■ 創業300余年の豆腐料理の名店「笹乃雪」
正直に白状いたします。笹乃雪に行くには、都営バス「上26系」の「根津駅前」から乗車し、3駅先の「下谷二丁目」で降りなければならないほど、遠かったです。この距離、私はとぼとぼ歩いてしまったわけですが、優に30分はかかりました。あははは(泣)。
やっと到着した「笹乃雪」ですが、店ののれんをくぐると、広い玄関に番頭さんなんかがいらっしゃって、ちょっと高級そうな装い。このお店は元禄四年(1691年)に百十一代後西天皇の親王「上野の宮様」のお供として江戸にやってきた初代・玉屋忠兵衛が、江戸で初めて絹ごし豆腐を作り、豆腐茶屋を根岸に開いたのが始まりとされています。
なんと言っても、ここの特徴は当時の製法そのままに、にがりのみを使用した昔ながらの豆腐を食べさせてくれること。この日は休日だったため、残念ながらお得なランチセット(1.500円)がなく、朝顔セット(2.500円)なるものを頼みました。主な内容は、生笹乃雪(冷や奴)、あんかけ豆腐、ごま豆腐、湯葉料理、うづみ豆腐(豆腐茶漬)、豆腐アイスクリームといったもの。なぜか、あんかけ豆腐は一人前に2椀ずつついてきました。なぜに? と思い、お店の方に伺うと、こんないわれを教えてくれました。
創業当時、笹乃雪ではあんかけ豆腐一品のみを扱っており、新しいもの好きの江戸っ子たちは初めて食べる、あんかけの絹ごし豆腐を競って食べ、何杯も椀を重ねたとか。上野の宮様がお店にいらしたときも、大変おいしいということで、「これからは2椀ずつもってくるように」とのお言葉がかかり、それ以来、こちらでは2椀ひと組であんかけ豆腐を出すことが習わしになっているとのこと。お味としては、だしのきいたあんの味もよく、ちょっとたらした芥子(からし)がきいて美味しかったのですが、そのへんのものとは明らかに違う濃厚な豆腐の風味を味わうのであれば、冷や奴の方が向いているように思いました。
ほんとうにこれでもか、といったぐらいの豆腐づくしを堪能したコースでした。平日のランチコースも、豆腐アイスがついていないくらいで、朝顔コースと品数もあまり変わらないため、この老舗の豆腐料理を味わいたい方は、ぜひ平日のランチにおでかけください。
さて、大脱線をしてしまった江戸めぐりの旅。次回こそは、気をひきしめて浅草へと駒を進めることといたしましょう(ほんとかな〜)。
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「笹乃雪」
東京都台東区根岸2-15-10
TEL03-3873-1145
ちょっと高級そうな雰囲気ですが、平日のランチはお得感があっておすすめ!
一番左手が冷や奴、そして奥に二つ並んでいるのがあんかけ豆腐。
奥がごま豆腐、手前が湯葉料理。ごま豆腐はとってももちもちしていて、豆腐というよりは、なんだかおもちのような食感でした。もちろん、ごまの味も濃厚です。
うづみ豆腐(豆腐茶漬)
しょうゆベースで味付けし、細かく細かく賽の目切りにした豆腐を、ご飯の上にかけたお茶漬です。豆腐が割合硬めのため、細かくても存在感がありました。私はコース料理の中で一番気に入ったかも!
豆腐アイスクリーム
とっても豆腐の味が濃厚。甘みが抑えめでコース料理を食べておなかいっぱいになった後でも、別腹にすす〜っと入ってしまいました。
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