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再審請求後の問題点
山際 永三(再審事件交流会)

 再審について、刑事訴訟法では435条以下、刑事訴訟規則では283条以下に規定されているのですが、詳細でないため、再審請求を受理した裁判所によって、また、弁護団の方針によって、請求後の推移はまちまちのようです。

1996年に初めて再審請求を行った或る死刑再審では、「追って別の新証拠も提出する予定です」という弁護団に対して、裁判所は「新証拠があるから再審請求したのでしょ。もし補充をするなら何月一杯にしてください」と相当強硬に指示してきました。その弁護団は、なんとか補充書の(1)を提出し、その後補充書(2)を提出して、さらに(3)を準備中です。現在、裁判所は請求人本人に対して「意見書」を提出せよといってきていますが、その作成に時間がかかっています。

 現在の運用では本人の「意見書」提出は、必要手続きとされているようです。訴訟規則286条に「再審の請求について決定をする場合には、請求をした者及びその相手方の意見を聴かなければならない」とあります。要するに決定する前には、双方の「意見書」がそろっていないとまずいわけです。

 別の死刑再審では、請求手続の約半年後、本人に「求意見」があり、5カ月後に「意見書」を提出し、その2年後に弁護団が補充書(1)を提出し、9カ月後、それを批判する検察官「意見書」が出され、その後弁護団は補充書(2)を出し、その(2)への検察官反論がまた「意見書」として出され、弁護団は裁判所に対してさらに補充をするので待ってほしいと「上申書」を出しているという現状です。問題なのは、検察官の「意見書」を裁判所が弁護団にすぐコピーをくれなくて、数カ月後別のことで書記官に連絡した際に「意見書」が出ていることがわかって、あわててコピーをとったということがありました。双方の「意見書」が出揃うと決定を出されてしまう可能性があるわけで、その点は注意する必要があります。

 再審請求審でも事実調べをやってもらうことが目標となります。別の再審事件では、請求審の段階で法廷に証人を呼んだケースもあります。さらに別の事件では、裁判所が、DNA鑑定を採用したのですが、この鑑定が酷い結果となって弁護団が困っています。袴田事件でもDNA鑑定が採用されましたが、今度は正しい鑑定が出ることを期待するばかりです。事実調べというのは,弁護団が提出した新証拠(書面・写真等)を調べることも一種の事実調べにはなるわけで、事実調べの要求というのは、あくまでも証人調べや鑑定の請求ということになります。このように、いろいろと積み重ねたあげく、再審の開始決定か、または棄却ということになるわけです。棄却に備えて「抗告」も準備しておくべきです。


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