ストリート足

究極のストリート足について随分考え続けていた。ナニを悩んでいたのか? 考えれば考えるほど答えが出なくなってくるのだ。 壁にぶつかる。どんな壁かと言うと、底突きだったり、コストだったり、ボディ剛性だったりとか。 ロドスタのストリート足を真面目に考えてみたヒトは必ず同じ壁にぶつかってるのではないか?

まず重要なのは、ノーマル形状ダンパでフェンダとタイヤの隙間が指2本の車高だと、1G荷重ですでに底突き寸前だと言う事。ビルシュタインだとケースが長い上にバンプラバも長いので、完全に底突き状態だ。この状態ではサスペンションはまともな機能を果たさず、乗り心地もセッティングもステア特性もクソも無い。スプリングレートだのダンパの減衰力だの無意味で、ほとんどバンプラバで走ってるわけで、そんなモノはまともな足とは言えない。ノーマル形状ダンパで指2本以下の車高で走っているヒトは足回りを語る資格は無い(笑)。 乗り心地もステア特性もスポーツカーとしての走りもすべて捨て去って、見た目の車高だけを語って欲しい。 いや、別に毒舌でもなんでもなくてホントの話だ(笑)。

さて、そんなクソ足を捨て、まともな足を求めたい。究極のストリート足を考えるわけだ。

まずはブルブルと振動するアッパマウントをなんとかしたい。NBアッパを使ってリジット化しよう。これでブルブル感はかなり消える。バネはどうするか? 私としては6K-5Kくらいが欲しいが、ノーマルボディだとキツいかもしれない。すると5K-4Kくらいか? ダンパは当然KONI-GP(KONI-SPORT)を使うとする。KONIは10mmほどケースが短いとは言え、それで底突きを防げるわけではない。上げ底アッパマウントを使えばストロークは確保できるが、コストがかなり上がってしまうのと、通常のブーツが付かなくなる。ブーツの装着をあきらめるか、極細のブーツを探さなければならない。私の経験ではブーツを装着しないとダンパの寿命は極端に短くなるので、私としてはブーツはどうしても装着したい(注:KONIの技術者は「KONIにブーツは不要」と主張している)。 ならばNB用ノーマルアッパマウントを使うとする。これならNB用バンプラバとNB用ブーツが素直に付く。しかし、NBアッパを使ってもストロークは増えない。同じスプリングでNBアッパをそのまま付けると20mm弱車高が下がってむしろストロークはその分減ってしまうので、なんとかして車高を上げなければならない。KONIケースの車高調製用の溝を20mm弱ほど上に新たな溝堀り加工をするか、バネにスペーサを入れるか? これもやはりコストアップに繋がる。

究極的にはショートケース加工だろう。KONI-GPをO/Hと共に加工を依頼し、ショートケースとバネレートに合わせたショートロッド加工を施す。これは究極だ。しかし、それなら最初からASAをストリートスペックの長さで設計した方が安いくらいだ。 ここでコストの壁にぶつかる。 ASAがフルセット約20万円で好きな長さで設計出来るのだ。6K−5Kのストリート向け直巻きバネにピロアッパにASA車高調整ケース、まさに究極だ。これが20万円で手に入る。これより安い価格でなければ意味が無い。ダンパとバネとアッパマウント、これにブーツやバンプラバ、フルセットにして15万円くらいじゃなきゃ意味が無い。このコストの壁にぶつかってショートケース加工は却下される事になる。ASAの価格の安さが、他のキットでストリート足を作ろうとした場合にコストの壁となってしまっているのだ。ASAに近い価格ならASAを買っちまった方が良いんだから。

底突きを回避するにはバネレートを上げる方法も有る。しかし、ストリートや峠を重視したしなやかな足を求めるなら、バネレートはあんまし上げたくない。また、ノーマルボディでハイレートなバネはかなりキツいわけで、やはりバネレートは5〜6Kが限界だろう。強化ボディだからと言ってハイレートなバネにすると、それはサーキットスペックになってしまうわけで、ストリート足を考えるなら本末転倒だ。

そしてどうしても回避出来ない底突きの壁。これを乗り越えるには、ショートケース加工か、上げ底アッパマウントしかない。だが、どちらもコストがかなりかかってしまう。しかし、コスト壁と底突き壁の両方を簡単に超えられる方法が有る。それは、車高を高めにする事だ。もうこれしか無いのだ。車高を高くすればすべての問題が解決する。車高を下げたいなら、底突きを覚悟して乗り心地や走りをすべて捨てるしかない。

実は私もASAを作る前はKONI-GPで指2本車高で走ってた頃も有った。その頃は底突きしてハネている事に気付いてなかった。超ショートケースで本当に底突きしないASAに乗ってみて初めて解った。底突きしてる動きと底突きしてない動きの違いが。 KONI-GPは伸び減衰が強いので、ビルシュタインが底突きした時のようなハデな跳ね返りは無いが、やはり底突きによる跳ねは有るのだ。底突きしない足に乗ってみるとそれがハッキリと解るようになる。

私と同じ道をたどって同じ答えにたどり着いたのがSTAGEと堂堕自動車の両社が発売したKONIキットだ。この両社のキットの車高が高い理由はそういうわけなのだ。 直巻きバネで動きの良さと汎用性や今後の発展性も考えた堂堕自動車、ノーマル形状バネをオリジナル製作しブーツやバンプラバまでセットしたSTAGE、手法は違えどたどった道や狙ったモノはまったく同じだろう。

先日ストリート仕様化したFire号は、アッパマウントこそ松田速度のNA用をそのまま使い回しているが、高めの車高と6K-5.5Kのバネは本当に素晴らしい動きをしてくれた。ASAを使い初めて以来、忘れていたGPの動き、それは本当に素晴らしかった。この動きをすべてのヒトに知ってもらいたい。

KONIなんか誰も使ってなかった12年前、当時の定価で96000円という高価なKONI-GPを買い、KONIの素晴らしさ体感した私は、それ以来KONI普及活動を続けてきた。12年経ってやっとKONIの素晴らしさが認知されてきた。ビルシュタインに代表される高圧ガス単筒式神話が崩れ去り、所詮ストリート向けと思われていた低圧ガス複筒式のKONIが筑波決戦で上位を占め、低圧ガス複筒式がサーキットでも速い事を証明した。もちろん、低圧ガス複筒式ならではのしなやかな動きは当然ながらストリートでも素晴らしいわけで、ASAは筑波までの300Km自走の道のりを快適なツーリングとしても楽しませてくれる懐の深さを持っている。サーキットスペックで設計したASAですらストリートを快適に走れるわけで、本家ストリート向けのKONI-GP(KONI-SPORT)がストリートで素晴らしいのは当然なのだっ!

この両社のキット、私は皆さんに自信を持ってお勧めします。

堂堕自動車のキット

STAGEのキット

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