場に来て納得。予想通りの嬉しい理由。
そう、1,2階席は、中高生の団体さんでいっぱいなのでした。もちろん青少年のためのコンサートだものね、当然。
というわけで、曲目もブラス少年少女だったらおなじみの曲を取りそろえて。どんなコンサートになるんだろうね。
ちょっと早めに着いて、誰か知ってる人いないかなあ、ってきょろきょろして。誰もいないんだけどね。
ロビーは制服姿の中高生でごった返してるけれど、3階席には子供連れが目立ってた。
そうか、三階席って、パイプオルガンのパイプよりも上にあるんだ。天上の方が近いんだ。前に乗り出さないと、指揮台も見えないんだ。でもいいの、今回は。ロートルだからね。いさせてもらうだけでありがたい。
さて、ステージの上にもわらわらと人が集まってきて。コンマスのおぼっちゃま君入って(って入ったの見えないんだけど)、チューニング。
オオウエエイジの入場。
「バイロイトおめでとう」「おかえり」
オッサンの野次に、曲のあたまの緊張感から一転、破顔して振り向いて、「ありがとう」って。
そして、暗譜のタクトを振り下ろした。
キャンディード。
三階席は、完全に横向いてるからね。1階席後ろの壁に跳ね返った音が良く聞こえる。まあ、ここでバランスのはなししてもしょうがないんだけどね。身を乗り出して、普段より一回り、振りの大きいオオウエエイジの表情を見てた。
キャンディードって、このプログラムの中では一番吹奏楽ぽいんだけど、演奏したことないんだよね、俺。佐渡も好きで取り上げたから知ってるけれど。
同じ吹奏楽向けのアーティキュレーションなんだけど、大栗みたいな嫌らしさがないのはなんでなんだろう、とか思ったりして。
曲の合間にはNHKアナの濱中さんとオオウエエイジのMCが入るんだけどね。オオウエのしゃべりは楽しいんだけど、濱中さんのMCはちょっとなあ。例えばこのコンサートをテレビで見てたら、それはいいんだろうけどね。生で見る、って言うのは、もろに伝わってくる、って言うことだからね。うるさいしゃべりとか、要らないんだよね。まあ、そんなに長くないからいいけれど。
次、バッカナール。
定期で聴いたんだけどね。踊りまくるオオウエエイジ。指揮台の上で蛇使いになったり象使いになったりして大忙し。オーボエの加瀬さんお休みだったけれど、楽しい演奏でした。
ボレロの前にね、パーカッション出てきて、客席交えてちょっとした合奏。僕はすごく不安だったんだよね。イマドキの中高生って、そういうの楽しまないんじゃないだろうか、って。でもそういう心配はまったく不要でね。みんなで手を叩いたり、足を踏みならしたりする制服姿の子達は、ホントに楽しそう。オオウエエイジの楽しさが伝わってるんだね。よかった。
そして、ボレロ。
ボレロに関して、僕の許容範囲は本当に狭いからね、この演奏も、例えばテンポが速いとか、トゥッティのバランスが違うとか、そういうこと言い出したらきりがないんだけれど。でもやっぱり楽しいよね。関西一のオケの、腕自慢のソリストが腕を競い合う。やっぱりトロンボンがいいなあ。
ところで吹奏楽でボレロって、一般的なんだろうか? うちの高校は、僕が入る1年前のコンクール、ボレロだったけれど。
休憩はさんで、マスカーニ。これはよく分からないや。きれいだけれど。
ただ、あまりにも短くて、これで終わり? って言うこともあったんだろうけれど、曲の終わりの緊張感と静寂。コンサートに来慣れてない子供達の方がそういうものを楽しむ術を知ってるんだね。
さて、最後の曲間は、客席からの質問コーナー。マイクを持って客席を駆け回るオオウエエイジ。
どんな練習をすればいい指揮者になれますか、とか、いつから指揮者になろうと思いましたか、とかのベタな質問に混じって。
「ずっと気になっててんけどな、あの黒い柱みたいの、なに?」 いいなあ、大阪。ちなみに答えはチャイムだったんだけれども。
あと、オオウエエイジに、今一番したいことはなんですか?
大阪に家を買いたいです。
買って買って。ずっといて。
市長や助役も来ていて、オケのすばらしさと援助の必要性をずっと訴え続けるオオウエエイジ。音楽監督は楽じゃないね。
というわけで。
ローマの松。
僕の前の席の、小学校低学年くらいの子供は、かわいくないことにキャンディードを一緒に口ずさんだりしていたのだけれど。
ギロ(じゃないのかな?)とか水笛とか、ふつうのオケにない楽器が出てくるたびにはっとしたようにきょろきょろ。すごいね。
もちろんオオウエのローマの松だからね。オオウエのローマの松、っていうイメージそのものなんだけれども。僕が大好きなトロンボンのソリが、よく見えて聴こえて大満足。
そして。圧巻は、バンダ。
ふつうはステージの後ろ側に出てくるんだと思うけど、今回のバンダは、客席の後ろに出てきた。それが鳴り始めたらね。今まで反射音ばっかり聴いていた僕の右耳が、初めて直接音を拾ってね。
方向感覚が分からなくなって。
そして、僕は音に包まれた。
アンコールのトースト。バーンスタインの弟子だって言う誇りを保ちつつ最後までエンターティナーしたオオウエエイジ。
ありがとう。そして、お帰り。
今日、聴いた子供達の中から、クラッシックのファンや、そして楽団員さんがうまれるといいね。