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おかげさまで、10,000アクセス達成です。今年もよろしくお願いします。
今年の始動は、来週あたり、かな。
番外編 朝比奈/NHK交響楽団 ベートーヴェン 交響曲 第9番のこと |
今年は聴きにいかなかったんだ。第九。 その代わりといってはなんだけどね、ちょっと姿勢を正して聴いたよ。家でね。
じいさん亡くなってすぐは、ブルックナーばっかりがどんどん発掘されて発売されていたのだけれども、今年はやっと、ベートーヴェンにも陽が当たるようになって。N響とやった選集に引き続き、第九も発売された。 僕はじいさんが大好きだけれど、出るCD全部集めます、それに飽きたらず海賊版まであさります、というほどのコレクターじゃない。ブルックナーは全部欲しいけど、あとは買ったり買わなかったり。この9番も、発売日に飛んでいって、っていうわけではなかったんだけど。 ちなみに僕は、第九のCDをじいさんで3種、他の人で3枚持っているけれど、隅から隅までよく知っている、っていうわけではない。 なんでだろ。 まあいいや。 第九を集中して聴くとね、いつも同じように思うんだけど、凄い曲だよね。一楽章。 N響の演奏にこんなに心奪われるのしゃくだからね、これは録音のせいなんだ、オーディオのせいなんだ、って言い聞かせてたけど。 聴き終わったとき、分かったよ。 かくして同じ曲で何度も楽しめるんだね。ベートーヴェンって、ホント、偉大だね。っていうか、俺がバカ? でも、偉大なのはN響だからじゃないぞ、っていうわけで、今度聴くのは大フィルのやつにしよう。 しばらくしてからね。 |
サン=サーンス:歌劇 サムソンとデリラ 演奏会形式 |
やっと寒くなってきたね。もう12月だもんね。12月といえば、オーケストラは第九の稼ぎ時なんだけど、今年の大フィルは12月に定期です。しかもオペラ。 今回のオペラは、えっと。トリスタンとイゾルテじゃなくって、ロミオとジュリエットでもなく、罪と罰、シダリースと牧羊神、みんな違う。なんだったっけ。 っていうように、まったく知らなかったんだ、このオペラについて。まあオペラの事なんてなんにも知らないんだけど、もともと。 大昔のエルサレム。ペリシテ人に征服されたヘブライ人。力持ちのサムソンはヘブライ人を先導してペリシテ人の支配から解き放つ。 平日だから、相変わらず駆け込みだったんだけどね。弾む息を押さえて、2階席からステージを見ると。 プログラムをパラパラ見ると。あ、サムソンとデリラって、サン=サーンスだったんだ。って事はフランス? フランスのオペラって聴いたことないな。バレエはいっぱいあるけれど。とはいえオペラなんてほとんど聴いたことないんだけどね。おまけにサン=サーンスもオルガン付きくらいしか知らない。つまり全くの白紙。 さて、舞台に人もそろって。サムソン役の福井さんも出てきて。今日のコンマスはおぼっちゃまくん。 ちょっと長めのオペラだから、プログラムに終演時間は9時40分くらいになりますって断ってあった。それを知ってた隣のおじさんが、時計を見て、「なんだ、早く終わったじゃねえか」ってつぶやいたんだけど、そうじゃないよ、これからずっと、カーテンコールが続くんだから。ってカーテンはないんだけれど。 たまにはいいよね、オペラって。 |
芥川也寸志:トリプティーク 弦楽のための3楽章 |
11月は大フィルがお休みだから、って言うわけではないんだけどね。今回は大阪シンフォニカーの演奏会です。 |
シチェドリン(ビゼー原曲):舞踊音楽「カルメン組曲」(抜粋) |
すっかり秋だね。って何回も言ってるけど。 |
ドヴォルザーク:交響曲 第8番 |
もはや秋の風物詩として定着した、年一回の尼響定期。 |
シベリウス:交響詩 ポヒョラの娘 |
さて。夏休みも終わって。 ということで、今回のコンマスは客演主席コンマスのお坊ちゃん。長原さん。前回は周りとあんまりあってなかったように見えたのだけれども、どうなんでしょうね、今回は。 と思ったんだけどね。シベリウスって、僕には退屈だなあ。ハーモニーの厚さとかそういうモノを求める作曲家ではなくて、どちらかといえばメロディのヒトなんだと思うのだけれども、それにしてもオーケストレーションがあまりに一本調子。 休憩終わって、ショスタコ。10番。 堂々とした一楽章、ブッ速の二楽章、やたらきれいな三楽章、そしてお祭りの四楽章。どれをとってもそれはそれはショスタコーヴィッチ。 今回で、前期チケットはおしまいです。 |
ヘンデル:クラヴィーア組曲 第5番 |
知り合いの知り合いのご子息の演奏会ということで、間接的にチケットをもらって。 大阪って、ご立派な文化のない場所だと思ってるでしょ? すべての大阪の文化には、庶民的、って言う形容詞が付くって。 この、御堂筋から眺める中之島って、好きだなあ。ここどこ? っていう感じ。 という訳で公会堂。中は洋風なダンスフロア張り。今は椅子固定のリサイタルホールだけどね。高い天井に二階席のバルコニー、豪華なシャンデリア。明治時代のカフェだね。 何人はいるかよく分からないのだけれども、会場は結構な人。7、8割くらいの入りじゃないのかしら。土曜の朝から、皆さんご苦労様。 演奏は、最初はピアノソロでヘンデル。そんなに広くないこの会場に、ピアノがよく響いて気持ちいい。 10分の休憩のあとは、ソロでコーダイのソナタ。とはいっても初聴きには変わらないのだけれども。 辻本さんは、いずみホールで関西フィルとも競演するようですね。ちょっと興味あるかな。 |
ブルックナー:交響曲 第8番 |
前回のバッハはね、結果的に特別な演奏会になったのだけれども。 前の週末から、カラヤン/ウィーンフィルの8番を流しで見て、ビクター版の全集についていた宇野とじいさんの対談で気合いを入れて。 会場には、NHKのカメラが入っているらしく、ロビーでもお客さんに対するインタビューが行われていた。広場の、僕の隣に座っていたおじさんが質問を受けていたのだけれども。 ステージには、もちろん前回とは比べモノにならないのだけれども、まあまあ標準的な数の椅子が並んでいて。って十分大編成なんだけれどもね。ホルン9、トロンボン3、弦バス8の、ブルックナー編成。 さて、バラバラと団員さんも入ってきて。コンマスは梅沢さん。チューニング終えて、着席。 拍手をもらって、暗譜の棒を振り下ろした。 ホルンの、ちょっときつめのタンギングから、ブルックナーのトレモロ。ちょっと速いのかな。頭にこびりついている、94年の朝比奈盤に比べて。もちろんそれは全然気にならないのだけれども。 10小節目の、ビオラとチェロ。十分艶っぽいのだけれども、もう少し、身悶えするような官能があったらよかったな。 要は、所々に顔を出す、ほんのちょっとの違和感。それがブレーキを掛けて、演奏にのめり込めない。 なんだろう。 オオウエエイジのブルックナーは、確かだよ。性能の良い大フィルをフルに鳴らして、テンションを保った心地よい張りと、明朗な響きが全編に行き渡っていて。 ただ。 ただね、オケはよく鳴っていて、心地よい響きなんだけど、僕はこの演奏では泣けないな。 もちろん、たとえば金聖響がこんな演奏をしたら、僕はもう大喜びで、一生ついて行きます宣言をしちゃうのかも知れないけれど。 無い物ねだりだって、百も承知なんだけどね。確信に満ちた暗譜から振り下ろされるタクトよりも、ふるえる棒の先から出てくる音の方が、ブルックナーには向いてるのかな、って。 でも、場数だからね、大切なのは。これからも、どんどん取り上げてほしいなあ、ブルックナー。もし、一回でも奇蹟の瞬間が訪れるならば、何回でも聴きにいくよ、僕は。 ビオラをかき分けて弦バスに抱きつきにいくオオウエエイジが。内ポケットに忍ばせたじいさんの写真をこれ見よがしに見せびらかすオオウエエイジが。僕はやっぱりとっても好きだからね。 |
J.S.バッハ:管弦楽組曲 第4番、第2番、第1番、第3番 |
今年の大フィルの定期は、豪華な大曲が並ぶプログラムなんだけど、その中で今回だけ、特別なんだよね。 大フィルって、もちろんじいさんとか、オオウエエイジとかが指導するオケっていう位置づけなんだけれども、それと同じくらい、あるいはそれよりももっと、関西で一番おっきなオケ、っていうのが大事なんだよね。僕にとって。 僕は、ボッセもヴィンシャーマンもまったく知らないから、どっちでもいいにはいいんだけれども、その企画を立案した、あるいは白紙の状態から引き受けたボッセ氏から、曲が固定した中でせっぱ詰まって引き受けたであろうヴィンシャーマンへの変更は、ちょっと不安が残るなあ。 それより前に、僕自身はバッハで楽しめるんだろうか。 おまけにちょっと職場が変わって、毎朝早く起きなくちゃいけなくて疲労のたまる金曜日。しかもチャイムダッシュしないと開演に間に合わない緊張感。 コンビニのサンドイッチとブラックコーヒーを外の公園で掻き込んで、なんとか開演10分ぐらい前に会場入り。結構客入ってるんだね。地味な曲だからもっと少ないかと思った。 ステージにだんだん人が集まってきて。ラッパ3、木管はダブルリードのみ4、あとは弦とチェンバロ。コンマスは梅沢さん。 で、曲。 たぶんくぎ付けになったのは僕だけじゃなかったんだろうね。一曲終わっただけなのに、カーテンコールの嵐。 2曲目は、さらに人数減って。しかもフルートのソリストが指揮者脇に立って。フルートのフィーチャリング。 何度目かのカーテンコールのあと、アンコールは今やった組曲の、一番短い曲をもう一度。さっきより元気のよくなったフルート。もう一度、よかったね。 休憩はさんで、編成はさっきよりちょっと大きくなったのかな。このころやっと気がついたんだけど、ラッパはピッコロトランペットなんだよね。そりゃああの音域だからね、最初に気がつくべきだった。ピッコロトランペットって、バロックの匂いがぷんぷんするよね。 確か第3番はG線上のアリアのやつだよな、って聴いていても、三曲目にはいっこうにあのメロディが出てこない。さては飛ばされたのか? って思ったのだけれども、よく考えたら順番がずれてるだけなんだよね。予習CDを何回か聴いてたんだけどね、どれもこれも心地よくって曲覚えてないね、失礼しました。 という訳で、アリアのある第3番は最後でした。今までの曲もそうなんだけど、ここでいきなり知ってるメロディが出てきたからね、それに身を任せてふと思ったんだけども、なんていう説得力なんだろう。18世紀にバッハが楽典を創って、以降の音楽はすべてがその影響下にあるのだけれども、技術的にはどんどん進化しているオーケストレーションの中に、これほどシンプルで説得力のある音って、どれだけあるんだろう。 アリアの時に限らずね。演奏中にふと、客席を見渡すと、みんな食い入るように見つめてるんだよね、ステージを。だれも眠ったりせずに、みんなホントに嬉しそう。こんなの見たことないよ。 名残惜しいけど、最後の時がきた。最後の余韻もみんなで楽しんで、はてしなく続くカーテンコール。 ヴィンシャーマンさんは、メンバーには懐に偲ばせた小さいカード(たぶんボッセさんの写真だと思うけど)を、そして客席にはバッハのスコアを提示して拍手を受けた。 アンコールは、主よ、人の望みの喜びよ。バッハのコラールって、いいなあ。 客電がついて、みんなが帰りはじめてもしばらくぼぉっとして。列の最後尾で階段を昇っていた時にね。 そうだよね。そういう演奏だったよね。 そのまま飲み会に直行しなくちゃいけなかったから、必死に押さえていたけどね。その女の人を見たら、ちょっとだけ、目からこぼれてしまいました、泪。 タテノリの定期のプログラムの中で、唯一のバラードが今回だったんだね。 遅れていった飲み会で、どうだったって聞かれてね、こう云ったよ。 |
アイヴズ:ニュー・イングランドの3つの場所 |
ちょっと身の回りがばたばたしていてね。更新が遅いのもそうなんだけれども、それより前に演奏会にかける意気込みをね、かき集める時間がとれなかったんだ。 和慶さん久しぶり。っていうか2度目? そんなもんか。前回はマーラー。今回はシュトラウス、どうやって料理してくれるかな。 華麗なスワナイさんとシュトラウスということで、会場は結構な入り。結構結構。 一曲目、アイヴズ。なんじゃこれ、つまらん。没後50年っていうけど、別にこじつけて取り上げるほどの曲か? 久しぶりに出て行きたくなったけど、人の迷惑になるからね、我慢して寝てました。 そして、ツァラトゥストラ。僕が初めて買ったクラッシックのレコードじゃないかしら。カラヤンの。中学か高校の頃。ついでにニーチェも少しだけ読んで、神は死んだ、とかいってみたりして。やな子供。 ということで、あの有名なファンファーレ。ラッパもティンパニもがんばりどころ。ばっちり決めてくれました。個人的にはね、僕はボントロ吹きだから、ファンファーレ最後のトロンボンのかっこよすぎる下降音階を十分に聴かせるためにもうちょっと遅い方が好みなんだけどね。 ハイティンクもそうだったけど、性能のいいオケをフルで鳴らしきる快楽、ってあるよね。僕は他のオケをそんなに聴く訳じゃないけれど、大フィルの、特に低弦の迫力と木管ソリスト、そして何より全体のエッジの効いた音とトゥッティの迫力は、この快楽に身を浸してあまりあるよ。 この、性能のいいオケを鳴らす快楽、しかも家のオーディオで気軽に楽しめる快楽、という意味で、このごろ(昔キライだった)カラヤンのいくつかのディスクがお気に入り。カラヤンのスタジオはやっぱり録音いいよね。 いえ、和慶さんには全然関係ないのだけれどもね。 |
ブルックナー:交響曲 第8番 |
いやあ。 まあでも、会場に入っちゃったらね、もうそんなことは関係なくて。どんなブル8が聴けるんだろう。ブルックナーの前にはいつものことだけど、祈るような気持ちだったよ。 入ってきたハイティンクは、颯爽としてる。まだ若いのかな。ちょっと小柄。 そして、ちょっと強めのホルンのタンギングで始まった音楽は。 つまりは、どこをどう切り取ってもブルックナー。 評論家の宇野さんがね、朝比奈の8番を評して、スコアが透けて見えるような演奏っていってて、ああそうかと思ってたんだけどね。この、ゆっくり丁寧なブルックナーからは、僕の知らない音がいっぱい聞こえてくる。しかも。しかも信じられないことに、そのすべてがブルックナーで、まったく違和感がない。 ブルックナーで違和感がないっていうのはね、これはもう、そのまんま音楽に浸りきり、ってことだからね。つまり音楽が「聴け」って迫ってくるんじゃなくって、気がついたらそこにある、会場が音楽で満たされている。その方向性の無さが、ああ、ブルックナーなんだ、って。 終楽章は、ちょっとテンポを戻して朝比奈並、なのかな。 ありがとう。 そして、再来月に同じ曲を振るオオウエエイジ。今日の観客の半分くらいがきっと足を運ぶと思うよ。覚悟決めて、いい演奏してね。 余談だけど、その日、AVアンプをつけっぱなしで寝てしまった僕は、次の朝リビングで鳴るブルックナーで目が覚めた。夢枕に鳴るブルックナーを切れ切れに聴いて、ああ、昨日の夢を見ているのかな、と思ってたんだけど、それは衛星でやってたカラヤンのブル8をタイマーで録画してたんだ、って気がついた。なんかちょっといい気分。 |
ラヴェル:ラ・ヴァルス |
なんだろう。 なんでだろう。 オオウエエイジの2年目は、なんとファジル・サイのハルサイ。ではなくて、ファジル・サイとハルサイ。サイのソロピアノ(実際にはオーバーダブだけど)による春の祭典がすごくおもしろくて、クラッシックのピアニストなんてどれもこれも区別つかない僕にとってはアンドレ・ワッツと並ぶアイドル。とはいえこの一枚しか持っていないのだけれども。 一曲目は、ラヴェル。しかもラ・ヴァルス。もちろんラヴェル管弦楽曲集とかにはもれなくついてくるんだけど、単独で聴くのは初めてかな。 続くサイは、なんとベートーヴェン。 さて、二部。 もちろん会場は大盛り上がりで、オオウエエイジもしてやったりって顔してたから、たぶんいい演奏で、取り残されてるのは僕だけだったのだろうけれど。 もちろん、次のブルックナーでそれを思い知らされるよりは何百倍もよかったのだけれどもね。 ところで冒頭のファゴット、一部分完全に落ちた? そういう譜面なのかな。スコア売っちゃったから確認できないんだけど、しばらくしたらCD聴いてみよ。 |
モーツァルト:クラリネット協奏曲 |
さて、昨日に引き続きシンフォニーホール。 金聖響って、人気なの? よく知らないのだけれども、4回の指揮者シリーズを何年も続けているところを見ると、人気なのだろうね。僕はCD屋さんの視聴コーナーでベト7の3楽章を聞いて、ちょっとがっくりしちゃった印象しかないのだけれども。 昨日はクワイア席で聴いたけど、今日はいつもの2階席ちょい右。個人的にはベストの位置だと思うのだけれども、昨日反対側から見たら、結構ステージから遠いんだね、ここ。やっぱり正統は一階席かなあ。今度試してみよ。 モーツァルトの時には、ステージ真ん中にこぢんまりとした編成だったから、休み時間におっきくするのかな、と思ったら、逆にソリストいない分だけもっとこぢんまりとした並びにして。ブルックナーを奏でるのは、なんと56人のオーケストラ、思わず数えちゃったよ。10,8,8,6,4の弦と、ホルンは5人。ブルックナーだよ、大丈夫なの? チューニングがすんで、長身の金が登場。暗譜の指揮棒から、トレモロが奏でられた。 ホルンもそうだけど、出てくる音は、これがたかだか60人足らずからでてくる音か、っていうくらいおっきい響き。両翼にヴァイオリンを持ってきて、左側にコントラバスとチェロを配した弦楽器や、ラッパとトロンボンにほとんど横を向かせて、直接音を客席に向けないようにした工夫で、トゥッティの響きなんか、会場全体の底から浮き上がってくる感じ(僕は拡散波動砲の一斉掃射って呼んでるんだけどね)がして、嬉しいなあ、これがブルックナーだよ。 大阪の地でブルックナーを、しかも若手が振るのにはそれなりの覚悟が必要で、その覚悟は具体的にはなんか一つ変わったことをやってやろうっていう形で出てくるのかな、って勝手に思っていたのだけれども、そうではなくてこういうやり方もあったんだね。 曲の終わり、前半のモーツァルトで間髪入れずに入ったブラボーコーラスも、金軍曹の気迫に圧倒されて少しだけの静寂があった。よかったね。 これだけいい演奏と、そして何よりブルックナーなのに、ちょっと空席があったのは残念だね。いい演奏会だったよ(って前半寝てたけど)。 |
ベートーヴェン:劇音楽 エグモント 序曲 |
めずらしいね。というか、初めてのオオウエの単発コンサート。曲はお気楽極楽系の巨人。と来ればそりゃあもうやることは決まってるでしょ。 かなり心配だったんだよね。客の入り。チャリティーコンサートっていうことで、宣伝も手弁当らしく、大手のチケット会社で大宣伝、っていう訳に行かなかったみたいだからね。僕が買ったのも発売からかなり経ってたけど選び放題だったし。じいさんの南海コンサートのブル4の時もがらがらだったから、その記憶がずっと残ってた。 そして、僕の席は、クワイア席の一番前。ちょっと乗り出して下を見ると、そこにはでっかいシンバルが鎮座してた。まあ音響はこの際おいといて、今日はオオウエの指揮をこっちから見ることだよね、やっぱり。 さて、オオウエエイジがいつもの通りにこにこ、颯爽と登場。 なんと。 今までは、ね。 そのあとのヴァイオリンはね。これはしょうがないのだけれども、ソロの最初の一音がした時に初めて分かったよ。ヴァイオリンも前に音が飛んでいく楽器なんだ、って。つまり音が迫ってこなかったんだよね、背中から聴いてると。これはこの席を選んだ僕のせいで、和波さんのせいでは全くないのだけれどもね。 休憩のあと、私服に着替えた和波さんとオオウエエイジがマイクを持って現れた。視覚障碍者のためのアメリカでのボランティア活動を紹介したりした。 そして、マーラー。 その中で、おもしろいモノを見つけたよ。休憩時間、僕の目の前に置かれていた閉じたパート譜。よく見ると、右からTrb4、Trp5って書いてある。位置的には、普通の席からステージに向かって、後段左側にホルンの島があって、そこから右にラッパ、トロンボン、チューバと並ぶんだけど、そのホルンとラッパの間。 さて、やっと間に合った。明日は同じくオオウエのハルサイ。めっちゃ楽しみ。わーい。 |
スメタナ:交響詩 我が祖国 よりボヘミアの森と草原から |
あったかくなったね。重いコートを脱ぎ捨てて、シンフォニーホールのクロークを使わなくってすむ季節。もう春だもんね。 スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェクって並べてみても、それぞれよく知らないし、ひとくくりに出来るのかもわらかないけれど、ドヴォルザークを中心にしたチェコ音楽っていうくくり方からは、土俗的メロディを中心にした親しみやすい音楽、っていうイメージがあるよね。同じ民族色が強くてもフィンランディアみたいに押しつけがましくない、っていうか他民族の参入を許すっていうか。 まあ一般的にも似たような認知度だと思うんだけどね。客席はオオウエエイジやブルックナーのときのようにはいっぱいではなくて。ブラス隊向けにクワイア席あけてあるんだけれど、他のところにも空席がかなり。 さて、スメタナ。 お次は、ドヴォコン。チェロって、いいよね。サントリーホールで聴いた朝比奈/新日フィルのブラームスダブルコンチェルトから、僕は朗々と響くチェロの音色が大好きなのだけれども。地につけた脚を伝って床から壁をふるわせる響きが、ね。 休憩終わって、ヤナーチェク。9本のトランペットを含むブラスバンド、って他はなんなんだ? って思ってたのだけれども、クワイア席の両端と真ん中(オルガン前)に3本ずつ並んだラッパと、ステージ後列に4人並んだトラのブラスがそうらしい。 さて、今回でオオウエエイジ1年目が終わったのですが、2年目のジンクスとなる4月春の祭典、なんと売り切れだそうです。おめでとう。楽しみにしてます。 |
R.シュトラウス:交響詩 ドン=ファン |
井上道義よ、おまえもか さてさて、頭を戻して、またクラッシック。とはいえ井上道義、ローマの松。これは純然たるエンターティメント系。 日曜の午後3時っていう時間が、観客動員にどう影響するのかは知らないけれども、会場は結構入っていて。二階の端っこと横席の後ろの方以外はほぼ満員。ミッキー相変わらずの人気だね。僕はフェスの革命以来かな。 今にも降り出しそうな雨をにらみつつ、ご飯を食べつつホールへ。予約したチケットがあったモノだから、裏のチケットセンターへ行ってみたのだけれども長い行列であえなくあきらめて、いざ入場。 さて、松以外のプログラム知らなかったからね、確認すると。あれ、シュトラウスってちょっと前聴いたな。7つのヴェールの踊り。まいっか。ドンファンは初めてかな。 さてミッキー。相変わらず急ぎ足で入ってきて、でもきちんと指揮台の上で拍手をもらう。進歩したね、と思った途端、振り向きざまに指揮棒を持たないてを振り下ろす。 とはいえ始まったシュトラウス。 サロメもそんな調子でね。加瀬さんのソロ、今度は豊かな音量にちょっとびっくり。 休憩に外出してチケットセンターへ。 でもとにかく前座は終わって、舞台上にはハープ、ピアノ、チェンバロ。パイプオルガンに灯がともり、クワイア席の端には譜面台。そう、松。 なんでだろ。あんまりうきうきしなかったんだよね。よく解らないや。 近頃の大フィルって、この程度じゃないんだよ、ホント。 |
ショスタコーヴィッチ:交響曲 第7番 レニングラード |
ひさびさに、その日のうちに書くよ。
オオウエエイジ就任一年目、10回の定期演奏会のうち4回をオオウエエイジが振ったのだけれども、今回がその4回目。そして日曜日以来、5日ぶりのオオウエエイジ。 前回は1日目に変わってもらったから、ひさびさの通し席。別に思い入れはないのだけれども。 驚いているうちに入ってきたコンマスは、日曜に引き続き若いあんちゃん。ゲストコンマスってプログラムにも載ってた。梅沢さんが隣にいるから一安心。にいちゃんコンマスは緊張してるのか、どことなくぎこちなくチューニングを済ませて。 9割以上埋まったホールに、オオウエエイジが入ってきた。 僕は、この曲を好きかと言われたら、迷うよ。 うなりを上げる弦楽器で始まったこの曲は、なんていうんだろう、気持ちよくない。もちろん総勢20人のブラスは吼えるし、ティンパニも強烈なんだけど、爽快じゃない。 って長々書いてきたけど、まだ1楽章なんだよね。 2楽章、3楽章は一息つけるくらいは普通で、もう後一押しで嗚咽必至の生殺し状態からも立て直すことが出来た。 4楽章もまた不安なんだけど、スネアの仕掛けがない分安心して盛り上がれる。弦楽アンサンブルになるブレークのところは気持ちよかったな。でも今度はハープの不協和音が。 そしてフィナーレはもう、センプレ大盛り上がり。大音響で頭が朦朧としてくるね。トランス状態。 いやあ、楽しかったな。 オオウエエイジが拍手を受ける。どうだ、ざまあみろっていう顔で拍手を受ける。どうだ、いいオケだろうっていう顔で拍手を受ける。単純なことなんだけど、オオウエエイジが誇りに思うオケを俺たちは持ってるんだぞって、すごい嬉しい瞬間。 カーテンコール。 そうそう、来場時にホールの隣にフォンテックのバンが停まってた。ステージにはラジオ用にしては豪華なマイクが並んでいたから、録音してるのかな。オオウエ/大フィルはエクストンじゃないのかな。 |
モーツァルト:交響曲 第41番 ジュピター |
シティホールフェスティバルって、聞かない名前だよね。オオウエエイジも、この前いずみホール満員にして、来週レニングラードだけど、今週って何? っていう人も多いのかと思うんだけど。 大阪市役所って、立派なんだよ。このごろ仕事で淀屋橋から梅田まで、御堂筋を歩くことがあって初めて見たんだけど、なんだこりゃ。政令指定都市とは言え、たかが市役所か、これっていうくらい立派。 ちょっとはやく、会場の少し前についたんだけど、お客さんははやくも長蛇の列。自由席だからしょうがないけど、市役所のホールなんてどこで聴いたっておんなじだって、っておれも早く来てるのか。 会場は超満員なんだけど、定期よりも平均年齢高いね。エルダークラブとかそういうところにチケットばらまいたんだね、きっと。普段縁がないヒトに聴いてもらうには絶好の機会だもんね。 狭いステージに、ちゃんとした人数並んだオケ。そして出てくるオオウエエイジ。曲を始める前に、客席を向いてしゃべるオオウエエイジ。 そうそうモーツァルト。たぶん音響のせいであんまり乗れないところに、長いんだよね、ジュピター。しかも客席正面にはでっかい時計があって、いやでも曲の長さに目がいく。おんなじモーツァルトでももうちょっと客層を考えて、短くて華やかなやつもあったのでは、と思ってしまいました。みんなこくりこくりしてたしね。 休憩の後は、さらにステージ上は大混雑。弦はさすがに少ないけれど、バーンスタインとチャイコで管は普通にあったね。明日から定期のリハなのにご苦労様。 オオウエエイジの小品集って、そんなにたくさん見られるモノじゃないからね。すごく得したコンサートでした。 シティホール、これからも有効に使ってね。 |
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 |
さて。じいさんがいなくなってからもう、2年以上が過ぎて。喪中状態の大フィルもオオウエエイジという音楽監督がやってきて、やっと前を向き始めた。 じいさんが生きていたころはね、大阪が日本のブルックナーの聖地だ、なんておだてられていたけれども。じいさんがいなくなったとたん、そんなことは大嘘だったっていうことが露わになって。在阪オケはほとんど演奏しない。海外オケもやってこないと言う状況で僕らはずっとブルックナーに飢えていた。 これがこけてもまだ、じいさんと共有した「あの瞬間」を求めて、通うんだろうけどね。 70分ほどのブル9一曲だけで演奏会をするのは、やっぱりじいさん以外のヒトには無理な話で。今回の前座はモーツァルトの協奏曲。 さて、休憩。 と言うわけで、9番。 僕には分かっちゃったんだ。 僕が一回だけ聴いた、じいさんの9番。それはじいさん最後のブルックナーで。技術的にはそんなに褒められたモノではない演奏だっていうのは、今はよく解るけれども。それでもそんなこととは無関係に、ぶつかってくるモノがあった。胸を、目頭を、体中を満たすモノがあった。 ああ、そうなんだ。 アダージョの終わり、ワグナーチューバのロングトーンが消えていって、ホールを静寂が埋めた時には、それでもやっぱりブルックナーって、いいな、って思ったんだけどね。 この演奏会を最後に、退職されるコンマスの岡田さん。ご苦労様でした。オオウエエイジの代になってから、岡田さんがコンマス席に座るのをよく見たような気がします。どうもありがとうございました。 それから、いつもは2日目の公演に通し券で行っているのだけれども、日程の都合で一日目に変更してもらいました。こころよくわがままを聞いてくださり、ほとんど同じ席を用意してくれたチケットセンターのかた、ありがとうございました。 |