『拾遺愚草』鑑賞のための参考になりそうな画像を集めたファイルです。アラビア数字の番号は『藤原定家全歌集』(冷泉為臣編)による歌番号です(1501番以降、新編国歌大観番号とは一致しません)。
※写真の多くは編者の水垣による撮影ですが、有料・無料の写真素材も利用しています。写真画像の全てに著作権が留保されています。
植物 葵草 葵祭(冠に插した葵) 青つづら 浅茅(紅葉) 蘆の穂 菖蒲草 卯の花 楝 荻原 思い草 女郎花 杜若 桐(黄葉) 葛の葉 榊葉 笹の葉の露 早蕨 忍草 白菊 玉まく葛 月草 蔦紅葉 つぼすみれ 撫子 萩(黄葉) 櫨 花橘 浜木綿 葉分けの霜 日陰草 藤袴 真菰草 まさきのかづら 山吹 夕顔 楢の葉 忘れ草
動物 鴛鴦 蜉蝣 鴫 しとと 鳰鳥 庭たたき
名所 嵐山(紅葉) 大堰川 葛城山 興福寺南円堂 志賀の浦・比良山 広沢の池 三輪山
その他 揚巻結び 筧 凍った小川
0022・0121ほか 卯の花(ウツギ)
卯の花に夜のひかりを照らさせて月にかはらぬ玉川の里
散りねただあなうの花や咲くからに春をへだつる垣根なりけり
0023・0125・0325ほか 花橘(柑橘類の木の花)
とどめおきし移り香ならぬ橘にまづ恋ひらるるほととぎすかな
五月雨の雲のあなたをゆく月のあはれ残せと香る橘
橘に風吹きかをる曇り夜をすさびに名のる郭公かな
0024・0123・0327ほか 菖蒲草
橘の花ちる風にあらねどもふくには香るあやめ草かな
あやめ草かをる軒ばの夕風にきく心地する郭公かな
五月闇空やは薫る年をへて軒のあやめの風のまぎれに
0028・1785ほか 真菰草(マコモ)
五月雨にみづ波まさる真菰草みじかくてのみ明くる夏の夜
0031・0132ほか 風に靡く荻原
おしなべて変はる色をばおきながら秋を知らする荻の上風
0034・0439ほか 女郎花
女郎花露ぞこぼるるおきふしに契りそめてし風や色なる
0035・1956ほか 萩の下黄葉
露ふかき萩の下葉に月さえて牡鹿啼くなり秋の山里
047・0148・0351・0558ほか 紫へうつろう白菊
咲きまさる位の山の菊の花こき紫に色ぞうつろふ
うつろはむ籬の菊は咲きそめてまづ色かはる浅茅原かな
うつろひぬ心の花は白菊の霜おく色をかつ憾みても
おきそめて惜しみし菊の色をまたかへすもつらき冬の霜かな
0052 「葉分けの霜」
冬来てはひとよふたよを玉笹の葉分けの霜のところせきまで
写真は熊笹。葉の一枚一枚を区別するように、葉の縁に置いた霜。
0053 青つづら(アオツヅラフジ)
数しらずしげる深山の青つづら冬のくるにはあらはれにけり
0055・0399ほか 鴛鴦のつがい
池水にやどりてさへぞ惜しまるる鴛鴦のうき寝にくもる月かげ
0060・1063ほか 筧
つららゐる筧の水は絶えぬれど惜しむに年のとまらざるらむ
0098・0245ほか 日かげ草(ヒカゲノカズラ)
神山に幾代へぬらむ榊葉のひさしく標を結ひかけてける(物名歌)
日かげ草くもりなき世のためしとや豊の明にかざしそめけん
0111・1206ほか 葛城山
青柳のかづらき山の花ざかり雲に錦をたちぞかさぬる
0148・0349ほか 紅葉した浅茅(チガヤ)
うつろはむ籬の菊は咲きそめてまづ色かはる浅茅原かな
色かはる浅茅が末の白露になほ影やどす有明の月
0153・0223ほか 撫子の花
霜さゆるあしたの原の冬枯れにひと花さける大和撫子
八重葎しげる籬の下露にしほれもはてぬ撫子の花
0190・0595ほか 鴫
鴫のたつ秋の山田の仮枕誰がすることぞ心ならでは
写真はオオソリハシシギ。
0211・0231ほか 志賀の浦と比良山
雪とちる比良の高嶺の桜花なほ吹きかへせ志賀の浦風
霰ふる志賀の山ぢに風こえて峰に吹きまく浦のさざ波
0224・1824 忘れ草(カンゾウ)
浪風の声にも夏は忘れぐさ日数をぞつむ住吉の浜
0263 揚巻結び
長くしも結ばざりける契りゆゑ何あげまきのよりあひにけん
揚巻結びは神前幕や御簾の房をまくり上げる時などに用いられる飾り結びの一種。
0273・1093ほか 三輪山
いつかこの月日をすぎのしるしとて我が待つ人をみわの山もと
0301 鳥居に添えられた榊葉
けふはまた天つ社の榊葉も春の日かげをさしやそふらん
0307 「玉まく葛」巻いて葉裏を見せる葛の葉
契りおけ玉まく葛に風吹かばうらみもはてじかへる雁がね
0311 早蕨(萌え出て間もない蕨)
山里の籬の春の程なきに蕨ばかりやをりは知るらむ
0337 笹の葉に置いた露
草の原をざさが末も露ふかしおのがさまざま秋たちぬとて
0387 興福寺南円堂(江戸時代の再建)
0390 軒の忍草(ノキシノブ)
世の中を思ひのきばの忍草いく代の宿と荒れかはてなむ
0416 つぼすみれ(タチツボスミレ)
春雨のふる野の道のつぼすみれつみてをゆかむ袖は濡るとも
0417 杜若の花
関路こえ都恋しき八橋にいとど隔つるかきつばたかな
0419 八重山吹の花
ちらすなよ井手のしがらみ堰きかへし言はぬ色なる山吹の花
0423 葵草(フタバアオイ)
年をへて神もみあれの葵草かけてかからむ身とは祈らず
0442 藤袴の花
藤袴あらぬ草葉もかをるまで夕露しめる野辺の秋風
0463 氷結した小川
とけぬうへに重ねてこほる谷水にさゆる夜ごろの数ぞ見えける
厳冬期の谷川などでは、水面が層をなして凍っているさまが見られる。
0516 月草(ツユクサ)
すみれつむ花染め衣露をおもみかへりてうつる月草の色
0561・1366・2977 葦の穂
声はせでなみよる蘆の穂ずゑかな汐干の潟に風や吹くらん
難波潟もとよりまがふ乱れ葦の穂ずゑおしなみ初雪ぞ降る
しをれ葦の穂ずゑの色に秋すぎて雪にとどまる遠近の岸
0563 大堰川(大井川)
大井河浪を井堰に吹きとめて氷は風のむすぶなりけり
0735 思い草(ナンバンギセルとリンドウ)
霜むすぶ尾花がもとの思ひ草きえなむのちや色にいづべき
万葉集の「思ひ草」は現在ナンバンギセルとする説が有力とされるが、定家はリンドウと見なしていたようである。
0737・2881 浜木綿(ハマオモト)
我も思ふうらの浜木綿いくへかはかさねて人をかつ頼めとも
浜木綿やかさなる山のいくへともいさしら雲のそこの面かげ
0748 桐の葉
夕まぐれ風ふきすさぶ桐の葉にそよ今さらの秋にはあらねど
0749 櫨の立ち枝
しぐれゆく櫨の立ち枝に風こえて心色づく秋の山里
0750 楢の葉
梢より冬の山風はらふらしもとつ葉のこる楢の葉がしは
0758 庭たたき(セキレイの仲間)
さらぬだに霜枯れはつる草の葉をまづうちはらふ庭たたきかな
写真はハクセキレイ
0759 しとと
人とはぬ冬の山路のさびしさよ垣根のそはにしととおりゐて
「しとと」はホオジロ・ホオアカ・アオジなど、目のまわりに隈取りがあるように見える鳥の総称。写真はミヤマホオジロ。
0776 蜉蝣(カゲロウ)
わきかぬる夢の契りに似たるかな夕べの空にまがふかげろふ
0818 冠に挿した葵 京都葵祭にて
雲のうへをいづる使ひのもろかづらむかふ日かげにかざす今日かな
0823 夕顔の花
暮れそめて草の葉なびく風のまに垣根すずしき夕顔の花
0835 広沢の池と遍照寺山
すみきける跡はひかりにのこれども月こそ古りね広沢の池
0836 蔦紅葉
葦の屋の蔦はふ軒のむら時雨おとこそたてね色はかくれず
0961 まさきのかづら(定家葛)
おとづれしまさきのかづら散りはてて外山も今は霰をぞ聞く
1037 葛の葉
水茎の岡のくず原吹きかへし衣手うすき秋の初風
葛の葉は葉裏が白っぽい。白は秋の色でもある。
1058・1487 紅葉の嵐山
のこる色もあらしの山の神な月井堰の波におろすくれなゐ
吹きはらふ紅葉のうへの霧はれて峰たしかなる嵐山かな
1062 鳰鳥(カイツブリ)
しぐれこし岸の松かげつれもなく棲む鳰鳥の池のかよひ路
3659 楝(センダン)
九重の外重の楝わするなよ六十の友は朽ちてやみぬと
公開日:2013年02月13日
最終更新日:2013年02月13日
作成者:水垣久 mizukaki@j.email.ne.jp