明日香板葺宮跡
Asuka Itbuki-no-miya Palace Site

ここは中大兄皇子が中臣鎌足と共に曽我入鹿を斃した場所だ。書紀には、きわめて迫真的な筆致で書かれている。「中大兄は、小麻呂らが入鹿の威勢におそれ、ぐずぐずして進み出ないのを見て、『ヤア』とさけんで、小麻呂らとともにおどり出し、いきなり剣で入鹿の頭や肩に切りつけた。入鹿は驚いて立ち上がった。」「(中大兄の母・皇極)天皇はひどく驚きになり、中大兄に詔して『いったいどうしたのです。なにがあってこのようなことをしたのですか』とお尋ねになった」 この場面はまるで脚本の一場面のような構成で、書紀の核心部だ。

日本書紀は中大兄の弟である天武天皇が編纂を命じ、娘の持統天皇が継続し、孫娘の元正天皇の時代に完成した、皇統の正当性を固定化するための公的な歴史書で、明日香は大和王権の構造そのものを形づくる政治空間だった。
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