ぼくはこんなにも東京で観劇を2003-2004
About theatergoing 2003-2004
たこいきおし

 『糸納豆EXPRESS』誌上に発表され、よくわからないけどなぜか各方面から好評を得ているたこいの日記の電脳版。ネット上からは消失している分についてテーマ別(?)に再編集してみました。
 今回は宝塚とかキャラメルボックスとか、観劇にまつわる部分の2003〜2004年あたりの抜粋。


2003年3月4日(火)

 妻所蔵のビデオテープからHDDに録画してまだDVD−Rに焼いてなかった宝塚月組公演『バロンの末裔』を焼いてみる。

 買ったばかりのHDD&DVDレコーダーだが、チャプターの切り方とか、やっと操作を飲み込めてきたかな、という感じ。覚えてしまえば実にお手軽である(笑)。


3月15日(土)

 帰宅してみると妻がWOWOWで「宝塚への招待」を観ている。今回は昨年の宙組公演『カステル・ミラージュ』。内容は、ラスベガスを作った男の一代記……らしい。


4月13日(日)

 夜は昨日録画した宝塚花組公演『琥珀色の雨にぬれて』を、DVD−R 1枚に納めるためのレート変換ダビングがてら鑑賞。レート変換ダビングは等倍速で時間がかかるので、今度からは録画予約の段階でちゃんとレートを設定しておこう。まあ、こうやって使い方をどんどん覚えていくのだな(笑)。


4月19日(土)

 たこいにとっては野田MAP初体験になる第9回公演『オイル』をシアターコクーンで観劇。

 内容は、オイル〜OIL〜老いる、をキーワードに、古事記時代の国譲り神話と、米軍の日本占領と、戸来村のキリストよろしく出雲にかつてマホメットが来ていたというトンデモな古代史学説が絡み、幻想の神話時代と米軍占領下の日本が目まぐるしく交錯し、叙述トリック(?)的なレトリックで導かれるラストのどんでん返しまで、一気に突っ走る感じ。今まで生で観劇した中では、いちばんエキサイティングな体験だったと思う。

 イスラムとオイル、というネタは、ちょうどイラク戦争が起こってしまった直後に扱うネタとしてはタイムリーに過ぎるが、この演目そのものは1年半前に発想されたもの、とのこと。戦争が人間の心に落とす憎しみの連鎖という影を、肯定も否定もせずに、そこに存在するものとして生々しく提示する、という姿勢は非常に納得のいくものではあった。


4月26日(土)

 東静岡のバブリー施設(笑)グランシップで開催中のロバート・キャパ展など鑑賞する。妻がキャパの熱烈なファンなのでキャパ関連の書籍とか写真集はうちにけっこうあるんだけど、一部の写真のオリジナルプリントが見れたのはなかなか収穫だったかも。


5月31日(土)

 妻が昔録画していた宝塚花組公演『Ryoma 硬派・坂本龍馬! II』(真矢みき)など観る。やたらとトランペットを多用した劇版がまるで『必殺』みたいだったので、ちょっと笑ってしまう(笑)。


6月6日(金)

 宝塚宙組公演『傭兵ピエール』『満天星大夜總会』など観劇。たこいはこれが初めての宙組かな。

 『傭兵ピエール』は、ジャンヌ・ダルクを助けて戦った傭兵の話なのだが、この主人公、肝心な時にはジャンヌの前から姿を消しちゃうし、ジャンヌが処刑される、という局面にも、周りがお膳立てしてあげて初めて助けに行く、という有様で、なんだかぱっとしない(笑)。

 レビューの『満天星大夜總会』の方は、宝塚らしいレビューでマル。


6月14日(土)

 妻は朝から外出。たこいは糸納豆紙版の折り込み作業と発送作業などする。BGVはWOWOWの宝塚『ベルサイユのばら2001・フェルゼンとマリー・アントワネット編』。視点が違うとはいっても、前半は『オスカルとアンドレ編』とダブるシーンも多くて、『オスカルとアンドレ編』のダイジェスト版? みたいな印象。設定説明のシーンがえんえんと続くのは、独立した演劇としてはちょっと問題ありかも(笑)。


7月2日(水)

 今日は妻はいつもの矯正歯科と宝塚雪組公演『アメリカン・パイ』観劇(日本青年館)で上京。『アメリカン・パイ』は、ほとんど萩尾望都の原作そのまんまだったとか(笑)。あ、でも、オウムの役は人間に置き換わっていたとのこと。


7月6日(日)

 夜、妻所蔵のキャラメルボックスの旧作ビデオ『ナツヤスミ語辞典』など観る。

 『ナツヤスミ語辞典』は14歳の中学生の少女たちが夏休みの学校で15年前に死んだ男女の幽霊と出会っていろいろと騒動が起こるという話。中学生の少女たちを演じているのが実年齢20代の女性たちなのはご愛敬(笑)。物語のベースとなる幽霊を中心とする人間関係がややステロタイプというか陳腐なのはいつものキャラメルボックスという印象(笑)。あと、タイトルの「ナツヤスミ語辞典」という小道具がメインのストーリーの中では今ひとつ生かされていなかったり、話を収束させるために使われた「乙姫と玉手箱」に関するメタファーが、終盤になって唐突に出て来た印象が強いのが、全体の構成の上ではかなり大きな欠点かと思う。今夏再演されるというので、そのあたりの構成が改善されているかどうかがひとつの注目点かも。


7月9日(水)

 妻は今日は浜松まで宝塚雪組公演『春麗の淡き光に』(浜松アクトシティ)を観に行ってきたとか。


7月12日(土)

 夕食の後、妻の所蔵ビデオから宝塚星組版『エリザベート』など観てみたり。内容的には、まあほどほど。やっぱり最初の雪組版の完成度が高すぎるのかも(笑)。


7月16日(水)

 朝は5時くらいに目を覚ます。町内会の用事で朝早くに出かける妻を見送ってから、妻が所蔵ビデオからHDDにダビングしておいた宝塚星組公演『国境のない地図』をDVD−Rに焼いてみたり。


7月21日(月)

 夜はWOWOWで野田MAP『オイル』を放映していたので、録画しつつ観る。生の迫力には負けるが、これは何回観てもいい(つっても、生で1回と、今回TVで1回で、まだ2回しか観てないけど)。


8月9日(土)

 夕方、WOWOWでケラリーノ・サンドロヴィッチの『Don't trust over 30』を放映していたのを、HDDに録画しつつ鑑賞。メインストーリーは時間SF、といっていいと思う。2004年からGS全盛時代の1968年にタイムスリップした主人公が自分もGSを結成してコンテストに臨む、というのは、小林信彦『イエスタデイ・ワンスモア』的か。あと、若干ネタバレ的になるが、ラストは山田太一『終わりに見た街』を彷彿とさせる。

 全体として、それなりに面白く見れたのだが、劇場にお金を払って観に行ったらどうか、というと微妙なところ(笑)。問題点と思われるところを列挙すると、タイトルのDon't trust over 30というテーゼと、メインとなるストーリー、テーマとの間にどうも明確な関連性が感じられなかった点。あと、未来でも過去でも主人公の背後霊をしている主人公の父親(井上順)がストーリー上、いてもいなくてもかまわない存在としか思えないこと(まあ、メインモチーフであるGSへのオマージュ、というのは理解できるが)。などなど、悪い意味で混沌としているというか、未整理な点が散見されて、劇全体としては長くて散漫という印象を受けた。元は4時間半だったのを削って削って3時間半に納めた、ということだが、これ以上冗長だったとするとそれは削って正解だし、もっと整理できる要素はあったと思うのだけれど……。

 そういえば、主人公はユースケサンタマリアだったりするのだが、TVドラマ『アルジャーノン』といい、ここのところSFづいているかも(笑)。つっても、個人的には興味ないので、どうでもいいんだけど(笑)。

 因みに、たこい的には一番の注目点はあくまで「鈴木慶一が音楽監督をしている」という1点のみなので、まあ、その点の興味は十二分に満たされたけど(笑)。特に、劇中に出てくる架空のGSのデビュー曲が「水の中のナイフ」(ダダダダ、ダダダダ、ダダダダ、ダダダダ、抱きしめたいならっ〜)だったのには大笑い(笑)。


8月10日(日)

 クルマで静岡へ。駐車券割引(駐車場の券を見せると大人二人まで一人1000円)で『ターミネーター3』を鑑賞。

 大画面で観るにふさわしいケレン味たっぷりの展開は、やっぱり劇場で見てよかった、という感じだが、ストーリー的には評価は微妙かも(笑)。(以下ネタばれ(笑))

 『T2』は悪夢の未来をなかったことにできる、という展開で前作をひっくりかえしたのに対して、『T3』はさらに……ということになると思うのだが、これ、さらに続編作るんだろうか?(いかにも「この続きは後で」的な終わり方ではあったが(笑))

 このシリーズの場合、これまで原則としては現代に視点を固定して物語が展開していたけど、今回のラストの後を作ろうと思ったら、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』よろしく、過去と未来を行ったり来たり、という話になりそうな気がするのだが……(笑)。


8月16日(土)

 サンシャイン劇場でキャラメルボックス『ナツヤスミ語辞典』を観劇。ビデオ版と突き合わせたわけではないのだが、「乙姫と玉手箱」と、タイトルの「夏休み」のメタファーはそれなりに納得のいく展開になっていた気はする。

 夏休みと竜宮城は同義で、まだ夢と現実の折り合いをつける前の少女時代の象徴でもある。宝箱を開ける、とは、夢と現実に折り合いつけることの象徴でもある。少女時代の出口に立ちつつあるヒロインたちと、死ぬことによって永遠に「夏休み」の住人となってしまった幽霊(自称ウラシマ)と、ヒロインたちからの手紙で一連の事件を知らされることになる元教師の演劇青年の視点が交錯して、夢をあきらめない、というテーマが語られる、という構図。

 ただ、今回そのあたりに納得がいったのが、演出の微修正のためか、単に2回観てこちらの頭が整理できたからなのかはちょっと判然としなかったりして(笑)。


8月17日(日)

 東京宝塚劇場で花組公演『野風の笛』『レビュー誕生』を観劇。

 『野風の笛』は、なんと原作隆慶一郎『捨て童子松平忠輝』(!)。なのだが、主人公の忠輝役を花組男役トップスターの春野寿美礼ではなくて、専科の轟悠が演じるという変則的な配役(笑)。宝塚の公演でこれほどトップスターの影が薄いのは異例であろう(笑)。

 内容はまあ、合戦シーンとか殺陣シーンはほとんどないので原作ファンには物足りないかも(笑)。ただ、ストーリー的には、大幅にはしょっているとはいってもそれなりに筋は通っているので、轟悠の雪組トップさよなら公演がこの演目だとよかったのに(笑)。

 しかし、どう考えても主役クラスの人が組に属さない専科にいると使いにくいんだろうな、ということが如実にわかる公演ではあったな(笑)。


9月19日(金)

 汐留のシオサイトというところに行ってみる。妻の発案で、ここにある劇団四季の劇場の当日券があるようなら、『マンマ・ミーア』を観劇しよう、ということだったのだが、当日券どころか、数ヶ月先までほとんど席が埋まっている状態(笑)。いや、劇団四季をちょっとなめていたのは否めないかも(笑)。


9月20日(土)

 銀座の文房具屋の手帖フェアで、妻が来年の手帖を買うというので、一緒に自分の分も買う。その後は雨のぱらつく中、東京宝塚劇場へ。

 今日の公演は、星組の『王家に捧ぐ歌』。これは、オペラ『アイーダ』をミュージカルに仕立てたもの、の宝塚版。レビューはなく、単品での公演ということで、『ベルばら』とか『エリザベート』並のボリューム。そういえば、星組を観るのは宝塚初体験の『ベルばら』以来ではある(笑)。

 内容は、今まで観た宝塚の中ではよい方の部類。ストーリーはシンプルで破綻してないし(笑)、群舞の演出もちょっと普段の宝塚と違う味つけがあるようでなかなか。しかし、今回注目すべきは、現在の星組の男役No.2がヒロインのアイーダを演じているという点かと(笑)。娘役トップがアムネリスで、当然ながら男役トップとのからみはアイーダより少ない。安蘭けいという、パソコンマニアには妙になじみのある名前(笑)のその男役No.2の人の女装(笑)は特に不自然なところもなく、なかなか可憐なヒロインだったのだが、それでいいのか(笑)?


9月21日(日)

 夕食のBGVは妻の所蔵ビデオをDVD−Rに焼いたキャラメルボックスの旧作『レインディアエクスプレス』。

 五稜郭陥落前に脱出した3人の武士が、海上で竜巻に巻き込まれて、なぜか不老不死の体質を獲得してしまい、以来、現在に至るまで不老不死であることがばれないように各地を転々として暮らしている、という話。これまで、キャラメルボックスの演出が一番ハマるのは時代劇もので、SFはSF的設定以外の部分が陳腐なことが多い、と評してきたと思うが、その意味では、時代劇的要素と、SF的設定が割とハマっていて(と、いってもメインとなる舞台は現代なんだけど)なかなかよかった。因みに、今年のクリスマス公演がこのストーリーをベースにしたセルフリメイク(単なる再演ではなく)らしいので、どういう変化が施されるかがちょっと楽しみかも。


11月29日(土)

 宝塚雪組公演『Romance de Paris』『レ・コラージュ』を観劇。フランス遊学中の小国の王女様が反王制派に狙われたりする話だが、ぶっちゃけた話『ローマの休日』と思ってもらえばよいかと(笑)。まあ、たいした話ではなかった(笑)。


11月30日(日)

 キャラメルボックス『彗星はいつも一人』を観劇。クリスマスにはちょっと早いが、これが前述の『レインディアエクスプレス』のセルフリメイク……だったんだけど、設定とキャラクターだけ使って全然別の物語に焼き直したり……はしてなくて、劇中で起こる事件が一部違うだけで、基本的には同じ話だったので、ちょっと期待を裏切られた感じ(笑)。この内容なら敢えてタイトルまで変えることもなかったように思うんだけど……。


12月12日(金)

 渋谷のクラブクアトロで、1年ぶりのムーンライダーズライブ『Decembers moonliars』。

 ライブは、まずはインストルメンタルでムーンライダーズが全面参加してるアニメ『東京ゴッドファーザーズ』のBGMから数曲。慶一さんMCでぼそっと「ムーンライダーズインストルメンタル。今日は全曲ヴォーカルなしで行きます」と、いいつつ、やはり『東京ゴッドファーザーズ』より第九……なんだけど、途中からしっかりヴォーカル入ってるし(笑)。……とか思っていると、またMCが入って「今回は『東京ゴッドファーザーズ』の曲だけ40曲くらい行きます」……とかいった舌の根も乾かないうちにライダーズの古い曲を演奏し始めるし(笑)。……ああ、なるほど(笑)。それで「moonliars」なのね(笑)。

 そんなこんなだけど、全体としては、90年代以降の曲より80年代以前の曲が多かったと思う。なにしろ、アンコールまで含めると「はちみつぱい」時代の曲を4〜5曲使ってたし。ただし、アレンジ、演奏は『ダイア・モロンズ・トリビューン』以降のムーンライダーズの、不協和音ぎりぎりの音を多層的に重ねていくスタイルで、古い器に新しい酒、という感じでなかなか楽しめたと思う。アンコールも都合3回やってたし、サービス満点のライブでひさしぶりに堪能。やっぱり年に1回はムーンライダーズを生で聴きたいね(笑)。


12月13日(土)

 朝、妻の実家で昨日の夕刊に目を通していたら、「ビクトル・エリセ」という文字が目に飛び込んでくる。最近映画の情報を仕入れてなかったので予備知識が全然なかったのだが(笑)、80年代のミニシアター系の映画ファンの琴線に触れまくる監督を15人集めて、一人10分の制限時間で制作された2本のオムニバス映画のうちの片割れ、『10ミニッツ・オールダー・人生のメビウス』が恵比寿ガーデンシネマで本日公開とのこと。

 今日は妻が先に静岡に戻っていて、東京で単独行動なので、なにして遊ぼうかと思っていたのだが、行き先は恵比寿に決定(笑)。

 けっこうゴージャスな監督ラインナップで、初日土曜日というと、東京のミニシアターくらいだと満席で入れなかったりするかな、とかちょっと心配したんだけど、上映時間20分前くらいでも余裕で入れた……どころか、初日初回で劇場の席は半分も埋まっていなかったのは、やっぱりこの手の映画のファンの人口が減ってきているということか? それはそれでちょっと悲しいような……。

 映画そのものは、非常に満足度高し。久しぶりに自分の映画ファンとしてのスタンスを再確認できる体験だったかも。

 内容としては、順番にアキ・カウリスマキ、ビクトル・エリセ、ヘルツォーク、ジャームッシュ、ヴェンダース、スパイク・リー、チェン・カイコーの7人が、10分という時間制限の他は一切の制約なし(ただし、他の監督の撮影している作品を観ないこと)という条件で撮影した作品をオムニバスの形にまとめたもの、なのだが、いずれの作品もどこかで「人生」「時間」にまつわるテーマを内包しているために、本来は内容もスタイルもバラバラの作品が、1本にまとまったことで共通のテーマが浮かび上がるような感覚があって、一粒で二度美味しい映画、という印象。

 因みに、たこいはこれでビクトル・エリセ作品を劇場公開で鑑賞する記録更新中(笑)。たまたま東京にいる日にこの映画の初日が重なって、しかも、予備知識がなかったのに、たまたま新聞の広告で公開を知ることができた、というのは、ちょっと運命的なもの(笑)を感じた。これはもう一生ビクトル・エリセについていけ、とどこかの誰かに言われているのだな(笑)。よし、次は2012年だ(笑)!

 映画の後は、噂の『レベルX』を観に東京都写真美術館へ。今年で生産中止になって20年の歴史に幕を閉じたファミコンの歴史を、現物の展示で振り返ろう、という企画。懐かしいソフトのパッケージあり、見たこともなかったようなファミコン周辺機器あり、なかなか楽しかった。


12月24日(水)

 会社帰りに焼津駅前の書店でぴあをめくってみたら、なんと先日の『10ミニッツ・オールダー・人生のメビウス』の紹介欄に自分の写真とコメントが(笑)。

 いや、確かに初日だったので出口調査とかやってて、回答はしたんだけど、まさか載るとは……(笑)。因みに評点は、大奮発で95点つけときました(笑)。


12月26日(金)

 明日から帰省だが、妻は一足先に上京。宝塚星組公演『巌流』(日本青年館))を観劇していたとか(笑)。タイトル通り、佐々木小次郎の話なのだが、先日『王家に捧ぐ歌』で可憐なヒロインを演じていた安蘭けいが主演とか(笑)。


12月27日(土)

 妻を追って上京。アニメ・特撮パロディを得意とする(?)TEAM発砲B-ZINの『トランスホーム』を観劇。

 独り暮らしの青年の部屋の家電製品に、飛行機事故で死んだ両親と妹の魂が宿り、人型に変形(笑)して動き出す、というドタバタ劇。冷蔵庫に宿った母親の人型形態が白ベースのガンダムカラー(笑)で、父親は青でガンタンク、妹は赤でガンキヤノンというのがいかにも(笑)。中盤、現世をさまよう魂を地獄に導こうとする悪魔との闘い、などがあるのだが、ガンダムな母親(笑)に対して悪魔側がジェットストリームアタック(笑)を仕掛けたりするのには大笑い(笑)。メインテーマであるらしい家族愛はちょっと気恥ずかしかったものの、なかなか楽しめた。

 因みにこの公演、今夏予定していてポシャった英国公演で上演予定だった英語版との2本立てだったのだが、ガンダムとかマジンガーZとかデビルマンとかのパロディを英国人に見せるつもりだったのか(笑)?


2004年1月3日(土)

 ちょっと時間があったので、日比谷のシネシャンテで上映中の『10ミニッツオールダー・イデアの森』を一人で観に行く。12月に恵比寿で観た『10ミニッツオールダー・人生のメビウス』と比べると、個々の作品の独立性が高い分、単なる10分映画アンソロジーで、『人生のメビウス』のように微妙に共鳴して全体で1本の作品になる、という感じはなかったかな。邦題の「イデア」が象徴しているように、ゴダールに代表される実験性だけが目立つ作品が多かったのもその印象に拍車をかけた感じ(中には、『人生の〜』の方に含めた方がよかったと思える作品もあったけど)。前回同様に評点をつけるなら、70点くらいかな(笑)?


1月29日(木)

 夜、糸納豆BBSをみたら、橋本みつるファンサイトの管理人さんの書き込みがあって、なんと橋本みつるが新書館ウィングスの新人賞で入選しているとのこと(!)。


1月30日(金)

 買い物帰りに本屋で買ったウィングスの最新号では、確かに橋本みつるが新人大賞の入選に入っている。まあ、グランプリとか準グランプリではないのは、一般受けする作風でないことを考えれば妥当なところか(笑)? 入選作「青いドライヴ」はウィングス掲載予定ということで、大期待である。


2月5日(木)

 出張から戻って、メールチェックしてみると、復刊ドットコムの「橋本みつる未収録作品集」がとうとう100票を超えて、復刊交渉予定に移行していた。まあ、実際に交渉が始まらなくても新書館からウィングスでの新作と花とゆめ時代の旧作を収録した短編集くらいは出てくれる可能性はあると思うんだけど、動き始めた流れというか、勢いがひとつ形になったということで、まずはめでたい。


2月29日(日)

 本屋でチェックしてみたが今月のウィングスにはまだ橋本みつるの投稿作は載ってなかった(笑)。


3月6日(土)

 午後は、オギノ式というか、女性の排卵周期発見にまつわる顛末記をちょっとコミカルに演劇化した『法王庁の避妊法』をBS2でやっていたので、録画しつつ観る。なかなか面白い。


3月8日(月)

 クルマで静岡に出て、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』を観る。単品で上映時間3時間半の映画を観るなんてのは、大学時代以来というか、たぶん『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のロードショウ公開以来かも(笑)。まあ、その長さでも飽きさせない展開と、圧巻の戦闘シーンは見事。特に、原作と異なり、フロドたちの物語と、アラゴルンたちの物語が細かい場面転換によって同じ時間軸上のリアルタイムの緊迫感で語られた、という点においては、原作を凌駕した部分もありかと思う。


3月11日(木)

 東京宝塚劇場で月組公演『薔薇の封印〜ヴァンパイア・レクイエム〜』を観劇。『ポーの一族』に触発されたというヴァンパイアものなのだが、元テンプル騎士団の青年が14世紀にあるきっかけでヴァイパイアになり、同じ時に悪しきヴァンパイアとなった修道士との間で、修道士に取りついた悪しき魂を封印するための5つの宝玉をめぐって、時代を超えて抗争を繰り広げる、というオムニバス劇。今まで生で観た宝塚の中では一番SF色が強いといえるかも……というか、たこいはヴァンパイアものにはわりと弱いので(笑)、ストーリーや設定上のあらはいくつかあったものの、なかなか楽しめた。第3話で主人公が心惹かれながらも結ばれることはなかった少女の孫娘が第4話のヒロインとして登場するというだけでも、SFファン的にはけっこうツボ。まあ、宝玉の最後のひとつが最後まで見つからず、そのわりに敵の元修道士はなぜか封印されてしまったり、いろいろあらは多いんだけど(笑)。

 あと、フィナーレは今回がサヨナラ公演になる男役トップ紫吹淳が、月組の男役と女役に交互に別れを告げるような演出があって、ちょっと目頭が熱くなる(笑)。いや、なんだかんだで、トップお披露目公演からサヨナラ公演まで見守ってしまったこともあって、自分では娘役トップの映美くららちゃんのファン、と思っていたのだが、実はけっこう紫吹淳のファンにもなっていたんだな、と、自分でもちょっと意外な感慨にふけってしまった(笑)。

 その後、池袋サンシャイン劇場でキャラメルボックスの新作時代劇『我が名は虹』を観劇。前々から、キャラメルボックスの時代劇は良作が多い、と書いてきたと思うが、残念ながら今回はそうではない例外に当たってしまった(笑)、という印象。殺人を犯して小田原藩を脱藩した侍が偽名を使って新撰組隊士となっていたところに、かつての上司が通りかかり、その隊士は自分の正体を隠すためにその上司に倒幕派の濡れ衣を着せて上司の娘もろとも殺してしまう。父親と姉を殺されたもう一人の娘は、復讐のために男に変装して行きがかりで知り合った浪人に剣の手ほどきを受けるが……。

 主人公はドラマの大部分の時間、闘いから逃げてばかりだし、それぞれの登場人物の行動原理がことごとく私情私怨の類のため、クライマックスに到るまでカタルシス的な展開はほとんど皆無。テーマといえるものがあるとすれば、「人を殺してしまった人間は業を背負う」ということくらいだが、大義も正義もない殺しあいの虚しさをうまく表現できていたか、というと疑問の残る出来。

 あと、前に観た『裏切り御免!』の時は、新撰組隊士を狙った辻斬り犯人の正体、という謎が、一連の殺陣シーンを観ていればわかる人には途中でわかる、という演劇的な「仕掛け」があって、テーマ的にも演出的にも見応えがあったのだが、今回は同様の謎解きらしきものはあるものの、特に「仕掛け」はなくて単に台詞で説明していただけだった点も、キャラメルボックスの普段の演出のレベルを考えるとマイナスポイント。残念。

 因みに、今回も何と最前列(笑)。妻のチケット運には敬服するしかないが(笑)、今回は出演者がほうきで掃除をするシークエンスがあって、ほこりが席まで飛んで来るような雰囲気で(笑)、ちょっと今イチだったかも(笑)。


3月12日(金)

 日本青年館で宝塚宙組公演『BOX MAN〜おれに破れない金庫はない〜』を観劇。伝説といわれた金庫破りが正体を隠して金庫メーカーの営業(笑)をしているが、いろいろあって、自分の腕をふるわざるを得なくなる、というような話。ちょっとコミカルなピカレスク、という意味では、以前ビデオで観た『カナリア』(人を不幸にしなくてはいけないのにうっかり幸福にしてしまう悪魔の話(笑))と印象が近いかも。なかなか楽しめた。

 余談だが、ちょうど前の席に座っていた年配のご夫婦の旦那さんの方が熱心にオペラグラスを使っていたので、申し訳ないと思いつつもちょっと笑ってしまった。


3月26日(金)

 新国立劇場で野田MAP『透明人間の蒸気』を観劇。夢の遊民社時代の作品の再演だが、これを知っているかどうかで昨年の『オイル』の評価がちょっと変わってくるかも、と、ちょっと思った。というのは、日本の古代神話をベースに、ヒロインが目に見えない存在を奉る巫女の役を演じる、という構図ではこの2作は共通していたので。

 『透明人間の蒸気』は、主に天皇制をシンプルにモチーフにしているのに対して、年代の新しい『オイル』の方は、天皇制だけでなく石油とイスラム世界、憎しみの連鎖、原爆など、モチーフが多層的になっている感じ。

 あと、今回は劇場の構造を利用した文字どおり「奥行きのある」演出がなかなか印象深かった(笑)。


3月27日(土)

 午後には静岡に戻り街をぶらぶら。書店で今月のウィングスを見たら橋本みつるが載っていたので即購入。生きていてよかった(笑)。

 夕方から、すみや静岡本店3Fのミニスタジオで「ムーンライダーズ・サテライツ! オムニバス・ソロ・ライブ」。すみやオリジナル企画だが、静岡でムーンライダーズメンバーの生演奏が聴けるとは、生きていてよかった(笑)。

 予定していた4人のメンバーのうち、かしぶちさんが体調を崩してドタキャンになってしまったのは残念だが、鈴木慶一、博文兄弟とクジラさんが、たまにトチったりしつつ5曲くらいずつ演奏。狭いスタジオに観客100人くらいの手作り感覚一杯のミニライブとは、稀有な経験をさせてもらいました。


4月18日(日)

 3時から宝塚花組公演。今回は冒頭に春日野八千代、松本悠里、轟悠の3人による「飛翔無限」という宝塚90周年記念の演舞があるのがポイント。春日野八千代を知らない人はお母さんかおばあさんに聞いてみよう(笑)。宝塚90年の歴史でキャリア70年(!)にしていまだ現役の大御所である。

 因みに、うちの妻は轟悠が雪組トップをやめて宝塚を退団したら宝塚から足を洗うつもりでいたらしいのだが(笑)、その轟悠は今や宝塚の理事になり、第二の春日野八千代と噂されているとか(笑)。

 劇の『天使の季節』の方は、小国の王女様とフランスの芸人が恋に落ちて、自分たちの仲を祖父の国王に認めさせようといろいろ計略を巡らす、という他愛のない話。芸人と国王をトップの春野寿美礼が一人二役で演じている、というギャグだけが印象に残った(笑)。

 一方、レビュー「アプローズ・タカラヅカ!」の方はかなり力が入っていて(普通演出家1人のところ、3人競作とか)、踊り、衣装、舞台装置〜動き、色、光と影が渾然となった演出は今まで観た宝塚のレビューの中でもピカイチ。劇の方は正直かなり眠かったのだが(笑)、レビューになったら目が覚めて、居ずまいを正してしまった。


4月21日(水)

 妻は名古屋日帰りで宝塚月組公演『ジャワの踊り子』の観観。紫吹淳の後の彩輝直のトップお披露目公演とか。映美くららちゃんはなかなかよかったらしいぞ(笑)。


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