LaLaDXインデックス2000
LaLa DX INDEX 2000

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 白泉社月刊LaLaの増刊、隔月刊のLaLaDXのインデックスデータ。その2000年版。独断と偏見に満ちた星取表(5点満点)と短評付き。


LaLaDX2000年11月号
表紙米沢りか「こっぱみじんの恋」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「こっぱみじんの恋」米沢りか読切〜でもね だいすき〜★★★
「あかく咲く声」緑川ゆき読切 ★★
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切#11★★★
「やくみガーデン」江咲桃恵ギャグ 
「private moon」瑞樹奈穂読切 ★★★
「遥かなる時空の中で」水野十子読切 ★★
「天然素材でいこう。」麻生みこと読切〜THIRD EYE BLIND〜★★★★
「運命のベイベ」田中メカ読切 ★★★★
「まるいち的風景」柳原望読切〜大人のおもちゃ〜★★★
「がんばっちゃうもんね」安達ひとみ読切 ★★★
「地球管理人」杜真琴読切 ★★★
「ever after」呉由姫読切 ★★
「俺のかわいい妹」えもとよう子読切 ★★★
「でこパンダの毒」白井裕子ギャグ 
「不屈のラブファイター」内田小鳩読切 ★★
「ガートルードのレシピ」草川為読切 ★★★★
「くすりゆびでやくそく!」歓野麻有読切 ★★★
「B.B.Joker Selection」にざかなギャグ ★★
「私の彼女道」魚耶清子読切第104回LMSベスト・ルーキー賞★★
「ボクラの時代」つなしはじめ読切第105回LMSベスト・ルーキー賞
「裸の王様」土井裕美子読切 ★★
「everlasting」島村東読切 
「Personal Fish」十川ひなた読切第24回LMGフレッシュデビュー賞
「迷子の行方」川瀬夏菜読切第24回LMGフレッシュデビュー賞★★
 水野十子『遥かなる時空の中で』は、単なるキャラクターの紹介編で話が始まる前に終わっているような寸足らずな印象で、これはちょっとゲームコミックとしてもどうかと思う。(本誌の第2部の方は一応マンガとして読める出来ではあるのだが)
 ジャンル白泉社(笑)代表の田中メカは身長差50cmだけど、お互い一目惚れでめろめろ状態のカップルを巡るどたばたを描いた小品だが、今、この人は脂乗り切ってる感じで、基本的にハズレがなくなりつつある、かな。けっこう気に入ってます(笑)。
 個人的イチ推しの草川為「ガートルードのレシピ」は悪魔の身体の断片を蒐集していた人間がそのコレクションを接合して作り出したフランケンシュタインの怪物のような出自の人造悪魔ガートルードと、ガートルードの身体の中の自分の身体の一部を取り戻そうと彼をつけねらう悪魔たち……という『どろろ』の逆を行くような設定に、たまたま負傷したガートルードを拾ってしまった女子高生とのからみを入れた佳作。アイデアの新鮮さも絵柄の繊細さも相変わらず健在。因みにこの設定だとシリーズ化が容易に可能なような気がするのだが、どうか(笑)?(2000/10/30)


LaLaDX2000年9月号
表紙六本木綾「トラブル・ドッグ」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「トラブル・ドッグ」六本木綾読切〜PIECES OF LOVE〜★★★★
「火宵の月」平井摩利読切〜火宵的 愛する2人別れる2人〜★★★
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★★
「地球管理人」杜真琴読切 ★★★
「王子様とメイド様」白井裕子ギャグ ★★
「天然素材でいこう。」麻生みこと読切〜迷走MAP〜★★★
「B.B.Joker Selection」にざかなギャグ<安藤大介・17歳の日々>★★★
「サイレント・ヴォイス」瑞樹奈穂読切〜黄金色の記憶〜★★★
「明日はじまる恋のために」呉由姫読切 ★★
「コントな世界」藤沢真輝ギャグ第103回LMSギャグ特別賞
「遥かなる時空の中で」水野十子読切 ★★★
「まるいち的風景」柳原望読切〜変わりゆく世界〜★★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切#10★★★
「鼠野一家の日曜日」柴来匡ギャグ ★★
「ロマンティック・エゴイスト」葉鳥ビスコ読切 ★★★
「幸せどうですか」江咲桃恵ギャグ 
「大魔導師カゼをひく」有希まどか読切 ★★
「ラブ・マッシ〜ン」カネチクヂュンコギャグ第104回LMSギャグ特別賞
「メタルに愛して」山本幸依読切第24回LMGフレッシュデビュー賞★★★
「会いたくて」大樹玉織読切第24回LMGフレッシュデビュー賞★★
「ひまわりのはなし。」三太ケースケ読切 ★★★
「ベリィ・マニア」ながはまのりこ読切 
「素晴らしき日々」土井裕美子読切 
「タナボタの女」吹原小雪読切第101回LMSベスト・ルーキー賞★★
「気になる条件」川瀬夏菜読切第102回LMSベスト・ルーキー賞★★
「終わらない夜のために」砂原ゆうか読切第103回LMSベスト・ルーキー賞
「こっぱみじんの恋・特別予告」米沢りか  
 森生まさみ『聖はいぱあ警備隊』と並んでLaLaDXを支えてきた六本木綾『トラブルドッグ』が今回でファイナル。この2シリーズ、マンモス学園を舞台に、生徒会とか学園内裏稼業(笑)とかが繰り広げる権謀術数を描く、という点では、似通った設定であったことに、最近気づいた(笑)。いや、作風として森生まさみはちょっと世界観がマンガ的というかデフォルメされていて、六本木綾の方がリアル系、という違いがあって、話自体も『聖〜』は学園全体を巻き込むような大仕掛けが多く、『トラブル〜』は少女マンガ版『助け人走る』で、個人のトラブルをいかに解決するか、という話がメインだったせいもあるんだけど。しかし、最終エピソードが両者とも外部(大人)の論理が学園内に割り込んでくるのを生徒たちが阻止する、というシチュエーションになったのは偶然かもしれないけど、ちょっと面白いかも(笑)。
 まあ、この2シリーズが終わったことで、雑誌としては新しいフェイズに入ったといえるのかも。
 前号から始まった杜真琴『地球管理人』は絵柄、作風とも今までよりコミカルな方向に振っていて、個人的には今までより肩の力が抜けていていい感じではないかと思う。麻生みこと『天然素材で行こう。』はやっぱり絵が荒れていて、この人の持ち味の繊細な描線とかファッショナブルなカバーイラストとかの質が落ちてしまっているのが残念。橘裕『Honey〜君は輝ける星〜』は、今までの話の展開が『坂道のぼれ』的(?)だったのでだまされていたが(笑)、どうやらこれから『めぞん一刻』な話になっていく模様(笑)。惣一郎さん(笑)と三鷹(笑)が今回で出揃ったみたいなので(笑)。あ、こずえちゃんはまだいないな(笑)。
 新人では山本幸依「メタルに愛して」が安定した画力で新人ばなれしているが、同じLaLaの渡辺祥智とタッチがそっくりなので、この先どういう方向性を出していけるかが課題では。あと、前号でデビュー賞受賞の三太ケースケの第1作が割といい味出していて、今後が楽しみかも。(2000/09/16)


LaLaDX2000年7月号
表紙水野十子「遥かなる時空の中で」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「人形師の夜」橘裕読切#17 遠い音楽★★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切番外編 星はいずこ★★★
「地球管理人」杜真琴読切 ★★★
「トラブル・ドッグ」六本木綾読切〜籠城〜★★★★
「やくみガーデン」江咲桃恵ギャグ 
「ピアス」瑞樹奈穂読切 ★★★
「天然素材でいこう。」麻生みこと読切〜SYNCHRONISITY〜★★★★
「スモーキーエンジェル」安達ひとみ読切 
「王子様とメイド様」白井裕子ギャグ ★★
「遥かなる時空の中で」水野十子読切《鵺の哭く夜》★★
「階段の下の子供」シン読切 
「まるいち的風景」柳原望読切〜うつくしきもの〜★★★★
「B.B.Joker Selection」にざかなギャグ ★★★
「福は内!」槻宮杏読切 
「ダブルクラウン」草川為読切 ★★★★
「おまけの小林クン」森生まさみ読切〜出張!家庭訪問罠スペシャル〜★★★
「よろず屋」加西涼読切 
「不機嫌な王様」内田小鳩読切 ★★
「クラシカルバリエ」木々読切 ★★★
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★★
「地上に降りた竜」深宮宵子読切 ★★★
「鼠野一家の家族会議」柴来匡ギャグ ★★
「シェイキング・ループ」十川ひなた読切第99回LMSベスト・ルーキー賞
「キャンディーホリック」可成みちる読切第100回LMSベスト・ルーキー賞
「横顔の君」三太ケースケ読切第23回LMGフレッシュデビュー賞★★
 今回の目玉は毎度おなじみの橘裕2本立て。橘裕も最近はもう本誌への登場はほとんどなくなってDXのマンガ家と化しているな(笑)。同じLaLaの中でもマンガ家の棲み分けが確立してきているかも。その中では、デビューからほとんどDX専業マンガ家だった麻生みことは最近メロディでの月刊連載など始めてしまったためか、絵がかなり荒れてきているのが残念。
 木々「クラシカルバリエ」は今回で終わりだが、ご本人のホームページによると、白泉社と関係決裂のため、LaLaへの執筆はこれが最後で、このあたりはコミックスにもならないらしい。なんだかなあ。昔からマンガ家とのトラブルの多い会社だよな。>白泉社
 今年に入ってから注目していた草川為「ダブルクラウン」はとある国の王女と、容貌がうりふたつであるためにその王女の影武者をしている少年の話。既にストーリー、演出面での作風も、画面構成も含めた画風も確立してしまって、独特の世界が出来上がっている。やっぱり今年一番の注目株かな。(2000/09/14)


LaLaDX2000年5月号
表紙筑波さくら「目隠しの国」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「聖・はいぱあ警備隊」森生まさみ読切〜続・キスをしましょう〜★★★★
「自動人形のバラッド」まさや佳乃+東條零読切第4回シナリオコンテスト最優秀作★★★
「ニセB.B.Joker Selection」一條マサヒデギャグ 
「天然素材でいこう。」麻生みこと読切◎いちゃいちゃ★★★★
「やくみガーデン」江咲桃恵ギャグ 
「目隠しの国」筑波さくら読切 ★★★
「こっぱみじんの恋」米沢りか読切〜恋になるには〜★★★
「クラシカルバリエ」木々読切 ★★★
「歯車使い」草川為読切 ★★★
「パジャマでごろん」ささだあすか読切その4★★★★
「トラブル・ドッグ」六本木綾読切〜ステイタス〜★★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切#9★★★
「王子様とメイド様II」白井裕子ギャグ 
「てがみをかくよ」柳原望読切 ★★★
「ゲーム」ながはまのりこ読切〜春の嵐〜
「恋人」野々原なお読切第97回LMSベスト・ルーキー賞★★
「BROTHERS」有田優読切第98回LMSベスト・ルーキー賞
「さくらくらくら」有希まどか読切 
「類友」柴来匡ギャグ 
「日曜日に。」三郷由香里読切第24回アテナ新人大賞佳作★★
「王子とお針子」日和野衣読切 
「ミルクティー」安達ひとみ読切第23回LMGフレッシュデビュー賞★★
「春と君を待つ」アガホシゲミ読切 ★★★
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★★
 LaLaDXが増刊から隔月刊誌として再創刊する過程で人気を支えてきたシリーズの一つ、森生まさみ「聖・はいぱあ警備隊」が今回でファイナル。長い連載の間も適当に緩急があって、森生まさみの持ち味がよく出た、いいシリーズだったと思う。終わり方もけっこう綺麗に決まってました。
 「自動人形のバラッド」は、ギャグのにざかなの作画担当者が作画をしている。まあ、シナリオコンテスト入賞の原作が凡庸な話、というのもあるが、中庸なマンガであった(笑)。おまけでにざかなのアイデア担当者のエッセイマンガというのも載っていたのだが、やっぱり、この二人、今の役割分担をしている時が一番いいと思うなあ(笑)。(2000/09/13)


LaLaDX2000年3月号
表紙橘裕「Honey〜君は輝ける星〜」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「BELL 2」麻生みこと読切 ★★★
「目隠しの国」筑波さくら読切 ★★★
「クラシカルバリエ」木々読切 ★★★
「White Breath」瑞樹奈穂読切 ★★
「火宵の月」平井摩利読切〜式神日記〜★★★
「人形師の夜」橘裕読切#16 星に願いを★★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切#8★★★★
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★★
「ゲーム」ながはまのりこ読切 
「こっぱみじんの恋」米沢りか読切●平野の華麗なる一日●★★★
「トラブル・ドッグ」六本木綾読切〜ジャッジメント〜★★★
「13人目のバラと騎士」白井裕子ギャグ ★★
「パジャマでごろん」ささだあすか読切その3★★★★
「PiNK」卯月かがや読切 ★★★
「B.B.Joker Selection」にざかなギャグ<夫婦な二人のメモリー>★★
「ヒカリの宝珠」加西涼読切 
「ためいきの金の色」草川為読切 ★★★★
「最後の雪」アガホシゲミ読切 ★★
「やくみガーデン」江咲桃恵ギャグ 
「天使とペテン師」深宮宵子読切 ★★★
「Let's妖精塾!!」柴来匡ギャグ ★★
「地上より永遠に」呉由姫読切第24回アテナ新人大賞優秀新人賞★★
「ハッピーコンプレックス」落合沙代里読切第24回アテナ新人大賞優秀新人賞★★
「背中にスキあり」日和野衣読切第24回アテナ新人大賞新人賞
「和菓子屋ナタリー」岸原りおか読切第96回LMSベスト・ルーキー賞
「楽園」シン読切第22回LMGフレッシュデビュー賞★★
 ★★★★は少ないけど★★とか★も少なくて、全体にけっこう読める。新人も含めて、箸にも棒にもかからないような作品はあまりなかった感じ。
 宇野亜由美は本誌の「オコジョさん」よりDXの「オコジョ番長」の方がタガがはずれた感じで面白いと思うんだけど、どうか(笑)? あと、しばらく鳴かず飛ばずだった柴来匡という人が、いきなり4コマギャグマンガに転向していたのでちょっとびっくりした(笑)。今号は、ギャグ分野でずっと鳴かず飛ばずの約1名(笑)を除いては、ギャグもけっこう楽しめた。
 前号でも注目した草川為「ためいきの金の色」はアマデウスネタの短編。ただ、サリエリ役は別にいて、主人公(ヒロイン)はアマデウス役の男の子に何故か懐かれて、サリエリ役の男の子から常に牽制を受けている、というシチュエーション。アマデウスと友人としてつきあう、ということをテーマにした、一風変わった掌編。
 投稿作のシン「楽園」というのが、なんというか、アレですよ(笑)。劇場版『エヴァ』(笑)。気の弱い男の子と、彼をずっといじめていた気の強い女の子がなぜか無人島の「海岸」に流れ着いて共同生活をしているのだが……という(笑)。いや、作者の人はきっとシンジとアスカに幸せになって欲しかったんだろうなあ(笑)。まあ、作品自体は割とありがちなオカルトネタでした(笑)。(2000/08/22)


LaLaDX2000年1月号
表紙渡辺祥智「メディスン・ホイール」
作品名作者名連載回数サブタイトルなど星取表
「A.F.−オート・フォーカス−」六本木綾読切 ★★★★
「B.B.Joker Selection」にざかなギャグ<安藤君1999〜2000>★★★
「メディスン・ホイール」渡辺祥智読切 ★★
「I.D.」平井摩利読切 ★★★
「王子様とメイド様」白井裕子ギャグ ★★
「優しい殺人者」柳原望読切コントラクト・キラー★★★
「聖・はいぱあ警備隊」森生まさみ読切〜アンフェア・ゲーム3〜★★★★
「目隠しの国」筑波さくら読切 ★★★
「左大臣家に奇しの桜が咲く話」水野十子読切 ★★★★
「Rush Out!」久屋たまき読切 ★★
「サイレント・ヴォイス」瑞樹奈穂読切 ★★
「You may go ...」有希まどか読切 
「オコジョ番長」宇野亜由美ギャグ ★★
「リトル・ダーリン」ながはまのりこ読切 
「パパといっしょ。」内田小鳩読切 ★★
「クラシカルバリエ」木々読切 ★★★
「Honey〜君は輝ける星〜」橘裕読切#7★★★
「天然素材でいこう。」麻生みこと読切◎RUNNER IS HIGH.★★★★
「やくみガーデン」江咲桃恵ギャグ 
「パジャマでごろん」ささだあすか読切 ★★★★
「レジェンドリィ・ブルー」杜真琴読切★★
「マイグランドファーザー」草川為読切第22回LMGフレッシュデビュー賞★★★
「朱羅」宇河玲於読切第22回LMGフレッシュデビュー賞★★★
「そのまんまでいこう」呉由姫読切第93回LMSベスト・ルーキー賞
「ノッキング」黒沢エンジ読切第94回LMSベスト・ルーキー賞
「願いごとひとつ」本田カヲル読切第95回LMSベスト・ルーキー賞
 今回はちょっと★★★★安売り的かな、とは思いつつも、やっぱり質が安定していいるシリーズものは安心して楽しめる、という感じ。
 あと、新人のデビュー賞の中でも草川為、宇河玲於は頭一つ抜けている。いずれも画風と画力の安定感があって、構成力もそこそこ。中でも草川為の方は、かわいらしいけどちょっとクセのある、独特のオリジナリティのある絵柄で、ちょっと突飛な設定(今回の場合は、長寿の特異体質で70歳過ぎてまだ20代にしか見えない祖父とその孫の話)に、適度なユーモアと適度にリアリティのある心理描写が加味されて、「ジャンル白泉社(笑)」入りが期待できるかも(笑)。宇河玲於は絵柄的には安定しているけど強烈なオリジナリティみたいなものはなし。2年くらい前にも1回DXに登場しているんだけど、その時は恋人未満の幼なじみが夏祭りで……という日常を淡々と描いていい雰囲気だったが、今回は打って変わって無国籍ファンタジー(?)。戦国時代の日本のようで、しかし中国っぽくもあるという舞台設定は、たぶん本格的に時代劇を描くだけの知識的素養を持たないため、ということもあるんだろうけど、同じLaLaでいうと柳原望の「お伽話」シリーズのように戦国時代をうたいつつ設定的なアラがぼろぼろあるようなケースよりは、多少好感は持てる。ストーリーも、権謀術数と裏切りの日々にすさんだ少年と人質としてそのもとに送られた少女の物語、というけっこう硬派な内容で、なかなか読ませる。ただ、この人の場合、短編ひとつ書くのに1年近くかかってる感じはするので、今後の見通しはよくわからない、かな。(2000/08/17)


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