WADIA WADIA-6 CDプレーヤー

 1992年頃に発売されたWADIA初の一体型CDプレーヤーでした。70万円くらいしましたが、そのあまりの高性能ぶりに、ステレオサウンド誌をして「異例のバーゲン価格」と言わしめた大人気機種です。

 それまでソニー、ルボックスと一体型のCDプレーヤーを使ってきた私も、迷わずWADIA-6を選択しました。

 実際に音がよいことはもちろんながら、WADIAのCDプレーヤーには、私のような理工系人間を魅了する技術的特長がありました。

 当時、オーバーサンプリング+デジタルフィルターというのが普通でした。それをWADIAは、超高速処理を行うコンピューターチップ(DSP)を導入し、PCMデジタルデータを、技術者にはおなじみの「10次スプライン関数」で補間して、一旦アナログ化する、という新しい手法を導入したのです。

 当時としてはこのアイデアは画期的であり、また、音もそれを反映するかのように滑らかでした。デコーディング・コンピューターと名乗った名称も、理工系人間を泣かせます。

 しかも、CDドライブはTEACのVRDSを使っています。いかなる視点から見ても、70万円で買える最高のCDプレーヤーでした。

 2002年にピックアップを最新のものに交換してもらったところ、また一段と音がよくなってしまい、15年間も愛用し続けました。そして、2007年に、ついにオラクルCDドライブ+Chord DAC64 Mk2 へとバトンタッチしました。

 DAC64の音に比べますと、音場感でやや劣りますが、音のバランス、楽器の音色などはすばらしいものでした。

 次もWADIAを、と思い、待ち続けましたが、2006年春に予告されたSACDプレーヤーは、2007年になっても発売されず、また、搭載メカはTEAC製でないことも明らかとなり、大変に失望しました。でも、私は、いつの日か、WADIAが再生してくれるのを期待しています。

 

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