冷たい非常識'93

#1 正しい献血の断り方 の巻

れん理英子


 お元気ですか? いつも「糸納豆」ありがとう。いつもとっても楽しみです。とくにSF研OB、OGのゴシップ記事が一番の楽しみです。情報収集能力にはいつも感心してます。

 私は今年も一人で正月を迎えました。5分前に1993年になったばかりです。1992年は何かいー事ありましたか? 私はいつも通り、不毛ではあるけれど楽しい1年でした。いい事と言えば、昨年3月3日の誕生日に、私はカゼひいて会社休んで寝ていたのですが、何と夢の中にあの徳永英明さんがお見舞に来てくれました。そして、私のためにちらかった部屋をかたづけて、うどんを作ってくれたのです。幸せだったなぁ。友人に話すと、「徳永英明が部屋をかたづけてうどんを作るなんて何か変」との事ですが、いーんです。幸せだったから。昨年は徳永英明コンサートには一回しか行けなかった。今年は3回は行きたい。しかし、人気が出てくるのはうれしいけど、だんだんチケットが取りづらくなるのは悲しい。中島みゆきなんかはファンクラブに入っていてもチケットがとれないんだよ。徳永さんもいずれそうなっちゃうかなぁ。

 でも、今年は6年ぶりに中島みゆきのコンサートに行けてうれしかった。公演回数が少ない上にあまり大きいホールでやらないからよけいチケットがとれないんだよね。6年前に仙台で見て以来、毎年努力してるんだけど全然とれなかったんです。それが今回何を思ったのか横浜アリーナでやったものだから、きっと取れたんだよね。大ホールのかなりうしろの席で小さく見えるだけだったけど、それでも見れないよりはずっといい。今年もがんばってチケットを取ろう。でも中島みゆきは毎年11、12月に、通常のコンサートとは別に渋谷のシアターコクーンという所で「夜会」と言う、すごく凝ったコンサートをやるんだけど、このチケットがわをかけて全然取れないんですよ。公演数は二十数回やるんだけど、それが700人くらいしか入れないホールで全部で武道館一回分ぐらいの人数しか動員できないのですよ。私は毎年この時期は公衆電話の入り口に「すみません。他のBOXに行って下さい」と貼紙をしてチケット争奪戦に挑むのだけど毎年破れ去っているのです。6時間かけつづけて、ダメだった事もあります。昨年は1時間半で通じたので「やった!」と思ったら、もう売り切れでした。つまり、何だ、その、1時間半で既に売り切れてるものが、6時間電話が通じなかったりする訳かぁ。んな訳で、このままでは一生「夜会」には行けないと思い、この手だけは使いたくなかったのだけど、「金にモノを言わせる」事にした。気合いを入れてダフィとの戦いに挑んだのだけど、しかし、私の金は、少しもモノを言ってくれなかった。なにせ立見席5千円が5万円なのですよ。じゃあすわる席9千円はいくらになるのだと思うと…結局すごすごと引き挙げて来たのです。かつて世界的ピアニストのモホロビチッチとか言う人が、日本でコンサートした時、チケットが5万円で売買されたと聞いて「いったい誰が買うんだぁー」と思ったものだが、中島みゆきさんはモホロビチッチより偉大だったんだなぁ。でも今年こそは行きたいなぁ。ヤマハの飯竹くんなら何かいい方法を知ってるかなぁ。

 その点ハウンドドッグは昨年は5回も行ってしまった。人気はすごくあるのだけど、大きいホールでやってくれるし、何せ公演数がすっごく多い。だから、苦労はしてもがんばればチケットは手に入るのだ。ハウンドドッグは偉い! ハウンドドッグは働き者だ!!!

 ま、このような1年だった訳です。

 しかし、1992年のしめくくりに、最終出勤日に私はまたもや舌禍事件をひき起こしてしまいました。いつも、最終出勤日には献血車が会社にやって来るのですが、2〜3日前に私は献血する気があるかと聞かれ、快く承諾したのです。しかし、当日急に体に変調をきたして、貧血気味だったので、やっぱり献血はパスさせてもらおうと思いました。そこで、一応担当の人に断わっておこうと思い、T氏(29歳、男性、既婚)に「私、今日献血するはずだったんですけど、せーりになっちゃったんでパスしてもいいですか?」と聞きました。T氏は「……いいんじゃないですか……別に」と言ったので、事はそれで済んだと思って、私はそのまま実験室に行きました。しかし、しばらくして女の子が一人「ちょっとあなた」と言って、やって来ました。彼女が言うには、T氏が居室のまん中で、足をガクガクさせて呆然とつっ立っていたので、「どうかしたの?」と聞いたそうです。T氏は、「ちょっと今、恐いことがあって…」「何があったの?」「…れんさんが…」「またれんさんが何かしたの?」「……」「いったいどうしたの?」「…俺には…言えない」んな訳で彼女はT氏を人気の無い所につれて行って、話を聞いたそうである。

 「ふつーそういう言い方ってしないのかなぁ」と私が言うと、彼女は「ふつー言わないわよ。体の調子が悪いからとか言うよ」「でも、Tさんは結婚してる人だし、私だって独身の男の子ならもーちょっと考えたかも知れないけど…」(たこいくんは独身だったね。は。は。ごめん)「そりゃTさんは結婚してるけど、あなたは嫁入り前の娘なんでしょ!?」……そうでした……すっかり忘れてました。今年はもっと、言葉に気をつけよう。

 その手の話で思い出したのだけど、かつて、「若葉アパートの怪、厠のゴミ箱の謎」と言うのがあったのを、たこいくんは聞いたことありますか? 一応説明すると、昔とーるさんが住んでいた若葉アパートで、何の時だったか忘れたけれど大勢人が集まって細川さんがおすしを握っていたと記憶してます。その時、私はお手洗いをお借りしたのですが、そのお手洗いのかたすみに、いわゆる女性用トイレに置いてある小さなゴミ箱というか…たこいくん何の事だかわかるよね…つまりそれがあったのです。私は一瞬パニックして、「ここはとーるさんの部屋だよなぁ」「とーるさんは一人暮しのはずだよなぁ」と考えたのです。お手洗いから出て、聞いて見ようと思ったのだけど恐くて聞けませんでした。そのあとあっちゃんが帰省した時その件について話したのですが、「女性と住んでるとか」「まさかねぇ…」「おかーさんが持ってきたとか」「まさかねぇ」「とーるさんが自分で使ってるのかなぁ」「それがいちばん恐い考えだよー!」と言う訳で、答えは出ません。その後、沢千代氏とあっちゃんと3人で話してた時、我々は思い切って沢千代氏に相談してみたのですが、彼も「とーるちゃんの真意は計りかねる」とのことでした。でも沢千代氏は、私とあっちゃんの悩む姿を見て(と、言うより、彼自身、とーる氏との友情を続けることに一瞬不安を感じたのではないかと私は推測するのだけど)とーるさんに確認してくれました。沢千代氏の調査によると、そのゴミ箱は前の住人が置いていったもので、とーるさんは何だかわからないままに、トイレットペーパーの芯を捨てていたそうです。でも、いくら姉妹がいないからといってふつーわからないだろうか? ちょっと恐い話だったでしょ? あれからもう7〜8年経つのだけど、今だにむねの奥にくすぶっている疑問があるんだよね。(1)沢千代氏は、この件を確かめる際、どーやってとーるさんに切り出したのか? (2)何も知らなかったとーるさんに対して、沢千代氏はどーやってそれの正しい用途をとーるさんに説明し、納得させたのだろうか? いずれ機会があれば、この2点について、たこいくんの方から、沢千代氏かとーる氏に取材してみてくれないかなぁ。私には恐くて聞けない。

 夜も更けて来ました。名簿代いくらか忘れちゃったけど足りなかったらごめん。もしあまったら「糸納豆」への寄付ということで。

 この前森氏宅で飲んだ際、氷室冴子で盛り上がったのを思いだしたので、『伝われ、愛/中島みゆき著』に書いた氷室冴子の解説をコピーして送ろうと思ったけど、本がどっかに行ってしまった。「氷室さんは正しい物をちゃんと見てる」と思ってけっこう感動したのでたこいくんも気が向いたら解説だけでも読んでみて。じゃあね。


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