菅野温泉★★★★


多種のお湯が楽しめる有名秘湯

■概要

北海道の秘湯として有名な然別峡(しかりべつきょう)菅野(かんの)温泉を訪れた。10年ぶりの再訪だ。鹿追の町から山の中の道を延々と1時間近く走る。

原生林の山の中にそこだけぽっかりと谷筋に1軒宿の温泉旅館がある。右手に古い温泉棟、左手はもっと古い湯治棟、奥に新館(といってもかなり古い)がある。創業は1912年、90年以上の歴史がある。



受付は新館にあるので、坂を登って温泉棟と湯治棟の間の渡り廊下を越えて行かなければならない。全体の姿は昔と変わらない。電気も自家発電のままだ。古色蒼然とした雰囲気はそのままだ。

菅野温泉は自然湧出の源泉がいくつもあって、それぞれに浴槽を設けている。浴室は、温泉棟に大浴場、中浴場、小浴場があり、新館に屋内の岩風呂と露天風呂がある。大浴場には3種類の源泉浴槽が、中浴場には2種類の源泉浴槽がある。

どの浴室も基本的には混浴だ。小浴室は貸切利用ができる。また中浴場は14:30−23:00、岩風呂は6:00−14:30が女性専用時間になっている。露天風呂は偶数日に女性専用時間がある。

掲示されていた泉質の案内は次のとおり。(1)大浴場中の湯=含芒硝重曹食塩鉄泉、58℃、(2)大浴場角の湯=含炭酸重曹食塩泉、35℃、(3)大浴場滝の湯=重曹食塩泉、53℃、(4)中浴場左の湯=含硼酸重曹食塩泉、56℃、(5)中浴場右の湯=含石膏食塩泉、48℃、(6)小浴場=含硼酸重曹食塩泉、42℃、45℃、(7)岩風呂=重曹硼酸食塩泉、53〜78℃、(8)露天風呂=含石膏食塩鉄泉、42℃〜64℃。

全体としては濁りのある泉質が多いが、岩風呂のように澄んだお湯もある。



休憩室は新館の宴会場にある。日帰りでも快適にくつろげる。

■所在地

北海道河東郡鹿追町然別峡
TEL:0156−66−2848
FAX:0156−66−2847




■印象

まず大浴場から、脱衣場は男女別だが中は混浴だ。浴室の中央に楕円形の中の湯がある。灰褐色のささにごりで熱め、大根おろしの香り、ニガしょっぱい味。湯口は分厚く茶色の析出がある。なかなか重たい浴感に圧倒されるようだ。



大浴場の左隅に角の湯がある。1人用の小さな浴槽だ。透明でややぬるめ、弱いキシキシ感があるさっぱりしたお湯。大浴場にはもうひとつ滝の湯がある。こちらは打たせ湯で、お湯は透明でぬるめ。壁に析出が盛大についている。



中浴場は2つの浴槽が並んでいる。訪れたときは女性専用時間帯だった。左の湯はかなり熱め、甘い塩味、右の湯は少しぬるめとのこと。



小浴場は鍵がかけられる。透明だがこまかい湯の花が舞っている。ぬるめ、少し金気がある味。家族の利用によいだろう。


新館にある岩風呂は一番広い浴槽だ。意外に深い。透明で熱いお湯が底の岩の割れ目から湧いてくる。こまかい泡も立ち上る。匂い味ともあまりない。

菅野は濃い泉質のお湯ばかりなので、岩風呂のさっぱりした熱い湯にほっとする。意外にこの湯が一番体に良いような気がしてくる。先客のご夫婦もここが一番気に入ったそうだ。


露天風呂は新館の端、谷の一番奥にある。5人ほどが入れる丸い浴槽はイチイの大木をくりぬいて作っている。渓流の滝の音が響いてとても気持ちがよい。

お湯は微白濁、かすかにイオウ臭がある。熱い源泉とぬるい源泉の2つの湯口がある。熱いほうはコンブ味、ぬるい方はニガ味がする。下流側に小さい四角の露天風呂がある。こちらは丸浴槽のからお湯を引いている。





さすがに有名温泉だ。いろいろな泉質のお湯を比べるのも楽しいだろう。近くには然別峡のユーヤンベツ川沿いに野湯がたくさんある。湯治に泊まって野湯めぐりも面白そうだ。

■営業

営業時間 10:00−17:00
休館日 無休
料金 1000円

交通

道東自動車道の足寄ICを降りて、国道241号線で鹿追町に入る。鹿追町市街で道道85号線に入り北上する。北瓜幕から左折して道道1088号線でイシカリベツ川に沿って北上する。途中から林道のようなダートになる。駐車場は広い。



調査日:2003年8月


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