jIyajbe'：私は分かりません。

vulqangan QeDpIn jIHbe'：私はバルカン人の科学士官ではありません。

yIghoSQo'：行くな！

pegh vIja'be'：私は秘密を言いません。

pegh vIja'Qo'：私は秘密を言いません。

yep SuvwI''a'：偉大な戦士は注意深い。

yepbe' HoDma'：私たちの船長は注意深くない。

yepHa' HoDma'：私たちの船長は不注意である。

• 否定には接尾辞-be'を使います。-be'は否定する対象の直後に置きます。他の接尾辞は、その位置が決められているのに対して、この-be'は場合によっていろいろな位置に登場します。この-be'を「lengwI'：浮動辞（rover）」と言って、他の接尾辞とは区別されます。

• 以下の例文を見てください。-be'がその時の文の意味によって、あちらこちらを「うろつく」のが分かるでしょう。ここで、-nISというのは「〜しなければならない」という意味の第２類接尾辞です。

  ja'nIS：言わねばならない。
  ja'nISbe'：言わなくともよい（言わねばならなくはない）。
  ja'be'nIS：言ってはならない（言わないことをしなくてはならない）。

• -be'は動詞用の接尾辞なので名詞や他の品詞に付けない様に注意しましょう。

• 命令で「〜するな」と否定の表現をする場合には、-be'ではなく-Qo'を使います。

• また、-Qo'は命令文以外でも強い拒否の意味で使われます。以下を比べてみて下さい。

  pegh vIja'be'
  ：私は秘密を言いません（単に言わない）。

  pegh vIja'Qo'
  ：私は秘密を言いません（言うのを拒否する、命令・強要されても言わない）。

• -Qo'も浮動辞に分類されていますが、実際には第９類より前の一番最後に現われます。言わば、第8.5類とでも言うべき接尾辞です。おそらく-be'の命令版ということで、便宜上-be'と同じ浮動辞に分類されているのであろう、と推測されています。

• もう一つ否定に関する動詞接尾辞として、-Ha'があります。これはちょうど英語の「mis-, de-, dis-」等に相当し、日本語で言うと「非、不、反、誤」等の概念を表わします。つまり、動詞の意味を正反対のものにしたり、その動作の方向が誤っているという様な意味を表わします。

  yep：注意深い
  yepHa'：不注意である

  par：嫌う
  parHa'：好む

  jatlh：言う
  jatlhHa'：言い誤る

• -Ha'も浮動辞に分類されています。しかし、実際には動詞の直後にしか現われず、その動詞と密接につながって新しい動詞をつくります。

• -be', -Qo', -Ha'はみな浮動辞に分類されていますが、実際にその位置が移動するのは-be'だけです。共通点は、否定に関する概念を表わすということです。また、浮動辞にはもう一つ強調を表わす-qu'という接尾辞もあります。

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