クラッシックだけじゃないんだよね。ぼくが好きなのは。
訪れた人が混乱するといけないから、クラッシック以外はこっちから、ね。

 

2002年10月11日
ウィントン・マルサリス 
& リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラ
アート・ブレイキーの世界/デューク・エリントンの世界
ザ・シンフォニーホール 2階LD列11番 A席

カラヴィア
アロング・ケイム・ベティ
ニカの夢
ムード・インディゴ
モーニン
ブルース・マーチ

フリー・フォ・オール
ホイール・ウィズ・イン・ア・ホイール
バラード・フォー・ブレイキー
ハンクス・シンフォニー


 

en.
パーディド
ジャック・ザ・ベアー

(音声で記録したものなので、英語でなくてすみません)

 プレイヤーとしては大好きなんだけれども。
 なんだけれども。
 彼が作っている音楽、それには全面的に賛同できない。

 そういう人って、何人かいるんだけど、たいがいは前衛にはしっちゃって観客を置き去りにしてるんだよね。
 でも、ウイントンはね、その逆。
 前衛じゃなくって、伝統のスタイルにこだわるあまり、エンターティメントを置き去りにしてる。すごく綺麗で高度なことをやってるんだけど、ジャズが持つ、下品で野卑なエネルギーってもんがあんまり感じられないんだよね。

 でも、やっぱりプレイヤーとしては大好きで。10年も前にMt. Fuji Jazz Fes.で見せたあの飛び入りセッションの数々。あの興奮を忘れられなくて、やっぱり足が向いてしまうウイントンのコンサート。

 三度目なのかな。シンフォニーホールでのウイントン。ジャズ屋のくせに、シンフォニーホールが似合うんだよね。
 今回は、一週間前にチケット取ったから、二階席の横の席。
 プログラムは、アート・ブレイキーの世界/デューク・エリントンの世界と題されていて。これまた期待と不安を微妙に誘う絶妙のプログラム。
 会場にはいると、曲目が張り出してあって。エリントンよりも、どちらかといえばブレイキー寄りのプログラム。
 パンフレットを購入してびっくり。もちろん来日公演はいろんなところでやるのだけれども、いろいろな演目がある。ブレイキーやエリントンだけじゃなくって、ミンガスやコルトレーン。そしてウイントン自身をフューチャーした演目、そして教育用にはスゥイングジャズの古典、って言うお題目まで。
 ううむ、プログラム選びたかったなあ。でもどれにする、って言われても困るなあ。楽しい困り方だなあ。

 さて、コンサート始まって。
 ウイントンは最初から2ndラッパの位置。特にフューチャーされるわけでもなく。

 最初に音がでた瞬間。あ、失敗した、って思ったんだよね。
 ビックバンドの楽器って言うのは、クラッシックのオケで使われる楽器よりもレスポンスに優れる楽器が多いんだ。ビートを作るためにね。レスポンスがいいって言うのは、音がダイレクトに届くって言うこと。つまり、バンドの音は前にでるんだ。
 ぼくの席は、2階席の左側。舞台を直角に左側から見てる席。つまり、生音は左耳から聞こえてきて、右耳にはいるのはホールの後ろから跳ね返った音。シンフォニーホールは奥行きがなくって、残響も長いから、この跳ね返った音が耳につくんだ。
 やっぱり、ビックバンドは正面から見るものだよな、って、当たり前のことを確認してちょっとしゅん。右耳に手を当てて、なるべく生音を拾うように聴きました。

 演奏はね、ブレイキーの、コンボの音楽をビックバンドでやろうとして失敗した例っていっぱい知ってるからね。心配してたんだけど。みんなユニゾンでメロディーやってとてつもなくかっこ悪くなったり、ピアノがやってるハーモニーを管楽器につけさせてブ厚くなったり。
 でも今回は、そういう心配は無用でした。ブルースマーチとか、いくつかの曲ではまったくビックバンドではなくて3ホーンのコンボ状態(しかもその場で。ウイントンも降り番)だったし、オーケストレーションをしたニカの夢とか、もう最高。何でこんなにかっこいいの、って叫びたくなるくらいの編曲。ハイテクリフを軽々吹きこなすメンバー。
 そして、ウイントンの独壇場、バラード・フォー・ブレイキー。あの、Mt.Fujiで見た熱いソロが帰ってきた。

 全体的に、ブレイキー色が強くってエリントン色が少ないかな、って思ってたら、アンコールのパーディド。これもウイントンフューチャーなんだけれども、吹きながら歩き回るウイントン。ステージだけではもの足らず、花道を通って客席まで言って吹きまくるウイントン。汗かきながら運任せのハイノートとか、そういうソロではないけれども、クールな、どこまで行っても外さない、でもエネルギッシュで、エキサイティングで。息が詰まるようなソロ。
 マイケル・ブレッカーみたいなソロ、って言ったら怒るのはどっちかな。
 普段そんなにジャズ好きって訳でもなさそうで、休憩時間に第九のチケットの話とかしてるお客さんも、もううきうき。会場は総立ち。

 ジャズは楽しくなくっちゃ、ってこと。ウイントンは覚えていてくれたんだ。
 今までのウイントンの中で、ピカ一のコンサートでした。

 

2002年8月9日
BROADWAY MUSICAL Swing!
大阪厚生年金会館大ホール 1F M列 29番 S席

 いやあ、まいった。
 ずっと楽しみにしてたんだよ、これ。ミュージカルなんて、Mama i want to sing以来だから、8年ぶりかな?歌と踊りと、そして演奏と。もう題名だけで行く!!って決めちゃったよ。
 しかも先行予約でかなりいい席取って。
 万全のはずだったのに。。。

 いや、万全だったんだよ。実際。会社も早めに抜けて、軽く軽食とってから余裕で会場へ。あれ、人少ないな。この前のがらがらだった大フィルのコンサートの時だって、もっともっとごみごみしてたのにな。
 おまけにエスカレーター止まってるし。
 しかもシャッターも閉まってる。

 ここまできたら、いくら何でも間違えに気がつくよね。そう、フェスティバルホールは今日、休館日。
 あれ、じゃ会場は? ってあわててチケット引っ張り出すと。おお、ちゃんと書いてある。大阪厚生年金会館
 がーん。時計は6時15分。開演15分前。厚生年金ってどこだ?
 パニックった僕は、地下のコンビニでヒロスエ表紙のWalker買ってみたりして。でも載ってない。厚生年金ってどこだ?
 ええい、もうどうでもいいや、と飛び乗ったタクシー。渋滞に突っ込んじゃったらどうしよう。
 幸い、タクシーはうまく渋滞を抜けて推定8分でつきました。ここが厚生年金。開演2分前。
 まあお約束で開演ちょっとだけ遅れたから、パンフ買って、準備万端で2ベルを待ちました。

ふう。
びっくりしたねえ。ってただの不注意じゃん>俺。

 というわけで昴奮さめやらぬまま開演。
 男が一人、バンジョー片手に出てきて。
 歌い出す。
 そして突然ブリッジで倍テンして、バンドが入ってスウィングしなけりゃ意味ないね。
 僕はサントラ持ってるからね。もちろん展開はそっくりなんだけど。生バンド。生バンドのミュージカルって見たことないから、それでもうわくわく。
 そして踊り。
 ストーリーなんてないんだけどね。
 酒場でおねーちゃんが踊る。おにーちゃんが踊る。私が一番よ、っておねーちゃん達が互いに当てつけながらダンスはエスカレート。
 ウェイトレスが踊る。ウェイターが踊る。
 おじいちゃんが踊る。ちびっ子に踊らされる。体中痛くしながら踊る。
 ビジネスマンが踊る。時間を気にしながら踊る。デートに遅れていいわけにまた踊る。
 要はそこかしこで踊る。それだけ。あ、歌もね。
 それだけなんだけど。
 目が、乾くんだよね。
 そこかしこで、すごい踊りがいっぱい。まばたきなんかしている暇、ないよ。
 特にすごかったのが最初、かな。おねーちゃんの当てつけ合戦で、5,6組のカップルがダンスで競っていく。どんどんエスカレートする。いろんな踊りがいろんなところで展開されていく。音楽はご機嫌な4ビート、ジャズ。

 なんか全然説明にもなんにもなってないね。ごめんね。
 だって、一回見ただけじゃあ、とらえきれないよ。

 第二部も、コンセプトは一緒なんだけど。ワイヤーアクションとかあったりして踊りはより派手に。
 ビジネスマンは今度はカントリーには待ってまた遅刻。おじいちゃんは首に包帯巻きながらまた踊らされたりして。

最後は、Sing! Sing! Sing!だったっけ。

 結構お客さんにアメリカ人らしき人たちが多くって、最後はもう総立ち。
 全員のスタンディングオベーションの中、それでもカーテンコール1回であっけなく客席に灯がともって。
 大満足なんだけどちょっとあっけないな、と思いながら会場をあとにしたんだけれども。

 なんかね。想い出してた。
 なんでか分からないんだけど、ワールドカップ決勝戦の、オリバー・カーン。ボールをこぼしたカーンが、ロナウドの方に転がったボールを必死に、四つん這いで追いかける姿。
 鍛え上げられて肉体が、この上もなく綺麗に動いた今日のショーと、この上もなく無様に動いたオリバー・カーン。
 でも、どちらも心に、刺さるんだ。

 もちろん、カーンは、サッカーという土俵の中で、今日のダンサー達のように綺麗に舞うことができて。
 そのことをふまえた上で、あの決勝戦の姿が心に刺さる。

 四肢を自由に動かして観客を魅了した今日のダンサーと、あの瞬間だけ、鍛え抜かれた四肢が凍り付いてしまったカーン。
 自由自在に動くダンスを見ているときに、ずっと脳裏にカーンの姿が流れていて。
 なんでか分からないんだけどね。比べることに意味なんかないし。

ただ、その意味を考える時間、カーテンコールがもう少しほしかったな、ってことかな。

 誤解がないように言っておくと、カーンの姿をみっともないと思ってる訳じゃないよ。それどころか、この上なくかっこいい。僕の文章力不足と、読解力不足でよけいな誤解が生じるといけないから一応言っておきます。

 そっか。かっこいいかっこよさと、かっこわるいかっこよさを比べてたのかな。

 

2002年7月24日
木村充揮プロデュースDAY
木村充揮,有山じゅんじ、BEGIN、太田裕美
なんばHatch 1階D列34番

 さて。
 リピートコンサートが続いた7月。ここらへんで一気に初物特集。
 これはね、すごいよ。
 このごろ数えていないからホントの所はよくわからないけれども、僕は今、900枚くらいのCDを所有している。今回のコンサートに出演する人たちのCDを集めたら、僕のライブラリの中にはたぶん35,6枚くらいのCDが出てくると思うんだけれども、枚数は問題ではなくて。
 もちろんたくさんあると、すべてのディスクに同じだけの愛情を注ぐごとっていうのはとってもむつかしくって。何百回も聞いたのもあれば、やっとの事で一回聞いただけ、っていうのもある。今回の35,6枚のうちには、その、何百回も聞いたアルバムが、二枚。。だけど、ナマで聞くのは両方初めて。
 すっごい楽しみなんだけど、こういうジョイントコンサートが初めてって、どうなんだろう、ってちょっと不安もあったりして。

 演奏者もみんな初めてなら、ハコも初めて。何しろこけら落としの3日目だからね。そりゃあ初めてだって。
 なんばにできたライブハウス。こけら落としでなんばにゆかりのミュージシャン何人かにプロデュースを任せたシリーズ。そのうちの一つがこれ。木村充揮プロデュースデイ。何でこんなメンツが集まったのかは、木村のみぞ知る、って訳。

 というわけで、慣れないなんば。ちょっと緊張して電車を降りたけど、地下を通って直接ハコのあるビルへ。もちろんこのビルもあたらしくって、ちょっとゴージャス。全然なんばじゃない。
 入り口でドリンク代払って、チケットもいで中に。そっからエレベーターで2フロアくらい上がって。ビールとおつまみ食べて。
 そんでもっておかわりのビール買ってからホールの中に。
 ホールはね、Zipp OSAKAみたいな感じ。一階はスタンディングもできるフロアで(今回は椅子があったけど)二階は(たぶん固定の椅子)。緞帳もはれない素っ気ないライブハウス。ちょっと大きいけどね。ちょっと端だけど4列目のご機嫌な席。わくわく。

 一人ででてきた木村充揮
 あ、だめだ。想い出せないや、曲。なんかのカヴァーだったような気がするんだけど。まあいいや。酔っぱらいの木村と、これはなんばだなと思った大阪弁の客の掛け合い。楽しいなあ。
 それからでてきた有山じゅんじ。僕は彼のアルバムは1枚しか持っていないのだけれども、その中から何曲もやってくれて。
 それから、太田裕美
 なんだかんだいっても、僕が耳にたこができるくらい聴いたアルバムは、もう20年も前のだからね。どうなるんだろ、って思ってたんだけど。
 でてきた瞬間、声なんか、聞く前からわかったよ。なんにも変わってない。って僕は初めてなんだけど、レコードと変わっていない。ジャケットと変わっていない。
 あの声で、ナマ恋愛遊戯ナマ木綿のハンカチーフナマ雨だれ。僕だって、決してリアルタイムだったわけじゃないけれど、それでも10年、15年のタイムスリップ。バラエティも、NHKの連ドラも我慢して、生で見た甲斐がありました。
 そして、BEGIN
 はっきり覚えてるよ。イカ天ででてきた最初の、恋しくて。相原勇も泣いたけど、テレビで見た僕も泣いたよ。あの瞬間、絶対追っかけになる、って決めたんだ。ライブは初めてだけど。
 大先輩に当てられたのか、酔っぱらいの比嘉さん。三線弾いて、沖縄の歌中心。でたのは少し前だけど、僕が買い立てのアルバムにはいっていた涙そうそう。ちょっとマイクを離し気味にするときの比嘉さん、泣くね。
 木村が入ってきて、ナマ恋しくてナマ胸が痛い
 みんなで歌った、ナマいやんなった

 もう、夢のような3時間でした。

 ギターって、いいね。
 
 

 

2002年7月21日
綾戸智絵
meets 原信夫とシャープス&フラッツ
フェスティバルホール 1階GG列L5番

 さて、リピーター特集の最後を飾るのは、これは半年ぶりくらいかな? 綾戸智絵。それもビッグバンド付き。
 今、ジャズか胃で一番人気を誇る綾戸智絵と、僕がジャズに目覚めた頃(今もだけど)日本一のビッグバンドの名を欲しいままにしていたバンド、原信夫とシャープス&フラッツ。これはおいしい組み合わせ。

 この組み合わせはライブアルバムも出していて、聞き易い綾戸としておすすめ(ってどれでも聞き易くてどれでもおすすめなんだけどね)。
 相変わらずフェスは満員でね。そしてビラにはなんと、城ホールでやるらしい。おいおい、おまえはハンコックか、って。

 さて、ステージはいたってシンプル。フェスは舞台が大きいからジャズのオーケストラ、ビッグバンドも真ん中にこぢんまり。あとは妖しい飾りも綾戸用のピアノとかもなくて、床むきだし。

 おっと、最初は緞帳が下りてたね、さいしょは。
 緞帳の向こうから聞こえてくるのは、Blue Flame。バンドのテーマ曲なのかな? それから綾戸登場でStormy Monday。鷲が飛んでく金曜日、ってヤツね。
 と、ここまで聴いて。っていうか最初の瞬間からなんだけど。

おいおい、CDの通りじゃねえか。

 ってまあ、当たり前なんだけど、ライブアルバムに曲目から編曲、間の取り方までおんなじ。つまりこれは、綾戸とプーシャ(シャープス&フラッツのことね)の新しいツアーではなくって、前の特別コンサートのツアー版。

 これ、結構がっかりしちゃった。
 ジャズっていう音楽の一番の魅力、それはスリリングさ。おんなじ曲をやっても今日と明日ではちがう。ブルーノートで5日間10ステージやったら、そのどれもが違う、っていう自由さ。
 ただでさえ、ビッグバンドジャズはその自由さが低くて、自由度満点の綾戸の唄の魅力とはちょっと違うな、って思ってたんだけど。だからそうではなくてダイナミックさとか、編曲のおもしろさとか、聴きに行ったのだけれども。
 聞き慣れた曲に聞き慣れた編曲。おまけにソロがへぼいし。
 そう思って聴くと、前田憲男のアレンジも、きら星の輝きには満ちてなくて。

 そんなぶーぶー言いながら、美空ひばりのアレンジそのまま持ってきたラバカンLover, come back to me)とか、僕をジャズに導いた悪魔のYou'd be so nice to come home toとか、大喜びで聴いてしまったんだけど。それからインストのTake the A trainは、結構ソリスト気合い入ってたし。

 ただね、やっぱり。
 アンコール。ピアノに座った綾戸のソロで、Over the rainbow。これだって耳にたこができるくらい聴いた曲なんだけど、じんときた。

 なんなんだろ、って考えてたんだけどね。それはきっと、ダイナミクス。
 ビッグバンドの上で歌う綾戸は、いっつも声を張り上げて歌ってる。CD聴くと、うれしくてはしゃいでるのかな、って思うけど、そうじゃないんだね。単純にバンドの音量と勝負しなくちゃいけないから、張り上げなくっちゃいけないんだね。声。
 そしてもう一つ。それは、揺れ。もちろん生オケはカラオケじゃないから、唄に合わせてテンポは揺れる。でも、それは当たり前のことながら綾戸のピアノにはかなわなくて。

 声とピアノだけでものすごい音の楽さを表現して、ネバネバと揺れながらブルーを表現する。こういう綾戸は、やっぱりちっちゃい編成がいいね。

 数週間前の高槻は、ピアノとハープ、ギターだけだったらしい。それは聴いてみたかったな。

 

2002年7月14日
浜崎あゆみ
ayumi hamasaki STADIUM TOUR 2002 A
阪急西宮スタジアム グランドE 72列127番

 アリーナツアーから、ほとんど日がたっていないのだけれども、今度はスタジアムツアーの、あゆ。
 前回のツアーが、構成、あゆの調子ともに大満足で未だに浸ってるくらいだから、今回は楽しみでもあり、もうちょっと先でもよかったな、とか思ったりして。
 何より真夏の野外コンサート。もうそんなに若くないんだって。
 というわけで、期待と、ちょっとした不安を抱えて、いざ、西宮へ。

 いつも思うんだけど、客層広いよね、あゆ。子供連れのお母さんから、中学生の女の子。高校生の男の子に、OL、追っかけ系の野郎ども。そしてもちろんカップル。いかにもあゆあゆしたコスプレ系はあんまりいなくって。
 それぞれがそれぞれのやり方で楽しみにしていて。

 前回のツアーが、広いけれども密室で演るように入念に創られたアトラクションだったのに対して、今回は、当たり前だけれどもオープンでラフなセット。緻密な踊りではなくて広々としたステージを駆け回るあゆがみられそう。

 例によって30分以上開演は押して、やっと始まったステージ。
 あゆの曲って、タイトル知らないんだよね。だからなんの曲から始まったか、とかわからないのだけれども。

 あゆを構成している曲って、大まかに二つに分かれると思うのだけれども。それは乱暴にいえば光と陰。Fly HighTraumaなどののり乗りチューンと、Duty,I'am...とかの剥きだしの痛みを投げつける唄たち。
 光の部分にちらっとのぞく陰が、あゆの一番の魅力だと思うのだけれども、それはちょっとおいといて。

 今回は、それはもう、光の部分のオンパレード。Fly High, Boys & Girls, Traumaとかの大ヒットチューンをを惜しみなく使ってMCなしでとばすとばす。着替えの時間には昔のビデオクリップを生演奏でメドレーにして、でてきたあゆはそれこそ1枚目とかの大昔の曲をメドレーで歌う。
 前回のツアーで核になれなかったFree & Easyは、今度はコンサートのど真ん中で堂々主役の座をとって。そしてM,HANABIで泣くあゆ。
 I'am...Endless sorrowも、Dearestさえもないステージは、Who...で幕を閉じて(って幕はないんだけど)。
 最後のMC。西宮スタジアムのみんな、までマイクでいって。

「ありがとうございました」

 あゆの肉声は、グランド席の後ろまではっきり届いたよ。

 たぶん本人の資質に反して、メジャーであること、メジャーであり続けることを受け入れたあゆ。のたうち回って創ったであろう大切な曲のかなりを切り捨ててみんなの求めるお祭りに徹したあゆ。
 その覚悟と決断に、痛々しさと愛しさを覚えつつ。
 アリーナツアーとスタジアムツアーの2本で完結する世界に、僕はしばらく浸っていようかな。

 

2002年7月6日
SUTARDUST☆REVUE
TOUR '02 Style
フェスティバルホール 1階B列R11番

 なんかこのごろ、同じアーティストのコンサートに足繁く通う、っていうのが多くって。
 まあ、同じ指揮者の演奏会、2年で20階も通った男だからね、俺。

 入り口でもらうカロリーメイトも、舞台を覆っているスクリーンも、もちろん体験済みなんだけど。
 でも、前回と全く違うのは、座席。
 今回はね、なんと前から4番目。近くで見るナマかなめ。じゅるじゅる。
 フェスって、ステージが結構高くって、前の方だと首が痛くなるかな、って思ったんだけど4列目だとちょうどいい。うれしいね。

 ステージ前面に張られたスクリーンに、英語の字幕が流れていって、そして始まったステージ。
 快調に3曲とばしたあと、新しいアルバムについてしゃべる要さん。みんなからのアンケートも同じ落ちで。

 で、Styleからの3曲。
 改めて聞くけど、いいなあ、これ。
 ここからみんな座って、後はほとんど立たなかったんだけど、おとなの、AORのコンサート。名曲揃いなんだね、このアルバム。

 でも、ちょっと残念だったのは、要さんの、声。
 年に150本もツアーやってて、しかも結構シャウトもする要さん。すごくのど強いんだ、って思ってたんだけど、さすがにつらそうだった。

 こんな夜は ほら
 天使も眠ってる

 この、ほら。
 前回は、ここでほろっときたんだけれども。今回は、すっと流れちゃったかな。って。
 でも、目の前で見た要さん。ちょっとちっちゃい要さん。ギターを歯で弾く要さん。精一杯脚あげる要さん。
 どれもこれも、よかったよ。

 でも、木蘭の涙、なのかな。やっぱり。

 

2002年5月10日
浜崎あゆみ 
ayumi hamasaki TOUR 2002 A
大阪城ホール スタンド B-22列32番

 幸運にもチケットを入手できたから、行って来ました浜崎あゆみ。

 前回はね、大阪ドーム。ベストアルバムは買ったけれども実質あゆ歴2週間だったんだ。だから、定番の盛り上がりチューンも僕の中で定番になってなくって、ちょっと寂しい思いをした。
 だからってわけじゃないけれど、今回はすごいよ。アルバムはもちろん、映像作品までばっちり予習して、万全の体勢で臨んだ大阪城ホール。
  早い話が、あゆにはまってます。

 あいにくの雨に、屋台やグッズを覗くのもそこそこに会場入りして、座席を確認。なんと城ホールの一番うしろ。しゅん。でもこの前のドームに比べたら全然オッケー。あゆ推定4センチ、前回比5倍。

 もう結構経ってるから、曲とかあんまり覚えてないんだけれど。
  のっけ。
  実はこの一曲だけで僕は満足しちゃって、あとはおまけだったような気がする。もちろんオープニング・チューンとして最高な曲だし、かなり期待してたんだけど。
  でも、やっぱりハードすぎるかな、って。

 あ、曲はね。
  I am...

 今回のテーマ、かどうか知らないけれども、直前にでたリミックスアルバムのテーマが、フェイク・ジャパニーズ。それに併せて、怪しい着付けの着物を着たあゆ。 曲として優れてるとは思わないんだけれども、その分気持ちだけは叩きつけられるように伝わってくるI am...。
  そして、用意していった双眼鏡で見たあゆ。

 僕はね、きっと信じていなかったんだ。

 雑誌のグラビアやCM、そして生放送のテレビや、ドームで直接見てさえ、信じられなかったんだ。
 あゆって、かわいい。
 というか、生で歌っている瞬間、踊っている瞬間、しゃべっている瞬間。どの瞬間をとっても、雑誌のグラビアみたいに完結してる。様になってる。
 双眼鏡の中で、赤い着物を着たあゆが立体的に見えた瞬間、鳥肌立ちました。

 次の曲かな、仁王と踊って赤い着物を脱ぎ捨てたあゆは、白いチャイナドレスになってストリートファイター張りのカンフーアクションへ。それからウエストサイド風ストリートで囚われの身になって。曲は良く覚えてないや。Never Everみたいなハードな曲が続いてた。僕の好きなDutyは無かったけれど、もう大満足。

 第二部は、うって変わってフレンチカンカン。ひらひらスカートの踊り娘さんを従えて、豪華絢爛なショー。せっかくシングルまで買ったFree & Easy、あんまり重要な役回りでなかったのが残念。

 アンコールの前にあゆぱんに教えてもらった踊りはFlower Garden。だっけ? 違ったな。なんだっけ。

 最後、メンバー紹介から、ステージを走り回ってみんなに挨拶をするあゆ。
 そしてマイクをおいて、
             「どうもありがとう」

 あゆの肉声は、城ホールの最後列まで、確かに届いたよ。

 やっぱり、あゆかわいい。

 

2002年2月19日
STARDUST★REVUE
Tour'02
Style
神戸国際会館こくさいホール 2階2列14番

 前回のNO BALLADSに味を占めて、行って来ましたスターダストレビュー。
 これで三回目だね。アルバムもSECRET FACE, NO BALLADS, そして今回のStyleと三枚聴いたし。やっとファンの仲間入り、かな。

 ただね、今回はかなり不安だったんだ。前回あれだけ派手にホーンセクション入れて、景気いい曲ばっかりで。僕はそれしかみてないからね。バラードばっかりのステージだったらどうしよう。
 どうしようっていうのは、別に僕がバラードが、スタレビのバラードが嫌いとかそういうんじゃなくってね。前回のステージで唯一のバラード、木蘭の涙(前回綴りが違ってますね。ごめんなさい)聴いて、どうしようもなく寂しくなっちゃったからね。そういう曲ばっかりだったらどうしよう、って。

 ついこの間出たアルバム。今回のツアータイトルにもなってるStyle。僕は彼らのまともな(ライブ盤ではない)オリジナルアルバムを聴くのが初めてだからよく分からないのだけれども、彼らのアルバムの中でも結構バラードより、らしい。
 紙の、暖かみのあるジャケットから取り出して聴いてみると、これがもう、AOR。ちょっと前まで得意なジャンルじゃなかったんだけどね。AOR。数年前にボズ・スキャッグスのコピーバンドのホーン吹いてからは、結構好き。要さんいうところの、酒場でかかるロック。おねーちゃん口説くためのロック。
 あっ、AORって、アダルトオリエンテッドロック。おとなよりのロック、って感じかな。

 入り口でカロリーメイトもらっていざ入場。  神戸国際会館って、なんか立派。ロビーにバックスとか入っちゃってるし。でも飲むのはビールだけど。生もってこい。

 ステージは、薄膜が張ってあって。なんと映像から始まった。これが彼らのスタイルだよ、みたいなことが英語字幕で流れてるんだと思ったけど、もう結構日にちが開いたから細かいところは覚えてないや。
 小林武史みたい、って思ったのは良く覚えてるけど。

 ステージはね、昔の曲二曲で始まって。しゃべるしゃべる要さん。
 そして、Styleから、厳正なリクエストの結果、三曲ほど演って。アルバム聴いたときはそんなに感じなかったんだけど、これ、いい。
 前回のライブはやっぱり特別な曲編成みたいで、ダブル曲がほとんどなくて。ということはあんまり知らない曲ばっかりだったんだけど、オールスタンド乗りのりじゃなくって、座って聴くおとなのロックコンサート。まあ、席が二階だってのもあるんだけどね。

 でも、今回の目玉は、この二曲だね。
 シングルにもなったMy Love、そしてThe End of Love。

 こんな夜は、ほら
 天使も眠ってる

 このね、ほら、って。ここだけ果てしなく優しくなる要の声。これがいいんだなあ。
 おねーちゃんじゃないけど、ほろ、っときそうです。

 後半は結構アップナンバーもちりばめて、大満足なコンサートでした。

 

2001年12月2日
綾戸智絵 
いつも心はジャズだから
フェスティバルホール 1階 NN列R20番     S席

 さて、秋も更けての女性ボーカルシリーズ第二弾、にして最終回。おいおい。

待ってましたの綾戸智絵

 おばちゃんなんだけど新人歌手(デビュー4年目なんて、ジャズの世界ではホンの駆け出し)。なのにCD10枚目。ライブだってもう数え切れない。
 とくに大阪はふるさとだから、結構たくさんライブやってる。でもチケット取りにくいんだよねえ。新聞で見かけてもまずとれない。今回はプレオーダー。席はよくないけれど、そんなことは言ってられないよ。だって、ちゃんととれたもん、ありがと。

 ステージはなんと、緞帳が下りていて。どんなセッティングなのかもわからない。
  客層は若いおねーちゃんが多いのかな。テレビもよくでてるしな。

 ジャズボーカルのライブって、もしかして金沢のもっきりやでの浅川マキ以来? あの時も思ったんだけど、ボーカルって人気あるよね。(だって浅川マキ知ってる?知らないでしょ。でも満員なんだよ、もっきりや。てっきりがらがらだろうと開演直前に行った僕は、場所がなくってピアノの渋谷毅の横に座って聴きました。坂田明も浅川マキもほとんど見えず。渋谷毅には「暑いね」って脱いだジャケット持たされたし)僕は自分が楽器ふきでインストの音楽を演奏していたから、ボーカルの人気が(ジャズでも)高い、っていう理由がよくわからないんだけど、やっぱり演奏者の貌がよく見えるからかな。

 まあそんなこんなで当然フェスは超満員。そして緞帳の向こうからは音楽が流れてきて、緞帳が上がった。

 そして綾戸智絵

 ハンドマイクで唄う綾戸。CDで聴く通りの、ぶっとい声。心を、いや、フェス中の空気を満たす、声。
 バックの編成は、ピアノトリオにギターとハープ。あれ、綾戸は弾かないの?と思ったらその横にオルガンが。ああ、ピアノは貸してるだけなのね。

 もったいないことに、しばらく断ってるから曲目とかあんまり覚えてないんだけど。覚えてるだけ書き連ねてみようかな。順番はきっと適当だけど。
 3曲目、この前発売になったばっかりのLive2から、You'd be so nice to come home to。こういう人多いと思うんだけど、僕はヘレン・メリルの唄うこの曲でジャズが好きになった。思い出の曲。CDではビックバンドを率いて唄っているけれども、今回はちっちゃいバンド。でもパワフル。
 Satisfaction。ロックもやって、次はビートルズ。曲なんだっけ? ジョージの訃報に接したあとなだけに、しんみりっぽい。
 You are so beautiful
 人間の証明。mama do you remember? ってヤツだけど、これ、すごくいい。綾戸のバラード、しみるなあ。

 書いてて思ったんだけど、ジャズ唄ってないね。おっかしいなあ。
 最後は、Georgia on my mind。Liveネタで、モロヘイヤとかオクラとか飛び出すけど、そんなにねばねばしてるかな、この曲。サンボーンのイメージが大きいからかな、個人的にはさっぱりした曲。

 まあでも、曲目を連ねていくことには意味がないね。もちろん楽しいしゃべりや、ギャグじみた踊りのパフォーマンスはあるけれど、普段ジャズなんて聴いたこともない大半の聴衆を、意味なんて分からない英語の歌で釘付けにする。そのパワー。

 そのパワーの秘密は、やっぱり、声。

 心地よい声に包まれて、大笑いした2時間でした。
 おもしろかった。

 

2001年11月28日
CHARA
MADRIGAl TOUR 21
フェスティバルホール 2階 M列R13番

 秋も更けて、人の声が恋しくなる季節。女性ボーカルシリーズ第一弾は、チャラ。

 何年ぶりになるんだろうな。オールスタンディングのハコで聴いたチャラ。オフマイクで叫んだ、手をつなごう!。やさしい気持ち
 あれからもう一人、子供を産んで二児の母になったチャラ。どんな歌声を聞かせてくれるんだろう。

 プレオーダーで取ったチケットは、フェスの二階、結構後ろ側。そんなに大きくない会場だから全然見えない訳じゃないけれど、ちょっとしゅん。
  まあいいや。ステージはツインドラムにツインキーボード。ちょっと面白そう。

 会場は、若い女の子の二人連れが多くって、カップルはあんまりいない。話し声を聞いてると新しいファンの子が多いのかな。若いんだから当たり前か。
 6時半を少し過ぎて、さて、開演。

 後ろからのスポット浴びてシルエットだけ浮かび上がるチャラ。長い髪とマント(?)のチャラ。
 曲は、スカート

 あれ、聴こえない。ドラムとギターにかき消されて、チャラの声が聞こえない。フェスの上の方の席だから、音がまわっちゃってるのかな、と思ってちょっとしゅん。2曲目もちょっと聴きにくかったけど。

 でも、3曲目。
 Junior Sweetからの曲。やさしい気持ち(すいません、曲目と曲順はあやふやです)。声が、ぐっと届いた。それはPAのせいなのか、チャラの喉の調子がよくなったのか、演出なのかよくわからないけれど、突然、声が聞こえた。
 僕はJunior Sweetっていうアルバムが好きで、今でもよく聴いているんだけれども、その頃のチャラの声とはまったく違う。ものすごくやさしい声。やさしいっていっても、猫なで声じゃなくってね。やさしい強さ、っていうのかな。おかあさんの声。もちろんシャウトもするんだけどね。

 そして、その声のまま、あいのうた。この前リバイバルのスワロウテイルを見てきて、チャラの唄い方に改めて惚れ直したところだったけど、これも当時に比べてもっと深くてやさしい。
 んでもって、アコースティックギターをバックに、ミルク。なんかのシングルのカップリングにアコースティック版のミルクが入っていてすごく好きなのだけれども、それよりもぐっとテンポを落として唄うミルクは、滲みました。

 なんか、Junior Sweetのツアーみたいだな、と思った頃に、懐かしの曲、あたしなんで抱きしめたいんだろう。やっぱおどるなら昔の曲だね、とか思ってたら、DUCA
 MADRIGALからキャラメルミルク。この曲、トロンボーンソロがあって僕は大好きなのだけれども、キーボード(というかパーカッション一般担当)のヒトが、アルトホルンで吹いてました。結構雰囲気でててよかった。

 結構あっさりと本編は終わっちゃって、(DUCAが最後だったっけ???)アンコール。ステージ中央に三個の椅子が並んでて。ダンサーのお姉ちゃん達とチャラのアカペラで、しましまのバンビ

そうか。一人目の子供が産まれたときに作った歌を、二人目の子供のために歌ってるんだね。
女の子のチャラちゃんじゃなくて、おかあさんのチャラになったんだね。

 Junior SweetとMadrigal以外は、DUCAとあたしなんで、、、しか演奏しない、とってもやさしい、とってもいいコンサートだったよ。

 

2001年10月18日、19日
STARDUST★REVUE
meets BIG HORNS BEE
NO BALLADS

Zepp Osaka 2F B列 13番(18日),1F Standing(19日)

The Chiken

en. DANNY BOY(18), STAND BY ME, MY HOME TOWN〜ふるさと〜(19)

 実は私が、かなりのスタレビファンだと言うことを、知っている人はそんなに多くないと思う。しかし私は、スタレビのコアなファンのはずである。何しろ私は、SECRET FACEと言うアルバムを持っているのである。
 このアルバム、ライナーの最初のページに、以下の注意事項が記してある。

1.スターダスト・レビューのアルバムを3枚以上持っている。
2.スターダスト・レビューのライブに3回以上行ったことがある。
3.スターダスト・レビューのことを友達3人以上に勧めたことがある。
この条件に、どれひとつとして当てはまらない方、このアルバムはまだ早すぎます。

 つまりはマニア以外は聴いてはいけないアルバムなのである。
 もちろん私は、スタレビのアルバムを、この一枚しか持っていないし、ライブにも行ったことがない。すなわちスタレビを知らないと言う状態だったので、当然友達に勧めたこともない。

 と言うわけで、このアルバムは愛聴するも、当時の私はこれ以上スタレビにはまることがなかった。ライナーの言うとおり、私にとってはまだ早すぎたのだろう。十年前の話である。

 そして時が経ち、機は熟した。

 相変わらず私は、スタレビのアルバムを聴いたことがなく、ライブにも行ったことがなかったが、三人の友達から勧められてライブに行くことになった。決して取り囲まれて脅されたわけではない。あくまで熱烈に勧められたのだった。
 もちろん三人に勧めたわけではないので、SECRET FACEにはまだ早いのだが、一歩近づいた感触は、あった。

 私はSECRET FACEしか聴いていないから、ハーモニーとバラードのバンドだという評判がうそっぱちだと言うことは、昔から知っていた。米米クラブに近い、コミックバンド的でブルージーなバンド、というのが私の中でのスタレビの位置づけだった。

 

 と言うわけで、結構あくの強そうなバンドと客層に恐れをなしていたのだけれども、ライブアルバム、NO BALLADSを聴いて不安は吹っ飛んだ。だってこれ、かっこいい。BIG HORNS BEEというJB'sみたいなバンドを引き連れて、パワフルなだみ声が炸裂する。お遊びにはMoanin',So What等々ジャズのパロディが満載で。一回聴いて分かった。曲覚える必要は全くない。

 と言うわけで、かなり楽しみに迎えた18日。
 Zepp Osakaは、スタンディングのライブハウスなんだけど、二階にちょっとだけ座席があって。最初の日はこの二階席。一階席はオールスタンディングで、汗くさいライブハウスだけど、二階席はゆったりしてて。ビール片手にすぐそこにあるステージを見下ろす感じ。
 もちろん演奏してるときはこっちもスタンディングなんだけどね。

 さて、開演。
 のっけからThe Chiken。BIG HORNS BEEのための曲。こういう簡単でかっこいい曲って、舞台映えするよね。ベースは、ジャコパスと比べちゃうからかわいそうだけど。
 それからあとは、アルバムNO BALLADSとほぼおんなじ曲が進行していって。ラッパ2,トロンボン1、サックス2+1のブラス隊の割にすごいブ厚い音がするなあ、と思ったら結構キーボードがサポートしてるみたい。そのキーはハンコック系のソロをたくさんかましてくれて。

 まあでも、ここまでは予想の範囲内だったのだけれども。

 アルバムでは分からなかった一番の魅力。それは、やっぱり「声」なんだよね。ヴォーカル、根本要の歌(しゃべりじゃないよ)。
 歌一曲目(うろ覚え)の、3分間(推定)の循環呼吸(推定)でのシャウト。そこでもう、襟を正して聴かなくちゃいけないんだな、って思ったのだけれども、バックバンドに負けない、ぐいぐい引っ張っていく、歌。時折現れる、バンドがブレークしたあとに残る5人のハーモニー。曲がどう、詞がどうって言う前に、サウンドに引き込まれたライブでした。

 勢いでいっぱい取ったチケットが余っちゃったからとか、会場でダフ屋に売ろうと思ったけどいなかったからとか、いろんな理由があるんだけれども、何よりももう一度あの場に身を置きたくて、次の日、19日もいそいそと会場へ。

 今回は、一階スタンディング。
 ちょっとゆっくりめに行ったからチケット切る頃にはThe Chikenが始まっていて(南港遠いっす)。ビールを飲む余裕もなく、会場のドアを開けると。

 う、入れん。

 昨日一階を覗いたのは開演の15分くらい前で、そのときはまだまだ入る余地があったから安心していたのだけれども、その15分間の差なのか、金曜日だからか分からないけれど、ドアを開けたらヒト、ひと、人。こぼれてきちゃいそうだからあわてて締めて。
 もう一つの、真後ろのドアを開けたら、やっと潜り込めるくらいの隙間。そこに潜り込んで。
 ヒトの頭の隙間から見えるステージと、所々に置いてある21インチくらいのモニターとを半々に見ながら。
 昨日は圧倒されたサウンドも、MCも、二回目の今日は余裕を持ってみることができて。
 あ、もちろん、二番煎じとか、そういうことじゃなくってね。MCの内容とか、フューチャーのソリストとか、曲目もちょっとずつ違っていて、飽きないように楽しめたのはもちろんなんだけど(MCは長くなる長くなる。昨日に比べて20分長くしゃべってました)。

 その分、曲が、詞が、入ってきた。

 NO BALLADSって言うタイトルの通り、バラッドはないんだけれども、一曲だけ。サックスのフューチャーで、「木蓮」。
 僕は、この曲も知らなかったし、一日目に聴いたときはこんな風ではなかったのだけれども。

なんかね。沁みた。

 会場には、20年間スタレビ一筋、っていう感じのお姉さんが一人とか二人とかできてるんだけど、そういう人たちって、この曲をどう聴いてるんだろう。辛くないのかな。気持ちよく泣いて終わり、っていう曲じゃないと思うけどな。
 まあ、ひとのことはいえないけれど。

 でも、バラッド満載のライブには、行きたくないな(そんなんがあるかどうか知らんけど)。反則技は一回限りじゃなきゃ、ね。

 ちょっとだけ、南港の風が、しみました。

 

2001年7月21日(土)
Mr. Children
CONCERT TOUR "POP SAURUS"
甲子園球場
 グランド 三塁側 1階 1列 32番

 まだまだ昼間の日差し。
 時折太陽が雲に隠れると、それを待っていたかのように涼しい風が吹き抜けた。
 目の前に組まれたステージ。山と積まれたスピーカー。それは、学生時代の数年間の夏を過ごした山中湖の特設会場を思い起こさせた。
 開幕を告げるのは、花火ではなく、ステージ両脇のディスプレイ。シンセサイザーが奏でる音に乗せ、映像からステージが始まった。

 一面のひまわり畑。そこに一人立つ少女(BOLERO)。そして混沌。5角形、6角形の化学式。原始から現在までの生命の系統樹。生命は形を取り、恐竜へ。そして海。原始の魚が泳ぐ。魚の後ろ半分は骨。恐竜の骨。海底に置き去られた椅子(深海)。一転、整然と並ぶプラント。再びひまわり畑。
 ひまわり畑を疾走する恐竜。
 CGで創られた恐竜の存在感が圧倒的で、視線がディスプレイに釘付けになったその瞬間。

 ステージ上に立つ、人影。
 アコースティックギターを奏でながら、一人でステージ中央のマイクに進んだ。

    やがてすべてが 散りゆく定めにあっても
    分かってるんだよ たとえリスクを背負っても 
    手にしたい 愛 あい

 声。圧倒的な存在感。張りと声量。高音域の伸びやかさ。そして何よりも鋭いエッジ。
 桜井和寿が、そこにいた。

 半コーラスののあとは、I'll be。アコースティックな、ゆったりとしたアルバムのバージョン。

   今日はゾウ、明日はライオンてなくらいに
   心はいつだって、捕らえようもなくてそんでもって、自由だ

 桜井のギターが、桜井の声が、青い空に吸い込まれていく。途中からバンドのメンバーが参入するが、歓声や拍手の入り込む隙もなく、続けて演奏されたのは、lalala
 ラララのリフレインで、マイクから離れて聴衆の歌声に耳を澄ませる桜井。顔をくしゃくしゃにしてほほえむ桜井。今日、初めての笑顔。
 ただしその笑顔は、もう、純粋なイノセントでは、ない。本物のイノセンスなんてないんだと悟り、汚れちまった悲しみを引き受ける覚悟を決めた男の、純粋な笑顔。笑い皺とは別の、深い皺が刻まれた、満面の笑顔。

 ああ、こう書いていくときりがないんだけれども。

僕は、その笑顔を、肉眼でみたよ。

 だって、一番前の席、だったんだもん。

 これがいいたいために、ずっと書いてきたんだけど。

 でも、ほんとのクライマックスは、もっと後なんだよ。
 冒頭3曲で完全にノックアウトされてしまったけれども、それからはハンドマイクで懐かしのヒットコレクション。なんとほとんど知りませんでした。。。 深海以前なんだもん。でも、イントロの一音目から会場が揺れていたので、ヒット曲(ブレイク前だけど)には間違いないのでしょう。

 そして、とっぷり日も暮れて。照明なしには舞台が見えなくなった頃。
 ちょっと長いブレイク。そして、青のTシャツに着替えた桜井。持ち出したのはアコースティックギター。

 そして、
 あの、イントロ。
 波の音から、シンセサイザーのストリングス。現れては消える効果音。

 DIVEから、シーラカンス
 もう、封印したんじゃないかと思ってたアルバム、深海休止前の彼らが創り上げて、血反吐を吐きながらツアーで全曲演奏した、深海再開後は、その反動で、まるでそれへの当てつけのように、無防備な、幸せな曲を創り上げた彼ら。
 その彼らが、まだ、深海を演奏するなんて、まったく思ってなかった。期待してたけれど、聴くことはできないと思ってた。

    僕の心の中に
    きみが確かに住んでるような気さえする
    時たま僕は僕の 愛する人の中に
    きみを見つけだしたりする

 そして、まったく信じられないことに、シーラカンスから、手紙へ。
 全体が絡み合って、一曲のようになっているアルバムだから、この二曲は切り離せないんだけれども。でも。この二曲を演奏するっていうことは、深海を創り上げること。あの混沌に、彼らが戻っていくこと。それを受け入れられるほどに、彼らが大きくなっている、っていうこと。

 手紙のあとは、ニシエヒガシエ。そして光の射す方へ。深海の世界を直接引きずった二曲。いや、深海をエンターテイメントに昇華した二曲、かな。
 そして、深海

    連れてってくれないか
    連れ戻してくれないか
    僕も 僕も

 客席とステージを隔てる、柵。その柵を向こうから押さえている警備員。はじめの頃は、警備員さんの迷惑にならないように、柵に触らないようにしてたんだけれども、もう我慢できなかった。

連れてってくれないか。
僕も。

 海の中で泳ぐ、下半身が恐竜の骨のシーラカンスの映像が、密度の濃い短縮版「深海」の終わりを告げて。

 そして、それからあとのことはあんまり覚えてないや。

 

 ハレルヤ。客席のリフレインに桜井が強引に曲をかぶせる。

    泣かないように
    枯れないように
    笑って咲く 花になろう

 花で始まった夢のようなコンサートは、もう一度、で、幕を閉じた。

 アンコール。
 彼らがブレイクした名曲。イノセントワールド。桜井はまったく歌わず、客席の声に耳を澄ます。
 僕は、この歌も歌えなかった。歌詞を全然知らなかったから。
 そのおかげで、天に舞い上がって惚けていた魂が、躯に帰ってきた。

 そのあと、シングルのB面の知らない曲と、新しい曲を演奏して、コンサートは終わった。

 

 ありがとう。
 僕がこの席に着くことに関わってくれた、すべての人に、ありがとう。

 

2001年7月1日(日)
ayumi hamasaki DOME TOUR 2001 A
浜崎 あゆみ
大阪ドーム 16列 203番

 前回、「次のコンサートは色物」っていってたんだけど、その色物は、この浜崎あゆみではないよ。いっておくと。
 もちろん、抜けるような白い肌とお人形のような小さい顔。CMへの大量の露出。舌足らずなしゃべり方。どこをとってもトップアイドルそのものなんだけれども。でも、色物じゃない。

 僕はほとんどテレビみないし、歌番組なんかまったくみないから、しゃべり方も、顔さえもほとんど意識してなくって。
 宇多田ヒカルと同日に発売になったベスト盤が、だから浜崎の初体験。そりゃあ、聴いてみればサビだけ聴いたことのある曲のオンパレードだったけど。聞き流しているうちは訴えてくるものは何もなかったんだけれども。

 そのベスト盤に入っているライブの応募券。友達にあげたその応募券が当選して、巡り巡って僕のところに廻ってきたチケット。
 それから二週間、大慌てで他のアルバム、ライブのビデオも予習して。

 痛い、んだ。浜崎あゆみ。
 もちろんそんなことは、いろんなメディアでいわれ尽くしていて、なにも新しい発見っていうわけでもないのだけれども。
 でも、いたいね。

 ブルースは、その音楽的構造はシンプルでも、魂は複雑だ。
 哀しいから、哀しい曲調で歌うといったことをしない。詩はヘヴィでも、ヴギだ、シャッフルだ、哀しいからこそ思い切り跳ねてみる。(中略)
 露骨に泣かない、あるいは涙は出尽くした。
 ブルーノートでちょっとだけ鬱な音を呟くようにだしておいて、思いっきり陽気にジャンプする。

 花村萬月「ブルース」より  

 そう、浜崎あゆみは、ブルースなんだ。

    今日のうれしかった顔、今日の哀しかった顔。
    あなたなら、誰に見せてる?
    私なら、あの人に見せたい。

 コンサートの中で、わかりやすい踊りを全員で踊るこの曲の題名が、トラウマ。めっちゃかわいい笑顔も、痛々しく見えるよね。

 まあ、そんなことはいいんだけれども。

 開演に時間前に待ち合わせて、とりあえずグッズ売場に直行。そこでしこたま買い物をして、さあビール。ぷはぁ。この一杯がたまらんね。
 さて、問題。
 アイドルの球場コンサート。ビールの売り子さんはまわってくるでしょうか。

 答えは、YES。ちゃんとまわってました。開演前だけどね。
 それがうれしくって、入場してからももう一杯。おいおい、何しにきとんねん。

 浮いたらどうしよう、って心配していた客層も、思ったより高いね。っていうかバラエティに富んでいる。
  豹のお姉さんとコギャルばっかりかと思ってたけど、男の二人連れから、OL、子連れもいるし。いい感じ。

 コンサートは、押す押す。
 全然始まんないよ。どうしたんだろ。
 30分近く押してから、やっと始まった演奏。ASAYAN DANCERSも入ってきて。アリーナ中央の、地球儀が割れて。

中から出てきた、浜崎あゆみ

 かわいい、けど、小さい。マッチ棒の頭くらい。ステージ左右のモニタをみることが多いのはしょうがないね。

 コンサートは、想像してたのとまったく違って、ハードでした。
 1,2曲ごとに衣装を換える浜崎あゆみ。その間は、よっちゃんのギターソロや、阿部薫(!!)のドラムソロでつないで。
 そして、MCまったくなしで1時間。
 10曲くらい歌ったのかな。DutyVogueがめちゃくちゃかっこよかったけど。

 今日はどうもありがとうございました。
 初めてのせりふで小休止にはいって。

 第二部(?)はトークセッション。
  後半1時間で歌ったのって3曲だけじゃない?
 もちろんTraumaのダンスレッスンもあったし。
 なんかもう終わり? っていう感じが強かったけど、何てったってかわいいから許しちゃおう。

 駆け込みの予習は、曲はみんな分かったけど、歌詞はやっぱり分からないのが多くて、歌えませんでした。反省。
 帰りも、飲み屋のねーちゃんや、電車の中で、みんなに指さされて楽しかった。いーだろ。

 さて、次のポップスはいいぞ。みんながうらやましがるといけないから、まだ秘密だけど、すごいぞ。

 

JAZZ

2001年4月12日(木)
原 朋直 パタパタデラサルサ Special Live!
原朋直ニューヨーク・カルテット
 原 朋直 trp
 オリン・エバンス piano
 ドゥエイン・バーノ bass
 ナシート・ウエイツ Drams

seven steps to Heven
81
Circle
for Miles etc.

 大人になった? 原くんのニューヨークカルテット

 このごろとんとご無沙汰になっちゃったけれども、もともとジャズの人なんです、私。今回はひょんなことで、大坂くん抜きの原くんグループ。
 ほとんど乗ったことのない大阪環状線桜ノ宮を降りて、一番目立つビルに一直線。会場のライブハウス、パタパタデラサルサは、なんと帝国ホテルの地下一階にあるんです。こんなラフな服装できてもよかったのかしらとちょっと引いてしまったけれども、ボーイさんに止められることもなく、無事に地下一階へ。お店はちょっとこぢんまりした昔のブルーノート東京、って感じかな。ステージとおんなじフロアにテーブルが並んでて、それを取り囲むように一弾高くなったところがカウンター。さらにその後ろにテーブル。選んだのはカウンター。

 ステージの楽器を見渡すと、ウッドベースのアンプはあるものの、他にはマイクのたぐいは見あたらず。すべて生音らしい。からのラッパのスタンドの隣には、フリューゲルホーン。ううむ。原くんも大人になったのね。
 定刻より30分くらい過ぎて、ようやく姿を現した原くん。ちょっとふっくら、ちょびひげは昔のまま。
 あ、原くん見るのって、金沢のもっきりや、一昨年の富士見ジャズフェス以来3回目? あれ、マウントフジにも来てたっけ?

 最初の曲は、あれ、聴いたことがあるけど。なんだったっけ、これ。と思ったら、マイルスのseven steps to heaven。今回は、ショーター時代のマイルスバンドがテーマなんだそうだ。その後も、81,circleなど、聴いたら分かるけど曲名云われても、って曲が続く(なんてくくりや)。
  丁寧な演奏でとてもいいし、原くん相変わらず楽器のコントロール完璧なんだけれども、なんか上品なんだよね。攻撃的じゃない。前日の飲み会の影響と、30遅れた分進んだお酒で、ちょっとうとうと。

 20分くらいの休憩を挟んで、後半のセット。前半で満足しちゃったのか、結構な人が帰っちゃった。もったいないね。

 後半はメンバーのオリジナル中心。といっても原くんのじゃなくって、ニューヨークから連れてきたリズムセクションの曲。しかしこの人達、名前と風貌からはニューヨークと云うよりも南米系の人たちなのではないかしら。パワーありそうな体格の割にあまり外れたことをしないリズムセクションでした。
 後半も雰囲気はマイルス系で、クールにクールに演奏は進んでいって。さいごの曲はfor Miles。といってもDavisではなくて、ピアノのオリン・エヴァンスの息子の名前らしい。
 曲は、さいごの最後になってようやっと、ハードなバップチューン。顔を真っ赤にして吹く原くんと、スティック飛ばすドラム。そうそう、聴きたかったんだよ、こういうの。やっぱライブはこうじゃなくっちゃ。

 さいごの一曲で辻褄あわせたみたいだけど、久々のジャズ、とってもおもしろかった。