1999年
2月16日(火)の宿

コング村の北のはずれのB&B 「ドルメン・ハウス」


スライゴからゴールウェイ方面へ

レンタカーを借りて6日目。
この日は午後2時ごろまで、スライゴ周辺を観光していた(その模様はまた次の機会にでも)。

しかし、翌日の正午にはゴールウェイの空港まで戻って、レンタカーを返却しなくてはいけないので、 なるべくゴールウェイ市に近づいておきたかった。

スライゴからゴールウェイまでは、距離にして百数十キロあるので、 途中の町を観光しつつ、まっすぐ移動したいところだったが、 手持ちの情報では、どうもスライゴ〜ゴールウェイ間には、これといった見所がないようだった。

もう1日あったら、ぐっと西側へ迂回して、コネマラ地方を観光したかったのだが、そんな時間もない。 ・・・というわけで、しぶしぶながらも、まっすぐ南(ゴールウェイ方面)を目指すことに決める。

ただ、手持ちのデータ(『地球の歩き方』)によると、 スライゴからゴールウェイに向かう直線上(・・・からは、すこし西へずれた位置)に、コングという村があるらしい。 特に行きたいとは思ってなかったが、それが唯一のスポット情報だったので、その村に泊まろうと思い、進路をとる。

13時45分 スライゴ(カロウモア遺跡)出発 〜(国道N17号)〜TOBERCURRY(14:30ここで昼食(フィッシュ&チップス)) 〜(国道N17号)〜CHARLESTOWN通過 〜(国道N17号)〜CLAREMORRIS通過 〜(R331号道)〜BALLINROBE通過 〜(R334&R345号道)〜コング村到着 16時30分ころ。

・・・と約100キロの道中、途中の町で遅めの昼食に フィッシュ&チップス屋(アイルランドでファーストフードと言えばコレ!) に寄ったくらいで、 とくに観光もせずに、コング村に到着。

水の郷・コング村

とまぁ、 あまり期待せず、半分仕方なく立ち寄った村ではあったが、 結論から先に言うと、良い意味で期待は裏切られた。 何があるわけでもないのだが、また訪れたい・・・そんな村だった。

なんでも映画 『静かなる男』 の舞台らしいが、映画は見ていない。 もちろん、それでも十分素敵な場所であることに変わりはない。 (もっとも、いいところだからこそ映画の舞台に選ばれたのだろうが)。 逆に、後で機会があったらその映画を見て、この旅を思い出したいな・・・と思った。

コングの村には、水が多いという印象を持った。 村の中を、なみなみと水をたたえたキレイな川が流れていて、実に潤いがある。 (思い出しただけでも、ノドの渇きが癒される気がする)

また、大きな修道院跡もある。 中心部は、街道(・・・といっても田舎道)であるメインストリートと、裏通りだけ。 徒歩5分もあれば、センター街(?)を一周できてしまう程度。

村の散策は、翌日にまわして、とりあえず宿を探す。

ドルメン・ハウス

実は、村の中心部の裏通りにB&Bが何軒かあったのだが、 最初に車で通過したときはメイン通りを通過しただけなので気付かなかった。 で、「B&B」の看板をたよりに少しウロウロした結果、村を外れて北に500mほど入ったところにある 「ドルメン・ハウス」という家を見つける。

田舎村のそのまた外れにある、広い庭先の家。

門の横には、この宿のシンボルらしい、立派なドルメンが立ってた。 多分、ここの主人が作ったのだと思うのだが、もしかしてホンモノ?

(ドルメンとは・・・ ケルト以前の古代人が石を組み上げて作ったという謎めいたオブジェクト。 飛鳥の石舞台みたいなのを想像してもらえば、そう違わないかな? アイルランド国内にも点在し、妖精伝承の元にもなったといわれる。)

ドルメン・ハウスの呼び鈴を鳴らす。 玄関先に出てきたおかみさんは、 ジーンズが似合う、快活な感じの若い奥さんだった。元気な農家の奥さんって感じ。

季節外れの不意の来客らしく、
『あ〜ら、こんな村外れまで来なくても、村の中にもB&Bがあるわよ。』
みたいなことを言われたが(多分)、すぐに「OK!カムイン!」と交渉成立。

キレイな客室に荷物を置くと、広いリビングに通され、お茶とクッキーをいただく。 リビングには熱帯魚の飼われている大きな水槽があって、その中にもミニチュアのドルメンが組まれていた。

さて、この家には昨日(1999/2/15)2歳になったばかりだという、ダーラDaraちゃんという営業部長(男の子)がいた。 ダーラちゃんは、誕生日プレゼントに、乗って遊べるおもちゃのトラクターを買ってもらって、 台所で乗り回しているみたいだった。 こうやって小さいころから、農家の仕事を仕込まれるのだろうか。

おかあさん曰く『彼は、仕事を手伝ってくれるの(笑)』

それにしても、台所でトラクターを乗りまわせるんだから、広いおうちだ。 田舎のしかも村外れだけある。

ダーラちゃんの得意技は「投げキッス」と「バイバイ」(おかあさんに仕込まれたな)。 あまりの可愛さに波留子は大喜びである。

でも、彼はちょっと恥かしそうにしてた。 それでもお客さんが気になるらしい。 出ていったと思うと、扉のカゲからこちらの様子を伺ってたり、 勇気を出してお気に入りのオモチャを持ってきてくれたり。終始モジモジ照れ笑い。

「He is shy?」と言うと、お母さんも苦笑いしていた。

ドルメン・ハウスの周りはと言うと・・・ 北を見渡すと草原地帯が続いており、かなたに古い石の建造物跡(城跡?)らしきものも見える。 このあたりは村はずれ、街灯無し。 晴れれば星がたくさん見れる。 夜は、小川のせせらぎ。 ずっと北の方から道と平行に流れてきて、村の方に流れて行く小川だ。

日常の喧騒を離れてのんびりするには、実に素敵な環境だ。

夜、コング村にて

村まで夕食に出るが、レストランが見つからない。いつの間にか降り出していた雨もひどくなる。 徒歩で5分もあれば一周できてしまう小さな村なので、店の選択肢はほとんどないに等しい。 その上季節はずれで、営業してるのかしてないのかわからないようなレストランはあったが、閉まってるようだ。

仕方がないので、酒場に行って『食事できるか?』と聞くが、返事はやはり「NO」。 でも、レストランの場所を教えてもらった。 村にあるホテル(といっても小さなものだが)の中の酒場に、食事メニューがあった。

カウンターには地元民が何人か。 少しすると、1人旅らしい、めちゃくちゃ太った男の人が近くのテーブルについた。

暖炉すぐ近くに座り、濡れたコートを椅子にかけてかわかす。 店の人が、目の前で泥炭をくべていた。

メニューにアイリッシュ・コーヒーがあったので、ここで初めて飲む。 アイリッシュ・コーヒーとは、 この国のちょっとした名物(?)でコーヒー+酒+ホイップクリームという、のんべぇコーヒーだ。 冷えた体には実によくシミワタル。

食事もたらふく食べる。腹がふくれたので、今度はギネス・ビールを注文して流し込む。 暖炉の熱でコートから湯気もうもうとあがっている。店を出るころにはすっかり乾いた。

太った男の人は、食事、足りたかな?

外に出ると、なんと晴れ上がっていた。 宿のあたりは街灯がない。素晴らしい星空。 明日もこの天気がもってほしい。

翌朝

雨は降ってなくて、やや晴れ間あり。 アイルランドにしては十分良い天気だ。

朝食を終えて、9時に宿をチェックアウト。
宿賃を払おうとするが、高額紙幣しか持ってなかった。 家にはおつりが無いという。

『村に行って両替してすぐ戻って来るから、預かっててください。』
と、とりあえず高額紙幣を渡そうとしたが、おかみさんは
『あら、信じてるわ。』とそのお金を返してくれた。

ちょっとウレシイ気分で村まで下りて、 「SPAR」で絵ハガキを買う。 レジで会計してもらうとき
『細かいお金が要るんだけど・・・(I need small money)』
と言ったら、英語が通じすぎたらしく(爆)、めちゃくちゃ細かいお金を多めに含んで、おつりをくれた。

小さいお金が手に入ったので、宿まで戻って支払いを済ます。

記念にダーラちゃんも一緒に写真を撮ろうとしたら、 恥ずかしがり屋の彼はお母さんの影に隠れてしまったので、あきらめる(^^;

この後9時半〜10時10分ころまでは、コング村をぶらぶら散策した。

つづく。


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