PowerZaurusが巷で売れているそうで、私も店頭で触って みました。当然、Newton MP 130 の所有者としては、なんとなく 気になります。(というより、Appleより依頼されてMP2000を生産しているのがシャープだから気になる、というのが正解だな。)
ほんとうの比較というのは、両方を所有してしばらく使い込まないと、 そのへんの雑誌のつまらない比較記事程度のものにしかならない ので、標題ほどの大胆な記事を書こうと思っていません。 店頭で触れたり、インターネット上の 様々な情報を元にした比較感想、と思って読んで下さい。
PowerZaurusは、いうまでもなく シャープの製品です。
従来の電子手帳から一歩踏み出した高機能化を目指しており、 E-mail, Web も含めた通信機能、カラー液晶、デジタルカメラを 一体にして、テキストと画像(写真でもペイントでも)と 音声をすべて1つのマシン上でメモとしてまとめることを 目指したようなマシンです。
従来、何度も問題になっていたカラーザウルス(1世代前の機種) の速度の遅さと、携帯性の悪さを克服しています。
こういう進化の方向は、Newton MessagePad 130 → 2000 の 進化と酷似していますから、なんとなく比べたくなるのですよ。そして、PowerZaurusにはいろいろと気をひく機能が満載されています。 実際に触れてみても、従来のマシンに比べると、ずいぶんと よくできていることに気づきます。
- インクワープロに書いておいた手書きの文字を、後でゆっくり 文字認識させて清書できるのも大きな進歩。
- Newton同様に、専用の外づけキーボードも出ました。Librettoより キーはゆったりしています。フルキーボードである Newton Keyboard よりも薄くて小さい。
- それに、鞄の中にノートパソコン、デジタルカメラ、 ミニテープレコーダ、電子 or システム 手帳、といった ものがゴロゴロあるより、これ1台でとりあえずどうにか なるし、Librettoと一緒ならなんとか持ち歩けるでしょ、 という感じ。大きさだけでも、魅力的です。
日本にはこういうマシンを作る土壌があるから、なかなかNewtonが 売れないんですよね。むしろ非常に小さいPalmPilotが売れたり しているわけです。
ただ、やはり「ザウルス」だな、と思わせることがいくつか あります。たとえば、
- メモリの領域がバンクにわかれていて、ユーザーが それを意識しなければならない点。
Newtonならば、そんなことは考えなくても済むし、メモリカードに あろうが、本体にあろうが、気にせずにどんどんデータ件数を 増やしていける。そして、フォルダで整理する時も、データが どこにしまってあるかは意識しなくていい。- Newtonだと本体のソフトも、サードパーティのソフトも 同じデータを公平にアクセスできるので、本体に不満がある 人は、ソフトを買ってきて元々ある機能自体まで置換できる。 PowerZaurusにはそこまでの迫力はない。
- 機能がてんこ盛りになっていて、画面がうるさい。 カラーになったから、余計にそう。
- そして、一番感じるのは、やっぱりシャープのデザインって、あんまり coolぢゃないこと。前の黒いザウルス系列よりはなんぼか ましだけど。
こういう微妙な積み重ねが、実は使い勝手に影響すると、 私は感じてます。特に、机であれこれ作業するのでなく、 出先の限られた環境でやるのだから、重要。Newtonの使い勝手 とは(もともとの目的も違いますから、単純な比較はできない ですが)やはりどこか異質。
ただ、MP 130 には致命的な欠陥が存在します。日本語を無理矢理 載せているため、日本語に関係する部分の処理速度が遅いこと。 特に、日本語入力の効率が、お世辞にもいいとは 言えないこと。この点で PowerZaurus には、完全に水を あけられたといっていいでしょうね。あとですね、実際のユーザーの使用体験記を読むと、PowerZaurusも Newton同様、ある程度使ってデータがパンパンになってくると、 リセットをかけないとうまく動かなくなることがあるそう です。
複雑化すると、やはりこうなるんですね。
私の考えでは、本来は MP 2000 と、PowerZaurus が比較される べきものなんですよね。ところが、MP 2000 はまだ日本語版が 登場していないため、比較になりません。
PowerZaurusの場合、内蔵のソフトは従来のザウルスの発展形なので、 私はそれほどひかれません。でも、デジタルカメラとの連動、 カラー液晶でWeb-browsing(PIAFS通信可能)、それらの メモとの連動、という面で、実用性はこっちのほうが 上かもしれない。そう考えると、うらやまし〜い。
早く来い、来い、MP 2000 日本語版。