もしもポータブルでやってくれたら

2002.06.01


●Jaguarを見ていて思ったこと

前項で、Jaguarに少し触れた。そして、手書き認識エンジンを搭載していることにも触れた。

アップルはもともと、Newton Technologyを推進していた(これはSteve Jobsではなく、John Scully時代の産物)。PDA (Personal Digital Assistant) という言葉を生み出し、液晶画面にペンで文字や図形を混在して書ける電子ノートにして、住所や通信などの個人管理、その他アプリケーションの実行環境。面白いけど、技術が熟成する前になくなってしまった。

私はNewtonを使っていたが、この時に強く思ったことは「使用感はMacと異なっていてもかまわない、だけど、データの相互交換や相互閲覧は素早くできないととても困る」だった。だから、Palmやザウルス、WindowsCEなどが隆盛していくのに、Newtonが静かになっていったのも不思議には思わなかった(悲しかったけれど)。実際、Newton OS 2.0からは、単体としての機能こそ強化されたが、ホストとの接続性は落ちる一方で、Mac上のリンクソフトでデータを見ることさえ出来なかったのだ。

そのNewton環境から、手書き認識を、Macに持ち込んだ。これは、やはりまったくポータブルの環境を捨てたわけではない、ということに思えるのだ。


●個人的な希望ですがね

Mac OS Xは、スケーラブルなOSだ。ならば、とりあえずQuartzより上の層を見直しながら、もう少し小さく出来ないだろうか。そして、StrongARMやXScale(StrongARMアーキテクチャを強化したIntelのCPU)などを採用した小型マシンに組み込めないだろうか。

こういう小型マシンに、たとえば液晶タブレットを内蔵させて、数個のボタンだけがある簡素なマシンで、ペンが付属する。Mac OS Xで枯れたアプリケーションやユーティリティをROMに焼いておく。Java実行環境も入れよう。画面描画はハードウェア高速化もしておくし、省電力回路もあって、バッテリは12時間以上持つ。それこそ「Life to go」と呼べないかな。

ネットワーク接続はBluetoothやLAN(有線・無線)が可能で、データをMac OS Xマシンとリンクできる。相互のデータ閲覧や更新も出来る。必要ならキーボードにも接続できる・・・いや、キーボード内蔵モデルと、キーボードのない軽いモデルと両方ある・・・

確かに、アプリケーション開発者は再コンパイルや使用APIの見直しをすることになる。しかし、従来のNewtonよりも取り回しのよい環境にならないだろうか。何より、データフォーマットがホストと小型マシンで同じになる。

こういうことを考えていると、IBMが試作したMetaPadも気になる。あれはハードディスクとCPUを内蔵した小箱が、実はフルセットのWindowsXPマシンであり、PDA型のタブレットパッドで画面表示と入力を行えるし(無線通信)、現在のパーソナルコンピュータのようにディスプレイとキーボード/マウスを接続させることもできる、というものだ。いちばん大きいのは、データのリンクや同期がいらず、常に最新のデータを丸ごと(アプリケーションと一緒に)持ち歩けること。これ、喜ぶ人が多いのではないかな。

もしかして、iPodがハードディスクとCPUを内蔵させているのって、こういうタイプのマシンへの布石なの? いや、そこまで考えて開発されたかどうかは別にしても、単体で楽しめて、入出力装置と通信すればコンピュータになるって方向に、使えるパッケージングだよね。(あの小さなチップと組み込みOSでは無理だろうけど、もう一回り大きくしてOSを変えればあるいは・・・(^^)

iBookだけで終わると思えないポータブルのライン。すでにPCの世界では1kgを切ったマシンなのにバッテリが5時間以上持つものもある。次は、アップルも大きなジャンプをするように思うんだ・・・


目次へ戻る