九州南部には旧暦の8月15日に綱引きをする習俗が残っている。 現在南さつま市となっている坊津町には2018年時点で4か所で行われていた。 これらの集落は、1〜2kmほどしか離れていないにもかかわらず、行われる内容に共通点があったり大きく異なっていたり、非常に興味深かった。●上之坊集落
・旧暦8月13日:番茅作り、火トボシ
15日の十五夜の綱引きで使う綱を作るための作業、番茅作りが行われる。番茅は藁や茅を集めて、丸くまとめたものである。 これを上道の坂という場所で作り、公民館に運んでおく。 また、子どもたちは茅をまとめて背中にかついで運ぶ茅引きを行う。 夜には、坂の上の方で松明に火をつけてぐるぐると振り回す。これを火トボシといい、幻想的な光景が見られる。
・旧暦8月15日:綱引き、お月さん作り
旧暦15日の朝から綱引きが行われる。公民館前の広場で、番茅を解体して綱練りを行う。 夜の19時からは綱引きが行われる。その前に、シベ帽をかぶった青年たちが、子どもたちを追いかけることを3回行う。 綱引き、お月さん作り
●鳥越集落
・旧暦8月13日
・旧暦8月14日
朝: ヨメジョ(嫁女)作り。藁や茅をまとめて人形型に仕上げ、道の傍らに置いておく。
夜:火トボシ、テツナッゴ、ドントセ
2人一組で坂道を降りてくる。一人は巨大な松明を持ち(火トボシ)、もう一人は道路の脇に置いてあったヨメジョを持つ。 道の途中で松明を置き、手を繋いで横一列に並び、引き合いをする(テツナッゴ)。さらに下に降り、押し合いをする(ドントセ)。
・旧暦8月15日
朝:綱練り:集落総出で綱引きの綱を作成する。一列に並び、藁をよじって綱にしていく。
昼:十五夜踊り。
夜:綱引き:
●泊集落
・旧暦8月13日
・旧暦8月14日
朝:綱練り:集落総出で綱引きの綱を作成する。一列に並び、藁をよじって綱にしていく。 できた綱は櫓に掛けて置く。
・旧暦8月15日
15時:宮参り、神事 17時:十五夜踊り 19時:オドリコワシ 21時:綱引き、花火、水漬け
●平原集落
・旧暦8月13日
十五夜相撲 綱引き
(2018. 9.22〜24)