■ 波崎事件裁判の経過 もどる

水戸地方裁判所土浦支部にて、田上裁判長によって死刑判決下る (1966/12/24)
(1)被告人は経済的に困窮していた
(2)保険金殺人を計画した
(3)交通事故死偽装の毒殺を計画した
(4)カプセルに青酸化合物を詰めた
(5)毒入りカプセルをアスピリンと偽って交付した
(6)被害者は自殺する理由がない

東京高等裁判所にて死刑判決下る(ハワイ屋事件は無罪) (1973/7/6)
第一審判決との主な相違点(⇒で示す)
(1)犯行の動機 金に困って⇒金に困ってはいなかった
(2)アスピリンに関して
被告人が「アスピリン2、3錠飲めばよく眠れる」と言ったことを否定する趣旨の発言をしたのは、異常な行為であり、これは被告人がIYに青酸化合物入りのカプセルを飲ませた事実がすぐその後に続いて存在しているためである⇒この判断には飛躍があるといわざるを得ない。
(3)若者3人組目撃証言
3人の証言を採用⇒八*証言を除いた
(4)青酸化合物所持
被告人が子供の頃、青酸カリを使って池の魚を取ったことがある⇒「魚を取るのを見たことがある」の誤記とした
(5)生命保険の受取人変更に関して
変更されたことを、被告人が知っているかのように認定⇒「これを認めるに足る証拠がなく、この点については事実誤認がある」とした
(6)INの、夫IYのT生命保険の加入に関する供述に若干の変化があるのは「記憶が薄れた結果」で、証言の信用性が失われるものではないとした。

上告 理由
(1)すべての事実認定は証拠に基づかず、推断という状況証拠である点不合理。
(2)12時15分退出の認定は、IN証言の「12時20分帰宅」を根拠に逆算しているに過ぎない。若者3人組の証言も信用できない。
(3)IYの立寄先調査は「1分21秒の間にどこに立ち寄ったか」の調査で意味をなさない。
(4)保険取得を動機とした殺人との推断は誤り。不動産仲介の交渉はほぼ成立していた。

最高裁判所上告棄却 死刑確定 (1976/4/1)
第二審判決(確定判決)を踏襲

第一次再審請求(1980/4/9)
A)通常の食物にチタンが含まれていることを証明
(1)カール・シャールレ著「微量元素の生化学」抜粋、
(2)千葉大教授木村康作成の土壌内チタン含有に関する鑑定書、
(3)被害者方前庭採取の土壌鑑定
を提出。
B) 包埋しないで青酸化合物が採取された場合でも、それが開封直後のもの、または水や湯茶に溶解しているものであれば消化管粘膜に変化を与えないとの意見書

第一次再審請求棄却(1984/1/25)
「理由なし」と門前払い。

異議申立棄却(1985/2/25)
(1)IN証言は信用できる
(2)痕跡のチタンの検出はカプセル服用の可能性あり
(3)咽頭・食道の無異常の点もカプセル服用の状況的事実となりうる
(4)検出された痕跡のチタンの由来が硬カプセル塗料や糖衣錠にあった可能性のほかに、日ごろ摂取していた野菜類にあった可能性を加えるだけである。

第二次再審請求(1987/11/4)
(1)事故車両の速度が自足30km毎時程度以下の衝突事故の事故内容を証明する
(2)カプセルの溶解時間
(3)IN証言は「伝聞証拠」であり、真実を確認するには限界性がある。薬物の即効性から、IYが苦悶した時に、その周辺にいた人間が犯人の可能性が最も大きい。

第二次再審請求補充書(1997/7/29)
(1)カプセル剤はトリブラでチタンを含まない。
(2)8人の人体実験の結果、空腹時のカプセル溶解時間は平均5分。IYの溶解時間を10分から15分としたのには根拠がない。
(3)致死量の青酸化合物を飲んだとして、IYが長く発言したことは青酸中毒症状と一致しない。
(4)保険金取得が動機なら、受取人2人に動機がある。INも受取人であり、一方の証言を主要な証拠として被告を有罪とすることは不合理。

第二次再審棄却(2000/3/13)
(1)30km毎時走行車両が正面衝突した場合は、30kmを超えるバリア換算速度が算出される。
(2)使用されたカプセルをトリブラと特定していない。
(3)カプセルの溶解時間は「10分に近い時間より相当短い時間であった可能性がある」
(4)IN証言の信用性に特段疑問はない。

異議申立(2000/3/17)
(1)第二審判決におけるカプセルはトリブラである。
(2)カプセル崩壊開始時間「10分に近い時間より相当短い時間」との判断根拠は
(3)青酸化合物中毒症状は発言能力を瞬時に失われる(平瀬鑑定)

〜 病状悪化 〜

恩赦請求(2002/12/6)

〜 衆議院法務委員会、予算委員会で、保坂展人議員質問 〜

医師の意見書を添えて病院移送願い(2003/2/7)


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