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IYさんの死因は青酸中毒死か その1

木下耕一路

(1)I(Y)さんの死因確定の疑問
IYさんの死因は、村田医師の死亡診断書で「急性左心室不全」による死亡、・・・健康保険被保険者診療録の死因も同じである。その日時は昭和38年8月26日で、司法解剖が行われた日である。その日、胃の内容物のpH検査(酸性度、アルカリ性度の検査)があり、アルカリ性を検出した。しかし、その検査技師は、胆汁が胃に入ったことでアルカリ性になっていると認定している(支援者に対する証言)。その23日後に県警技研が「青酸反応を検出した」という鑑定を出した。その8日後、科警研も「青酸化合物の存在を認める」という鑑定を出した。それを受けて、死因の鑑定書が出された。その内容は、急性左心室不全の内容が書かれているが、青酸反応が出たので「非定形な青酸化合物中毒死」としている。食道及び胃の内容は青酸中毒死のものと認定していないことによると思われる。極めて異常な死因の鑑定となっている。

(2)死後青酸の発生、胃の内容物から青酸検出がある
プロゴプ教授(ベルリンフンボルト大学)が「健康人の血液を冷蔵庫に保存すれば自然発生的に大量の生産が生成される、微生物、とくにカビ類が生成することらしい・・・」と発表しおり、学会で認められている。このことは、血液中に死後青酸が大量に発生する可能性が大であることになる。また、98年7月に起こった「和歌山カレー毒事件」の死因の鑑定で事件直後の簡易鑑定及び科警研の本鑑定で青酸反応を検出している。これは胃の内容物のみである。その他に、ヒ素を後で検出して、定量分析をして多かったヒ素を死因とした。

波崎事件の胃の内容物は、篠塚証言、医師の証言で「アワをふいたが血もまじっていた。」また、県警研の鑑定人が検定資料(胃の内容物)は「暗赤褐色を呈し、暗赤色流動性で凝固していない」と、胃の内容物にかなりの血液がまじっていることが証明される。

(3)I(Y)さんの死後の再鑑定が必要
以上のことから、死因が青酸反応が出たから青酸中毒死とすることは無理である。又、鑑定は定量分析をしていない。又、事件から鑑定までかなりの日数がかかっている。その科警研技研はpH検査で酸性と鑑定している。しかし、アルカリであることを強調して青酸毒死を正当化している。以上のことから、現在の科学技術による死因の再鑑定が必要と思う。次号にその2を書きます。


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