甲子温泉大黒屋★★★★


阿武隈山中の石膏泉

■概要

福島県南部、阿武隈川源流域にある山奥の温泉が甲子(かし)温泉である。甲子山の中腹、標高900mの谷間にある。温泉の起源は600年前、甲子(きのえね)の年に旅の僧が発見したと伝えられている。

江戸末期の名老中、松平定信の隠居所が白河にあって、甲子温泉に別荘を設けて湯治に来ていたそうだ。現在は一軒宿の大黒屋がある。古びてはいるが山奥に似合わぬ近代的な外観の旅館だ。



大黒屋は日本秘湯を守る会の会員旅館でもある。内湯はなく、外の湯小屋を利用する。温泉の湯小屋は、渓流の対岸にある。旅館の地下道を通って、小さな橋を渡っていく。中央が混浴の大岩風呂、右が女性専用風呂である。



■所在地

福島県西白河郡西郷村大字真船字寺平1
TEL:0248−36−2301
FAX:0248−36−2304



■印象

11月中旬、みぞれが降り出す頃に訪れた。既に宿の営業は終わって、入浴の日帰り客だけに対応している。それも雪が降るまでだそうだ。

湯小屋は狭い谷底にある。中は
渓流の岸の岩をそのまま湯船の底にしたような広い岩風呂だ。老夫婦が先客だった。混浴である。脱衣場はなく、湯船のそばのついたての後ろで服を脱ぐ。

お湯は無色透明、少しぬるめ、湯船の深さは胸のあたりまである。岸壁の大岩が湯小屋の中にせり出していて、そこからお湯が湧き出てくる。お湯は静かに蕩々と流れ込む。もちろん掛け流しである。

浴槽の中心に腰掛けられるような大石がある。子宝石と言うそうだ。泉質は石膏泉、明治時代の分析表が掲示してあった。お湯の温度はやや温めで、じっくり入っていると芯から温まってくる。

湯上がりに、宿の主人と話をした。ここは子宝の湯で、7年通い詰めてやっと子供ができた人や、子供ができなかったのにここへ来るようになって3人もできた人とか、効果があるそうだ。ご主人の三男夫婦も子供ができないので、「湯治に来いと言っているんだけどねー。」とのこと。

雪が降るとこの温泉は冬眠する。きっと誰もいないところでお湯だけがあふれているのだろう。

■営業

営業時間 確認しませんでした。
休館日 無休
4月上旬−11月中旬
料金 630円

交通

東北自動車道の白河ICを降りて、国道4号線を北上し、白河市街で左折し、国道289号線に入る。国道289号を西進し、終点から谷へ下る。ICから40分程度。駐車場は広い。



調査日:2000年11月

追加情報

読者のかっきーさんから日帰りの営業時間は8:30−17:00(融通が利くらしい)との情報をいただきました。
(2001年9月)


手打ち蕎麦

甲子温泉のある西郷(にしごう)村は山里だ。このあたりでは「追原蕎麦」が有名だ。阿武隈川のそばに、村で造った手打ち蕎麦の店「追原庵」がある。(水曜休、11−15時)
打ちたてのうまい蕎麦が食べられる。

 

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